クリクリの瞳に、ピンと立った大きな耳、 胴長短足の愛らしいフォルムで知られるウェルシュ・コーギー・ペンブローク(以下ペンブローク)。世界中で人気の犬種で、9月に死去した英女王エリザベス2世が飼っていたことでも有名です。今回はそんなペンブロークの魅力をたっぷりお伝えします!
「ペンブローク」と「カーディガン」の違い

ウェルシュ・コーギーは「ペンブローク」と「カーディガン」のふたつの犬種に分けられます。歴史はカーディガンの方が古く、紀元前1200年頃まで遡ります。
一方、ペンブロークは12世紀頃に、現在のベルギー北部に起源を持つフラマン人の織物職人がウェールズのペンブロークシャー地方に移住したときに連れていった犬が由来と言われています。
一時、血統書団体によって同一犬種として登録されていたこともあるようですが、現在は別犬種として登録されています。それぞれの犬種の起源から性格が異なりますが、愛らしいフォルムで運動が大好きなところは共通しています。
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
性格:活発で遊びが大好きで友好的な性格です。一言で言うと天真爛漫です。
特徴:しっぽがなかったり短い方が理想とされていた名残から断尾をすることが多いです。 - ウェルシュ・コーギー・カーディガン
性格:落ち着きがありますが、忠実で警戒心が強め。どちらかというと内弁慶です。 特徴:筋肉質。断尾を行わないので尾が長いです。
性格

ペンブロークは好奇心が強く、いろいろなことに興味津々。足が短いからと油断してテーブルの上に食べ物を置いておいたら、食べられてしまった…ということになりかねません。
ペンブロークの足は短いですが胴が長いので、テーブルに前足をかけて立ち上がると、思っている以上に高いところに手が届くことも。どの高さまで届くのか、事前に調べておくことが大事です。また、誤飲事故を防ぐためにも、口にしてほしくないものは戸棚に片づけるなど工夫してください。
大きさ
ペンブロークは、中型犬に分類されます。 体高は、約20~30㎝。体重は、男の子が10~12㎏、女の子が9~11㎏です。
被毛と毛色
ペンブロークのふわふわの被毛は、上毛と下毛を持つダブルコートです。冬場に下毛を豊富に蓄えるため換毛期には非常にたくさんの毛が抜けます。毛色はレッドかセーブル、フォーン、ブラック・アンド・タンがあり、足や前胸、頸の白斑はあってもなくてもよいとされています。
イギリス王室との関係
ペンブロークはもともと羊や牛を追う牧畜犬として活躍していましたが、イングランド国王のヘンリー2世(在位1154年~1189年)がペットとして飼い始めたことで広く知られるようになりました。英国王室のワンちゃんと言えばペンブロークと言っても過言でありません。
エリザベス2世とコーギー
2022年9月に死去したエリザベス2世も大変なコーギー愛好家であったことは有名です。女王の「コーギー愛」のきっかけは、7歳の頃、友人が飼っていたコーギーを見てそれを欲しがったことだとされています。
それから生涯で30頭以上ものコーギーを飼い、最後に飼っていたコーギーたちが女王の葬列を見送ったことが報じられています。最後のコーギーである「ミック」と「サンディー」は、女王の次男であるアンドルー王子と元妻に引き取られたとされています。
笑顔とおしりの魅力

ペンブロークのチャームポイントと言えば、まずは笑顔。愛くるしいニコニコ顔にひとめぼれ!という方も多いのではないでしょうか。明るく愛情深い性格と相まって、そばにいるだけで心癒される存在になってくれることうけあいです。
もう一つ忘れてはいけない魅力が、キュートなお尻です。ぷりぷりとお尻をゆらしながら歩く後姿には、心をわしづかみにされそう…。散歩をするだけで注目を浴びること間違いなし!のかわいらしさです。
飼い方のコツ

