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背骨の組織破壊

投稿者:ななとさくら

投稿日:2015/09/20(Sun) 11:02

No.4136

10月で11歳になる雌のトイプードルです。避妊済みです。

2か月前から身体の動きの悪さ、震えなどがあり、椎間板ヘルニアを疑い二次医療機関にてMRI、CTでの検査を行ったところ背骨の数か所において組織破壊の形跡があることがわかりました。
針を刺して細胞診を行いましたが、異常といえる細胞は見つからず、腫瘍によるものか炎症によりものなのかの診断ができずにいます。
現在は、とりあえす安静に過ごし、定期的にレントゲンなどで病変が他に広がっていないかどうか経緯を見ていくしかないといわれています。
飼い主としては、このまま様子を見ていくしかないのかと思うと歯がゆくてたまりません。
炎症反応も悪化してきているので心配です。
今のところ食欲はありますが、あまり元気はありません。
東洋医学でもサプリメントでも、何か打つ手があれば取り入れたいと思っています。
アドバイスいただけたら幸甚です。

Re: 背骨の組織破壊

- 獣医師 酒井

2015/09/28(Mon) 15:06

No.4145

ななとさくら 様

10月も近づき、秋の気配が日々深まっていることを感じる今日この頃でございますが、
ななとさくら様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

この度はご相談をいただきまして誠にありがとうございます。
早速ご案内させていただきますが、実際のワンちゃんのご様子を拝見して
おりませんので、一般的なご案内となりますことをご了承下さい。

ななとさくら様の10歳の女の子のトイプードルちゃんが2ヶ月前から、震えがあり、
身体の動きも悪くなって、検査を受けたということでございますね。
今のところ確定診断がつかず、経過観察中ということで、積極的な治療ができないため、
何か他の東洋医学やサプリメントなどの代替医療で、トイプードルちゃんにしてあげられることが
ないかというご相談でございますね。

一般的に動物病院で広く行われている、西洋医学に基づく治療は、身体の中の悪い部分に
注目し、その病変に対して、科学的に効果が立証されている方法(エビデンス)に従って行います。

ななとさくら様のトイプードルちゃんの場合、画像診断によって背骨の組織破壊が認められ、
その原因を調べるために細胞診をしたということでしたが、腫瘍か炎症か判断がつかず、
確定診断に至らなかったということでございますね。

西洋医学では、もし背骨の組織破壊が腫瘍と診断された場合には、抗がん剤や
放射線療法などの治療を行い、炎症と診断された場合にはウイルスや細菌などによる感染性の
炎症か、非感染性の炎症かによって治療方法が異なりますので、正確な確定診断のためには
MRIなどの画像診断に加えて、脳脊髄検査など一歩踏み込んだ検査が必要になる場合も
あります。また脳脊髄の病気の中には、脳や脊髄の病理組織検査が不可欠のものもありますが、
脳や脊髄の検査には困難が伴う、あるいは検査ができない場合もありますので、
診断そのものが難しいケースも多いかと存じます。

診断自体が困難な場合には、治療方法も定まらないため、一定期間毎に検査を行いながら、
経過を見ていくことがあります。またその病気をダイレクトにたたく治療は選択できない状況でも、
今あるワンちゃんの不快な症状を改善させることを目的として行う治療もあります。
例えば食欲がない場合に食欲増進剤を使用したり、痛みがあって辛い場合に消炎鎮痛剤を
使用するといった治療方法です。こういった治療法を対症療法と言います。
病気の原因がはっきりしていないので、この対症療法を行うことによって、思ってもいない副作用
があることも考えられますが、ワンちゃんのQOL(生活の質)を改善するという意味では、
状況によっては積極的に取り入れていくことが望ましい場合もあります。
今、ななとさくら様のトイプードルちゃんは、食欲はあるけれども、あまり元気がないということで
ございますね。元気がないというのは、具体的には、どこか痛みがあるようでしたり、神経的な
麻痺があるような症状があるのでしょうか。貧血や脱水など一般状態はいかがでしょうか。
何か対症療法を行うことで、トイプードルちゃんの元気を回復できる方法がないか、
まずはかかりつけの先生にご相談なさってみてはいかがでしょうか。

また西洋医学以外の東洋医学やサプリメントなどは、代替医療とよばれており、漢方薬による
治療、鍼灸治療、ホメオパシー治療やオゾン療法、アロマテラピーなどもこれに含まれます。
病変部自体に注目するというよりは、身体全体の自然の治癒力を高めるという考え方で
行われる療法です。科学的に立証されたエビデンスに基づいたものではありませんが、
過去の経験から効果が期待されて難治性の病気や、西洋医学による治療では良好な
効果が認められないケースで利用されていることが多いようです。
近年では西洋医学に加えてホメオパシー治療、オゾン療法などの代替医療を積極的に
取り入れている動物病院もございます。
私どもでは、その治療効果の良し悪しを判断するデータは持ち合わせてはおりませんので
具体的に個々の代替医療をお勧めすることはできませんが、西洋医学では治療が困難という
場合に、代替医療を実施されている先生にご相談いただき、ななとさくら様がご納得できる
治療方法があれば取り入れてみて、トイプードルちゃんの体調が改善するかどうかご覧になるのも
一つの方法かと存じます。
たとえば、悪性の腫瘍などでは免疫のバランスを整える効果が期待されるサプリメントなどが、
特殊な動物病院ではなく一般の動物病院でも広く取り扱われています。
一度かかりつけの先生に、そういったサプリメントの使用についてもご相談いただくと
良いかもしれません。

