お世話になっております。
来月で11歳になるレオンベルガー(男の子)です。
歯根が悪くなり、頬が腫れるようになりました。
この症状は2011年12月頃からで、
4〜5日抗生物質を服用すると腫れは引き、
しばらくしてまた腫れる、の繰り返しでした。
2012年3月からは頬の皮膚を破って膿・血が出るように。
2012年12月〜2013年3月は全く症状なしでしたが、
最近は鼻の穴からもときどき膿や血が出ます。
ちょうど1年前に腫瘍切除の手術した際、
抜歯も試みたのですが、
意外や歯はしっかりしており、
その歯を抜くとなると途中で麻酔からさめてしまいそうだ、
とのことで抜けませんでした。
食欲はあるし、元気、特に口臭もないのですが、
痛々しく見えかわいそうです。
(本人は痒いくらいのようです)
そして今回、10日近く抗生物質を服用しているのですが、
腫れはないものの、膿と血が出ます。
量的にはとても少ないのですが、
すっきりとまらないことと、
かかりつけの先生からアドバイスされた
「とりあえず10日くらい」になるため心配しています。
悪い歯を抜かない限り繰り返すというのは、
東京の先生(現在山梨在住)にも言われていたので
覚悟はしています。
歳を考えると全身麻酔は不安が大きく気が進みません。
何かしてあげられることや、選択肢があれば
是非ともアドバイスをいただきたいです。
よろしくお願い致します。
Re: 歯根について
- 獣医師 酒井
2013/06/25(Tue) 14:50
No.2142
篠田 様
梅雨の頃、雨の多い季節となり、台風のニュースも耳にするようになりましたが、、
篠田様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度はご相談いただきまして、誠にありがとうございます。
来月11歳になる男の子のレオンベルガ−ちゃんが歯根膿瘍(根尖周囲膿瘍)の症状を
繰り返されているとのことでございますね。
早速ご案内させていただきますが、実際のご様子などを拝見していませんので、
一般的なご案内となりますことを何卒ご了承くださいませ。
歯根の膿瘍(根尖周囲膿瘍)はその病変が歯根やそのすぐ下に形成されるため、
抗生剤を内服して顔の腫れなどの症状が治ったように見えても、
実際には歯根部やその下に膿が残るため完治が難しく繰り返すことが多い病気です。
篠田様のレオンベルガーちゃんは、頬が腫れて皮膚が破けたこともあったということですので、
歯根の炎症が広がり、口腔粘膜、皮膚まで達する「外歯瘻(がいしろう)」や
鼻から膿がでてきたり出血することもあるようですので、歯槽骨を融解し、歯根部から鼻腔まで
瘻管が出来ている(つながってしまっている)「口鼻瘻管(こうびろうかん)」もあると思われ、
歯根部からかなり炎症が進んでいるようです。
このような根尖周囲膿瘍の治療は基本的には抜歯となりますが
以前に腫瘍摘出の手術の際に、抜歯を試みられましたが、歯がしっかりしていて麻酔が覚めそうなので、
抜けなかったという経緯がありますので、年齢的にも再度、全身麻酔をかけての抜歯にトライすることは
気が進まないということですね。
ご存じの通り、抗生剤の内服だけではなかなか効果が見られなかったり、時間がかかることもありますが、
根治治療ができないとなると、症状に合わせて、抗生剤、消炎、鎮痛剤を飲ませたり、
患部に無理をかけないように注意をする対症療法になってきます。
レオンベルガーちゃんがお食事を食べにくいようであれば、缶詰やふやかしたドライフードなど
軟らかい食べ物を与えるようにします。
また軟らかいフードは特に口腔内に残ったり、歯に付着したりしやすいので、
こまめに歯磨きをしてあげると良いでしょう。
歯磨きを嫌がらないようであれば、歯ブラシと犬用歯磨きペーストで磨いていただくのが最も効果があると
いわれていますが、難しいようでしたら、指に水で濡らしたガーゼを巻いてやさしく食物残渣を取り除き、
歯肉のマッサージをすることから始めてみるといいでしょう。
なお、歯のお手入れを嫌がるワンちゃんは多いのですが、歯磨きや歯肉のマッサージの後には、
お散歩やボール投げなどレオンベルガーちゃんの好きなことをしてあげて、
