ボーダー・コリーというワンちゃんをご存じですか?一緒にお散歩していると、なんという犬種ですか?と聞かれることもしばしば。

さらさらふわふわの毛に、凛々しいお顔と抜群の運動神経で、ワンちゃんと暮らすってこんなに楽しいんだよ~!ということを、たくさん教えてくれるワンちゃんです。

きちんとしたしつけと毎日の長いお散歩が必要って聞くし、飼うの大変そう…という声も耳にしますが、頭がいいのにちょっと抜けているところもあって、どこか憎めません。ちなみに筆者は、一緒に暮らしてみて毎日のお散歩が大変と感じない程ボーダー・コリーにハマりました!

今回は、そんな彼らのあふれる魅力を、ボーダー・コリーと一緒に暮らしている筆者の経験談も交えてご紹介します。

昔から牧場で活躍していました|歴史や特徴

ボーダーコリーの写真

ボーダー・コリーは8世紀後半から11世紀にかけて、バイキングによってスコットランドに持ち込まれた、トナカイ用の牧羊犬が祖先とされています。容姿よりも作業能力を重視し、コリー等との交配を経て19世紀末頃に現在の形になりました。

ボーダーとは「国境」という意味で、イングランドとスコットランドの国境あたりが原産のため、この名前がついたといわれています。この国境地方は岩場が多く天候も悪いため、人が牧畜をまとめるのは難しい環境でした。

そんななか、その地方に住む人々を助けていたのが、ボーダー・コリーです。昔から牧羊犬として、立派に活躍していたんですね!

【犬種データ】
体高:男の子50~55cm、女の子48~53cm
体重:男の子18~23kg、女の子16~20kg
原産国:イギリス

賢さ全犬種No.1!でもおっちょこちょいな一面も!?

ボーダーコリーの写真

ボーダー・コリーの優れた作業能力と疲れを知らないスタミナは、牧羊犬としてこの犬種の右にでる犬はいないといわれるほどの高評価を得ていて、現在も世界中で、もっとも活躍している牧羊犬と言っても過言ではありません。

また、ブリティッシュ・コロンビア大学のStanley Coren教授によると、ボーダー・コリーは全犬種においてもっとも知能が高いという結果が出ています。

Stanley教授は、犬の知能は適応知能・本能的知能・従順知能の3つに分けられるといいます。「新しいコマンドを何回繰り返すと理解するか」「1回目のコマンドで従うか」の2つを犬の知能判断の基準にし、訓練士に調査を行い、ランキングを作成しました。その結果、ボーダー・コリーが賢さNo.1に輝いたのです。

そんな賢いボーダー・コリーですが、つい笑ってしまうようなちょっと抜けているところもあります。ぬいぐるみや置物にびっくりしたり、窓ガラスに映った自分と遊びたくて尻尾を振ったり、何かに気を取られて窓ガラスや柱に頭をぶつけたり…おバカさんなところと賢いところのギャップも、筆者が愛犬から教わったボーダー・コリーの魅力です。

【参考文献】
The Intelligence of Dogs/著 Stanley Coren

個性あふれるイケDOG

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ボーダー・コリーは、長毛で白黒のパンダ柄をよく見かけますが、短毛の子や茶色の子、グレーの子などもいて、毛色の組み合わせは35種類もあるとされています。また、耳ひとつとっても、たち耳、半立ち耳、たれ耳とバラエティーに富んでいて、その子その子によって雰囲気がまったく異なるのも、ボーダー・コリーの魅力のひとつです。

つまり、ボーダー・コリーは、牧羊犬由来の高い運動能力と全犬種トップクラスの賢さ、そして多様なルックスといった具合に、さまざまな魅力を兼ね備えた犬種といえるのではないでしょうか。

日常でも車のCMやパンフレット等、いろいろなところで活躍している姿を目にするのも、納得ですね。

じっとしているなんてもったいない! 遊ぶの大好き!

