みかんは手に入りやすく、特に冬場によく食べる果物です。ビタミンCや食物繊維などが豊富で、人では健康や美容目的で食べられることも多いですが、犬が食べても大丈夫なのか気になるところです。
今回は、犬にみかんをあげても大丈夫か、またあげる場合の注意点、分量についてお話しします。

みかんは食べても大丈夫

みかんは、犬も食べられる果物です。甘みがあるため、おやつやごはんのトッピングとして与えると喜ぶ子が多いのではないでしょうか。ただし、まれにみかんに対してアレルギー反応を起こす可能性があるため注意が必要です。また、たくさんあげてしまうと下痢や嘔吐などの消化器症状を起こすことがあります。

どれくらいの量なら大丈夫?

おやつの量の目安は1日の摂取カロリーの10%以内ですが、みかんは水分や食物繊維を多く含んでいるため、カロリーから計算した量を食べると下痢をする可能性があります。また、みかんでおなかが膨れてしまい、主食を十分に食べられなくなることで、栄養バランスが崩れてしまう場合もあります。そのため、少量を与えるのみにすることをおすすめします。
Mサイズのみかんであれば、2.5kg前後の超小型犬で1/8個、5kg前後の小型犬で1/4個、10kg前後の中型犬で半分、それ以上の大型犬で1個程度にしましょう。

与える際の注意点は?

みかんを与える際の注意点を解説します。

皮や種、薄皮は食べても大丈夫?

みかんの皮や種は消化に悪いため、除いてから与えるようにしましょう。食べると嘔吐や下痢などの消化器症状や、腸閉塞を起こす可能性があります。薄皮やすじも消化しにくいため、なるべく取り除くか、細かく刻むなどしてから与えるようにしてください。

アレルギー症状のリスクについて

多くはありませんが、みかんやオレンジなどの柑橘系の果物に対してアレルギー反応を起こすことがあります。また、イネ科の花粉に対してアレルギーがあると、似たアレルゲンを持つミカン科の果物に対してもアレルギー反応が起こりやすくなる可能性があります(交差反応と言います)。
アレルギーの症状としては、皮膚症状(かゆみや赤みなど)や、消化器症状(下痢や嘔吐など)が認められます。大量に摂取すると呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こす危険性があります。初めて与えるときはごく少量を与え、症状が出ないかよく確認しましょう。
また、今までにほかの柑橘系の果物やイネ科の花粉に対してアレルギーの症状があった場合、みかんを与えるとアレルギー反応が出る可能性があるため、あげるのは控えましょう。

みかんの大きさ

みかんをあげるときには、小さくカットするかすりつぶすようにしましょう。房のままであげた場合、のどに詰まらせてしまう危険性があります。特に小型犬はのどが細く詰まりやすいため要注意です。

みかんの栄養素について

一般的な温州みかんは、水分量が86.9%で、100gあたり糖質が9.2g、カロリーは46kcalです。
みかんに含まれる栄養素としては、ビタミンC・Pやβ‐クリプトキサンチン、ペクチンなどがあります。

① ビタミンC
抗酸化作用があり、加齢や運動による酸化ストレスや関節の損耗などに関わる病気の予防に役立ちます。

② ビタミンP(ヘスペリジン)
ポリフェノールの1種で、末梢血管を強くする作用や抗酸化作用などがあります。

③ β‐クリプトキサンチン
β‐カロテンの仲間で、体内でビタミンAに変換されて作用し、皮膚や粘膜の健康維持や、視力の維持に役立ちます。

④ ペクチン
食物繊維の1つで、コレステロールの吸収抑制作用や血糖値の急な上昇を抑える作用があります。また、善玉菌を増やす作用もあります。

まとめ

みかんは犬が食べても大丈夫な果物ですが、アレルギーや過剰摂取には気を付けましょう。また、犬が届く範囲に置いておくと、丸呑みしたり皮ごとかじったりしてのどに詰まらせる危険性があります。置く場所には気を付けて、おいしいみかんを一緒に楽しんでくださいね。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。