
子犬の頃は教えなくてはいけないことがたくさんあって、どこから手をつけていいかわからなくなってしまう方もいるのではないでしょうか。
ですが、子犬の成長に合わせてしつけの優先順位を決めることで、無理なくしつけることができます。ここでは、子犬のしつけについて優先度となぜ必要かをまとめて紹介します。
子犬期のしつけの大切さ
子犬の時期はいろいろなことを学ぶ時期でもあります。特に生後3週齢〜12週齢までは「社会化期」とも呼ばれ、積極的に環境や刺激に慣れさせることが大切になります。
社会化期を過ぎると、恐怖心が芽生え始めるため環境や刺激に慣れさせるのに時間がかかるようになります。
そのため、社会化期には家の中の生活音や、外で見聞きする刺激に慣れさせることを優先しましょう。コマンドによるしつけは、並行して取り組む方がいいものと、社会化期を過ぎてからでもいいものと優先順位を決めて取り組むと良いでしょう。
しつけにつながるコミュニケーション

子犬とのコミュニケーションは、なでたり遊んだり、ブラッシングをしたり……。何となく触れ合っていることが多いと思いますが、じつは、子犬とのコミュニケーションの仕方を少し意識するだけで、しつけがグッとしやすくなります。
アイコンタクト
アイコンタクトは、ワンちゃんとのきずなを深める大切な最初のステップです。ワンちゃんと目が合うと、気持ちが伝わりやすくなるので「大好き」という気持ちはもちろんのこと、いけないことをしたときに「ダメ!」と伝えたり、コマンドを出して芸をさせたり、いいことをしたときに褒めたり。
アイコンタクトができると、ワンちゃんとの心の距離が近づきますし、しつけもしやすくなります。
ただし、目を合わすことには注意点もあります。
本来動物は、他者と目が合うと「敵意」や「不快」に感じます。そのため人を含めた動物は知らない人とうっかり目が合ってしまうと、目をそらして相手に敵意がないことを示します。
目と目を合わせて気持ちを伝えることができるのは、ある程度の信頼関係ができてこそのこと。散歩中など、かわいいワンちゃんを見かけても、熱い視線は送らないように気をつけましょう。
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犬がお腹を出して仰向けになるときは、リラックスしているときと、降参や服従の気持ちからの2パターンあります。
リラックスして「なでて!」と、ワンちゃん自らお腹を触らせてくれる子にするためには、子犬のときから人に触られる経験を持つことがとても大切です。
飼い主さんの足の間で、仰向けで寝る姿勢ができるようになると、足先や股、おなか、脇、など普段見えにくいところもチェックできるので、健康管理もしやすくなります。
最初に抵抗するのは当たり前。でも嫌がってるからと放してしまうと、「暴れれば放してもらえる」と思ってしまいます。
ワンちゃんの肩を軽く押さえて落ち着くまで待ってから「よし!」などの声をかけて開放してあげましょう。
しっかり抑えなくても平気になったら、次はおやつを使いながら足先やお腹、口の周り、耳、目の周りなどを触る練習をしましょう。
足先や、口周り、目の周り、耳などはワンちゃんにとって敏感な場所で触られるのを嫌がりやすいです。しかし、汚れやすかったり、炎症を起こしやすい部分でもあるので、爪切りや歯磨き、目やに、耳のケアなどを行う必要があります。社会化期のうちから触られることに慣らしておくと良いでしょう。
信頼の抱っこ
犬を抱き上げる行為は、小型犬になるほど頻繁に行われることだと思います。しかし、正しい抱き方を知らないと、警戒心を与えてしまうばかりか、犬に負担がかかってしまうので正しい抱き方をしっかり覚えておく必要があります。
まず、犬を抱き上げるときは犬の正面ではなく、横から抱き上げるようにします。正面から抱こうとすると、どうしても上から覆いかぶさる姿勢になってしまうので、犬に威圧感や恐怖心を与えることになってしまいます。
また、犬は人間とは違い鎖骨がないので、脇の下に手を入れて抱く行為も関節を痛めてしまうのでやめましょう。
犬の体重がしっかりと腕に乗るように下から支えるように抱くことを意識します。
ダックスフンドやコーギーなど胴が長いワンちゃんの場合には、腰が丸まらないように支えている腕を少し引くようにして、できるだけ地面と並行になるようにしてあげてください。
中型犬・大型犬の場合には、お尻と胸前を抱えるように抱きましょう。
正しい抱き方をすることで、ワンちゃんも安心することができるので、子犬のうちから信頼される抱っこを練習するようにしておきましょう。
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「環境や刺激への馴化」と「人の指示を理解し行動できるようにする」ことはどちらも大切な「しつけ」です。
ここで紹介するのは、「人の指示を理解し行動できるようにする」しつけですが、できれば社会化と並行して教えたい基本のしつけになります。
おいで
「おいで」は「呼び戻し」とも言われるしつけで、飼い主さんが遠くにいる犬を呼んで近くに来てもらうものです。
お家の中で「おいで」と呼ぶのは、ごはんのときや散歩のとき、お風呂や歯磨きのときなどがあります。お外では散歩中立ち止まってしまってなかなか歩かないときや、ドッグランから帰るときなどが考えられると思います。「おいで」と呼んで上手にくることができたら、ほめたり、おやつをあげたりしてあげましょう。
「おいで」が重要になってくる場面というのは、災害時や逃走時といったワンちゃんの安全を守るとき、危険を回避させるときです。
「おいで」が嫌いにならないようにしつけをして、万が一の時どんな場所でも「おいで」で戻ってくるようにしつけておくことが望ましいです。
