愛犬がブルブル震えていると、体調が悪いのかな?と心配になりますよね。

震えの原因は、心配しなくてもいい場合もありますが、病気によるもので受診したほうがいい場合もあるため、ほかにも症状があるかを確認する必要があります。

今回は、犬の震えについてお話ししたいと思います。

犬の震えの原因は?

震えにはどういった原因があるのでしょうか。まずは生理的な震えについて説明します。

寒さ

毛布にくるまれるチワワ

寒いと、脳から筋肉に指令が出て、全身の筋肉が小刻みに震えます。これは熱を産生し、体温を維持するための反応のひとつです。

犬は、一般的には寒さに強い動物といわれていますが、子犬や高齢犬、チワワやトイ・プードルなどの小型犬は寒さに弱いため、寒い時期のお散歩や室温には注意が必要です。

恐怖、緊張、ストレス

恐怖や緊張、ストレスを感じると、自律神経のバランスの変化によって震えが生じます。例えば、病院の診察台に乗ったときや、雷や花火など大きな音がするときなどがあります。

筋力の衰え

高齢になるにつれて、筋肉量が減少していきます。それによって、踏ん張りがきかなくなったり、うまく歩けなくなったりすることで震えがみられることがあります。

病気によるものもある?

ふせをしている犬

病気が原因の震えには、どのようなものがあるのでしょうか。

てんかん

てんかんは、原因の見つからない「特発性てんかん」と、脳炎や脳腫瘍、水頭症などの病気が原因となる「症候性てんかん」に分類されます。

わかりやすい症状としては、倒れて手足が突っ張り、全身が震える、けいれん性全般発作がありますが、焦点性てんかん発作と呼ばれる、手足の震えや、口をくちゃくちゃする、落ち着きがないなどの部分的な症状のみが見られることもあります。

腎臓や肝臓など、内臓の機能障害によるもの

横たわる柴犬

腎臓は、通常、尿素などの老廃物を尿の中に排泄する働きをしています。

本来、尿から排泄されるはずの老廃物が体に蓄積し、「尿毒症」という状態になると、、震えやけいれんが起こることがあります。

肝臓は体にとって有害な物質(特にアンモニア)を解毒する働きがあります。肝硬変門脈シャントといった病気や、薬の中毒などにより肝臓の機能が低下すると、アンモニアなどの有害物質を解毒することができなくなり、有害物質が脳に達することで震えやけいれんなどを起こす「肝性脳症」という状態になります。

中毒

体にとって毒性のある物質を飲み込んだりすることで生じる有害作用のことを中毒といいます。

人の内服薬やナメクジの駆除剤などを食べてしまうことで、腎臓や肝臓などに障害が出ることがあります。また、ぶどうやキシリトールガムなど、犬にとって危険な食べ物はたくさんあります。

これらの中毒によって、先述した尿毒症や肝性脳症、低血糖などの状態になると、震えの症状が見られることがあります。

発熱

感染症を起こしているときには、病原菌やウイルスの増殖を抑えたり、免疫細胞の働きを活発にしたりする目的で、体温を普段よりも高くする「発熱」の状態になります。熱を産生する方法のひとつに筋肉を震わせることがあるため、発熱時には震えの症状が認められます。

痛み

痛みによっても、震えの症状が見られます。

犬でよく見られる病気のひとつに、椎間板ヘルニアがあります。この痛みによって、じっとして動こうとせず、身体は震えているという症状が見られることがあります。

対処法は?

おすわりしているパグ

愛犬が震えている場合、どうしてあげたらいいのでしょうか。

寒さの場合

子犬や高齢犬、脂肪の少ない犬や小型犬は、寒さに弱く、震えの症状が出ることがあります。

冬場は暖房器具で温度調節をして、散歩の際には洋服を着せてあげるといいでしょう。

特に子犬は低体温になりやすく、命に関わることもあるため、お湯(40℃くらい)を入れたペットボトルにタオルを巻いてそばに置いておく、ペット用のホットカーペットを敷いてあげるなどしてあげましょう。ただし、やけどや熱中症には注意が必要です。

恐怖、緊張、ストレスの場合

行動学的な対策をとると改善することがあります。例えば病院が怖くて震えてしまう場合には、注射など嫌なことをしない日に病院に行き、好きなおやつをあげることで、病院に行くといいことがあると思わせるなどです。

雷や花火の音が怖い場合には、普段から小さな音を聞かせて慣れさせるか、音がする日には、聞こえないようにあらかじめ雨戸を閉める、といった対策を取りましょう。

恐怖や緊張などで体調面に影響が出る場合には、心を落ち着かせるお薬を使うこともありますので、病院で相談しましょう。

筋力の衰えの場合

筋肉量は年々低下していきますが、運動で維持できることもあります。無理せずできる範囲でお散歩に出してあげるといいでしょう。高齢の犬にとって階段や坂道は足に負担がかかるため、平坦な道をゆっくり歩きましょう。

家では滑り止めなどを床に敷いて、足が踏ん張って歩きやすい部屋作りをしてあげましょう。

また、肥満の犬は動くことが苦手になり筋肉が落ちやすいため、体重管理にも気を配ることが大切です。

筋肉量の低下が、病気に由来することもあります。一度病院で診察をうけておくと安心です。

病気による震えの場合

病気による震えの場合にはどうしたらいいのでしょうか。連れていくべき症状について、後述します。

病院に連れていくべき症状は?

