長い耳とウェーブがかった毛がゴージャスな雰囲気を醸し出す、アメリカン・コッカー・スパニエル。ディズニー映画でヒロインのモデルにもなった犬種です。その雰囲気に魅了される人は多く、高い人気を誇っています。今回は、そんなアメリカン・コッカー・スパニエルの性格や被毛など、犬種の特徴をご紹介していきます。

アメリカン・コッカー・スパニエルってどんな犬種?

アメリカン・コッカー・スパニエルは、鳥猟犬の中で最も小型の犬種です。もともと猟犬だったこともあり、小型犬ではあるものの筋肉質で、しっかりとした身体の持ち主です。

また、一定の運動量が必要な犬種でもあります。狩猟犬の名残で筋肉量と運動能力が高く、お散歩に加えて遊ぶ時間を作らないと運動不足になる可能性があります。、比較的肥満になりやすいともいわれているので、体型管理に気を使う必要があるかもしれません。とはいえ、体重コントロールは主に食事で行うものなので、太ってきからといって運動量だけを極端に増やすのはやめましょう。

歴史

「スパニエル」の言葉の起源ははっきりとわかっていませんが、「スペインの」という意味をもつ「エスパニョール」が語源ではないかといわれています。ところが現在は「スペインの」という意味合いは薄く、鳥猟犬としてのスパニエルグループと認識している人が多いです。

1620年に、イギリスからアメリカに向かう船、メイフラワー号に移民と一緒に乗った2頭の犬のうち、1頭が「コッカー・スパニエル」だったといわれています。このコッカー・スパニエルが改良され、現在の「アメリカン・コッカー・スパニエル」になりました。1946年には、アメリカン・ケネル・クラブ(AKC)が、「アメリカン・コッカー・スパニエル」を「イングリッシュ・コッカー・スパニエル」とは別の犬種として登録しました。

サイズ

体高は36〜38cm程度の中型犬です。体重は11kg〜13kgほどと、体高に対して少し重い印象がありますが、これは筋肉質な体型であることが理由です。もともと猟犬だったため筋肉量が多いという特徴があります。

▶中型犬一覧はこちら

イングリッシュ・コッカー・スパニエルとの違い

一言でいえば狩猟犬か愛玩犬の違いになります。愛玩犬として飼いやすいようにアメリカン・コッカー・スパニエルのほうが一回り小さく、より人懐っこい性格です。顔立ちもイングリッシュ・コッカー・スパニエルのほうがマズルが長くシュッとしています。

性格は?

アメリカン・コッカ―・スパニエル

おおらかで人懐こく、好奇心旺盛な性格です。神経質な面も少ないので性格に起因する無駄吠えなどが少なく、社交的な振る舞いができます。遊ぶことが大好きなので、しっかり時間をとって一緒に遊んであげるとストレスがたまりにくいです。

被毛・毛色について

アメリカン・コッカー・スパニエルの大きな特徴のひとつが、ラグジュアリーな毛です。毛量が豊かなので、いろいろなカットデザインを楽しむこともできます。

被毛のこと

アンダーコートとオーバーコートからなるダブルコートを持っています。愛玩犬として改良されていますが、換毛期もあって抜け毛は少なくありません。1本1本の毛は細いながらも量が多いので、絡まりやすいです。そのため、ブラッシングが欠かせない犬種です。絡みやすい毛をほどいてあげながら毛玉ができないようにするのはもちろんですが、それ以外にもブラッシングは皮膚のケアとしても重要な役割を果たします。

また、一般的によく見られるのは毛が波打っているウェーブタイプですが、ストレートタイプもいます。

毛色のこと

3頭のアメリカン・コッカ―・スパニエル

ブラック、クリーム、ブラウン、ブラックタン、チョコタン、ブラック&ホワイト、レッド&ホワイトなどいろいろなカラーがあります。トイカラーやセーブルといった珍しいカラーも存在します。

アスコブ

また、トリマーさんなどがアメリカン・コッカー・スパニエルに使う用語に、アスコブという言葉があります。”Any Solid Color Other than Black”の略で、ブラック以外の単色をさします。

寿命はどれくらい?

抱っこされるアメリカン・コッカ―・スパニエル

アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」によると、アメリカン・コッカー・スパニエルの平均寿命は13.0歳とされています。暮らす環境や食習慣にもよりますが、犬全体の平均が14.2歳なので平均的であることがわかります。

アメリカン・コッカー・スパニエルの気を付けたい病気

その他、「耳の腫瘍/腫瘤」も多いです。アメリカン・コッカー・スパニエルの特徴でもある長く大きな耳は内側が蒸れやすく、少し不衛生にしておくと外耳炎などの疾患にかかりやすくなります。お散歩やごはんの際には汚れが付いたらしっかり拭き取り、清潔に保てるようにしましょう。犬用のスヌードなどで汚れ対策をしつつおしゃれも楽しむのがおすすめです。

アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」によると、他犬種に比べかかりやすい病気は「チェリーアイ・第三眼瞼脱出・瞬膜線脱出/瞬膜炎」と「緑内障」と、目に関する病気を発症しやすいです。

アメリカン・コッカー・スパニエルを家族の一員として迎える方法

アメリカン・コッカー・スパニエルをぜひ家族の一員に!と思ったら、どこで出会えばいいのでしょうか。主に考えられる方法は3つあります。

ペットショップで探す

ペットショップなら、フードやトイレなど、犬との暮らしに必要なものを一緒に揃えられるため、迎えたその日からきちんと住環境を整えてあげることができそうです。とはいえ、アメリカン・コッカー・スパニエルをペットショップで見かけることは多くないので、事前に取り扱いがあるか確認してから行くとよいでしょう。

また、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんからお迎えする最大の特徴は、迎えると決めた子の特徴やクセ、これまでの成長の様子や環境などをブリーダーさんに直接聞いたり、質問できたりすることです。また、親猫や兄弟・姉妹たちの姿を見る機会も得られる可能性があるので「将来どんな風に成長していくのか」を想像しやすいこともメリットです。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でアメリカン・コッカー・スパニエルと出会える機会もあるかもしれません。

まとめ

優雅なビジュアルと明るい性格で、まさにディズニー映画のヒロインにぴったりな特徴を持つアメリカン・コッカー・スパニエル。ほかの犬種とは一味違った彩りを日常に与えてくれます。さらに毛色に関する特有の用語があったりと、ちょっと特別感も漂う犬種です。

監修獣医師

犬百科編集部

犬百科編集部

獣医師を含む犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、犬の凄さや可愛らしさについて情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。