
小さくてフワフワなシルエットが印象的なポメラニアン。元気でアクティブな性格を持つ一方で、柔らかい毛は伸びるとエレガントな雰囲気を醸し出すなど、特有の可愛らしさを持つ犬種です。今回は、そんなポメラニアンの性格や歴史、気をつけたい病気について解説します。
ポメラニアンってどんな犬種?
可愛らしいポメラニアンは、近年SNSなどでもアイドル顔負けの知名度を持つ犬がいるなど、世界中の人を魅了している犬種のひとつです。アメリカや日本では常にランキングの上位に名前を連ねていて、とても人気な犬種です。
ポメラニアンの歴史
その歴史は数世紀前に遡ります。ポメラニアンの先祖であるスピッツを、品種改良で小型化したことがポメラニアン誕生のきっかけです。
スピッツ系にもさまざまな犬種がありますが、ポメラニアンの先祖にあたる犬種は正確には「ジャーマン・スピッツ」といわれています。ジャーマンという名前からもわかるように、原産国はドイツです。ジャーマン・スピッツは全部で6種類の大きさに分類され、それぞれに名前がついています。この6種類全てが正式に血統を認められていますが、中でも一番大きなサイズのジャーマン・スピッツは「ウルフ・スピッツ」と呼ばれ、体重が27kg以上にもなる大型犬です。一方ポメラニアンはこの中でも最も小さなサイズで、ポメラニアンと呼ばれるようになる前は「ジャーマン・ツヴェルク・スピッツ」と呼ばれていました。一番大きなウルフ・スピッツ以外は全て愛玩犬にすることを目的に品種改良が行われたため、小型化しています。
ポメラニアンという名前は、ポメラニア地方という地名にちなんだものです。原産国はドイツとされていますが、現在のポメラニア地方はポーランドとドイツにまたがっています。
また、17世紀頃からポメラニアンの人気はヨーロッパの王族を中心に一気に広まり、とくにヴィクトリア女王は小型のポメラニアンをこよなく愛していたことが知られています。また、この頃にすでに小さかったサイズの小型化がさらに進みました。
サイズ
小型犬に分類されます。体高は、およそ18cm〜25cmほどで、体重は1.4kg〜2.5kgほどです。ボリュームのある毛とシルエットでモコモコに見えますが、ほかの小型犬同様に骨格は細いです。
顔のサイズは比較的小さく、マズルも短い印象を持つ人が多いと思います。このマズルが短い丸顔のポメラニアンはたぬき顔と呼ばれ、対してマズルが長い凛々しいお顔立ちはキツネ顔と呼ばれることも。優しい印象のポメラニアンを目指して品種改良される中で、たぬき顔同士が多く交配されてきました。キツネ顔のほうが先祖のスピッツの特徴を色濃く残していて、個体差はありますが、キツネ顔のポメラニアンのほうが一般的なポメラニアンよりも大きめであることが多いです。
また「ティーカップ・ポメラニアン」と呼ばれる、標準サイズのポメラニアンよりも明らかに小さいポメラニアンがいます。正式に認められた犬種ではないので小さいポメラニアンに対する愛称のような呼び名です。大きさなどの規定はないので、あえて表記する必要がある場合などは「極小ポメラニアン」と表記されることもあります。
性格は?

とても活発な性格です。活動量は多いため、運動量も必要とします。毎日のお散歩は欠かさずに行くようにしましょう。
つぶらな瞳でとても愛らしい反面、吠えやすい一面も。しつけがきちんとできていないと、無駄吠えしやすい犬になることもあるので、子犬の頃からのしつけは欠かせません。子犬期にしっかり色んな音や人、犬などに慣れさせておいてあげるとよいでしょう。賢い一面もある犬種なので、正しく教えれば比較的学習するのも早いです。一緒に暮らし始めた段階で、しっかりトレーニングをしておきましょう。
被毛・毛色について