なお、アニコムでは下記の受付時間で、ご契約者様からのお電話での
健康相談、しつけ相談サービスを承っておりますので、ぜひご利用ください。

お電話番号は、あんしんサービスセンター0800-888-8256です。
平日9:30〜17:30 / 土日・祝日9:30〜15:30 (年末年始を除く)
土日・祝日は予約のみ、実際のご相談は翌営業日以降となります。

トイプードルちゃんが少しでも元気を取り戻し、ご家族の皆様と楽しく過ごせますよう、
いつも応援致しております。

今後ともアニコムを宜しくお願い申し上げます。



Re: 背骨の組織破壊

- ななとさくら

2015/09/29(Tue) 21:30

No.4148

酒井先生

わかりやすく説明していただきまして、ありがとうございました。
この一週間の間に旺盛だった食欲が減ってきたようです。
家族が帰宅した時など嬉しいはずの瞬間も起きてこないことも多く、どこか調子が悪いのだろうなという印象を受けます。
主治医と相談しながら見守っていきたいと思います。



Re: 背骨の組織破壊

- 獣医師 酒井

2015/09/30(Wed) 13:08

No.4150

ななとさくら様

この度はご丁寧にご返信いただき誠にありがとうございます。

トイプードルちゃんの食欲が落ちてしまったり、ご家族のご帰宅時に元気な姿を見せてくれないと、
本当にご心配ですね。
主治医の先生ともご相談いただきながらケアしていただき、トイプードルちゃんが大好きな
ご家族とご一緒に笑顔で過ごせるように、心から応援いたしております。

また何かご心配なことがございましたら、いつでもお気軽にお声掛けください。
今後ともアニコムをどうぞよろしくお願い致します。



Re: 背骨の組織破壊

- ななとさくら

2016/09/08(Thu) 14:41

No.4474

前回相談させていただいた折はありがとうございました。

その後の経過ですが
脂肪織炎(化膿性肉芽腫)ではないかとの疑いのもと、ステロイドの投与をを8か月ほど続けました。
ステロイドによく反応しCT画像上は背骨の組織破壊は残っているものの、元通りの元気を取り戻したため、治療はいったん終了となりました。

その後2か月ほど経過した頃、体表面に1センチほどのしこりを発見し、もしや脂肪織炎の再発ではと思って細胞診をしてもらったところ、前回と同じ(マクロファージの出現)という結果が出ました。
外見上はしこりから膿が出ていることはなく、発熱、元気の消失もないため、とりあえず様子を見ることになっていますが、わかりにくい病気で心配です。

お伺いしたいのは
@元気があるようにみえても炎症反応が悪化していることはありますか?
炎症反応を定期的に検査するのは意味のないことでしょうか。

A膿が体の内部に出て重篤な状態になることは考えられますか?
 
以上ご回答お願いいたします。



Re: 背骨の組織破壊

- 獣医師 霍田

2016/09/12(Mon) 17:51

No.4479

ななとさくら 様

風の中に秋を少しずつ感じるようになってまいりましたが、ななとさくら様におかれましては
いかがお過ごしでしょうか。

この度はご相談をいただきまして誠にありがとうございます。
ご相談についてご案内いたしますが、実際のご様子を拝見しておりませんので、
一般的なご案内となりますことをご了承ください。

以前いただいたご相談の、その後の経過に関してのご質問でございますね。
脂肪織炎を疑いステロイドの投薬を続け、元気を取り戻してくれたものの、2ヶ月ほど経過してから
体表面にしこりが見つかり、経過を観察することになったのですね。
ななとさくら様のご心配はいかばかりかと、心中お察し致します。

皮膚の下には、皮下脂肪といわれる皮下脂肪(組)織があり、体を衝撃などから保護しています。
脂肪織炎は、何らかの原因でこの脂肪織に炎症が起こる疾患です。
皮下以外にも脂肪織はあるので、皮膚以外でも起こることがあります。
脂肪織炎は、主に胸やおなか、脇腹や背中などの体幹部に発症するといわれ、
発熱する症例もみられます。
はじめは小さなしこりが腫れて大きくなり、しこりの中央部分が突出してやがて穴があき、
膿が出ることがあります。そのままにしておくと穴の部分から細菌感染などを起こし、
炎症が脂肪織下の骨や筋肉などに広がると、重篤な状態になることも考えられます。
脂肪織炎の原因には様々なものがありますが、細菌や真菌などの感染によって
引き起こされる「感染性脂肪織炎」と、細菌などの感染がない「無菌性脂肪織炎」に大別されます。
(1)感染性脂肪織炎
感染性脂肪織炎は、細菌や真菌が脂肪織に感染して発症するため、例えば何らかの外傷が皮下に
達して炎症を起こしたり、皮膚のしこりが化膿して、皮下まで炎症が波及したりすることでも起こります。
このような場合には、患部が体の一部に限局(限定)していることが多いとされます。
しかし、どうぶつの体調がよくなかったり、基礎疾患などがあり免疫力が低下しているなどの要因が
あれば、あちこちに広がってみられる可能性もあります。
(2)無菌性脂肪織炎
自分自身の免疫システムが、何らかの原因で脂肪織を異物とみなして攻撃していると考えられる
「免疫介在性」の疾患が考えられます。
ミニチュア・ダックスフンドに多いとされているので、疾患の発症を促す誘発遺伝子がある可能性が
考えられており、この場合には体のあちこちに発症することがあります。
その他には、何かの手術をした後、関連部位に無菌性脂肪織炎が発症するケースも多いと
されています。この場合、皮膚の縫合に使用した糸が、アレルギー反応のような悪影響を脂肪織に
与えているのではないかと推察されています。
また、皮下注射した後、接種部位に発症する場合もあります。

