日本犬といえば柴犬をイメージする人も多いのではないでしょうか?三角の立ち耳、くるんと巻いた尾、飼い主に忠実な性格などから、世界でも人気のある犬種の1つです。洋犬にはない魅力たっぷりの柴犬ですが、飼育するにあたっては注意点もあります。

そんな柴犬の性格や特徴、迎え方についてご紹介します。

柴犬の性格

寝転ぶ柴犬

飼い主に忠実

柴犬は、生活を共にしている家族に対し、忠実に接してくれます。一度テリトリーに入れた人には寛容である反面、知らない人や環境が変わることに対して神経質になりやすい傾向があります。

警戒心の低い子犬の頃から、人に慣れさせておくとよいでしょう。家族の中に含まれない人(子どもやお年寄りなど)からの良い体験(おやつを食べる、一緒に遊ぶ)を受けるとより効果的です。

無駄吠えが少ない!?

少し前の柴犬は番犬として庭や家の外で飼われていたため、縄張り防衛本能から警戒吠えが多く見られました。現在は室内で飼われる柴犬が増え、こういった問題は減ってきています。

しかし、未去勢の男の子や興奮しやすい子は注意が必要。窓から見える範囲を縄張りと認識し、通る人や犬に吠えてしまうこともあるので、カーテンを閉めるなど警戒せずに済む環境づくりができるとよいでしょう。

特徴

「キツネ顔(縄文柴)」と「タヌキ顔(新柴犬)」

柴犬にも種類があるのをご存じですか?柴犬の歴史は長く、本州のさまざまな土地で飼われ、狩りや番犬として活躍してきました。その土地ごとに柴犬の風貌は異なり、その中でもキツネ顔(縄文柴)とタヌキ顔(新柴犬)と呼ばれるような顔つきの違いがあります。

一般的にキツネ顔の柴犬は額段が浅く、広くて平らな額を持ち、細く筋肉質な体型をしています。一方、タヌキ顔の柴犬は額段が深く、やや長方形で筋肉質であることがスタンダードとされています。

被毛と毛色

ダブルコートで下毛はやわらかく上毛は硬いです。代表的な毛色は赤の裏白ですが、胡麻、黒胡麻、赤胡麻、ブラック&タン、白、淡赤などがあります。

豆柴との違い

最近は、豆柴と呼ばれる小型の柴犬を見かけるようになりましたが、血統書には柴犬として記載されています。小さな柴犬同士を交配しているので、性格などに柴犬との基本的な違いはありません。

柴犬を飼うコツ。住環境や食事、日々のお世話

環境

柴犬は環境の変化にストレスを感じやすい犬種です。いつもと同じことを同じ時間に行うことで安心して生活できます。新しいことを始めるときは、時間をかけて徐々に進めるようにしてください。嫌がってしまう場合は嫌がらない程度まで戻って徐々に慣らすことが大切です。

スキンシップを苦手とする柴犬も多いです。自分の柴犬がスキンシップを好きなのかそうでないのかを観察し、苦手なのであれば無理に触るのではなくご褒美や誉め言葉を使ってコミュニケーションをとるようにするとストレスを少なくすることができます。

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集合住宅、一軒家での飼い方

・集合住宅の場合
まずはペットの飼育が認められている物件であることが最低条件となります。「ペット可」の住宅でも「小型犬か猫」などの条件がついている場合もあるので、中型犬に近い柴犬を飼えるか確認が必要です。

集合住宅の場合、隣の部屋と距離が近かったり、共有スペースがあることも多いため、他の住民に迷惑をかけないようにマナーを守ることが大切です。特に鳴き声はトラブルにつながりやすいので、無駄吠えをしないようにトレーニングを行いましょう。エレベーターなどの共有スペースに抜け毛を残さないような配慮も必要です。

・一軒家の場合
集合住宅に比べると、他の住宅と距離があるため飼いやすいといえるでしょう。 大きな部屋や庭がある場合は、柴犬が運動できるスペースや導線を確保してあげましょう。

食事は何をあげればいい?

