
犬は人とは違い全身を毛で覆われていますが、寒さに強いとは限りません。 ペットショップにはあたり前のように犬の洋服やヒーターなどが並んでいますが、どんなときに必要なのでしょうか。犬の寒さ対策について詳しく解説します。
犬と寒さについて
犬というと室外で飼われていて、冬に雪が降れば喜んで子どもと同じように遊ぶ。そんなイメージがあるかもしれませんが、それは一昔前のことです。今では室内飼育が一般的で、雪を楽しめるかどうかも犬によって異なります。
犬は寒さに弱い?

犬の被毛には種類があり、それによって寒さに強いか弱いかが分かれます。
犬の被毛には、皮膚を保護する硬い毛質のオーバーコート(上毛)と、体温を調節するふわふわとしているアンダーコート(下毛)の2種類があります。オーバーコートとアンダーコートの両方を持つ犬を「ダブルコート」、オーバーコートのみを「シングルコート」といいます。
ダブルコートの犬は、寒くなるとアンダーコートの毛が増え、まるでダウンジャケットのような役割を果たしてくれますが、犬種によって毛量も異なってきます。基本的に寒い地域原産の犬種であれば、寒さに適応できるようにアンダーコートがしっかりしていますが、暑い地域原産の犬種では、アンダーコートが極端に少なく寒さを感じやすい場合もあります。 一方、シングルコートの犬は、保温してくれるアンダーコートが無いので、寒さに弱い傾向があります。
■シングルコートの犬種(例)
トイ・プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、パピヨン、ミニチュア・ピンシャー…etc
■ダブルコートの犬種(例)
柴犬、コーギー、ポメラニアン、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、シェットランドシープドッグ…etc
犬が寒がっているサインは?

犬が寒がっているときは、
- 小さく丸くなる
- 小刻みに震える
- 布団や毛布にもぐる
- 散歩に行きたがらない
などが挙げられます。
犬が寒がっているときには、室温は低くないか、廊下や窓際の冷えやすい場所にケージを置いていないか、直接床の上に寝ていないかなどを確認してあげましょう。
寒い時期のお散歩の注意点
寒い時期のお散歩には注意点があります。 室温と外気温の差が激しい場合には、急激な温度変化に身体がこわばりケガをしやすくなります。特に、前述したシングルコートの犬種や被毛の短い犬種、暑い地域原産の犬種には洋服を着せるなどの配慮が必要です。
雪が積もる地域で気を付けてあげたいこと
雪が積もる地域ならではの注意点があります。
路面凍結防止に使用される融雪剤(ゆうせつざい)は「塩化カルシウム」という成分が含まれているので、肉球などに触れると炎症を起こして赤くなったり、皮が向けてしまったりすることがあります。また、誤って食べてしまうと中毒症状を引き起こし、嘔吐や下痢、腹痛などの症状が出ることがあるので、雪で濡れた足は舐めさせないようにしましょう。
ほかにも、長毛の犬種は雪の上を歩いているだけでも毛に雪が絡みつき、だんだんと雪玉ができてしまいます。雪玉ができやすい足首や内股、お尻などは体温調整に必要な血管が通っているので、長く放置すると体温が下がってしまったり、凍傷になるおそれもあります。
雪深い日の散歩や融雪剤の心配があるときには、犬用のスノーウエアーやシューズなどを利用することも必要です。
犬の寒さ対策とおすすめアイテム

室内での犬の寒さ対策は、「寒い場所を避けること」と「暖房器具をうまく使う」ことです。玄関や廊下、窓の近くは外気が入り込んで冷えやすい場所なので、普段そういった場所にケージを置いている場合には、冬の間だけは別の場所に移動してあげましょう。
そのほか必要に応じて暖房器具を使い分けるのもおすすめです。
冷暖房のエアコン
広い部屋も均一に暖めてくれるのがエアコンです。家族で同じ部屋にいるときに便利です。
犬用のコタツ
最近ではペット用のコタツも出てきました。暖かいだけでなく、布団で囲われているので、隠れ家のような安心感が得られ、スイッチが入っていなくても好んで入る犬も多いようです。 新鮮な空気が吸えるようにコタツ布団が一部めくれるようになっていたり、ヒーターを取り外してベッドの下やサークルに取り付けられるものもあります。
ただ、ペット用のコタツは対象が猫や小型犬の場合が多いです。中型犬や大型犬はコタツの使用は難しいので、ほかのアイテムを利用しましょう。
ペット用のヒーター
ペット用ヒーターは、サークルやベッドの下など愛犬のお気に入りの場所で使用することができます。また、部屋の中に1箇所ヒーターを用意しておくことで、犬が自ら涼しい場所と暖かい場所を選んでくつろぐことができるのもポイントです。
湯たんぽ
湯たんぽは人が昔から使っていた暖房グッズです。電気代がからないので経済的にもお得です。
お留守番や就寝時など、人が見ていられないときには安全性の高い湯たんぽがおすすめです。 最近では、お湯を入れて使うものだけでなく、電子レンジであたためて繰り返し使えるものもあるようです。
犬の暖房で気をつけること
とても便利な暖房ですが、注意しなければいけない点もあります。 まずは、一緒に暮らしている犬の種類です。前文でも書きましたが犬種によって寒さに強い・弱いがあります。 シベリアン・ハスキーやバーニーズ・マウンテンドッグなど寒さに強い犬種の場合には、安易に暖房を使用すると、犬にとっては逆に負担になってしまいます。犬種によっては、冬の気温のほうが過ごしやすいこともあるのです。
この場合は、温まった部屋だけでなく、涼しい玄関や廊下にも犬が自由に行けるようにするといいでしょう。
体調の変化に気をつける
暖房器具をずっと使用していると、気がつかないうちに部屋が暖まりすぎて頭がボーとしてしまったり、脱水症状になってしまうこともあります。 水はいつでも飲めるようにすることと、適度な換気をすること、室温だけでなく湿度も気にするようにしましょう。
コタツやヒーター、湯たんぽなどは気づかないうちに犬が低温やけどをしてしまうこともあります。犬の様子はこまめに確認し、眠ってしまっている場合には暖房器具のスイッチをオフにしたり、離すようにしましょう。
逃げ場を作る
人間は暑くなったら服を脱いだり、部屋の温度を調整して体温調節をすることができますが、犬は人間のように体温調節はできません。 人間が「少し暑いな」と思うときには、犬は暑過ぎると感じている場合もあります。犬が自分で快適な場所を選べるように、あえて涼しい場所も用意して自由に移動できるようにしてあげましょう。
火事のリスクに気をつける
お留守番や就寝時など、人が見ていられない状況では何が起こるかわかりません。犬がコードをかじってしまったり、粗相をしてしまったり……。突然の地震などで発火や引火のおそれもあります。 使用する暖房器具が何であれ、そういったリスクを考えて十分注意して使用するようにしてください。
お留守番や就寝時には、コタツやヒーター、湯たんぽなどを使用するのではなく、温かい毛布やふかふかの寝床を用意してあげるといいでしょう。
愛犬に合わせた寒さ対策を

犬は犬種や被毛のタイプによって寒さに強いか弱いかの差があります。暖房を使った寒さ対策をするときには、必ず逃げ場を作ってあげ、犬の様子をこまめに見るようにしましょう。 また、散歩のときには急激な気温差に気をつけるほか、犬用のスノーウエアやシューズをうまく利用して融雪剤や雪から被毛を守ってあげることが大切です。愛犬に合わせた寒さ対策をしてあげてくださいね。