次にななとさくら様からいただいた2つのご質問についてご案内いたします。
まず、最初のご質問ですが、ワンちゃんの性格などによっては体調に不調があっても、ぎりぎりまで我慢して
元気にふるまう子もいますので、外見上元気に見えても病状が悪化しているという可能性はあります。
そのため、日頃からトイプードルちゃんの様子をよく観察していただき、病院で定期的な検査を行うことは
とても大切なことです。炎症反応の検査については、かかりつけの先生とご相談の上、必要に応じて
実施なさるとよいと思います。

次に2つめのご質問についてですが、「しこり内に膿が貯留した場合、体内に排膿されて重篤な
症状が出る可能性は」という理解でよろしいでしょうか。
体内へ排膿されて症状をあらわすかは、そのしこりがどのような状況で、どういった由来で発生した
ものかによっても異なってくるかと思います。
ななとさくら様のトイプードルちゃんは避妊手術をされているのですね。
例えば、上述したような、何らかの手術の縫合糸が原因でしこりができている場合には、
体内の糸が残っている箇所と、体表のしこりの箇所が瘻管(ろうかん)という管で繋がって
いることが考えられます。そのような場合には、体の内部に膿が漏れ出てしまい、その結果として
重大な症状を引き起こしてしまう可能性も考えられます。
まだ小さなしこりで、今回の細胞診で確定診断はついていないかと思いますので、
もちろん手術などとは無関係で、体表に限局している腫瘤の可能性もあります。
トイプードルちゃんの様子やしこりの大きさなどに変化がないか観察していただき、
今後の治療方針についても、かかりつけの先生とよくご相談いただければと思います。

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ななとさくら様とトイプードルちゃんが、心穏やかにお元気に過ごされますよう、
お祈り申し上げます。
今後ともアニコムを宜しくお願い申し上げます。



Re: 背骨の組織破壊

- ななとさくら

2016/09/16(Fri) 19:10

No.4494

このたびも詳細なご回答をありがとうございました。
また何か疑問に思うことが出てくれば質問させていただきます。



Re: 背骨の組織破壊

- 獣医師 霍田

2016/09/20(Tue) 14:57

No.4495

ななとさくら 様

こちらこそ、ご丁寧に恐れ入ります。
ななとさくら様とトイプードルちゃんをいつも応援いたしております。
ご不明な点などがおありの際には、お気軽にお声がけください。
季節の変わり目のため体調管理が難しい時期でございますので、
くれぐれもお体ご自愛ください。
今後ともアニコムをどうぞよろしくお願いいたします。



毛が生えてきません

投稿者:

投稿日:2016/09/15(Thu) 11:17

No.4487

いつもお世話になります。
来月3歳になるスコティッシュフォールドの雌です。
糸状菌を何度か患い、耳の付け根周辺の毛が無くなり
毛根もないようでツルツルの状態です。
耳の汚れがひどくて、週1で耳掃除に通院しています。
耳が痒いのか、掻いてしまうとツルツルの肌に傷がつくので
エリザベスカラーを着けています。
掻かないと毛が生えてくるかなと希望を持って
エリザベスカラーをしているのですが
ツルツルの肌、もう毛は生えてこないでしょうか?

Re: 毛が生えてきません

- 獣医師 霍田

2016/09/16(Fri) 15:10

No.4493

福 様

涼風が気持ちのいい季節になりましたが、
福様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
この度はご相談をいただきまして、ありがとうございます。
来月3歳の女の子のネコちゃんの耳の脱毛についての
ご相談でございますね。
お問い合わせについてご案内いたしますが、
実際のご様子を拝見していないため、一般的なご案内と
なりますことを何卒ご了承ください。

福様のスコティッシュフォールドちゃんは、糸状菌症を何度か患い、
耳の付け根周辺の被毛がなく、ツルツルになっているのですね。
現在、耳の汚れがひどいので耳掃除に通院され、耳の痒みからか
その部分をかかないようにエリザベスカラーを着けて保護されていらっしゃる
けれども、今後、被毛が生えてくるかどうかご心配されているとのことで
ございますね。

通常、被毛は一定の周期で発育と脱毛を繰り返していますが、
脱毛の状態とは、一般的に発毛が見られない状態のことを言います。
表皮が内側に筒状に入り込んだ最も底の部分を毛包といい、
毛包では毛の元となる毛母細胞が集まって盛んに分裂していくことで
毛を成長させていきます。
この被毛の周期を毛周期と言い、成長期→退行期→休止期を繰り返し、
成長期には毛根から徐々に新しい毛が伸び、古い毛を上に押しあげていきます。
個々の被毛の毛周期は異なり、常に適正な被毛が保持される仕組みとなって
いますが、被毛の伸長には温度や日照時間、屋内の照射などの環境要因が
関与するといわれております。
毛周期は、一般的に短毛の子で短く、長毛の子で長いと言われていますが、
トップコート(上毛)やアンダーコート(下毛)といった毛の種類や体の部位に
よっても様々です。

脱毛の原因は一般的に「毛周期の異常」「毛包が病的な状態である場合」
「自傷または外傷によるもの」などが考えられます。
また、被毛に糸状菌の感染などがあると被毛が弱くなり、
どうぶつが引っ掻く行動ですぐに被毛がちぎれてしまうことがあります。
このような場合は、被毛は生えてきてはいるけれども、毛がちぎれる
「裂毛(れつもう)」と言われる状態で、見かけは脱毛しているようになります。
脱毛なのか、被毛が薄く見えるだけなのかは、見るだけでは判断が難しいので、
被毛の検査が必要となります。