イメージを良くするようになさるとよろしいでしょう。
ただ、今後、全身症状として、発熱、元気消失、沈鬱、食欲不振がみられるようでしたら、
やはり抜歯を検討する必要があるかもしれません。
普段から、定期的に歯のレントゲンを撮って、歯根の状態をチェックしてもらい、状況に応じて
処置方法をご相談いただくといいでしょう。
また、歯科を専門としている病院では、歯科器具がそろっているため、抜歯の処置時間を
短縮できる可能性もあります。
今の年齢で、全身麻酔をかけるリスクと今の症状、歯根部の状態を合わせて、
一旦相談していただくと良いかもしれません。
なお、アニコムでは下記の受付時間で、ご契約者様からのお電話での健康相談、
しつけ相談サービスを承っております。
気がかりなことがございましたら、お気軽にご利用ください。
お電話番号は、あんしんサービスセンター
0800-888-8256(携帯電話・PHSからは、03-6810-2314)です。
平日9:30〜17:30 / 土日・祝日9:30〜15:30 (年末年始を除く)
土日・祝日は予約のみ、実際のご相談は翌営業日以降となります。
レオンベルガーちゃんは、来月11歳のお誕生日をお迎えにならえるのですね。
本当におめでとうございます。
レオンベルガーちゃんは大型犬ですので、素晴らしいことですね。
ぜひぜひお元気で、もっともっと長生きしていただきたいですね。
レオンベルガーちゃんが、篠田様と1日でも長く楽しい毎日を過ごせますよう
応援致しております。
今後ともアニコムをどうぞよろしくお願い申し上げます。
歯根について 2
- 篠田
2013/06/25(Tue) 22:16
No.2144
酒井先生
早速のご回答ありがとうございます(No.2140)。
食事に関して、フードの硬さは問題ないようです。
食事中5〜6回程、口の中でフードを噛みやすい位置(?)に移動させていますが、
キャベツの芯やリンゴも好んで食べています。
が、やはり悪い右側ではあまり食べません。
歯磨きは素直にさせてくれます。
人間の子供用歯ブラシにジェルをつけて磨いていますが、
ここ2日はいただいた薬用ラカルトを少しつけています。
歯磨きは、やはり犬用を使ったほうがいいのでしょうか?
また歯肉マッサージは、指で軽く押してあげるくらいの感じでいいでしょうか?
抗生物質については、グズグズ膿を出し続けるより、
薬の効果を得られるうちはそれを服用させ続けるほうがいいでしょうか?
幸い、薬は手に入り、先生も自院で処方した薬でなくても相談に応じてくれます。
もし抜歯をするとしたら、そのかかりつけ医にお願いするつもりです。
東京で麻酔前検査(2011年9月)をした際、
命にかかわること以外の手術はやめましょう、
(抜歯や腫瘍切除をするにはリスクあり)という結論になりました。
説明もあり丁寧でしたが、検査を受けている様子を見て
ものすごくストレスになっていて、
心拍も異常になっているのが私にもわかりました。
この子の性格上、もう検査はしたくないと思ったのです。
今の先生は検査なしです。
心配になって聞いてしまいましたが、
飼い主立会いOK、質問には何でも答えてくれるので、
信じて託しました。
(実際、術後の傷跡も小さくて早くふさがり、再発もありません)
とりあえず元気とはいえお歳なので、様子を見ながら相談していこうと思います。
再度の質問、よろしくお願い致します。
Re: 歯根について
- 獣医師 酒井
2013/06/26(Wed) 18:24
No.2148
篠田 様
この度は、ご丁寧にご返信をいただきまして、ありがとうございます。
また、頂いております幾つかのご質問につきまして、早速でございますが
ご返答させていただきたいと思います。
篠田様のレオンベルガーちゃんはお食事、キャベツや、リンゴも上手に
食べることが出来るということですね。
毎日のお食事で痛みや違和感があると、食欲減退にもつながりますが
今のところはおいしくお食事を食べることができているようで安心致しました。
ただ歯根に炎症があるため、噛んだ際の痛みや違和感があり右側をかばっているようですので、