そのためには、社会化期に環境や刺激に馴れさせることが準備として必要ですし、犬は環境が変わるといつもできることも、できなくなることが多いので、場所を変えて「おいで」の練習をするようにしましょう。
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愛犬とのきずなを深めるしつけ教室「おいで」編
まて
「まて」は犬に静止を指示するものです。
ごはんを与えるときに「まて!」「よし!」と使うことが多いと思いますが、「おいで」のように、どんな場所でもどんな時でも「まて」ができることで、事故を未然に防ぎ、愛犬を守ることにつながります。
また、「静止」の意味や用途で使われる「まて」ですが、言い方を変えると「我慢」を教えることでもあります。そのため、自制心を鍛えることにも繋がるので、犬が興奮しているときなどにも応用することができます。
「まて」の練習は、ごはんのときだけでなく、お家で遊んでいるときや、お散歩中など環境を変えて行い、どんなときでも「まて」ができるように目指しましょう。
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愛犬とのきずなを深めるしつけ教室「まて」編
ハウス
「ハウス」はケージやクレートなどに入ってもらうときに、「自室に戻りなさい」という意味で使われます。
お留守番のときや寝るとき、病院や旅行などお出かけをするときに飼い主さんの指示で、スムーズに入ってくれると、ワンちゃんにとっても飼い主さんにとっても負担がなくすみます。
「ハウス」ができないと、ハウスに入ることに対して犬は恐怖心や強いストレスを感じることになります。日頃から、ハウスは安心できる場所として自由に出入りできるようにし、居心地のいい場所にしてあげることが大切です。
災害時の同行避難をした際も、避難所ではクレート生活になることも考えられますので、ハウスのしつけは「今からできる災害準備」としてワンちゃんのためにも必要なしつけです。
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愛犬とのきずなを深めるしつけ教室「ハウス」編
【応用編】基礎編ができたら教えてあげたいしつけ

ここで紹介するのは、成犬になってから教えても遅くないしつけです。
もちろん子犬のうちからできると、コミュニケーションやトレーニングの幅が広がりますが、優先度はそこまで高くなく、成犬になってからでも簡単に教えることのできるものになります。
飼い主さんとワンちゃんとの遊びとして、楽しく教えてあげましょう。
おすわり
「おすわり」はお尻を地面につけた姿勢のことで、信号待ちやドアマナーとして応用することができます。
「おすわり」は、おやつを使って簡単に教えることができるトリックの一つで、「おて」や「おかわり」など、おすわりの姿勢から派生させたトリックもたくさんあるので、ベースとなる形と言えます。
ただし「おすわり」には注意点もあります。
一見お尻を地面につける姿勢ですから、安定するように見えますが滑りやすいフローリングや足裏の毛が長い子の場合、後ろ足の踏ん張りがきかず股が開くように滑ってしまいます。骨格形成途中の子犬や関節の弱い犬種などは、指示する場所を考えたり、下に滑りにくいマットを敷いてあげるなど無理をさせないような工夫をしてあげると良いでしょう。
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愛犬とのきずなを深めるしつけ教室「おすわり」編
ふせ
「ふせ」は後ろ足、胸、肘が地面についた姿勢のことです。
「ふせ」ができると、ドッグカフェなどでも落ち着くことができたり、お子さんなどが撫でやすい姿勢でもあります。
しかし、短毛種やきれい好きな性格の子などは、地面にお腹をつけることを嫌がる子もいまます。寒い時期にはお腹が冷えやすくなってしまいますし、単純に汚れたくないという理由の場合もあります。
そういう子には、洋服を着せたり、カフェマットを使用するなどワンちゃんが落ち着けるように整えてあげることも必要です。
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愛犬とのきずなを深めるしつけ教室「おすわり」編
おて
「おて」は人の掌の上にワンちゃんが前足を乗せる動作のことをいいます。
おすわりから派生したトリックですが、「おて」ができると、散歩後の足拭きやブラッシングなどが楽になります。
足先は神経が密集し敏感な部分なので、触られることを嫌がる子も多いですが遊びを通して触られることに馴らすこともできるのでおすすめです。
ワンちゃんの「おて」と同じように、実は動物園の大型動物たちもトレーニングをして、自ら足を柵の間から出すなどして飼育委員さんに、爪切りや注射など日々のケアをしてもらっているんですよ。
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愛犬とのきずなを深めるしつけ教室「お手」編
焦らず、楽しく、毎日少しずつ
子犬の時期はあっという間に過ぎてしまいます。
優先順位をつけずにやみくもにしつけを始めてしまうとときに間違ったしつけを教えてしまうことになるかもしれません。
ワンちゃんと心を通わせられるように「必要なしつけ」と「教えたいしつけ」を一度紙に書き出してみるといいかもしれません。
何よりしつけで大切なことは、飼い主さんが焦らず、工夫を楽しんでワンちゃんと向き合う気持ちを持つことです。飼い主さんが楽しくないことは、ワンちゃんも楽しくありません。
1日ですべて教えきろうなんて思わずに、毎日少しずつやってみてください。
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