
ボストンテリアは、鼻ぺちゃで愛嬌のある顔立ちをしていますが、実はその容姿と持ち前の性格から「アメリカの紳士」とも呼ばれています。なぜそう呼ばれているのか、ボストンテリアの歴史や性格、寿命、気を付けたい病気まで解説します。
特徴
大きな耳と短いマズル、身体は小さいですが華奢ではなく筋肉質な体をしています。闘犬の血を継いでいますが、とてもフレンドリーであることもこの犬種の魅力の一つと言えるでしょう。
また、体重によって3サイズに分けられる珍しい犬種でもあります。
サイズ

ボストンテリアは大きかった犬種を小型化してきたため、体重によって3つに分けられます。
①小:6.8kg未満
②中:6.8〜9kg未満
③大:9〜11.35kg
性格は?
ボストンテリアは温厚で優しく、人懐っこいので、家庭犬としてバランスのとれた性格をしています。活発で遊ぶことが大好きなので、その元気さが時に飼い主さんを困らせてしまうかもしれません。おもちゃで遊ぶ時間や、毎日のお散歩の時間を大切にするようにしましょう。
ボストンテリアを飼うコツ。住環境や食事、日々のお世話
集合住宅、一軒家での飼い方
・集合住宅の場合
まずはペットの飼育が認められている物件であることが最低条件となります。「ペット可」の住宅でも犬種や頭数などの条件がある場合もあるので、実際にボストンテリアを飼えるか確認が必要です。集合住宅の場合、隣の部屋と距離が近かったり、共有スペースがあることも多いため、他の住民に迷惑をかけないようにマナーを守ることが大切です。特に鳴き声はトラブルにつながりやすいので、無駄吠えをしないようにトレーニングを行いましょう。また、エレベーターなどの共有スペースに抜け毛を残さないような配慮も必要です。
・一軒家の場合
集合住宅に比べると、他の住宅と距離があるため飼いやすいといえるでしょう。大きな部屋や庭がある場合は、運動できるようなスペースや導線を確保してあげましょう。
フード
成長段階に合わせた、犬用の「総合栄養食」と表記されているものを選びましょう。よく食べていい便をするフードをあげてください。
ボストンテリアには「みんなのごはん 全犬種」などがおすすめです。「みんなのごはん 全犬種」には「パピー用」「アダルト用」「シニア用」があるため、年齢にあったものを選ぶことができます。もしも皮膚疾患やアレルギーがある場合は、かかりつけの先生に相談して、疾患にあった専用のフードを与えるようにしましょう。
1回の食事はどれくらい与えればいい?
適切な食事量はフードの種類によって異なるので、フードの説明書をよく読んで与えるようにしましょう。成犬は1日2回程度に分けて与えるのがおすすめです。消化機能が未発達な子犬のうちは、基本的に1日3回にしてあげると安心です。
お世話

・しつけ
吠え癖が少なく飼いやすいとされていますが、テリアの血を受け継いでいるので頑固な面もあります。子犬の頃から、根気よくしつけをしましょう。
・散歩
1日2回、30分程度を目安に散歩に連れていってあげましょう。
・ブラッシング
毛が短い犬種ですが、ダブルコートのため抜け毛は多いです。週に1度を目安にブラッシングをしてあげると良いでしょう。春から夏と秋から冬にかけて年に2回ある換毛期には特に抜け毛が増えます。放置すると皮膚病の原因にもなるので、この時期は念入りにブラッシングをしましょう。
・トリミング
基本的にカットは必要のない犬種です。ブラッシングをしっかり行ってあげましょう。
・歯磨き
歯磨きは毎日行うのが理想です。歯磨きをしなければ歯垢・歯石がたまり、歯周病になりやすくなります。
歯磨きが嫌いにならないよう、子犬の頃から歯や口の周辺を触ることに慣れさせましょう。歯ブラシをどうしても嫌がる場合は、歯磨きガムやシートを使うことも考えましょう。
・耳掃除
汚れがない場合は基本的に必要ありません。汚れがついている場合は優しくふき取ってあげましょう。
・しわのお手入れ
愛嬌たっぷりでかわいいお顔のしわのお手入れも欠かせません。しわの間は汚れがたまりやすいので、濡れたガーゼなどでやさしく拭き取るようにしましょう。
費用について