しつけ
元々が牧羊犬であるため、きちんとしつけを行わなければ吠えや噛み癖などの問題につながることがあります。子犬の頃から社会化としつけをしっかりと行い、問題行動を起こさせないようにしましょう。
フード
成長段階に合わせた、犬用の「総合栄養食」と表記されているものを選びましょう。よく食べていい便をするフードをあげてください。 コーギーには「みんなのごはん 全犬種」などがおすすめです。
「みんなのごはん 全犬種」には「パピー用」「アダルト用」「シニア用」があるため、年齢にあったものを選ぶことができます。一方で持病などがある場合には、疾患にあった専用のフードを与えるようにしましょう。
散歩
ペンブロークは牧畜犬だったこともあり必要な運動量が多く、1日あたり30分から1時間は散歩を含めた運動をさせてあげたいところ。一緒にお散歩すれば、健康のために楽しく運動できるうえ、キュートなお尻に癒されて一石二鳥かも
ブラッシング
ダブルコートであるペンブロークは抜け毛の多い犬種です。換毛期にはさらに抜け毛が増えるため、こまめなブラッシングをしてあげたいところ。
また、ブラッシングは、体に触れ「ちょっと太ってきたかも!」などと気づくよい機会になり、健康チェックにもつながります。たくさんスキンシップをしながら、お手入れしてあげてくださいね。
トリミング
基本的にトリミングは必要ありません。日頃のブラッシングをしっかり行ってあげましょう。
歯磨き
歯磨きは毎日行うのが理想です。歯磨きをしなければ歯垢・歯石がたまり、歯周病になりやすくなります。 歯磨きが嫌いにならないよう、子犬の頃から歯や口の周辺を触ることに慣れさせましょう。歯ブラシをどうしても嫌がる場合は、歯磨きガムやシートを使うことも考えましょう。
耳掃除
汚れがない場合は基本的に必要ありません。汚れがついている場合は優しくふき取ってあげましょう。
費用について

お迎えにかかる費用は?
ペンブロークの子犬を迎えるための費用は、30万円~40万円程度です。ショップやブリーダーによっても値段に差があります。
お迎えの後に必要な費用は?
お迎えした後にワクチンなどで必要な費用は、混合ワクチン、狂犬病ワクチン、自治体登録料、フィラリア予防の費用を合わせると5万円程度になります。
お迎えの方法
ペットショップで探す
お迎えの一つの方法にペットショップがありますが、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。
アニコム損保の「ハローべいびぃ」は、可愛いワンちゃんネコちゃんを全国のペットショップから探すことができる情報サイトです。エリアや品種などの条件から簡単に検索できます!
ブリーダーさんから紹介してもらう
ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬に会えるようなら、実際に大きさや性格に注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て、相性の良い子を迎えたいですね。
繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。
※アニコムグループの(株)シムネットが運営する『みんなのブリーダー』へ移動します。
里親になる
最近では、事情があって飼えなくなった、または保護された犬の里親になるケースも増えています。里親になるには条件があることが多いので、自分が条件に当てはまるか確認してみましょう。
また、里親になったけれど飼いきれない、となると人もどうぶつも不幸になります。相性や飼える環境などをしっかり確認し、本当に受け入れ可能か、最後まで責任を持てるか検討しましょう。
寿命はどれくらい?

アニコムの「家庭どうぶつ白書2021」によると、ペンブロークの平均寿命は12.5歳です。
しかし、ここ数年でフードもさまざまなものが出ていますし、獣医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動などに気をつけて、少しでも長く一緒にいられるといいですよね。
ペンブロークに多い病気は?
ペンブロークの病気の一つに変性性脊髄症(DM)があります。変性性脊髄症は遺伝子の変異により発症してしまう遺伝的な病気で、進行すると歩けなくなったり、呼吸ができなくなるなどの症状が現れます。
変性性脊髄症は遺伝子の変異が関与しているので、残念ながら現在のところ予防方法や発症後の治療法は見つかっていません。今できることは、両親犬の遺伝子を調べて変異した遺伝子を持っていないかを確認し、変性性脊髄症にかかる可能性のあるペンブロークを増やさないようにすることです。
【関連リンク】
犬猫の遺伝病撲滅に向けた取り組み状況について
また、椎間板ヘルニアもペンブロークに比較的多く見られます。椎間板に変性が生じ、その内容物が突出することにより脊髄を圧迫・障害し、さまざまな神経症状をひきおこす病気です。加齢や脊椎への強い外圧のほか、ジャンプや過度な運動、肥満などが原因となるので、運動過多やオーバーウエイトには気をつけてください。
【関連リンク】
変性性脊髄症|みんなのどうぶつ病気大百科
椎間板ヘルニア|みんなのどうぶつ病気大百科
ヘルニアって何だろう?|みんなのどうぶつ病気大百科
魅力いっぱいのコーギーと素敵な生活を

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの魅力、伝わりましたか? これからワンちゃんをお迎えしたいと考えている方は、ぜひペンブロークとの生活も考えてみてくださいね。ペンブロークと楽しい日々を過ごして、愛情をいっぱい注いであげてください!