フード

成長段階に合わせた、犬用の「総合栄養食」と表記されているものを選びましょう。よく食べていい便をするフードをあげてください。 柴犬には柴犬専用フード「みんなのごはん 柴犬」などがおすすめです。

「みんなのごはん 柴犬」には「パピー用」「アダルト用」「シニア用」があるため、年齢にあったものを選ぶことができます。一方で柴犬は皮膚疾患や、アレルギーが多いので、その場合は、かかりつけの先生に相談して、疾患にあった専用のフードを与えるようにしましょう。

1回の食事はどれくらい与えればいい?

適切な食事量はフードの種類によって異なるので、フードの説明書をよく読んで与えるようにしましょう。成犬は1日2回程度に分けて与えるのがおすすめです。消化機能が未発達な子犬のうちは、基本的に1日3回にしてあげると安心です。

お世話

・しつけの方法
柴犬は飼い主に忠実で、警戒心が強いと言われています。警戒心の低い子犬の頃から、飼い主を含むいろいろな人に慣れさせておくと良いでしょう。

・散歩
柴犬は身体が筋肉質で、遊ぶのも好きな犬種のため、運動が必要です。1日2回、30分程度を目安に散歩に連れていってあげましょう。

・ブラッシング
毛が短い犬種ですが、ダブルコートのため抜け毛は多いです。週に1度を目安にブラッシングをしてあげると良いでしょう。柴犬は、春から夏と秋から冬にかけて年に2回ある換毛期に抜け毛が増えます。抜け毛を放置すると皮膚病の原因にもなるので、この時期は特に念入りにブラッシングをしましょう。

・トリミング
基本的にトリミングは必要ありません。日頃のブラッシングをしっかり行ってあげましょう。

・歯磨き
歯磨きは毎日行うのが理想です。歯磨きをしなければ歯垢・歯石がたまり、歯周病になりやすくなります。 歯磨きが嫌いにならないよう、子犬の頃から歯や口の周辺を触ることに慣れさせましょう。歯ブラシをどうしても嫌がる場合は、歯磨きガムやシートを使うことも考えましょう。

・耳掃除
汚れがない場合は基本的に必要ありません。汚れがついている場合は優しくふき取ってあげましょう。

費用について

お迎えの費用は?

柴犬の子犬を迎えるにあたってかかる費用は、ペットショップの場合は平均20万~30万円程度、ブリーダーの場合は、15万円~30万円程度です。ショップやブリーダーによっても価格に差があります。

お迎えの後に必要な費用は?

お迎えした後にワクチンなどで必要な費用は、下記を合わせると5万円程度になります。

・混合ワクチン
ブリーダーやペットショップから子犬をお迎えした場合、まずは混合ワクチンの接種を行います。法的義務はありませんが、病気の感染によって命のリスクに晒されることを防ぐため、接種が強く推奨されています。 生後6~8週頃に最初のワクチン接種を行い、その後3~4週間ごとに、1~2回接種を行います。費用は病院によって異なりますが、7種以上は8,000円程度(1回につき)かかります。初年度に2~3回接種を行い、その後も年に1回の追加接種が推奨されています。

・狂犬病ワクチン
混合ワクチンの接種が終わると、狂犬病のワクチンを接種します。狂犬病ワクチンは「狂犬病予防法」により、年1回の接種が義務付けられています。接種費用は自治体ごとに定められていますが、おおむね注射料3,000円程度と接種済票発行料の500円程がかかります。

・自治体登録料
「狂犬病予防法」に基づき、生後91日以上の犬は自治体への登録が必要です。費用は1頭につき3,000円程度かかります。

・フィラリア予防
フィラリア予防は蚊が活動を始める4,5月頃から12月頃まで必要になります。法的義務はありませんが、感染すると命にかかわるため推奨されています。
フィラリア予防約は、ノミ・マダニなどの駆除薬が入ったオールインワンタイプの飲み薬を月に1度与える場合が多く、費用は柴犬のような中型犬の場合、1ヶ月あたり2,000~3,000円程度、年間で2.3~2.7万円程度かかります。

