日本で特に人気のある犬種のひとつ、トイ・プードル。「トイプー」の愛称でも親しまれています。アニコム損保の人気犬種ランキングでも15年連続1位を獲得していて、多くの人を魅了している犬種であることがよくわかります。根強い人気には、どういった理由があるのでしょうか。今回は、可愛らしさだけじゃないトイ・プードルの魅力をご紹介します。

トイ・プードルってどんな犬種?

トイ・プードル

ぬいぐるみのようにキュートで愛らしいビジュアルで多くの人を魅了するトイ・プードルは、賢くて、毛も抜けにくいなどの理由から飼いやすいことでも知られています。アニコム損保の人気犬種ランキングでも15年連続1位を獲得していて、根強い人気を誇ります。

歴史

トイ・プードルは、原種のスタンダード・プードルが小型に品種改良された犬種です。大型犬である原種のスタンダード・プードルの起源はフランスであるとの説が広く認知されていて、その歴史は何世紀も前にさかのぼります。原産国が一説として断定されていないのは、古くからヨーロッパを中心に似たような犬種が存在していたことが確認されているためです。しかし、最初に人気が広まったのがフランスであったことから、一般的にはフランス原産とされています。

小型化され始めたのは、16世紀頃といわれています。この頃はまだ現在のトイ・プードルほど小さなサイズではなかったものの、可愛いらしい愛玩犬として、フランスでは上流階級の間で絶大な人気を博するようになりました。

日本での歴史は、1949年にアメリカから輸入された3頭のトイ・プードルから始まっています。アメリカではそこまで人気のある犬種ではありませんでしたが、2000年代に入るとテディベアカットが広まり、その可愛い容姿から日本では知らない人はいないほどのメジャーな犬種となりました。

サイズ

ジャパンケネルクラブ(JKC)では、体重約3kg、体高24〜28cmほどが標準とされています。足が長くてすらっとした印象の「ハイオンタイプ」、足が短めで胴体が長めの「ドワーフタイプ」、体高と体長がほぼ同じ「スクエアタイプ」の3つの体型が知られています。

そもそもプードルには4つの種類があり、この中でもっとも小さいサイズに分類されるのがトイ・プードルです。体高が高い順番に、スタンダード・プードル(45~60cm)、ミディアム・プードル(35~45cm)、ミニチュア・プードル(28~35cm)、そしてトイ・プードルと続きます。

近年、タイニー・プードルやティーカップ・プードルと呼ばれるさらに小型のプードルを見かけるようになりましたが、血統書にはトイ・プードルとして記載されています。体高25cm以下で体重2~3㎏前後をタイニー・プードル、体高23cm以下、体重2㎏前後をティーカップ・プードルという目安もありますが、JKCで正式に血統登録された犬種ではありません。これは日本だけでなく、海外でも同様です。

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性格

ソファに座るトイ・プードル

スタンダード・プードルは、もともと水鳥用の猟犬として活躍していたので、トイ・プードルも、身体を動かすのが好きな犬種です。飼いやすい小型犬というイメージが広まったこともあり、運動は必要ないという認識を持っている人も少なくありませんが、実際は毎日のお散歩や遊びの時間が欠かせません。また、泳ぐのが好きな子も多いです。一説には、ウォーター・ドッグという犬種をルーツに持っているともいわれるプードルですが、泳ぎが得意な点からはその説が裏付けられます。運動能力が全般的に高いです。

性格は、育った環境や生まれ持ったものもあり一概には言えませんが、人や犬が好きで天真爛漫かつ素直なタイプの子が多いようです。

被毛・毛色について

トイ・プードルといえば、カールしたふわふわの毛を思い浮かべる方も多いでしょう。抜け毛は少ないですが、伸び続けるため、1ヶ月に1回程度の定期的なトリミングが必要です。また、絡んだり毛玉になったりするのを避けるには、日々のこまめなブラッシングも必要です。

被毛

オーバーコートとアンダーコートの二重構造を持つ被毛をダブルコートと呼びますが、トイ・プードルはオーバーコートだけを持つシングルコートの犬種です。オーバーコートはしっかりした毛で皮膚を保護する役割を果たし、アンダーコートは柔らかい毛で保温や保湿の役割を果たします。アンダーコートを持たないトイ・プードルは、寒さにはさほど強くないので、寒い時期には洋服を着せてもよいでしょう。