お迎えの費用は?
ブリーダーさんからお迎えする場合、費用は40万円~50万円程度になっています。ショップやブリーダーさんによって価格に差があります。
お迎え後に必要な費用
お迎えした後にワクチンなどで必要な費用は、下記を合わせると5万円程度になります。
・混合ワクチン
ブリーダーやペットショップから子犬をお迎えした場合、まずは混合ワクチンの接種を行います。法的義務はありませんが、病気の感染によって命のリスクに晒されることを防ぐため、接種が強く推奨されています。
生後6~8週頃に最初のワクチン接種を行い、その後3~4週間ごとに、1~2回接種を行います。費用は病院によって異なりますが、7種以上は8,000円程度(1回につき)かかります。初年度に2~3回接種を行い、その後も年に1回の追加接種が推奨されています。
・狂犬病ワクチン
混合ワクチンの接種が終わると、狂犬病のワクチンを接種します。狂犬病ワクチンは「狂犬病予防法」により、年1回の接種が義務付けられています。接種費用は自治体ごとに定められていますが、おおむね注射料3,000円程度と接種済票発行料の500円程がかかります。
・自治体登録料
「狂犬病予防法」に基づき、生後91日以上の犬は自治体への登録が必要です。費用は1頭につき3,000円程度かかります。
・フィラリア予防
フィラリア予防は蚊が活動を始める4,5月頃から12月頃まで必要になります。混合ワクチンと同様に法的義務はありませんが、感染すると命にかかわるため予防が推奨されています。
ワクチンとは異なり、飲み薬を月に1度与える場合が多く、費用はボストンテリアのような小型犬の場合、1回につき1,000~2,000円程度、年に2万円程度かかります。
ボストンテリアを家族の一員として迎える方法
ペットショップ
ボストンテリアはペットショップでの扱いが多くないので、事前に確認してから行くとよいでしょう。
ブリーダー
ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬に会えるようなら、実際に大きさや性格に注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て、相性の良い子を迎えたいですね。繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。
※アニコムグループの(株)シムネットが運営する『みんなのブリーダー』へ移動します。
里親になる
最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。出会えるのは必ずしも子犬とは限りませんが、こうした譲渡会や里親募集でボストンテリアと出会える機会もあるかもしれません。
年間の飼育費用はどのくらい?