さて、福様のスコティッシュフォールドちゃんのように、耳の付け根周辺の被毛が
脱毛している場合は、外耳炎などによる耳の痒みがあり、後肢で耳の周囲を
掻いているうちに脱毛しているケースが多くあります。
痒みのために後肢で耳を引っ掻く行動が続いている間は、被毛がすれて
ちぎれてしまうので、被毛が薄い状態がいつまでも続いてしまいます。
福様のスコティッシュフォールドちゃんは、糸状菌を患ったり、耳の汚れや痒みが
あるようですので、引っ掻くことによりこのような裂毛の状態になっている
可能性があります。
そのため、エリザベスカラーで保護することによって、今後被毛が生えてくる
可能性はあると思います。
しかしながら、脱毛をひきおこす可能性のある疾患は多岐にわたるので、
そのほかの要因、または複数の要因で脱毛している可能性も考えられます。
下記に代表的なものを記載いたします。

1.外部寄生虫(疥癬など)
疥癬(かいせん)はヒゼンダニ類というダニが皮膚に寄生することで起こる
皮膚病のことをいい、どうぶつに激しい痒みをもたらします。
主に、顔や耳に皮膚炎をおこし、脱毛と激しい痒みがみられます。
そのため、ネコちゃんは爪で病変部を引っかき、出血したり化膿してしまったりする
ことがあります。

2. アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎とは、アレルギー症状を起こす原因物質(アレルゲン)によって、
ネコちゃんの体の中の免疫機構が過剰に反応するために生じる皮膚炎のことを
いいます。
アレルゲンの種類には蚊、ノミやハウスダスト、花粉や食物などがあります。
元々毛が他の部位より薄いため、ネコちゃんでは耳が特に蚊にさされやすい
部位です。蚊に刺されることが多い夏から秋かけて症状が出ることが特徴的です。
皮膚の痒みが主な症状で、ネコちゃんが体をしきりに舐めたり噛んだり、後肢で
ひっかいたりする行動が見られます。
症状が進行すると脱毛や小さな発疹が見られます。

3. 皮膚糸状菌症
福様のスコティッシュフォールドちゃんも患った皮膚真菌症ですが、発症には
そのときのどうぶつの免疫力が関与しています。
免疫力が低い子犬・子猫や、抵抗力が落ちているときの発症が多い病気です。
また、毛の生え変わる時期(換毛期)や、被毛が活発に発育する時期にも感染が
起きやすいようです。
症状は全身にみられますが、顔や四肢に発症することが多く、円形の脱毛が
みられます。また、フケを伴うことが多く、細菌の二次感染が起こるまで痒みは
あまりありません。

4. 日光過敏症
強い紫外線にあたることで皮膚炎を起こす病気で、
高齢の白いネコちゃんがなりやすい傾向があるといわれています。
日光に含まれる紫外線が原因と考えられていますが、詳しい発症のしくみは
分かっていません。紫外線が強い夏期によく発生します。
頭部、特に毛の少ない耳や目、口の周りに皮膚炎がおき、
脱毛や皮膚の赤みの症状の程度はさまざまですが、進行するとただれたり潰瘍が
できます。

5. 内分泌性疾患(甲状腺機能亢進症など)
甲状腺は、のどの気管の両脇にある組織で、甲状腺ホルモンを分泌する
内分泌器官です。
甲状腺ホルモンは体の新陳代謝をコントロールするはたらきがあります。
中高齢のネコちゃんでは甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気がときどき
あります。
よく食べるのに痩せてくる、異常に活発になるなどの症状が一般的ですが、
まだらに脱毛する症状が見られるネコちゃんもいます。
福様のスコティッシュフォールドちゃんは、年齢からもこのご病気の可能性は
低いのではないかと思います。

6. 免疫介在性疾患(天疱瘡など)
天疱瘡(てんぽうそう)は、人をはじめワンちゃんやネコちゃんなど
多くの哺乳動物でまれに発生する自己免疫性(※)の皮膚疾患です。
病変がみられる部位や症状に基づいて、落葉(らくよう)性天疱瘡、
紅斑(こうはん)性天疱瘡、尋常(じんじょう)性天疱瘡、増殖(ぞうしょく)性天疱瘡
に分類されます。
落葉性天疱瘡では主に眼瞼(がんけん=まぶた)、鼻梁(びりょう=鼻筋)、
耳介(じかい)、肉球や指の間に小さな水疱や瘡蓋(かさぶた)ができ、皮膚炎が
続くことで脱毛も認められます。
重傷になると全身の皮膚に症状がみられることもあります。
※自分の組織を抗原として体が抗体を作り(自己抗体)、自分の組織を攻撃して
しまうことによる疾患が自己免疫性疾患です。

7. 薬物療法(外用剤、注射など)
糖質コルチコイド(ステロイド剤)などの注射や外用薬を使用した際、
患部に脱毛が見られることがあります。
自然に発毛することが多いですが、発毛までに時間がかかったり、
被毛の再生が不完全な場合もございます。

8. 心因性皮膚炎(神経性皮膚炎)
過剰なグルーミングや自らの被毛を舐めたり咬んだり引っ張ったりすることで
脱毛が見られます。環境のストレスや不安など心理的な要因によりおこると考え
られています。ネコちゃんが自分でグルーミングしやすい、下腹部や後肢
(太もも、内股)に多く認められます。
持続的に舐めることで、脱毛だけでなく、潰瘍や炎症を起こすことがあります。

ネコちゃんの体質によっては、毛の成長が非常にゆっくりの場合もあるため、
その場合には発症要因を取り除けても、発毛までにかなり時間がかかったり、
完全には発毛を認めない事もあるかもしれません。

一方で、過去に毛包が大きく損傷するような状態(細菌や真菌などの感染による
重度の皮膚炎や熱傷、外傷など)があると、毛の元をつくる毛母細胞の
幹細胞が破壊され、発毛が起こらなくなってしまうことも中にはあります。