毛色

トイ・プードルの毛色は、10種類以上に分類されます。中でもレッド(レッド・フォーン)は、街中でも見かける機会が多いです。一方でホワイトやクールな印象のブラックも人気があります。そのほか、アプリコット(オレンジ・フォーン)やブラウン、グレー、クリーム(ペール・フォーン)などのほか、2色の組み合わせのパーティ・カラー、3色の組み合わせのトライカラーなど、とても多くのカラーがあるのもトイ・プードルの特徴です。

また、トイ・プードルの毛色は、年々変化していきます。グレーの毛色の子は子犬の頃は黒い毛が、だんだんグレーになってきたり、レッドの毛色の子はその子によって色の濃さが変わってきたり…♪ そんな変化もトイ・プードルの魅力かもしれませんね。

飼い方のポイント

とても賢いのでしつけが大切

トイ・プードルは知能面で、とても賢いことが特徴にあげられます。高い記憶力と理解力で、飼い主の指示が伝わる速度も速いです。しかしその頭の良さを悪いことに活かすこともできてしまいます。 例えば、「ケージから出してほしい」「ごはんがほしい」など何かしたいことがあって鳴いたときに、その要求を叶えてしまうと「要求吠え」につながってしまいます。小型犬とはいえ、鳴き声で悩むトイ・プードルの飼い主は少なくありません。 子犬の頃から、鳴いても無視する、して良いことと悪いことを家族全員が一貫して教えるなど、可愛らしさに翻弄されないよう正しい知識で接することが大切です。
賢さを活かして、アジリティやドッグダンスなどを楽しむこともできるでしょう。

フード

成長段階に合わせた、犬用の「総合栄養食」と表記されているものを選びましょう。よく食べていい便をするフードをあげてください。 トイ・プードルにはトイ・プードル専用フード「みんなのごはん トイ・プードル」などがおすすめです。「みんなのごはん トイ・プードル」には「パピー用」「アダルト用」「シニア用」があるため、年齢にあったものを選ぶことができます。

1回の食事はどれくらい与えればいい?

適切な食事量はフードの種類によって異なるので、フードの説明書をよく読んで与えるようにしましょう。成犬は1日2回程度に分けて与えるのがおすすめです。消化機能が未発達な子犬のうちは、基本的に1日3回にしてあげると安心です。

散歩

トイ・プードルは運動が好きで体力のある犬種です。成犬であれば、1回15分を1日2回程度が目安になります。シニア犬や子犬の場合は、回数や時間を減らし、体の負担になりすぎないように注意しましょう。

カットスタイルをご紹介!

トイ・プードルのカットにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる印象に仕上がります。カット次第で愛犬の新たな可愛らしさを見つけることができるのも、トイ・プードルの魅力です。

テディベアカット

定番のテディベアカットは、耳の毛などを調節することで簡単にイメージを変えられたり、お手入れもしやすいのが特徴です。体の部分がスッキリするので、夏にもおすすめのカットです。

まんまるカット

顔を中心に、全体が丸くデザインされたカットです。大きな耳を持つ子は横に広がってしまいまんまるになりにくいので、短い耳の子に向いているカットです。

おパンツカット

別名ミツバチカットとも呼ばれるこのカットは、その名の通りお尻の毛がボリューミーに見えるカットです。歩くたびお尻の揺れが強調されてプリプリと動く様子がとても可愛らしいのが特徴です。

アフロカット

アフロヘアを連想させる、空気をたっぷり含んだふわふわのカットです。常にふわふわな状態をキープするにはこまめなブラッシングが欠かせないので、お手入れの回数は他のカットよりも多くなります。

ブーツカットスタイル

ブーツカットスタイルのトイ・プードル

ジーンズのブーツカットのように、足先にかけて毛を長くしたカットです。スタイルがよく見えるのが特徴ですが、毛が長いため、散歩時はいろいろなものが足の毛に絡まるのが少々難点です。日々のお手入れが大切になってくるカットスタイルです。

おさげスタイル

おさげスタイルのトイ・プードル

女の子らしさを演出したいときにぴったりなのが、おさげスタイルです。カットの際に耳の毛を長く残し三つ編みすることで、おしゃれな雰囲気に様変わりします。結び目が毛玉になりやすいので、ケアは欠かせません。

コンチネンタルクリップ

トイ・プードルのカットの中でもっともクラシカルなのが、このカットです。同じコンチネンタルクリップの中にもバリエーションがあり、ボリュームを持たせる部分によって名称が変わります。一般的には、頭と胸、足先、しっぽにボリュームを持たせ、それ以外の部分を刈り込みます。トラディショナルなコンチネンタルクリップは、ドッグショーにて美しさを競う種目に出場する際の正式なスタイルとしても認められています。

