真っ白で柔らかな被毛に、丸くて真っ黒な目。日本では、1970年代頃から人気が続いているマルチーズですが、最近ではカットの種類も増え、今までとは一味異なる新しい表情が見られるなど、その魅力はさらに増しています。世界最古の愛玩犬ともいわれ、世界中で愛されてきた犬種です。今回は、そんなマルチーズの性格や寿命、気をつけたい病気などについて解説します。

マルチーズってどんな犬種?

マルチーズってどんな犬種?

マルチーズは英語で「Maltese」と表記されるヨーロッパ原産の犬ですが、日本でも多くの人に愛されている犬種です。アニコムの犬種ランキングでも、おなじみです。日本以外でも古くからずっと親しまれていて、世界中で愛玩犬として高い人気を誇っています。現在ペットとして人気のある犬種の多くは、もともと使役犬として活躍してきた歴史がありますが、マルチーズは初めから愛玩犬として飼われていたのも特徴のひとつです。

歴史

マルチーズの名前は、「マルタの犬」という意味の言葉から来ています。その名のとおり、中央地中海沿岸地域に浮かぶ島、マルタが原産といわれていますが、マルタに持ち込まれる前はアジアからやって来たという説もあります。

そんなマルチーズはイソップ物語に二度も登場していて、「長い船旅をするものや船員のペット」だったことがわかっています。昔から人々と深い関わりがあったことが伺えます。

フランスでは15世紀頃から貴族のペットとして愛されてきました。その後、イギリスからヨーロッパ全土に広がり、市民の間でもメジャーな犬種になりました。日本では、1960年代後半から1980年台前半まで、室内犬の代表として人気を博しました。以降現在に至るまで多くの家庭で愛され、常に人気犬種ランキング入りしているなど、とても魅力的な犬種だといえます。

サイズ

体重は2〜3kg、体高20〜25cm程度の小型犬です。骨格は華奢なタイプです。

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性格は?

ドッグランを走るマルチーズ

愛玩犬として長い年月を人間と過ごしてきたマルチーズ。人なつっこく、外交的な性格の持ち主です。その明るさで人々を癒してきましたが、活発で好奇心旺盛な一面もあります。賢く飼い主には従順な性格も、トップの人気を誇ってきた理由のひとつと言えるでしょう。

ただし、ときには勇敢な部分や小型犬特有の警戒心を垣間見せることがあり、自分よりも大きいほかの犬に対して吠えることも少なくありません。とはいえ、穏やかな子が多いのが特徴です。

飼い主さんに褒めてもらうことにとても大きな喜びを感じるので、しつけなども褒めながら進めるとさらに飲み込みが早いです。愛玩犬とはいえ、元気で活動的な一面があります。意外と運動もするので、毎日のお散歩は欠かさず行ってあげましょう。

被毛・毛色について

白く柔らかな毛が印象的な犬種です。被毛の美しさから、シルキーコートとも呼ばれます。その美しさを保つには、日々の丁寧なお手入れが欠かせません。

被毛のこと

モコモコでフワフワなイメージを抱く方も多いかもしれませんが、マルチーズの毛は直毛です。かつてのスタンダードなカットデザインは、地面に届くほどの長さにするフルコートでした。

被毛はオーバーコートのみのシングルコートなので、換毛期がなく抜け毛は比較的少ないです。細く柔らかい毛は毛玉になりやすいため、毎日のブラッシングが重要になってきます。毛が抜けにくい分、どんどん伸びていくので、トリミングも行う必要があります。

また、目の周りや口回りは汚れやすいため、こまめに拭いてあげたり、毛を短くカットしてあげると衛生的です。

毛色のこと

もっとも多いのは全身ホワイトの純白ですが、タンと呼ばれる黄褐色や、レモン色の部分があるマルチーズもいます。

寿命はどれくらい?

アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」によると、2021年時点の平均寿命は13.6歳です。犬全体の平均は14.2歳となっています。

マルチーズの気を付けたい病気

ほかの犬種と比較して多いのは、涙やけや涙管閉塞を含む眼の疾患で「流涙症(りゅうるいしょう)」はその代表的な疾患です。流涙症を引き起こす原因はいくつか考えられるので、治療の方法もそれぞれ変わってきます。

また、「弁膜症」という心臓の左心房と左心室の間に位置する僧帽弁(血液を送り出すために開いたり閉じたりする機能を持つ弁)が、なんらかの原因で変性し、閉鎖不全が生じるために起こる病気にも気を付けたいです。

そのほか長い毛と垂れた耳を持つマルチーズは、外耳炎なども起こしやすいので、注意が必要です。初心者にも飼いやすいといわれているものの、こまめな耳のケアは欠かせません。

普段と違った様子がみられたら、早めに動物病院に連れていくことや定期的な健康診断を行うことが、健康維持のために大切です。

家族の一員として迎える方法

ペットショップでマルチーズを探す

人気の高いマルチーズはペットショップで迎えることもできますが、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんは親犬を飼育し繁殖をしているため、親犬の性格や気質をよく理解しています。親犬に会えるようなら、実際に大きさや性格に注目してみると良いでしょう。もちろん最後は子犬を直接見て、相性の良い子を迎えたいですね。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。子犬とは限りませんが、こうした譲渡会や里親募集でマルチーズと出会える機会もあるかもしれません。

お迎えの費用は?

マルチーズの子犬を迎えるにあたってかかる費用は、ペットショップの場合は平均20万~40万円程度、ブリーダーの場合は、10万円~30万円程度です。ショップやブリーダーによっても価格に差があります。

まとめ

抱っこされるマルチーズ

生まれてから数ヶ月も経つと、毎月のトリミングなど被毛を中心としたお手入れが増えるマルチーズ。それでも流行りのテディベアカットや長い毛を生かしたエレガントカットなど、さまざまな一面を見せてくれるのも魅力の一つです。事前に犬種に関する理解を深め、楽しいマルチーズとの生活を楽しんでくださいね。

監修獣医師

犬百科編集部

犬百科編集部

獣医師を含む犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、犬の凄さや可愛らしさについて情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。