
アイリッシュ・セター(アイリッシュ・セッター)は赤い毛並みが美しい大型犬です。歴史も長く、鳥猟犬としてハンターのパートナーとして活躍してきた犬種です。そんなアイリッシュ・セターの性格や歴史、飼い方について紹介します。
アイリッシュ・セターってどんな犬種?
アイリッシュ・セターは、「ガンドッグ」と呼ばれる鳥猟犬です。
鋭い嗅覚を頼りに獲物となる鳥を見つけると、姿勢を低くしこの先に鳥がいることをハンターに伝えます。この姿勢を「セット」というために「セター」という名が付けられています。
アイリッシュ・セターの歴史

アイリッシュ・セターは、アイルランドで誕生した犬種です。正確な起源については不明ですが、セターの中で、最も古い犬と考えられています。
祖先はヨーロッパ大陸のレッド・スパニエルといわれていて、スパニエル系やテリアなどとの交配で狩猟能力を高めました。さらに、ポインターの血も加えられたことで、より優れた体型や美しい被毛を持つようになり、優秀なガンドッグとなったと考えられています。
アイリッシュ・セターは現在のような単色だけでなく、白地に赤の模様のある犬もいました。毛色の違いで区別するようになり、白が入った犬を「アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セター」と呼び、赤のみの毛色の犬を「アイリッシュ・セター」と呼ぶようになりました。
1882年、アイリッシュ・セターの振興のために、アイリッシュ・レッド・セター・クラブが設立され、1886年にスタンダードを作成しました。
それからも、スタンダードを確立させ、残していくために、ドッグショーやフィールド・トライアルを開催したり、犬種のワーキング・スタイルについての本を出すなど力をいれてきました。
その甲斐あって、見た目、能力ともにアイリッシュ・セターの魅力を残した姿で今も存在しています。
サイズ

アイリッシュ・セターは大型犬に分類されます。
体高は男の子が65〜69cm、女の子が60〜64cmで、体重は23kg〜30kgです。
性格は?
アイリッシュ・セターは陽気で遊ぶことが大好きな犬種です。人にもよくなつき、子どもや他のどうぶつに対しても優しく温和な性格です。お顔からも優しい表情があふれていますが、利口で愛情深いので、家庭犬として愛されています。
一方で、鳥猟犬の能力を持つエネルギッシュな犬なので、運動不足にならないように気を付けたいです。運動不足からストレスとなり、落ち着きがなくなったり、いたずらなどの問題行動に発展してしまうことも。毎日のお散歩は欠かさずに行いましょう。スピードを重視して、歩いたり走ったりすることもおすすめです。
また、家庭犬として暮らしていても、鳥猟犬の習性で、獲物を探していろいろなところを嗅ぎまわるような傾向も見られます。子犬のころから人や犬、音などに慣れさせる社会化を行うことや、しつけを徹底することが重要です。
被毛・毛色について

アイリッシュ・セターの優雅で美しい被毛は光沢のある長毛で、胸や耳、足、しっぽには飾り毛があります。
美しい飾り毛ですが、丁寧にブラッシングしないと毛玉ができやすいです。
毛色は単一の赤のみで、「チェストナット(栗色)」や「マホガニーレッド」と表記されます。
寿命はどれくらい?
アニコムの「家庭どうぶつ白書2021」によると、大型犬の平均寿命は11.5歳です。アイリッシュ・セターは大型犬に属するので、目安に考えられるでしょう。
しかし、ここ数年でフードも色々なものが出ていますし、医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動など気を使い、少しでも長く一緒にいられるといいですよね。
気を付けたい病気
アイリッシュ・セターが気を付けたい病気には、大型犬に多く見られる胃が拡張し、ねじれ(捻転)を起こす「胃拡張(胃拡張胃捻転)」や「股関節形成不全」があります。
その他、免疫機能に異常が起こり、自身の赤血球を破壊してしまうことから貧血の症状を起こす「免疫介在性溶血性貧血(IMHA) 」や、「甲状腺機能低下症」、視力が徐々に低下して失明にいたる遺伝性疾患である「進行性網膜萎縮症」という眼疾患が挙げられます。
その他、「外耳炎」にも注意が必要です。
アイリッシュ・セターを家族の一員として迎える方法
アイリッシュ・セターをぜひ家族の一員に!と思ったら、どこで出会えばいいのでしょうか。主に考えられる方法は3つあります。
ペットショップで探す
ペットショップなら、フードやトイレなど、犬との暮らしに必要なものを一緒に揃えられるため、迎えたその日からきちんと住環境を整えてあげることができそうです。とはいえ、アイリッシュ・セターをペットショップで見かけることは多くないので、事前に取り扱いがあるか確認してから行くとよいでしょう。
また、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。
ブリーダーさんから紹介してもらう
ブリーダーさんからお迎えする最大の特徴は、迎えると決めた子の特徴やクセ、これまでの成長の様子や環境などをブリーダーさんに直接聞いたり、質問できたりすることです。また、親猫や兄弟・姉妹たちの姿を見る機会も得られる可能性があるので「将来どんな風に成長していくのか」を想像しやすいこともメリットです。
繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。
里親になる
最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でアイリッシュ・セターと出会える機会もあるかもしれません。
まとめ

アイリッシュ・セターは家庭犬として飼われることが一般的となった現在でも、猟犬としての気質が残っています。そのため、鳥など動くものを見つけた時に、興奮して突然追いかけてしまうということもあります。犬種の気質や歴史を知ることで、しつけや事前に取れる行動も変わるので、ぜひ覚えておきましょう。