スコティッシュフォールドちゃんの以前の患部跡の状態がそれほどひどくない
ようでしたら、今後、耳の治療を続けて痒みが改善することにより、
耳を引っ掻かなくなったり、エリザベスカラーなどで保護することで、少しずつ
発毛が見られる可能性もあると思いますので、もう少し様子を
みていただけたらと思います。
また、健康な被毛を形成するためには、適切な栄養管理やストレスのない
環境作りが大切です。ネコちゃんの年齢にあわせて、栄養バランスが整った
食事を与え、生活のリズムを整え、適切な運動を行い、日頃から新陳代謝を
高めておくことは、被毛だけでなく病気にならない体をつくるためにも
とても有効と考えられます。

なお、アニコムでは下記の受付時間で、ご契約者様からのお電話での健康相談、
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平日9:30〜17:30 / 土日・祝日9:30〜15:30 (年末年始を除く)
土日・祝日は予約のみ、実際のご相談は翌営業日以降となります。

季節の変わり目ですので、お体には十分お気をつけください。
今後とも、アニコムをよろしくお願い申し上げます。



狂犬病ワクチン

投稿者:モーモ―

投稿日:2016/09/14(Wed) 21:34

No.4486

2歳半のわんこです。昨年、暑い時期にワクチンをうちました。ワクチン後、翌日と1日おいてその次の日に1回ずつ嘔吐。下痢もなく元気な状態でした。3日目に嘔吐後、病院でエコーや血液検査をしたのですが、まったく問題なし。
今回は涼しい時期に注射をする予定ですが、不安でなりません。ワクチンの副作用なのでしょうか??

Re: 狂犬病ワクチン

- 獣医師 霍田

2016/09/16(Fri) 14:39

No.4492

モーモ― 様

秋風が心地よい季節となりましたが、モーモ―様におかれましては
いかがお過ごしでしょうか。
この度はご相談をいただきまして誠にありがとうございます。
お問い合わせについてご案内いたしますが、実際のご様子を拝見して
おりませんので、一般的なご案内となりますことをご了承下さい。

モーモ―様の2歳半のワンちゃんが、昨年のワクチン接種後に嘔吐したため、
今年のワクチンについて心配されているのですね。

まれにではございますが、混合ワクチンや狂犬病ワクチンの接種により、
ワンちゃんがアレルギー反応を起こすことがあります。
ワクチンに含まれる何らかの成分に対するアレルギー反応で、
接種後数分〜6時間くらいまでの間に症状が出ることが多いとされます。
症状は顔面の浮腫、掻痒、蕁麻疹、嘔吐、下痢などが多く、
ごくまれですが、重症な場合にはアナフィラキシーショック(虚脱、血圧低下、
呼吸困難、痙攣など)や死亡例もあります。
原因となる成分はいろいろありますが、不活化ワクチンの効果を高めるために
添加されるアジュバントに対するアレルギーが比較的多いといわれています。
狂犬病のワクチンは不活化ワクチンですので、アジュバントが含まれていますが、
アジュバント以外のものに反応して起こるアレルギーもあります。
ワクチンの影響による嘔吐や食欲低下などの症状は、通常は接種当日や翌日
くらいまでにみられることがほとんどだと思います。
接種翌日の嘔吐については、予防注射の影響であった可能性も考えられます
が、嘔吐の原因は様々であるため、その他の要因が関係していた可能性も
あるかもしれません。
たとえば、暑い時期だったということですので、そういった環境のストレス
などで消化器官のはたらきが低下していたり、軽度の胃腸炎や胃酸過多
などでも元気があっても嘔吐してしまうことがあります。
嘔吐の後は下痢もなく元気で、病院でエコーや血液検査の結果、
問題はなかったとのこと、何よりでございます。
今回は涼しい時期に接種を予定されているとのことですが、昨年の嘔吐の
ことがあり、不安なお気持ちでいらっしゃるのですね。
もし前回の嘔吐が、ワクチン接種に起因していた場合、モーモ―様の
ワンちゃんは、このような反応が起こりやすい体質である可能性はあります。
過去にワクチン接種による副作用が見られたワンちゃんは、
あらかじめ副作用止めの処置を行ってからワクチン接種をすることもあります。
今までのワクチン接種歴についてもよくご存じのかかりつけの先生に、
昨年の狂犬病ワクチン接種後の経緯を含めて、お話しいただければと思います。

接種にあたっては、モーモ―様のお時間に余裕がある日の、
できれば午前中の時間帯が望ましいです。接種後の様子をよく観察をして、
万が一何らかの変化がみられたときにすぐ診察を受けられるように準備して
おくと、リスクを下げることができるかと思います。
また、接種当日はシャンプーや激しい運動は避け、なるべく安静にお過ごし
いただくと安心です。
一旦アレルギー反応が起きた狂犬病の予防接種を次年度打つ場合、
同じように反応が起こったり、症状がひどくなる場合もありますので、
より注意が必要です。
しかしながら昨年の嘔吐と狂犬病ワクチンに因果関係がない可能性も
ゼロではないため、その場合は接種をしても嘔吐などの症状は見られないでしょう。
ワンちゃんの健康状態をかかりつけの先生によくみていただき、接種についても
しっかりご相談いただければと思います。

なお、アニコムでは下記の受付時間で、ご契約者様からのお電話での
健康相談、しつけ相談サービスを承っておりますので、ぜひご利用ください。

お電話番号は、あんしんサービスセンター0800-888-8256です。
平日9:30〜17:30 / 土日・祝日9:30〜15:30 (年末年始を除く)
土日・祝日は予約のみ、実際のご相談は翌営業日以降となります。

モーモ―様とワンちゃんがお元気で、爽やかな秋を満喫されますことを
お祈り申し上げます。
今後ともアニコムを宜しくお願い申し上げます。



プードルの白内障の治療薬につい...

