がっしりした大柄な体格でありながら、人懐こく愛らしい顔つきが魅力のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。大型犬の中では長らく高い人気を誇っています。バーニーズ・マウンテン・ドッグの特徴や性格、寿命、かかりやすい病気を解説します。

バーニーズ・マウンテン・ドッグってどんな犬?

大きな体で、アクティブに遊ぶことが大好きなバーニーズ・マウンテン・ドッグ。「バーニーズ」の愛称でも親しまれています。元気で活発でありながら、性格は穏やかで人やほかのどうぶつにも優しい犬種です。

歴史

バーニーズ・マウンテン・ドッグはスイスの農場で昔から牧畜犬として活躍していたスイス・マウンテン・ドッグの1種です。スイス・マウンテン・ドッグ4犬種(バーニーズ・マウンテン・ドッグ、グレーター・スイス・マウンテン・ドッグ、アペンツェラー・キャトル・ドッグ、エントレブッハー・キャトル・ドッグ)の中で最も毛が長いのが特徴です。そのルーツは、2000年前にローマ兵によってスイスに持ち込まれたといわれています。

バーニーズ・マウンテン・ドッグは牧畜犬として牛や羊を守るだけでなく、乳製品を積んだ荷車を引いて運搬することでも長らく活躍していました。やがて産業革命がおこり、機械化が進むと数が減り始め、1800年代後半には絶滅が心配されるほど少なくなってしまいました。その後、愛好家の努力によって品種が維持され、数が回復。再び牧畜犬として人気が出て多くの農場で迎えられるようになり、ペットとしての人気も高まりました。

1926年に農家によってアメリカに導入され、1937年にはアメリカンケネルクラブ(AKC)に品種として登録されました。現在は世界中へ広がり、牧畜犬としてだけでなくペットとしても人気を博し、多くの家庭に迎えられています。

性格

元気で力強い一面もありますが、性格は穏やかでおとなしい方です。飼い主や家族に対して愛情深く、子どもにも優しく接してくれます。従順でありながら気高くもあり、自信のある堂々としたたたずまいをしています。農場で見張りをしていたことから、注意深くいろいろなことによく気づき、困っている人を助けることも。住宅の火事から飼い主を助けたり、離岸流で海岸に戻れない人を救助したりといったエピソードが有名です。社交的で家族以外の人やほかのどうぶつにも心を開いていて、気分のムラも少なく安定しています。

しつけのポイント

体格が大きく力も強いのできちんとしつけをすることが必須です。飼い主に忠実でおとなしいので、しつけは覚えてくれやすい方です。「飼い主のいうことを聞いて喜ばせたい」「飼い主と楽しいことがしたい」という意欲を持っているので、楽しくトレーニングをしてたくさん誉めて伸ばすことを心がけましょう。飼い主のことをよく見て、話すこともよく聞いているので、日頃からしっかりコミュニケーションをとりながら、しつけのトレーニングも日常的にくり返し行ってください。覚えたからといってやめてしまったり、飼い主の指示がぶれたりすることがないよう気をつけてください。

しつけが正しくできているか不安な場合や、やり方に疑問があるときは、専門家や詳しい人に相談して早めに解決しましょう。

また、どんなにしつけをがんばっても、犬の方に不満やストレスがたまっていると問題行動につながることがあります。バーニーズ・マウンテン・ドッグは同じ日常を繰り返すよりも、変化があった方が喜ぶタイプです。ルーティンの散歩だけで運動を終わらせるのではなく、ときには思い切り遊べる場所に連れ出して、日常を離れて心ゆくまで遊ぶ時間を設けましょう。

サイズ

バーニーズ・マウンテン・ドッグは大型犬に分類されます。サイズの目安は次の通りです。

  • 男の子:体高64cm〜70cm 体重36~48㎏
  • 女の子:体高58cm〜66cm 体重34~41㎏

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被毛について

毛色は「トライカラー」と呼ばれる黒、白、茶色の3色があわさった色です。漆黒が基本で、背中から足にかけては黒、顔の中心から胸にかけてと足先が白、四肢は茶色で、目の上と頬、胸の一部にも茶色の模様があります。白や茶色の模様の入り方は個体差があります。被毛は長毛で絹のように光沢があり、2層構造のダブルコートです。