すでにご注意をされていることとは思いますが、今後も大きい食べ物や硬い食べ物は
避けておいた方が良いでしょう。
また、歯磨きを素直にさせてくれるというのは、今までにきちんと篠田様とレオンベルガーちゃんが
信頼関係を築いていらっしゃった証拠ですね。
歯ブラシにつきましては、人間の子供用歯ブラシで問題ありませんがヘッドが小さめですので、
プラスチックの劣化などにより、ワンちゃんが噛んでもいないのに、先端が折れてしまい、
思わず飲み込んでしまったという事故もありますので、注意しましょう。
歯ブラシのブラシ部分が少し乱れてきたところで、交換するのが望ましいでしょう。
一般的に、発泡剤や、研磨剤の含まれている人用の歯磨き粉は、本来歯磨きの後に
水でゆすいで口から出すことを前提に作られていますので、ワンちゃんに使用するのは好ましくないと
いわれています。
また人では歯に良いとされるキシリトールが人用の歯磨き粉に含まれることがありますが、
ワンちゃんではキシリトールが中毒を起こすことがあるため、使用しない方がいいでしょう。
篠田様は、いただいた薬用ラカルトを少量つけているとのことですが、こちらは動物病院さんで、
いただいたということでしょうか。
もしそうであれば、先生の判断で、歯周病菌の抗菌作用や歯石の沈着を抑制する効果を
重視して、処方されたのかと存じます。
どれくらいの量で、どれくらいの期間使用しても、発泡剤や研磨剤などがレオンベルガーちゃんの
健康に問題ないかは念のため一度ご相談いただければと思います。
歯磨きは、歯磨き粉の種類よりも、ブラッシングの方法が、より重要といえます。
歯ブラシをお口に入れることを嫌がらずに素直にさせてくれると言うことですので、
ゆっくりと丁寧に、一本一本の歯の歯垢をブラッシングにより取ってあげることが大切です。
歯肉マッサージは、篠田様がおっしゃる通り指の腹で優しくマッサージしてあげる感じが良いでしょう。
レオンベルガーちゃんが痛がったり、血が出るまでする必要はありません。
マッサージによって血行をよくしていただき、腫れや出血部位がないかも
一緒にチェックしてあげるといいでしょう。
抗生物質の服用期間の判断は難しいところだと思います。
やはり根治治療をしている訳ではないので、繰り返すことは仕方が無いのですが、
膿が止まって抗生剤が効いているように見えても歯根周囲に膿が溜まっている場合もありますので、
正確な判断ができかねます。
また、膿を培養して、その細菌に効果のある抗生剤の選択をする方法もあります。
ただ、抗生剤もだらだらと長期間使用しても、治療効果は望めませんので、やはりかかりつけの先生に
症状をみていただきながら、期間も判断していただくことが大切です。
篠田様は、しっかりと質問にも答えてくれて、手術や処置に立ち会わせていただける、
信頼の出来るかかりつけの先生がいらっしゃってお幸せでございますね。
飼い主さんとかかりつけの先生との連携、信頼関係は、ワンちゃんの健康にとって、
もっとも大切なことだと思います。
これからも症状によっていろいろ悩まれることあるかもしれませんが、今後もぜひレオンベルガーちゃんの
お元気で過ごせる日が一日も長く続きますよう、ご家族の皆様で支えていって下さい。
いつも応援致しております。
今後ともアニコムをどうぞよろしくお願い申し上げます。
Re: 歯根について
- 篠田
2013/06/27(Thu) 13:09
No.2150
酒井先生
再度のご回答ありがとうございます。
薬用ラカルトは知人からいただきました。
人にいいから、きっとワンちゃんにもいいんじゃない?、と。
犬はうがいできないし、発泡剤も気になったので、
先生に電話できいてみたところ、
歯磨き粉の種類うんぬんのレベルじゃないけど、
嫌がらないのであれば試してみてもいいでしょう、との返答うけました。
(ほんの少量1〜2週間くらいとも合わせて伝えました)
とりあえず様子をみて、その後は犬用歯磨きに変えようと思います。
今後を考えネット検索して「サニタリオ」というものを見つけたのですが、
本当にそんなによければお医者さんで処方していそうだし…と思い購入はやめました。
獣医師推奨のデンタルケア製品はありますか?