投稿者:クロクロ

投稿日:2016/09/10(Sat) 11:29

No.4477

5歳プードル(オス)です。

目の濁りが気になり受診したところ白内障と診断されました。
片方の目は、ほとんど見えていない状態。もう一方の目はにごりが部分的に出ているものの現状、視覚に影響はほとんどないだろうという話でした。根本的な治療法は、手術しかないという話で、進行を遅らせるというオーソドックスな点眼薬を処方されました。
当方としては麻酔のリスク等を考えると手術は極力避けたいと思っております。

ここから本題です。
ネットで治療薬を調べていて、ドッグクララスティル(Nアステルカルノシン点眼薬)が効果大というふれこみで紹介されていました。
また、漢方では、双料杞菊地黄丸が効果があるという記事を散見しました。
副作用等悪影響がなければ、ダメ元で使ってみたいと思っておりますが、獣医師の先生方の専門的なご意見をうかがえればと思っております。
また、このほか、おすすめの薬やサプリメントがあれば、御教示いただければ幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。

Re: プードルの白内障の治療薬に...

- 獣医師 山田

2016/09/14(Wed) 12:59

No.4483

クロクロ 様

日暮れの虫の声が聞こえてきますと、秋の訪れを感じる今日この頃ですが、
クロクロ様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
この度はご相談いただきありがとうございます。
5歳のプードルちゃんが、白内障と診断されたのですね。
早速ご案内させていただきますが、一般的なご案内となりますことをご了承下さい。

目には水晶体と呼ばれるカメラのレンズと同じ役目をする器官があります。
水晶体は正常な状態では透明ですが、白内障はこの水晶体の一部もしくは全部が
何らかの原因で変性し、白く濁ってしまう病気です。
水晶体を形成しているタンパク質の変性が原因で起こりますが、このタンパク質の
変性は加齢や活性酸素の影響などの酸化ストレスによって引き起こされると
いわれています。
また、白内障はその原因から、遺伝的素因による「原発性白内障」と他の病因で
発生する「続発性(後天性)白内障」に大別できます。
ワンちゃんでは遺伝的素因によって比較的若い年齢で発症する白内障が
もっとも一般的で、59犬種で確認されています。
特に日本ではアメリカン・コッカー・スパニエル、プードル、パピヨン、キャバリア、
ビーグル、柴犬などに白内障が多くみられます。
遺伝的素因以外では老化や糖尿病などの代謝性変化、外傷、中毒、網膜症など
により白内障が発生します。

白内障は人では一般的に老人性の眼の病気として知られていますが、
ワンちゃんでは若年性白内障の発生がかなり多く認められます。
白内障は単に眼が白くなるというだけでなく、水晶体の濁りの程度により
失明することもあります。
また、ブドウ膜炎や網膜剥離、緑内障といった合併症を引き起こす可能性も高い
病気です。特に若年性の白内障は数日のうちに急激に進行することもあります。
白内障の治療は外科的治療と内科的治療に分けられます。
外科的治療は、白内障によって障害されている視力を回復させるための
唯一の方法で、根治的な治療となります。
一方、内科的治療は点眼や内服薬によって白内障の進行を遅らせる目的で
行われます。

さて、クロクロ様のプードルちゃんにおかれましては、片方はほとんど見えていない
状態で、もう片方は部分的に水晶体が濁っているものの、視覚に影響が無い程度
ということでございますね。
また、麻酔のリスク等を考え、手術は極力避けたいお考えで、
内科治療として(1)ドッグクララスティル(N-アステルカルノシン点眼薬)、
(2)漢方薬(双料杞菊地黄丸)、(3)その他の薬やサプリメントなどについての
ご相談でございますね。

(1) ドッグクララスティル(N-アステルカルノシン)について
N-アステルカルノシンには抗酸化作用があると言われており、混濁した水晶体を
液化することで効果を出す点眼薬になります。これが水晶体の透明性を高める
効果があるのではないかと言われています。N-アステルカルノシンの点眼は主に
老齢白内障や核硬化症に適用と言われております。
どうぶつによってはブドウ膜炎(水晶体原性ブドウ膜炎)を誘発する場合もある
ようですので、使用あたっては一度かかりつけの先生にもご相談いただきますよう
お願いいたします。

(2)漢方薬(双料杞菊地黄丸)について
漢方薬などの東洋医学は病変部自体に注目するというよりは、身体全体の自然の
治癒力を高めるという考え方で行われる療法かと思いますが、
双料杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)の効果について詳細な情報を持ち合わせて
おりませんので、お答えいたしかねますこと何とぞご了承いただきたく存じます。
漢方薬の服用につきましては、それぞれの体質に合うかどうかや、それぞれの
ワンちゃんに適した服用が望まれますので、必ず漢方薬を扱っていらっしゃる
獣医師さんやかかりつけ医の先生にご相談いただいた上、
クロクロ様がご納得できれば利用されるのも一つかもしれません。

(3) その他の薬やサプリメントについて
抗酸化作用のある点眼液としてはピレノキシンやグルタチオンなどがございます。
加齢に伴う白内障では、その進行を遅延させることができます。
ただ、遺伝性白内障、糖尿病性白内障や先天性白内障ではあまり効果が
期待できないと言われています。また、水晶体混濁の進行が速い若年性白内障
でも、残念ながらあまり効果はないと言われております。
サプリメントとしては、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなどの
抗酸化作用が期待できるものがあげられます。
ただし、あくまでもサプリメントでございますので、お薬のように効果効能に
ついてはうたわれておりません。
しかし、利用してみるのも一つの方法だと思いますので、こちらもかかりつけの
先生とご相談ください。