被毛が豊富なので、毎日のブラッシングと定期的なシャンプーが欠かせません。特に、春から夏の換毛期には入念にブラッシングをして、余分な被毛を取り去り、体温の放熱を妨げないようにしてあげましょう。

寿命

アニコム「家庭どうぶつ白書2022」によると、犬全体の平均寿命が14.1歳であるのに対し、バーニーズ・マウンテン・ドッグの平均寿命は8.7歳となっています。しかし、ここ数年でフードも色々なものが出ていますし、医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動などに気を使ってあげるといいですよね。

また、バーニーズ・マウンテン・ドッグはほかの犬と比較して成長スピードが遅く、4歳ごろになってようやく成人期を迎えます。そして大人になると関節の問題やがんなどの病気を起こしやすくなることから、寿命が短いとされています。1日でも長く一緒にいるために飼い主ができるのは、動物病院で定期的な健康診断を受けることです。先延ばしにせずに欠かさず健康診断を受けることで、病気の予防や進行を遅らせることにつながります。

気をつけたい病気

まず抑えておきたいのは、大型犬に多い胃拡張・胃捻転です。発生から数時間で死亡することもある危険な病気です。どんな症状が出るのか覚えておき、疑いがある場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

胃拡張(胃拡張胃捻転) <犬> | みんなのどうぶつ病気大百科 (anicom-sompo.co.jp)

また、大型犬でリスクの高い関節炎にも注意が必要です。体重や運動量に気を付け、歩き方や動き方に違和感を感じたら早めに動物病院に連れていきましょう。そのほか股関節形成不全、がん、外耳炎なども気をつけたい病気となっています。また、寒い地域原産の犬なので、暑さには弱いです。熱中症にも充分気をつけてあげましょう。

犬の熱中症はなぜ起こる?症状や応急処置、暑さ対策を解説【獣医師監修】 – 犬との暮らし大百科 (anicom-sompo.co.jp)

バーニーズ・マウンテン・ドッグを家族の一員として迎える方法

バーニーズ・マウンテン・ドッグをぜひ家族の一員に!と思ったら、どこで出会えばいいのでしょうか。主に考えられる方法は3つあります。

ペットショップで探す

ペットショップなら、フードやトイレなど、犬との暮らしに必要なものを一緒に揃えられるため、迎えたその日からきちんと住環境を整えてあげることができそうです。とはいえ、バーニーズ・マウンテン・ドッグをペットショップで見かけることは多くないので、事前に取り扱いがあるか確認してから行くとよいでしょう。

また、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんからお迎えする最大の特徴は、迎えると決めた子の特徴やクセ、これまでの成長の様子や環境などをブリーダーさんに直接聞いたり、質問できたりすることです。また、親猫や兄弟・姉妹たちの姿を見る機会も得られる可能性があるので「将来どんな風に成長していくのか」を想像しやすいこともメリットです。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でバーニーズ・マウンテン・ドッグと出会える機会もあるかもしれません。

まとめ

バーニーズ・マウンテン・ドッグは温和で愛情深い犬ですが、大型犬のため、お迎えする場合は相応のスペースが必要になります。また度々外出して遊ばせることや、きちんとしたしつけ、定期的な健康診断が必要なことから、犬を飼いたい人ならだれにでもおすすめできる犬種ではありません。それでも適切な環境を用意してお迎えできれば、とても愛情深く忠実なよいパートナーとなってくれるでしょう。

バーニーズ・マウンテン・ドッグが誕生したスイスでは、この犬の生涯について次のような格言があります。「若い犬として3年、優秀な犬として3年、老犬として3年。その先は神様の贈り物。」無事にお迎えすることができたら、健康管理やケアにも気を配り、たくさんの贈り物を受け取ってくださいね。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。