ミニチュア・ピンシャーは「ミニピン」という愛称でも知られている小型犬です。 機敏でエネルギッシュな印象や、ドーベルマンのような凛々しい印象を持っている人もいると思います。そんなミニピンは実際どんな性格や歴史があるのか紹介します。

ミニチュア・ピンシャー(ミニピン)ってどんな犬種?

ミニピンはその見た目から「ドーベルマンの子」や「ドーベルマンから小型化された犬」と勘違いされることも多いですが、実はドーベルマンよりも前に誕生しています。

姿が似ているのは、ジャーマン・ピンシャーという同じ祖先を持っているからだといわれていて、ミニピン誕生にはジャーマン・ピンシャーの他にダックスフンド、イタリアン・グレーハウンドがかけ合わされているという説が有力です。

「ハクニー歩様※」と呼ばれる、馬車を引く馬のように 脚を高く上げる、優雅な仕草をすることで知られています。

※ハクニーは馬の品種のひとつです

歴史

ミニピンはドイツ原産の使役犬です。その起源は1700年代までさかのぼり、農場でのネズミ捕りや番犬として活躍していました。

1895年になるとドイツでピンシャークラブが設立され、1925年には1,300頭ほどの血統書登録がされていました。

アメリカでクラブが設立されたのは1929年。それまでは多くなかったミニピンでしたが、クラブ設立後、飛躍的に人気が上昇しました。

サイズ

ミニピンは小型犬に分類される犬種です。

体高25〜30cmほどで、体重は4〜6kgになります。

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性格は?

ミニピンは元気いっぱいで活発。自分より大きな相手でも怯むことなく立ち向かう強い性格をしています。

警戒心が強く、見知らぬ相手には吠えたり攻撃的になることもあるので、子犬の頃からのしつけが大切です。さまざまな音や人、犬などに慣れさせる社会化をしておくことが大切です。

エネルギッシュな犬種なので、毎日のお散歩は欠かせません。お散歩だけでなく、たまにはドッグランなどで思いきり走らせてあげるといいでしょう。

毛が短く、筋肉質で脂肪が少ないことから寒さに弱い犬種です。冬には寒さ対策をかねて、お洋服を着せるのがおすすめです。また、短い毛は意外にも抜けやすいため、抜け毛対策としてお洋服を着せるのもいいでしょう。おしゃれを楽しみつつ、愛犬が快適に過ごせるように工夫してあげましょう。

被毛・毛色について

ミニピンの被毛はスムース・コートと呼ばれる短くツヤのある毛質をしています。

毛色は、ディアー・レッド(鹿のような色)、レディッシュ・ブラウン(赤に近い茶色)からダークブラウンまであり、ブラック&タン、チョコレート&タンの斑が認められています。

寿命はどれくらい?

アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」によると、ミニピンの平均寿命は14.3歳です。

犬の寿命は体の大きさによって変わり、大型犬に比べ小型犬の方が寿命が長いです。

これは、心臓の大きさが大型犬も小型犬もほぼ同じ大きさのため、小型犬のほうが負担が少ないからといわれています。

しかし、ここ数年でフードも色々なものが出ていますし、医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動など気を使って少しでも愛犬と長い時間を一緒に過ごせるといいですよね。

ミニピンの気を付けたい病気

「家庭どうぶつ白書」によると、他犬種に比べかかりやすい病気は「脱毛(原因未定)」や「糖尿病」、「皮膚糸状菌症」があげられます。

その他、ミニピンは瞬発力に優れ、ジャンプをすることもよくあります。しかし、頻繁にジャンプをすることは骨関節を痛める原因になるので注意が必要です。

また、食物やハウスダスト、ノミ、花粉などを原因とするアレルギー性皮膚炎にもなりやすいので、必要以上に体をかいていたり、皮膚に赤みや脱毛が見られたときには一度動物病院で相談するようにしましょう。

その他の具体的な傷病は「膝蓋骨脱臼」「糖尿病」「白内障」「レッグペルテス症」等に注意しましょう。

家族の一員として迎える方法

ペットショップでミニピンを探す

人気の高いミニピンはペットショップで迎えることもできますが、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬に会えるようなら、実際に大きさや性格に注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て、相性の良い子を迎えたいですね。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。子犬とは限りませんが、こうした譲渡会や里親募集でミニピンと出会える機会もあるかもしれません。

お迎えの費用は?

ミニピンの子犬を迎えるにあたってかかる費用は、ペットショップの場合は平均20万~50万円程度、ブリーダーの場合は、20万円~50万円程度です。ショップやブリーダーによっても価格に差があります。

まとめ

体は小さくても勇敢で運動能力も高いミニピンは、適度な運動としつけがとっても大切です。運動が足りていなかったり、しつけが不十分だと問題行動にも発展しやすいので、遊びを工夫したり芸を教えたり上手に絆を深めていくと良いでしょう。

監修獣医師

長根あかり

長根あかり

大学で動物行動学やアニマルセラピーを学ぶ。保護犬を家族に迎えたこと、野良猫の保護をした経験から、「保護犬・猫について」や「正しい飼い方」の情報発信の必要性を感じ、大学卒業後はペットメディアで勤務。その後はフリーライターとして執筆活動しながら保護シェルターで働き現状を知る。 現在は、動物ライターとしての執筆活動のほか、ドッグトレーナーとして飼い主さんとワンちゃんの暮らしが良くなるように、アドバイスやトレーニングを行っている。