なお、アニコムでは下記の受付時間で、ご契約者様からのお電話での健康相談、
しつけ相談のサービスを承っております。気がかりなことがおありの際には、
ぜひご利用くださいませ。
お電話番号は、あんしんサービスセンター 0800-888-8256です。
平日9:30〜17:30 / 土日・祝日9:30〜15:30 (年末年始を除く)
土日・祝日は予約のみ、実際のご相談は翌営業日以降となります。

これからも、もうしばらくは残暑が続きそうでございますので、
クロクロ様におかれましては、お体にはくれぐれもお気をつけください。
今後ともアニコムを宜しくお願い申し上げます。



Re: プードルの白内障の治療薬に...

- クロクロ

2016/09/14(Wed) 14:12

No.4484

丁寧な回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
まずは御礼申し上げます。



Re: プードルの白内障の治療薬に...

- 獣医師 山田

2016/09/15(Thu) 14:25

No.4491

クロクロ様

この度はご丁寧にお返事を頂戴致しまして、誠にありがとうございます。
お気がかりなこと等がおありの際にはお気軽にお声がけくださいませ。
いつも心から応援いたしております。
気温差の大きい季節でございますが、クロクロ様におかれましてはくれぐれもお身体ご自愛ください。
今後ともアニコムを宜しくお願い申し上げます。



肉球の腫れ

投稿者:mukumei

投稿日:2016/09/09(Fri) 16:11

No.4476

8歳ポメラニアンの女の子です。

持病としては膝蓋骨脱臼がありますが、サプリのおかげか見た目でびっこをひくようなことはここ6〜7年ありません。
4月に血液検査による健康診断をしましたが良好でした。
ALPは元々少し高めなのでウルソを服用し続けており、だいぶいい数値になっているとお医者さんに言われました。
白内障が少し出始めていますが経過観察中です。

昨夜の夕食後、2時間くらいした時に丸まって寝てたのに
急に起きて背中を丸めるというか、変な姿勢をして困った顔をしてこちらを見ました。
きゃんともなんとも声は出していませんでした。
抱きかかえると左後ろ足の肉球の真ん中の大きい所が真っ赤になって腫れあがっており、わんこも足に力が入っているのかひきつっているのか、足の平を目一杯広げてました。
右後ろ足の真ん中の肉球も、左ほどではないですが赤く腫れてました。
気持ちひんやりした方がいいかと思い、ウェットティッシュをそっと当てましたが、触られることに嫌がる素振りはなく、
ただ体はぷるぷる震えてました。
意識も正常に思われました。
患部が熱くはなっていなかったのでそれ以上冷やすのもどうかと思っていたら、たぶん1分くらいで赤味は引いて、腫れもみるみる小さくなりました。
床に下ろしてみると初めはまだ少しヨタヨタした歩き方をしましたが、スグ普通になりました。
元気ですし、腫れがひいたので病院に行っても特に処置はないと思われ、様子見にしていますが、病気の前兆かアレルギーかと心配になっています。

フードは基本的に、避妊後食べているドライフードと、毎日服用している関節用のサプリとウルソとお薬を包むおやつだけです。どれも数年食べているものです。
2か月前に引越しましたが、旅行慣れしているせいか、特に大量不良になることはなかったです。
ネットや本で調べてもすぐに腫れがひくという事例が見つからず、何が原因か、今後の対処は、というのがわかりません。

このような症状に考えられることはあるでしょうか?
長々と申し訳ありませんでしたが、アドバイスを頂けますよう、よろしくお願いいたします。

Re: 肉球の腫れ

- 獣医師 山田

2016/09/13(Tue) 18:32

No.4481

mukumei 様

暑さの中にも新涼を感じる頃となりましたが、
mukumei様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

この度はご相談をいただきまして誠にありがとうございます。
8歳のポメラニアンのワンちゃんの後足の肉球の腫れについてのご相談で
ございますね。
早速ご案内をさせて頂きたく存じますが、実際のご様子を拝見していないため、
一般的なご案内となりますことを何卒ご了承下さい。

ワンちゃんの肉球は厚くて弾力があり、体重を支えたり歩行時や着地時の
足への衝撃を和らげたりするクッションの働きをしています。
また、肉球の間にはエクリン汗腺が存在し、汗をかくことで体温調節を
する働きもあります。
肉球の外側は角質化した厚い表皮で覆われており、
表皮の下は、脂肪と弾性線維(エラスチン)や膠原線維(コラーゲン)が混在した、
やわらかくて弾力のある皮下組織から成っています。
ワンちゃんの肉球は歩くときに常に地面と接し、体重がかかる場所でもありますので、
ケガをしやすく、傷口がふさがりにくいという場所でもあります。
また、退屈しのぎなどで肉球をなめるようになったワンちゃんでは、
なめている間に炎症が起きてしまい、二次的に皮膚炎を起こすこともあります。
炎症が重度であれば、痛みのために脚をかばったり引きずったりして
歩くこともあります。

さて、この度は、ポメラニアンちゃんの後足の肉球が赤く腫れあがり、
その腫れと赤みは1分程で引いてきたのですね。
肉球や、その周辺部位が赤く腫れる原因としては、細菌などによる感染、
外傷や火傷、アレルギー反応によるもの、腫瘍などが考えられます。

