アニコム損保では毎年、どのような犬種が家族に迎えられているかを定点で調査し、「犬種ランキング」として発表しています。今回は、2024年のランキング調査で集計した132,890頭の内、たった1頭しかいなかった、珍しい12犬種について、歴史や特徴をご紹介します。

アメリカン・アキタ

アメリカン・アキタは日本原産の大型犬で、祖先は秋田犬と同じ秋田地域のマタギ犬(クマ猟犬)とされています。それにマスティフやジャーマン・シェパード・ドッグが掛け合わされたものが戦後アメリカで人気を博し、アメリカの風土に合った独自のタイプとして発展しました。
体格はがっしりとした骨太で、堂々としていて凛々しい印象を与えます。
体重は40~50kg、体高は61~71cm程で、毛色はレッド、フォーン、ホワイトなど様々です。
性格は優しく人懐こい一方で、威厳があり勇敢です。

ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル

ウェルシュ・スプリンガー・スパニエルは、その名の通りイギリスのウェールズ地方にルーツを持つ中型犬です。古代ウェールズの絵画にもその姿が描かれている、歴史ある犬種です。
暑さと寒さの両方に強い性質を持ち、熱帯地方を含む様々な地域で飼育されています。また、人と一緒に鳥を狩る「鳥猟犬」としても長らく活躍してきました。
体重は17~19kg、体高は46~48cm程度。被毛は濃いレッドとホワイトで、柔らかい手触りをしています。
性格は陽気で活動的でありながら、優しさがあります。

カネ・コルソ

イタリア原産の大型犬で、ジャパンケネルクラブ(JKC)では「イタリアン・コルソ・ドッグ」として登録されています。古代ローマに起源を持ちます。
非常にがっしりとした見た目で、体重は40~50kg、体高は60~68cm程です。被毛は短く、ブラックや明るいグレー、鉛色などで光沢があります。
賢く高貴で、自己主張が強いことから、強靭な筋肉とともに護衛犬や警察犬としても活躍してきました。

ケリー・ブルー・テリア

アイルランド原産で、豊かな口ひげと柔らかい巻き毛が特徴的な中型犬です。
名前はアイルランドの「ケリー(Kerry)」という地方に由来し、牧羊犬や警備犬、狩猟犬として人々と一緒に暮らしてきました。1920年頃から犬種クラブができるなど急速に人気を博すようになり、今ではアイルランドの国犬として指定されています。
体重は13~18kg、体高は44~49.5cm程で、被毛はテリアには珍しいシングルコートでシルクのように柔らかい手触りです。毛色はシルバーやグレーの他、様々な色調のブルーがあります。
社交的で優しい一方、家族を守る意識が強く、テリアらしい気の強さもあります。

チェスキー・テリア

チェスキー・テリアは、チェコ原産の小型犬で、以前はキツネやアナグマの狩猟犬として活躍していました。20世紀、チェコのFrantisek Hork氏によって、狩猟、またペットとして適したテリアを目指して交配が進められたとされています。
体重は6~10kg、体高は25~32cmで、長毛で足が短く、筋肉質です。被毛はグレー・ブルー(子犬の頃はブラック)とライト・コーヒー・ブラウン(子犬の頃はチョコレート・ブラウン)の2種類があります。
性格は元気で活発ながら攻撃的ではなく、訓練しやすい犬種です。

チベタン・テリア

チベタン・テリアはその名の通り、中国のチベットにルーツを持つ犬種で、ラマ教(チベットを中心に発展した仏教のひとつ)の寺院で「幸運をもたらす犬」として大切にされてきました。名前に「テリア」とありますがテリア種とは無関係で、見た目がテリア種に似ていたためこの名前が付けられたそうです。
体重は7~14kg、体高は35~41cm程度で、中型犬に分類されます。
被毛は厚いダブルコートで、頭や足の被毛が特に長くなります。毛の色はチョコレートとレバー以外と、様々です。
性格は人に優しく、活発で愛嬌がありつつ、少し人見知りの面もあります。

ドゴ・アルヘンティーノ

多くの犬種のルーツがヨーロッパや北米、アジアにある中、ドゴ・アルヘンティーノは南米のアルゼンチンが原産地の珍しい犬種です。
グレート・デーンやブル・テリア、ポインターなどが掛けあわされた犬種で、元は闘犬でしたが、20世紀になってからはイノシシなどの大きな動物の狩猟犬として活躍しました。闘争力が非常に強く、ピューマも倒すことができると言われています。
体重は33~45kg、体高は60~67cmの大型犬で、力強い印象を与える体格が特徴的です。被毛は全身短く、毛色はホワイト一色です。
性格は素直で友好的、攻撃的ではなく、一貫して訓練を行えば良きパートナーになってくれます。

ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー

その名の通り、南カナダの「ノヴァスコシア半島」が原産の犬種です。同地域で行われる水鳥の猟のパートナーとして、19世紀初めにコッカー・スパニエルやセター、コリー種を掛けあわせて作出されました。
同地域では、水辺で犬を遊ばせたり走らせたりすることで水鳥をおびき寄せ、それを銃で仕留めた後に犬に取って来させる独特な猟が行われてきました。これにヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーが活躍していたそうです。
体重は17~30kg、体高は45~51cmと大型犬ですが、レトリーバー種としては小さめです。被毛はレッドで、鼻先や胸の辺りがホワイトであることもあります。
明るく人懐こい性格で、賢くしつけもしやすいため家庭犬としても人気です。