一般入手不可のものでしたら、
先生に処方をお願いするつもりです。
鼻の穴をふいてもここ5〜6日は血も膿もつかなくなっていますし、
当面はブラッシングと歯肉マッサージを丁寧に行っていくことにします。
昨日はブラシに白いものがつき、違うタイプの膿?と驚いたのですが、
トッピングであげた豆腐でした。
おじじ犬だけに、今後もお世話になること必至ですが、
どうぞよろしくお願い致します。
Re: 歯根について
- 獣医師 酒井
2013/06/28(Fri) 15:56
No.2154
篠田 様
こちらこそ、再度ご丁寧にレオンベルガーちゃんのご様子、歯磨き粉の入手先など
ご連絡いただきまして、ありがとうございます。
ここ数日、鼻からの出血や膿が止まっているということで、一安心ですね。
お問い合わせの、獣医師推奨のデンタルケア商品についてですが、
市場にもワンちゃん用歯磨きだけでもずいぶん様々な商品があり、
インターネットなどで調べてみると、目移りしてしまいますね。
当社では、個々の商品についての具体的な情報は持ち併せておりませんので、
ご案内は難しいことを何とぞご了承ください。
しかし、篠田様のかかりつけの先生もおっしゃっている通り、
歯磨き粉の種類で治療効果に差がでるということではなく、
いかに歯垢を取り除き、お口の中を清潔に保ってあげられるかが大切です。
レオンベルガーちゃんは歯磨き粉を嫌がらないでさせてくれるとのことですので、
使ってあげた方がより効果はありますが、歯磨き粉を好まないワンちゃんであれば、
水をつけたブラッシングでも充分歯磨きの効果は望めます。
歯磨き粉やその他のデンタルケア商品はあくまで補助的なものとお考えいただければ
よろしいでしょう。
サプリメントにつきましても、市場に出回っている物は経験的に良いとされているものが多く、
動物用医薬品として承認されているものではなく、歴史の浅いものも多いので、
毎日の利用でどれほど効果が上がるものなのか、本当に副作用がないのかといったことは獣医師でも
把握仕切れないのが現状です。
病院さんで通常ワンちゃんにご紹介されている犬用の歯磨き粉のペーストを利用されて、
それ以上のケア商品となると、商品の特徴をよくお調べになられて、篠田様が納得されたものを試していただき、
レオンベルガーちゃんのお好み、実際の効果など見ながらご選択いただくのが良いかと思われます。
毎日のことですので、ストレスにならない方法でケアを続けてあげられると良いですね。
また何かありましたら、お気軽にご相談下さい。
今後ともアニコムをどうぞよろしくお願いいたします。
Re: 歯根について
- 篠田
2013/06/28(Fri) 21:30
No.2156
酒井先生
いろいろとアドバイスありがとうございました。
そうなんです、調べるほど、どの歯磨き粉がいいのか迷います。
でも、かかりつけの先生も言っていたことですし、
歯磨き粉うんぬんのレベルではないなら、
歯磨きと歯肉マッサージをこまめにしてあげようと思いました。
今後ともよろしくお願い致します。
Re: 歯根について
- 獣医師 酒井
2013/07/01(Mon) 13:55
No.2158
篠田様
ご丁寧にご返信いただきまして、ありがとうございます。
歯磨きは毎日のケアですので大変かと存じますが、レオンベルガーちゃんの
健康維持のためにもぜひ頑張って下さい。
レオンベルガーちゃんは、今月いよいよ11才のお誕生日をお迎えになるのですね。
おめでとうございます!
ぜひ1日も長く、お元気で篠田様と
楽しい毎日を過ごされますよう応援致しております。
こちらこそ今後もどうぞよろしくお願い致します。