柴犬を家族の一員として迎える方法

柴犬を迎える方法をご紹介します。

ペットショップで柴犬を探す

人気ランキング上位の柴犬は多くのペットショップで迎えることができます。カラーも赤、黒、白、胡麻といったバリエーションがあり、好みの子犬に出会うことができるでしょう。しかしながら、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ハローべいびぃへの柴犬用バナー

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬に会えるようなら、実際に大きさや性格に注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て、相性の良い子を迎えたいですね。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

みんなのブリーダー柴犬

里親になる

事情があって飼えなくなった、または保護された柴犬の里親になる場合、注意したい点があります。柴犬はさまざまな犬種の中でも攻撃性が高いことが知られています。

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また、家族以外の他人への人なつこさや愛情要求は低い傾向が見られる犬種でもあります。神経質な性格の子が多いことから新しい環境にも慣れるのに時間がかかります。初めて犬を飼う人は、柴犬の里親になるのを避けたほうがよいでしょう。もちろん、そうでない子もいますが、里親になったけれども、飼いきれないと犬も人も不幸になります。

柴犬の性質をよく知り、それでも柴犬が良いという方にぜひ一緒に暮らしていただきたいです。

年間飼育費用は?

お散歩する柴犬

2022年のアニコムの調査によると、柴犬のような中型犬は年間で30万円程かかっているようです。病気やケガをした場合にはさらに医療費がかかってきます。飼い主として金銭面の備えもしましょう。

フード・おやつの費用

また調査によると、中型犬で最も大きな支出は「フード・おやつ」で、年間約7.7万円になっています。

診療費用と保険料

「フード・おやつ」に続く大きな支出として「ペット保険料」が4.6万円、「病気やケガの治療費」が4.4円となっています。「ワクチン・健康診断等の予防費」が3.1万円で、年間約12万円が病院の受診や保険など、健康維持のために必要とされていることがわかります。

その他の費用

その他に「シャンプー・トリミング費用」(3.5万円)、「光熱費(飼育に伴う追加分)」(1.5万円)「日用品」(1.4万円)などが主な支出となっています。

寿命はどれくらい?

アニコムの「家庭どうぶつ白書2021」によると柴犬の平均寿命は14.8歳です。中型犬の平均が13.4歳なので、長生きであるといえます。

柴犬がかかりやすい病気

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎とは、アレルギー症状を起こす原因物質であるアレルゲンによって、体内の免疫機構が過剰に反応するため生じる皮膚炎のことをいいます。アレルゲンの種類にはノミやハウスダスト、花粉や食物などがあります。

どうぶつがかゆがるという仕草はよく見られ、その原因はたくさんあります。飼い主さんによる日々の観察が、原因の早期発見につながります。何をしたときにかゆがるのか、どんな時期や環境でかゆがるのか、普段の食事の内容等を正確に獣医師へ伝えることで的確な治療が可能となります。
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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー症状を起こす原因物質であるアレルゲンが環境中にあることによって、体内の免疫機構が過剰に反応するため生じる皮膚炎のことで、アレルギー性皮膚炎の一種です。皮膚のバリアが健康な犬と比べると弱く、アレルゲンが体の中に入り込みやすいことも原因の一つと考えられています。

皮膚のかゆみが主な症状です。かゆみがでる部分は耳、脇、股、足先、口や目の周りなどが多く、しきりに体を舐めたり噛んだりする行動が見られます。症状が進行すると皮膚に赤みや脱毛、小さな発疹が見られ、細菌による二次感染で症状が悪化することがあります。

治療は、かゆみのコントロールが主になります。発症の原因となる環境中のアレルゲンを掃除や環境整備などで除去していくとともに、抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤、インターフェロンなどの薬や不飽和脂肪酸などのサプリメントを投与します。また、シャンプー療法や保湿剤を塗るなどのスキンケアを行ったりします。これらの治療は、症状によって単独で用いたり、併用したりします。