獣医に抱っこされる犬

てんかんの場合

意識のないまま全身が震えた後に手足を突っ張るような、けいれん発作の代表的な症状(強直間代性発作)をはじめ、けいれんの症状がある場合、すぐに動物病院を受診しましょう。異常な脳の興奮は、原因を突き止め、薬を使って早急に止めないと命にかかわることになります。

てんかんは、けいれん発作以外にもわかりにくい発作症状があります。落ち着きがない、顔面のみのけいれんなどです。判断が難しい症状ですが、いつもと違うような様子を感じたり、繰り返すようであれば、動物病院を受診しましょう。症状の動画を撮っておくと、診察の助けになります。

腎臓や肝臓の障害が原因の場合

腎臓が原因の場合、食欲の低下、嘔吐、元気がなく沈鬱な症状が見られることが多いです。腎臓が障害された原因により、薄いおしっこが多量に出る場合、おしっこが全くでない場合、どちらも考えられます。そのため、おしっこが出ていれば安心というわけではなく、元気、食欲などの状態に変化を感じたらすぐに病院を受診しましょう。

肝臓が原因で「肝性脳症」の状態に陥っている場合、よだれや震え、元気がなく沈鬱な症状がみられます。てんかん発作が起こることもあります。腎臓の場合同様、元気食欲などの状態の変化が病院受診の目安です。

低血糖の場合

元気がなく、ふらふら、ぐったりするといった症状が見られます。意識障害やけいれん発作を起こすこともあります。血糖値が低くなりすぎると命の危険があります。先述の症状が見られたら受診の目安になります。特に糖尿病でインスリン投与をしている犬や、腫瘍・肝疾患などの基礎疾患がある犬、誤食癖がある犬は注意が必要です。

子犬の場合、身体の血糖値を維持するためのシステムが未熟なため、食欲がない・下痢や嘔吐などの消化器症状がある場合、すぐに低血糖を起こす可能性があります。消化器症状がある場合、様子を見ずにすぐ動物病院を受診しましょう。

発熱がある場合

震えとともに、発熱がある場合も動物病院を受診しましょう。発熱があるということは、身体が異常を感じている証拠です。熱があるかどうかは、耳を触るとわかりやすいかもしれません。、他にも呼吸が早い、元気や食欲がないなどの症状が一緒に認められます。

椎間板ヘルニアなどの痛みが原因の場合

動きたがらずじっとしている、体を触ると嫌がるなどの症状が見られます。痛みで食欲が落ちることもあります。震えのほかに先述のような症状が見られたら動物病院を受診しましょう。椎間板ヘルニアなどの骨格系の痛みが原因のこともありますが、膵炎など内臓からくる痛みで同じような症状が見られることもあります。

病気を予防するには

ジャックラッセルテリア

てんかん

検査を進め、原因が明確になれば原因疾患の治療を行います。てんかんは予防が難しい病気です。発作が頻繁に起こったり、長時間続く場合には命に関わることがあるため、投薬で症状をコントロールする必要があります。

ストレスや大きい音、気圧の変化が発作の引き金となることがあるため、刺激や負担をかけないようにしましょう。

中毒

中毒を予防するために、人が飲んでいる薬の誤食や虫や害獣の駆除剤、犬にとって有毒な植物や食べ物に十分に注意することが大切です。床はもちろんのこと、届く危険性のあるテーブルの上やごみ箱などにも危険なものを置かないようにしましょう。人が留守にしている時間や食事の時間には、ケージに入れてあげると安全です。万が一食べてしまったら、すぐに病院に行けば吐かせる処置などを行うことで軽い症状で済むこともあります。

腎臓や肝臓など、内臓の機能障害によるもの

内臓の機能障害の場合、中毒が原因の場合以外は予防が難しいこともありますが、早めに気が付くことで進行を遅らせられる可能性があります。定期的に血液検査や画像検査などの健康診断を受けるようにし、食欲の低下や嘔吐、尿量の変化などがあれば早めに病院に行くようにしましょう。

また、特に3ヶ月齢までの子犬は空腹時間が長くなると低血糖を起こしやすいため、食事を小分けにして回数を分けてあげるようにし、ぐったり、ふらふらするなどの症状がある場合にはガムシロップなどを口に含ませてあげましょう。

痛み

椎間板ヘルニアは、フローリングで滑ったり、ソファーなどの段差から飛び降りたりすることで発症することが多いです。段差には気を付けて、家には滑り止めを敷き、爪や足裏の毛をカットして滑らない工夫をしてあげましょう。肥満は腰に負担がかかるため、体重管理も重要な予防のひとつです。

まとめ

抱っこされる子犬のミニチュア・ダックスフンド

犬が震えている場合、さまざまな要因が考えられます。
震えの原因が病気かどうか見極めることが難しい場合も多いため、気になることがあれば病院で相談しましょう。震えの症状を動画で撮影して獣医に見せると、参考になることがあります。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。