日本犬を代表する犬種である柴犬。アニコムの「人気犬種ランキング」でも、毎年上位に位置するなど、高い人気を誇っています。そんな柴犬をこれから飼いたいとお考えの方向けに、飼い方のコツや必要な環境、飼い始めにかかる費用などについて解説します。

飼い方のコツ

柴犬の特徴を理解しよう

柴犬は、飼い主や家族に忠実な犬種です。その一方で、知らない人や環境が変わることに神経質になりやすく、ストレスを感じやすい犬種です。飼い始めなどの時期は特に注意する必要があります。また、新しいことを始めるときは、時間をかけて徐々に進めるようにしてください。嫌がってしまう場合は嫌がらない程度まで戻って徐々に慣らすことが大切です。
スキンシップを苦手とする柴犬も多いです。自分の柴犬がスキンシップを好きなのかそうでないのかを観察し、苦手なのであれば無理に触るのではなくご褒美や誉め言葉を使ってコミュニケーションをとるようにするとストレスを少なくすることができます。

考えたい住環境

・集合住宅の場合
まずはペットの飼育が認められている物件であることが最低条件となります。また、「ペット可」の住宅でも「小型犬か猫」などの条件がついている場合もあるので、中型犬に近い柴犬を飼えるか確認が必要です。
集合住宅の場合、隣の部屋と距離が近かったり、共有スペースがあったりすることも多いため、他の住民に迷惑をかけないようにマナーを守ることが大切です。特に鳴き声はトラブルにつながりやすいので、無駄吠えをしないようにトレーニングを行いましょう。また、エレベーターなどの共有スペースに抜け毛を残さないような配慮も必要です。

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・一軒家の場合
集合住宅に比べると、他の住宅と距離があるため飼いやすいといえるでしょう。
大きな部屋や庭がある場合は、柴犬が運動できるスペースや導線を確保してあげましょう。

食事は何をあげればいい?

フード

成長段階に合わせた、犬用の「総合栄養食」と表記されているものを選びましょう。よく食べていい便をするフードをあげてください。
柴犬には柴犬専用フード「みんなのごはん 柴犬」などがおすすめです。「みんなのごはん 柴犬」には「パピー用」「アダルト用」「シニア用」があるため、年齢にあったものを選ぶことができます。一方で柴犬は皮膚疾患や、アレルギーが多いので、その場合は、かかりつけの先生に相談して、疾患にあった専用のフードを与えるようにしましょう。

1回の食事はどれくらい与えればいい?

適切な食事量はフードの種類によって異なるので、フードの説明書をよく読んで与えるようにしましょう。成犬は1日2回程度に分けて与えるのがおすすめです。消化機能が未発達な子犬のうちは、基本的に1日3回にしてあげると安心です。

費用

お迎えにかかる費用は?

子犬を迎えるのにかかる費用は、ペットショップの場合は平均20万~30万円程度、ブリーダーの場合は、15万円~30万円程度です。ショップやブリーダーによって差があります。

お迎え後に必要な費用

お迎えした後にワクチンなどで必要な費用は、下記を合わせると3万円程度になります。

・混合ワクチン
ブリーダーやペットショップから子犬をお迎えした場合、まずは混合ワクチンの接種を行います。法的義務はありませんが、病気の感染によって命のリスクに晒されることを防ぐため、接種が強く推奨されています。
生後6~8週頃に最初のワクチン接種を行い、その後3~4週間ごとに、1~2回接種を行います。費用は病院によって異なりますが、7種以上は8,000円程度(1回につき)かかります。初年度に2~3回接種を行い、その後も年に1回の追加接種が推奨されています。

・狂犬病ワクチン
混合ワクチンの接種が終わると、狂犬病のワクチンを接種します。狂犬病ワクチンは「狂犬病予防法」により、年1回の接種が義務付けられています。接種費用は自治体ごとに定められていますが、おおむね注射料3,000円程度と接種済票発行料の500円程がかかります。

・自治体登録料
「狂犬病予防法」に基づき、生後91日以上の犬は自治体への登録が必要です。費用は1頭につき3,000円程度かかります。

・フィラリア予防
フィラリア予防は蚊が活動を始める4,5月頃から12月頃まで必要になります。混合ワクチンと同様に法的義務はありませんが、感染すると命にかかわるため予防が推奨されています。
ワクチンとは異なり、飲み薬を月に1度与える場合が多く、費用は柴犬のような中型犬の場合、1回につき3,000円程度、年に2.5万円程度かかります。

飼育にかかる費用

アニコムの調査によると、柴犬のような中型犬は年間で30万円程かかっています。どんなことに費用がかかるのでしょうか。

フード・おやつ

アニコムの調査によると、柴犬のような中型犬で最も大きな支出は「フード・おやつ」で、年間約7.7万円になっています。

診療費用と保険料

「フード・おやつ」に続く大きな支出として、「ペット保険料」が4.6万円、「病気やケガの治療費」が4.4万円となっています。また、「ワクチン・健康診断等の予防費」が3.1万円で、年間約12万円が病院の受診や保険など、健康維持のために必要とされていることがわかります。

その他

その他に「シャンプー・トリミング費用」(3.5万円)、「光熱費(飼育に伴う追加分)」(1.5万円)「日用品」(1.4万円)等が主な支出となっています。

お世話について

・しつけの方法
柴犬は飼い主に忠実で、警戒心が強いと言われています。警戒心の低い子犬の頃から、飼い主を含むいろいろな人に慣れさせておくと良いでしょう。

・散歩
柴犬は身体が筋肉質で、遊ぶのも好きな犬種のため、運動が必要です。1日2回、30分程度を目安に散歩に連れていってあげましょう。

・ブラッシング
毛が短い犬種ですが、ダブルコートのため抜け毛は多いです。週に1度を目安にブラッシングをしてあげると良いでしょう。柴犬は、春から夏と秋から冬にかけて年に2回ある換毛期に抜け毛が増えます。抜け毛を放置すると皮膚病の原因にもなるので、この時期は特に念入りにブラッシングをしましょう。

・トリミング
基本的にトリミングは必要ありません。日頃のブラッシングをしっかり行ってあげましょう。

・歯磨き
歯磨きは毎日行うのが理想です。歯磨きをしなければ歯垢・歯石がたまり、歯周病になりやすくなります。
歯磨きが嫌いにならないよう、子犬の頃から歯や口の周辺を触ることに慣れさせましょう。歯ブラシをどうしても嫌がる場合は、歯磨きガムやシートを使うことも考えましょう。

・耳掃除
汚れがない場合は基本的に必要ありません。汚れがついている場合は優しくふき取ってあげましょう。

まとめ

犬を飼う時には、犬の個性や特徴をしっかりと把握し、自分のライフスタイルにあっているか、見極めることが非常に重要です。柴犬は初めて犬を飼う方には少し難しい犬種ですが、その個性を理解し、受け止めることができれば、きっと楽しい「柴犬ライフ」を送る事ができるでしょう。

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監修獣医師

犬百科編集部

犬百科編集部

獣医師を含む犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、犬の凄さや可愛らしさについて情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。