しっぽの長さ

トイ・プードルのしっぽは本来長いですが、日本では短いものも多くいます。これは生まれてすぐに短く切られている(断尾)ためです。本来の長い立派なしっぽ、短く可愛いしっぽともに魅力的ですが、海外では断尾が禁止されている国もあります。JKCでも2024年8月1日以降に生まれたプードルの断尾は認められないとしています。(2024年7月31日以前に生まれたプードルは従来通り)

寿命は平均15.3歳

アニコムの「家庭どうぶつ白書2024」によると、トイ・プードルの平均寿命は15.3歳です。もともと小型犬の中でも比較的長生きする犬種ですが、フードの質や生活環境の向上によって年々寿命も延びています。

気を付けたい病気

アニコムの「家庭どうぶつ白書2024」によると、他犬種に比べ、「前足の骨折」や「糖尿病」、「白内障」、「歯周病/歯肉炎」になりやすいことがわかっています。

骨折

トイ・プードルは活発で天真爛漫な性格の子が多いことに加え、他犬種と比べ骨格が細めなので、ちょっとした段差を飛び降りただけでも骨が折れてしまうことがあります。段差に犬用のスロープ(階段)を付けたり、滑りやすいフローリングにはマットやシートをしくなどして、負担や衝撃を減らすように対策しましょう。

糖尿病

尿に糖が出ること、また血糖値が上昇する病気で、血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用できなくなり様々な症状をもたらします。また、病状の進行とともに白内障や腎疾患、肝疾患など、多くの合併症を伴うことが多いです。偏った食事は肥満を起こしやすく、急激に血糖値が上がると糖尿病を発症しやすくなるため、適切な食事や運動を行うことが大切です。

白内障

目の中の「レンズ」の役割を果たしている水晶体が、白濁してしまう病気です。白濁の範囲が広がると視覚に影響を及ぼし、やがては目が見えなくなります。多くは年齢や遺伝によって発症します。

歯周病/歯肉炎

細菌感染によって歯の周りの歯肉などに炎症を起こす病気です。口腔内だけでなく、細菌が全身に広がり様々な病気の元になっているとも言われています。適切な口腔内ケアを行うことが大切です。

トイ・プードルを家族の一員として迎える方法

トイ・プードルを迎える方法をご紹介します。

ペットショップから

人気ランキング上位のトイ・プードルは多くのペットショップでお迎えすることができます。

ブリーダーさんから

ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬を見せてもらえるようなら、実際にどのくらいの大きさか、どんな性格をしているかなどに注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て相性の良い子を迎えたいですね。 繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。子犬を飼いたい!といったときに子犬がいない場合もあります。人気のブリーダーさんは予約待ちといったこともありますので調べてみると良いでしょう。

費用について

お迎えの費用は?

トイ・プードルの子犬を迎えるにあたってかかる費用は、平均20万~30万円程度です。ショップやブリーダーによっても値段に差があります。

お迎え後に必要な費用は?

お迎えした後に必要な費用は、混合ワクチン、狂犬病ワクチン、自治体登録料、フィラリア予防の費用などを合わせると5万円程度になります。

トイ・プードルとのミックス犬

「ミックス犬」とは、2種類以上の犬種をかけあわせた犬のことを言います。トイ・プードルも人気ですが、トイ・プードルと他の犬種を両親にもつミックス犬も人気です。中には「チワプー(トイプー×チワワ)」「ポメプー(トイプー×ポメラニアン)」「マルプー「トイプー×マルチーズ」」などの愛称で呼ばれているものもあります。 ミックス犬の中にはトイ・プードルとのかけあわせがたくさんいるので、探してみると思ってもいなかった出会いがあるかもしれません。

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トイ・プードルと楽しい暮らしを

抱っこされるトイ・プードル

とどまるところを知らないトイ・プードルの人気には、見た目が可愛いだけではない理由がたくさんあります。抜け毛が少ないなどの飼いやすさもある反面、毎月のトリミングは必須ですし、毛玉ができないように日々のブラッシングは欠かせません。可愛い彼らと暮らすには、トイ・プードルという犬種をより深く理解することが大切です。特徴や歴史をしっかり理解して、トイ・プードルと楽しい暮らしを送ってくださいね。

監修獣医師

犬百科編集部

犬百科編集部

獣医師を含む犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、犬の凄さや可愛らしさについて情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。