2021年度のアニコムの調査によると、小型犬は年間で33万円程かかっているようです。病気やケガをした場合にはさらに医療費がかかる場合もあるので、金銭面の備えが必要です。
フード・おやつの費用
ボストンテリアのような小型犬で最も大きな支出は「フード・おやつ」で約5.8万円になっています。
診療費用と保険料
「フード・おやつ」と同じくらい大きな支出が「病気やケガの資料費」で5.8万円、そして「ペット保険料」が4.6万円となっています。「ワクチン・健康診断等の予防費」が3.2万円で、あわせて年間約13万円が病院の受診や保険など、健康維持のために必要とされていることがわかります。
その他の費用
その他に「シャンプー・トリミング費用」(5.6万円)、「日用品」(1.4万円)、「洋服」(1.4万円)等が主な支出となっています。
被毛・毛色について
ボストンテリアは被毛の配色から「まるでタキシードを着ているようだ」と言われることもあるように、胸前と足先の白色と背中を覆うタキシードのような暗い色が特徴です。
毛色としてはホワイトのマーキングと、「ブリンドル」「シール」「ブラック」のいずれかとの組み合わせとなります。
ブリンドル: 黒地のベースにホワイトやベージュの色が入ってくる毛色。
シール:日光や明るい光の下で見た場合、赤みがかって見えるが、その他の状況では、黒色。
被毛は、光沢のある滑らかな短毛。オーバーコートとアンダーコートからなるダブルコートの犬種です。アンダーコートは生え変わるので、換毛期は特に抜け毛が多くなります。獣毛ブラシやラバーブラシでブラッシングをしてあげましょう。
フレンチ・ブルドッグとの違いは?
ボストンテリアとフレンチ・ブルドッグは同じ「短頭種」で見た目も似ています。見分ける時は、3つのポイントに注目しましょう。
①耳の形
ボストンテリアの耳は、フレンチ・ブルドッグよりも細く、少しとがっています。フレンチ・ブルドッグの耳は先端が丸みをおびています。
②被毛の色
ボストンテリアの被毛は上述のようにホワイトのマーキングと「ブリンドル」「シール」「ブラック」のいずれかとの組み合わせで基本的に白と黒ですが、フレンチ・ブルドッグは「フォーン(金色がかった茶色)」「ブリンドル」「ホワイト」のほか、ブリンドル&ホワイト、フォーン&ホワイトなどバリエーションが多いです。
③体形
両方とも筋肉質ですが、ボストンテリアの方は足が長くスラっとした体形なのに対し、フレンチ・ブルドッグは足が短くよりがっしりしています。
寿命はどれくらい?
アニコムの「家庭どうぶつ白書2021」によると、ボストンテリアの平均寿命は12.3歳です。
しかし、ここ数年でフードもさまざまなものが出ていますし、獣医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動などに気を付けて、少しでも長く一緒にいられるといいですよね。
気を付けたい病気

ボストンテリアの気を付けたい病気は、「白内障」や「チェリーアイ」、「角膜炎」といった目の病気をはじめ、「皮膚炎」「水頭症」「熱中症」などがあります。
愛らしい大きな目は外傷等ができやすいので、気を付けてあげましょう。また、短頭種なので暑さにとても弱いため、暑い時期の散歩や長時間の激しい運動など無理をさせないようにしましょう。
日々のケアも重要で、顔周りのシワに汚れが溜まりやすく、そこから炎症を起こしてしまうこともあるので、濡らしたタオルなどで優しく拭きとってあげてください。
■ボストンテリアが気を付けたい病気
毛包虫(ニキビダニ・アカラス)症 <犬>|みんなのどうぶつ病気大百科
水頭症 <犬>|みんなのどうぶつ病気大百科
白内障 <犬>|みんなのどうぶつ病気大百科
熱中症 <犬>|みんなのどうぶつ病気大百科
口蓋裂 <犬>|みんなのどうぶつ病気大百科
犬の軟口蓋軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)ってどんな病気?治療法や予防はなにをしたらいい?|みんなのどうぶつ病気大百科
歴史
ボストンテリアは、アメリカ原産の犬種です。
そのルーツは諸説ありますが、1870年代にアメリカのボストンで、ブルドッグとブルテリアをかけあわせて生まれたと言われています。
当初は、今よりもはるかに大きく、体重が23㎏ほどあり、名前も「ボストン・ブル」と呼ばれていました。それから数十年という長い年月をかけて、現在の姿に改良されてきました。
そして、1889年、愛好家たちによって「アメリカン・ブルテリア・クラブ」が結成されましたが、ブルドッグとブルテリアそれぞれの愛好家たちからの反対を受け、1891年に現在のボストンテリアという名前になり、1893年にはアメリカンケネルクラブ(AKC)で正式に登録されました。
アメリカ原産の犬種としては、チェサピーク・ベイ・レトリーバーとアメリカン・フォックスハウンドに次ぐ三番目に古い犬種です。犬種名にテリアとついていますが、コンパニオンドッグに分類されます。愛玩犬ですが、運動量が必要で、散歩は1日2回、30分程度行くのが理想です。
まとめ
ボストンテリアは長く家庭犬として人気がある犬種です。しつけやケアも、散歩や遊びの中で行うことで楽しく取り組むことができるでしょう。ただし、短頭種であるので無理は禁物です。負担がかからないように様子を見ながら行ってあげてください。