ポメラニアンの最大の特徴の一つであるモフモフな被毛。近年はお手入れやケアのバリエーションが増え、飼い主がより楽しめるようになりました。
被毛のこと
被毛のタイプは、身体の温度を調節するアンダーコートと、外部の刺激から身体を守るオーバーコートのふたつを持つ、「ダブルコート」です。
■お手入れのコツ
年間を通して抜け毛の多い犬種ですが一年に2回換毛期があり、その時期は特に抜け毛が増えます。毎日のブラッシングで、不要な毛をしっかり取り除いてあげましょう。密集した毛も細く絡まりやすいので、毛玉にならないように注意してください。
近年はさまざまなカットを楽しむ飼い主さんも増えましたが、本来はトリミングする犬種ではなく、日々のお手入れ、グルーミングが重要になってくる犬種です。伸びた毛で足を滑らせないよう、足回りの毛をカットする程度で十分です。
流行りのカットスタイルには、機能的なサマーカットのほかに、全体的に丸くぬいぐるみのようにするカットや、柴犬の子犬のようになる柴犬カット、顔まわりの毛だけ長く残すライオンカットなどがあります。
毛色のこと

ホワイト、ブラック、ブラウン、オレンジ、グレーなどがあります。もっともメジャーなのはオレンジですが、近年人気が高まっているのはホワイトです。中には、ブラックベースで顔周り、眉、足先だけ色が異なる「タン」や、毛先にかけて色がグラデーションになっている「セーブル」という色などもあります。そしてこれらのカラーがコンビネーションで混ざっている場合もあるので、毛色のバリエーションがとても多い犬種のひとつです。
寿命はどれくらい?
アニコムの「家庭どうぶつ白書2022」によると、ポメラニアンの平均寿命は13.8歳です犬全体の平均寿命は14.1歳のため、平均的な犬種であることがわかります。
ポメラニアンの気を付けたい病気
ポメラニアンを選ぶメリットのひとつと考える人もいるほど、比較的身体の丈夫な犬種です。ただし、ヴィクトリア女王の存命中に、それまでの大きさの半分ほどにまで小型化されたポメラニアンは、小型犬特有の病気を発症しやすいです。
「気管虚脱」はその典型的な例で、チワワやヨークシャー・テリア、マルチーズといった愛玩犬として生まれた小型の犬と同様に、ほかの疾患と比べても群を抜いて患いやすいというデータが出ています。気管虚脱を患うと、気管の形がなんらかの原因で潰れてしまい、呼吸が苦しくなるといった症状がみられます。咳が増えたり、呼吸するときに異常な音が鳴ったりする場合もあります。
一般的には年齢を重ねることでより発症しやすくなる疾患ですが、ポメラニアンの場合は若くして発症することも珍しくありません。治療には、咳止めや気管を拡張する内服薬を投薬することが多いですが、場合によっては手術を行うこともあります。
また、小さな口を持つ小型犬に共通していえることですが、「歯周病」には注意が必要です。歯磨きがしにくかったり、小さい口の中の汚れに気付きにくかったりといったリスクが高いためです。ただしこれは予防できる病気なので、日々の歯磨きをしっかりしてあげるようにしてください。
家族の一員として迎える方法
ペットショップでポメラニアンを探す
人気の高いポメラニアンはペットショップで迎えることもできますが、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。
ブリーダーさんから紹介してもらう
ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬に会えるようなら、実際に大きさや性格に注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て、相性の良い子を迎えたいですね。
繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。
※アニコムグループの(株)シムネットが運営する『みんなのブリーダー』へ移動します。
里親になる
最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でポメラニアンと出会える機会もあるかもしれません。
お迎えの費用は?
ポメラニアンの子犬を迎えるにあたってかかる費用は、ペットショップの場合は平均30万~50万円程度、ブリーダーの場合は、20万円~40万円程度です。ショップやブリーダーによっても価格に差があります。
まとめ

長い歴史の中で時代とともに姿形を変えてきたポメラニアン。仲間意識が強く飼い主さんへの愛情表現も豊かなので、最高のパートナーになってくれるでしょう。