肉球周囲や指間に皮膚炎などがあると、ワンちゃんは痒みや違和感があるので、
しきりに手足を舐めたりします。
また指の間は湿気がこもりやすく、細菌などが繁殖しやすい場所ですので、
なめる事で余計に皮膚の状態が悪化して炎症が広がったり、出血して悪化する
こともございます。
また、お散歩中などに砂利道などで元気よく走り回ったり、夏の暑い時期に
熱くなったアスファルト上を歩くことで、肉球に傷ついたり、火傷をおこして
肉球が腫れる場合もございます。
ただ、このような皮膚炎や細菌感染によるものや、外傷や火傷によって肉球が腫れて
いる場合は、治療が必要なことが多く、また、1分程度で腫れが引いてくることは
あまり考えにくいかと思います。
そのため、今回のポメラニアンちゃんの肉球の腫れの原因としては考えにくい
かもしれません。

それ以外の原因としては、何かに過敏に反応したアレルギーという可能性が
あげられます。
アレルギーとは、特定の原因物質(抗原)に対して体内の免疫機構が過剰に反応
して、体に有害な作用が起こる状態のことを言います。
ワンちゃんのアレルギーで多い抗原としては、食物、ハウスダスト、花粉、ノミ
などがあります。症状として多いのは皮膚症状で、特に皮膚の柔らかい部分の痒みや
発赤、湿疹などがよく見られます。

このアレルギー反応には即時型と遅延型があります。
即時型はT型アレルギーともいわれ、抗原が体内に入ってきた際に反応し、
ヒスタミン、セロトニンなどを放出します。
これにより、血管が拡張したり、浮腫や痒みなどの症状があらわれます。
この反応は抗原が体内に入ってきてから発症するまでの時間が15分くらいと
短いのが特徴とされ、蕁麻疹や花粉症などがこの即時型のT型アレルギーと言われます。

一方、遅延型のW型アレルギーはリンパ球によって引き起こされます。
リンパ球が抗原と反応してさまざまな物質を放出して、アレルギー反応を引き起こす
もので、だいたい反応には24〜48時間ほどかかります。
ワンちゃんの食事が原因のアレルギーはT型アレルギーとW型アレルギーが関与
していると言われており、皮膚症状(痒みや発赤など)と同時に外耳炎や、
嘔吐、下痢などの消化器症状をひき起こす場合もあります。

今回のポメラニアンちゃんは肉球が赤く腫れていた以外に、その他の皮膚や手足、
口周りなどに皮膚炎の症状は特に無かったというでしょうか。
今回の肉球の症状が何らかのアレルギー反応だったのか、それとも、
それ以外の原因があるのかについては、実際のところ判断が難しいところです。
もし、アレルギー反応だった場合には、何かいつもと違うものに
ポメラニアンちゃんが接触したり、摂取したということがあったのかもしれません。
しかし、フードの変更等は無く、決まったお食事と関節用のサプリメントとお薬、
及びお薬を包むもの以外は摂取していらっしゃらないようですので、
原因の追及は難しいかと思います。
幸い、今は落ち着いていらっしゃるということでございますので、
再度肉球が赤く腫れるようなことがないか経過を見ていただき、同じような
症状が出た際には、病院の診療時間であれば診察していただきますよう
お願いいたします。
もし、すぐに赤みや腫れが引いてくるような場合には、腫れている患部の写真を
撮影していただき、病院へ受診した際に先生にお見せになると、
先生でも症状が出ていた時の肉球のご様子を把握しやすくなるでしょう。

アレルギー以外の原因として肉球周囲に腫瘍ができ、肉球が腫れてくると
いう事もございます。
mukumei様のポメラニアンちゃんの肉球はその後、普通の状態に
戻っていらっしゃるということなので、可能性は限りなく低いと思いますが、
万が一肉球や足の指の周囲にしこりのようなものが触れる場合には、
かかりつけの動物病院で診察していただきましょう。

アニコムでは下記の受付時間で、ご契約者様からのお電話での健康相談、
しつけ相談のサービスを承っておりますので、ぜひご利用くださいませ。
お電話番号は、あんしんサービスセンター 0800-888-8256です。
平日9:30〜17:30 / 土日・祝日9:30〜15:30 (年末年始を除く)
土日・祝日は予約のみ、実際のご相談は翌営業日以降となります。

これからも、もうしばらくは残暑が続きそうでございますので、
mukumei様もお体にはくれぐれもお気をつけください。
今後ともアニコムを宜しくお願い申しあげます。



Re: 肉球の腫れ

- mukumei

2016/09/13(Tue) 19:51

No.4482

ご丁寧なご回答ありがとうございました。

1分程の出来事でしたので、くまなくチェック出来ておりませんが
表情は普通で、足の平だけつっぱっており体は少し震えていましたが、
他の部分が腫れていたりなどの症状はなかったように思います。
あの日は雨風が強く、お散歩に出れなかったのですが
遅延型のものとしたら前日のお散歩で何か・・・かもしれません。

その後はすっかり何もなかったように過ごしておりますが
様子を注意してみて行こうと思います。
次なにかあれば冷静に写真を撮るよう心がけます。

本当にありがとうございました。



Re: 肉球の腫れ

- 獣医師 山田

2016/09/15(Thu) 14:22

No.4490

mukumei 様

この度は、ご丁寧にお返事をいただきまして、ありがとうございます。
その後のポメラニアンちゃんは、お変わりなくお過ごしのご様子、安心いたしました。

mukumei 様のお話のご様子から、ポメラニアンちゃんを見守るmukumei 様
の温かな眼差しが目に浮かぶようでございます。
ご家族皆様がお健やかに、笑顔いっぱいでお過ごしになられますよう
応援いたしております。

季節の変わり目ですのでくれぐれもお体ご自愛ください。
今後ともアニコムをよろしくお願い申し上げます。