ビーグル・ハリア

ビーグル・ハリアは、ビーグルやフォックスハウンドの近縁とされている狩猟犬です。17世紀頃にイギリスで作出されたとされていますが、詳しいことはわかっていません。獲物を長時間追うことができ、キツネを3時間以上追い続けたという記録もあります。
体重は15~25kg、体高は46~53cmで、ビーグルより大きくフォックスハウンドより小さめです。被毛は短毛・滑らかで、ホワイトの地にブラックやオレンジなどの色が入ります。
性格は友好的で穏やか、しつけもしやすい一方で、少し内気な部分もあります。

ブービエ・デ・フランダース

小説『フランダースの犬』のモデルになった犬種で、フランスとベルギーにまたがるフランドル地方に起源を持ちます。16世紀から17世紀にかけてスペイン人がこの地方に輸入し、その後、牧畜犬や運搬犬として活躍したとされています。特に牛飼いたちに重宝され、「ブービエ」とは「牛飼い」や「牛追い」を意味します。
豊富で固い被毛が特徴で、色はグレー、ブラック、グレー・ブリンドル、グレー・ブラック・オーバーレイがあります。体重は27~40kg、体高は60~68cmの大型犬です。
性格は快活ながら忠誠心が強く、番犬として活躍することもあります。

マスティフ

イギリス原産の大型犬です。紀元前のレリーフに描かれているほど、非常に長い歴史を持つマスティフは、ジュリアス・シーザー率いるローマ軍がイングランド遠征から持ち帰り、ライオンと闘わせたことから広く知られるようになったとされています。がっしりとした骨格で、筋肉が発達しているので、クマなどと闘う闘犬として活躍した時期もあります。
被毛は短く、毛色はアプリコット・フォーン、シルバー・フォーン、フォーン、ダーク・フォーン・ブリンドルがあります。いずれの場合もマズルや鼻、耳、目の周りはブラックです。
体重は77kg以上、体高は70cm以上もあり、とても迫力のある見た目をしています。その裏腹に性格は穏和で落ち着きがあり、飼い主に忠実です。

ラゴット・ロマノロ

イタリア原産の中型犬で、ジャパンケネルクラブ(JKC)には「ロマーニャ・ウォーター・ドッグ」として登録されています。古代ローマの時代からイタリアのコマッキオやラベンナ地方の湿地帯で飼われていました。元々は同地域で鳥猟犬として飼われていましたが、その後優れた嗅覚を活かしてトリュフ狩りでも活躍しています。
体重は11~16kg、体高は41~48cmの中型犬です。全身が柔らかい巻き毛で覆われ、毛色はオフホワイトの地にブラウンやオレンジの斑の他、全身ブラウンやオレンジの単色があります。
性格はおとなしく静かで、しつけや訓練をすばやく習得することができます。

 珍しい犬種「チベタン・テリア」の飼い主へインタビュー!

チベタン・テリアのフジコちゃん1
▲チベタン・テリアのフジコちゃん

ここまで記事を読んで「珍しい犬種と一緒に暮らしてみたい!」と思った方も多いのではないでしょうか。出会った場所や、一緒に暮らしてみた感想について、チベタン・テリアの「フジコちゃん」の飼い主に聞いてみました。

●フジコちゃんとはどこで出会いましたか?
父がインターネットで探して、ブリーダーさんからお迎えしました。

●なぜフジコちゃんと暮らすことに決めたのですか?
チベタン ・テリアは犬種特異的な重い病気が少なくて丈夫らしいという話を聞いたのがきっかけです。
あと、アンダーバイト(犬の受け口のこと)でちょっと売れ残りそうになっていたということもあります。

●一緒に暮らしていて「良かった」と思うことはありますか?
散歩に行くと「何という種類のワンちゃんですか?」と必ず聞かれて自分まで人気者になった気持ちになれます。
また、街中やSNS等でチベタン・テリアを見つけると、ものすごくテンションが上がり仲間意識が芽生えるので、飼い主の方と友だちになりやすいです。

●チベタン・テリアと暮らしていて大変なことはありますか?
チベットの犬なので日本の夏は暑くて大変というのが飼ってからよくわかりました。

●最後にひとことお願いします!
珍しくても珍しくなくても、アンダーバイトでもオーバーバイトでも、若い頃「デビル」と呼ばれていたくらいに悪さばかりしていても、おばあちゃんになって寝てばかりになっても、フジコはフジコなので大好きです。

まとめ

人気の犬種も珍しい犬種も、それぞれに異なる特徴や歴史があり、個性があります。お迎えを検討する場合は特徴や個性について理解したうえで、家族をひとり迎えるのと同じく一緒に暮らす環境をしっかりと整えましょう。そうして深い愛情を注いであげれば、きっとどの犬種であっても良きパートナーになってくれるはずです。

ライター

犬百科編集部

犬百科編集部

犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、毎日、犬の「あるある話」に花を咲かせ、情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。