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アウトドア派のボーダー・コリーにとって、「ずっとおうちにいようね~」はストレスです。運動していないとストレスが溜まり、自傷行為や問題行動につながってしまいます。

理想は1回1時間程度、朝夕1回ずつお散歩に行くこと。また、お散歩のほかに作業意欲を満たすことができる、頭を使う運動や遊びをしてあげましょう。

ボーダー・コリーは人と遊ぶことが大好きです! ボールを投げて持ってこい遊びをしたり、お手・おかわりを教えたり、ワンちゃんも楽しめるような遊びをしてあげましょう。筆者は運動意欲と作業意欲を満たしてあげるために、さまざまな芸を教えて、曲に合わせて一緒に踊るドッグダンスをしています。

賢さと運動神経を活用して、フリスビーをキャッチするディスクドッグや、障害物を時間内に走破し、タイムを競うアジリティ競技で活躍している子もいます。

このように、ワンちゃんとたくさんお出かけしたい! ワンちゃんと一緒に運動したい!と思っている方には、ぴったりな犬種です。

気をつけておきたい病気は?

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股関節形成不全

ボーダー・コリーのかかりやすい病気に「股関節形成不全」があげられます。股関節形成不全とは、股間節の発育段階で形態的な異常が起こり、痛みによって歩きにくくなる病気です。足を引きずっていたり、ふらふらしていたり、腰を振って歩いたりしていたら、早めに病院に連れて行ってあげてくださいね。

遺伝病

発症率は低いものの、さまざまな遺伝病が知られている犬種です。発症すると3歳ごろに亡くなってしまう「セロイドリポフスチン症」や、失明の原因のひとつと言われている「コリーアイ異常症」など、特有の遺伝病があります。

現在のところ予防方法や発症後の治療法は見つかっていません。遺伝病によって苦しむボーダー・コリーを減らすためには、遺伝病があることを知り、その原因となる遺伝子を持った子を増やさないこと、そしてその考えを広めていくことが重要となります。

【関連リンク】
どうぶつ病気大百科「遺伝性疾患と発症が多いおもな犬種」

しつけであなたの最良のパートナーへ

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ボーダー・コリーと暮らすことの醍醐味は知能の高さをいかしたしつけといえるでしょう。磨けば磨くほど光るといわれるボーダー・コリ―の才能は、子犬の頃から正しいしつけをすることで、声で指示をしなくても、飼い主のニュアンスを読み取って、まるで自分の身体の1部のように行動してくれるほどです。

子犬の頃は、さまざまなことに興味津々で、色々なことをすぐに学びます。小さな頃から、ほめることとやめさせることの区別をはっきりと、一貫して教えてあげることが重要です。

ボーダー・コリーは、牧羊犬の血が騒ぐのか、本能的に動くものを追いかけます。これはボーダー・コリーによくある行動のひとつですが、運動不足からストレスが溜まり、動く車や自転車、子供を追いかけることも。

そのようなことを予防するため、小さな頃から目の前にボールを転がして、「待て」の号令、追いかけたい欲求を我慢することができた時には、思い切りほめてあげるなど、遊びを通じて良いことと悪いことを教えてあげましょう。

また、ボーダー・コリーは人の気持ちに敏感です。筆者の愛犬は、こちらが落ち込んでいると体調を崩してしまったり、楽しそうにしていると一緒にはしゃいだり、まるで自分の分身のように気持ちが伝わります。賢いがゆえに、曖昧な指示にも反応しようとして、咬んだり、いらずらをしてしまったりすることもあるので、「指示は明確に!」を心がけましょう。

ワンちゃんのことをよく理解してあげることで、お互いに良い関係を築いていくことができます。ボーダー・コリーは、何をしたらほめてもらえるんだろう?等、さまざまなことを考えながら家族みんなを見て、お勉強しています。子犬のうちから正しくしつけることで、最高のパートナーになりますよ!

ボーダー・コリーの魅力、お伝えすることができたでしょうか。

筆者は愛犬を迎えてから、多くの友達ができてポジティブになったり、一緒にいるだけで笑顔になれる等、ワンちゃんと一緒に暮らすことの素晴らしさを教えてもらいました。

子犬のころはわんぱくで手が付けられず、たくさん悩んで苦労しました。しかし、3歳になった今では明るく優しい子に成長してくれて、どこに行っても胸を張って自慢できる、最高のパートナーです! 手がかかる子ほどかわいいとは、まさにこのことですね。

愛犬と出会ってから『今までで1番幸せ!』と思える瞬間がたくさんありました。

ワンちゃんを迎える予定の方は、ぜひ、ボーダー・コリーとの暮らしも考えてみてくださいね! ボーダー・コリーと一緒に暮らすことで、きっと充実した最高のドッグライフが待っていると思いますよ!

▶ボーダー・コリーとの生活をお考えの方はこちら

監修獣医師

犬百科編集部

犬百科編集部

獣医師を含む犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、犬の凄さや可愛らしさについて情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。