ピットブルの呼び名で知られる「アメリカン・ピット・ブルテリア」は、筋肉質でたくましい体をした闘犬としての歴史を持つ犬種です。
攻撃能力が高いことが知られていますが、トレーニング次第で社交的になり、その身体能力を活かして一緒にアクティブに過ごすこともできます。
そんなピットブルの性格やどんな危険性があるのか紹介します。

ピットブルってどんな犬種?特徴は?

ピットブルについて、犬種名を聞いたことがある人も少なくないものの、実はジャパンケネルクラブ(JKC)や、アメリカンケネルクラブ(AKC)には登録がありません。

初めて犬種として認定した機関はアメリカのユナイテッドケネルクラブ(UKC)で、日本ではNPO法人日本社会福祉愛犬協会(KCJ)が血統証の発行を行っています。

歴史

ピットブルはアメリカ原産の犬種です。

ルーツは、18世紀から19世紀のイギリスで闘犬が盛んだった頃、ブルドッグの力強さとテリアの俊敏性を兼ね備えた犬の需要が高まり、交配がはじまりました。
そうして誕生したスタッフォード・シャー・ブルテリアがアメリカへと持ち込まれ、その後改良されてアメリカン・ピット・ブルテリアとなったといわれています。

サイズ

体高は男の子が46〜53cm、女の子が43〜50cmほどになります。
体重は男の子が16〜27kg、女の子は14〜23kgの中・大型犬です。

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ピットブルは危険?事件・事故について

ピットブルの事件・事故は世界で見られ「危険な犬種」として認識されています。
咬傷事故で相手の人やペットを死亡させてしまうこともあり、そういった事故のニュースが人々に衝撃を与えているのは間違いないでしょう。日本でも度々ピットブルに関する事件が報道されています。一部の国では、ピットブルの輸入や飼育が禁止されています。

一方で、ピットブルは忠実で勇敢な性格を持ち、飼い主への愛情や忠誠心が深いことで知られています。適切なトレーニングと社会化を行うことで、社交的で人懐っこく、家族との絆を大事にするように育ちます。犬種にかかわらず、問題行動を起こさせないためには、飼い主の責任ある管理と訓練が非常に重要です。

ピットブルはお家で飼える?飼育は禁止?

日本の都道府県、市区町村では条例によって、これまでに起きた大型犬による重大事故を受けて、攻撃性の高い犬種を「特定犬」として定めています。

特定犬は茨城県では8種類、佐賀県では10種類定められています。このどちらにもピットブルが含まれ、脱走防止のため頑丈な犬舎(おり)での飼育と標識シールを見える場所に掲示することが定められています。

幼少期から十分なしつけ・トレーニングを受け、適切な運動をすることで、人に対して友好的になりますが、もとは犬同士を闘わせる闘犬であったことを忘れてはいけません。
そのため、小さい子どものいる家庭や年配の方がいる家庭で飼うのはもちろん、飼育環境が整っていない人や、犬をはじめて飼う人の場合、脱走や事故・事件の危険を高めることになります。

被毛・毛色について

被毛は硬さがありつつも、滑らかでツヤがあります。

毛色はマール以外であれば、色・柄の規定は特にありません。

短毛なのでカットなどは必要ありませんが、週に1回程度を目安にブラッシングしたり、体を拭いてあげたりといったお手入れをしてあげましょう。換毛期には抜け毛が多くなるので、こまめなブラッシングを心がけましょう。

寿命はどれくらい?

ピットブルの寿命は14年ほどといわれています。アニコムの「家庭どうぶつ白書2022」によると、犬の平均寿命が14.1歳なので、平均的といえるでしょう。

ここ数年でフードも色々なものが出ていますし、医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動など気を使ってあげるといいでしょう。

ピットブルの気を付けたい病気

ピットブルは股関節形成不全やチェリーアイ、アレルギー性皮膚炎、口蓋裂などになりやすいので注意が必要です。
痛みを我慢してしまう傾向があるので、日々の健康チェックや定期的な健康診断をすると安心です。

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ピットブルを家族の一員として迎える方法

ピットブルをぜひ家族の一員に!と思ったら、どこで出会えばいいのでしょうか。主に考えられる方法は3つあります。

ペットショップで探す

ペットショップなら、フードやトイレなど、犬との暮らしに必要なものを一緒に揃えられるため、迎えたその日からきちんと住環境を整えてあげることができそうです。とはいえ、ピットブルをペットショップで見かけることは多くないので、事前に取り扱いがあるか確認してから行くとよいでしょう。

また、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんからお迎えする最大の特徴は、迎えると決めた子の特徴やクセ、これまでの成長の様子や環境などをブリーダーさんに直接聞いたり、質問できたりすることです。また、親猫や兄弟・姉妹たちの姿を見る機会も得られる可能性があるので「将来どんな風に成長していくのか」を想像しやすいこともメリットです。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でピットブルと出会える機会もあるかもしれません。

まとめ

ピットブルは「怖い」や「危険」といった印象をもたれやすい犬種ではありますが、気質を十分理解し、適切な飼育環境を整備しトレーニングを行うことで、良きパートナーになり、日々の暮らしを楽しむことができるでしょう。

監修獣医師

長根あかり

長根あかり

大学で動物行動学やアニマルセラピーを学ぶ。保護犬を家族に迎えたこと、野良猫の保護をした経験から、「保護犬・猫について」や「正しい飼い方」の情報発信の必要性を感じ、大学卒業後はペットメディアで勤務。その後はフリーライターとして執筆活動しながら保護シェルターで働き現状を知る。 現在は、動物ライターとしての執筆活動のほか、ドッグトレーナーとして飼い主さんとワンちゃんの暮らしが良くなるように、アドバイスやトレーニングを行っている。