膿皮症

細菌感染による皮膚の化膿性病変を膿皮症といいます。皮膚のバリア機構の破壊や免疫力の低下などが引き金となり、皮膚で細菌が繁殖して、症状が発症します。膿皮症に対しては抗生物質(外用薬・内用薬)の投与が主な治療となります。症状の程度によっては、お薬と併用してシャンプー療法、またはシャンプー療法のみで維持をする場合もあります。

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外耳炎

耳介から鼓膜までの部分を外耳といいますが、この外耳の皮膚に炎症が起こることを外耳炎といいます。犬で多く見られる病気で、治療が遅れると慢性化する場合があるので、注意が必要です。

耳のかゆみや痛みのために、犬が首を振ったり傾けたりする仕草や、後足で耳を引っかく仕草がみられます。その他に耳の赤み、腫脹、悪臭、耳垢の増加などの症状があります。日頃からのこまめな耳の観察も大切です。耳垢の量や色、耳の臭いをチェックし、異常がみられた場合は早めにかかりつけの動物病院に通院しましょう。

膝蓋骨内方脱臼

膝蓋骨脱臼とは、犬の後足にある膝蓋骨(膝にあるお皿のような骨)が正常な位置から内側、または外側に外れてしまう状態をいいます。膝蓋骨の内側への脱臼(内方脱臼)は小型犬に多くみられます。

膝蓋骨脱臼がある犬の場合は、症状の進行を防ぐために体重管理が大切です。肥満にならないように日頃からのこまめな体重管理を心がけましょう。フローリングなどの滑りやすい床材は避ける、足の裏の毛を短くカットする、ジャンプや過度な運動をさせないなど、日常生活での注意点も重要です。

緑内障

眼の中には眼房水という水が流れていて、隅角と呼ばれる出口から目の外へ出ていきます。この出口が詰まってしまい、目の中に眼房水がたまりすぎて眼球の中の圧力(眼圧)が上がってしまう病気です。眼圧が高くなると目の不快感や痛みがでたり、眼の奥にある視神経にダメージを与えてしまい視力を失い、場合によっては失明してしまうこともある病気です。

緑内障の犬は眼が痛いので顔の周りを触られることを嫌がったり、涙が多い、白眼の部分に血管が浮き出たように充血するなどの症状がみられます。早めの治療で視力を落とさないようにすることが大切です。眼の異常に気付いたらできるだけ早く動物病院で診てもらうようにしましょう。

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柴犬の歴史

かつて柴犬は小動物や鳥の猟犬として活躍してきましたが、1868年から1912年にかけてポインターやセッターなどの海外の猟犬が輸入され、柴犬との交配が流行しました。その結果、純粋な柴犬の数が激減し、その姿はほとんど見られなくなってしまいました。

1928年ごろから柴犬を保護する活動が始まり、保存会が発足、スタンダードを制定しました。その後1936年に柴犬は日本の天然記念物に指定され、現在のように世界中で柴犬が飼われるようになりました。

柴犬との楽しい生活を

いかがでしたか?他の犬種では見られない様々な魅力に惹かれ、もう柴犬しか飼えない!なんて思う方も多いのではないでしょうか。ぜひ柴犬のルーツや行動特性について学び、柴犬との楽しい生活を送ってください。

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監修獣医師

別府雅彦

別府雅彦

北海道大学獣医学部を2009年に卒業。学生時代は野生動物学教室でクマのフェロモンに関する研究を行う。卒業後は神奈川県の地域中核病院に勤務。脊椎外科や整形外科を中心に、ワンちゃんとネコちゃんの医療に従事。アメリカ獣医内科学会など、学会での発表も行う。信念はどうぶつと飼い主さんが主人公の物語をお手伝いすること。2020年アニコムホールディングス株式会社に入社。信念を日本に、世界に広げるべく活動中。