飼い主の食事中、猫が人間の食べ物に興味を示したり、欲しがったりすることもあるのではないでしょうか。しかし、人間の食べ物の中には、猫にとっては命にかかわる危険を及ぼしたり、健康を害したりする可能性を持つものもあります。本記事では猫に与えると危険な食べ物、大丈夫な食べ物をまとめて解説します。大丈夫な食べ物であっても、与える際の注意点などもあるので、愛猫のためにも、しっかりチェックしてあげるようにしましょう。
※本記事は、人間の食べ物を猫に与えることを推奨している訳ではありません。猫によっては、どんな食べ物でもアレルギーを引き起こす可能性があるので、十分に注意してください。
これって猫が食べても大丈夫? 食材ごとに解説!
猫に与えると危険な食べ物か、それとも大丈夫な食べ物かを食材ごとに解説していきます。
判定基準は以下の通りです。
×:絶対与えてはいけない危険な食べ物
中毒やアレルギーなどの症状を引き起こしてしまい、最悪の場合は死に至ることもあるので、絶対に口にすることがないように気をつけるべき食べ物。
△:十分に注意すべき危険な食べ物。
与え方によっては危険な食べ物。なぜなら、病気を引き起こす可能性があります。
〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
健康な猫であれば、ひとつまみ程度の少量かつ1日に1、2種類の食材までを守れば与えても害がない食べ物。ただし、食材によっては与え方の注意点があります。
野菜

玉ねぎ | × |
長ねぎ | × |
にら | × |
にんにく | × |
アボカド | × |
ゆり根 | × |
ごぼう | △ |
春菊 | △ |
たけのこ | △ |
ふきのとう | △ |
水菜 | △ |
れんこん | △ |
じゃがいも | △ |
アスパラガス | 〇 |
いんげん | 〇 |
枝豆 | 〇 |
かぼちゃ | 〇 |
キャベツ | 〇 |
きゅうり | 〇 |
ゴーヤ | 〇 |
さつまいも | 〇 |
さやえんどう | 〇 |
しいたけ | 〇 |
そら豆 | 〇 |
とうもろこし | 〇 |
トマト | 〇 |
菜の花 | 〇 |
にんじん | 〇 |
白菜 | 〇 |
ピーマン | 〇 |
ブロッコリー | 〇 |
レタス | 〇 |
×:絶対にNGな食材
- 玉ねぎ・長ねぎ・にら・にんにく
ねぎ類には、赤血球を破壊する成分「アリルブロビルジスルファイド」が含まれているので、重度の貧血を起こすことがあります。直接食べるだけでなく、煮汁でも中毒を起こします。
- アボカド
「ペルシン」という成分によって、痙攣や嘔吐・下痢等の中毒症状を起こすことがあります。
- ゆり根
有毒成分はわかっていませんが、重度の腎機能障害を引き起こします。ゆり根だけでなくユリ科の植物は花や葉など、どの部分でも口にすると中毒を起こしますので十分気を付けましょう。
△:与え方には注意!
以下の食材を与える場合は、いずれも茹でて刻んだものをごく少量(ひとつまみ程度)にしてください。
- ごぼう・れんこん
尿石症の原因となるミネラルと、肝臓や腎臓障害の原因となる「タンニン」を含みます。
- たけのこ・ふきのとう・春菊
たけのことふきのとうのアクには、シュウ酸が含まれるため、摂りすぎると尿石症になる恐れがあります。
- 水菜
「カルシウム」過多で尿石症になることがあります。
- じゃがいも
芽や皮には「ソラニン」という毒性の強い成分が含まれるので、その部分を除いて与えます。
〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
生のままでも大丈夫なのは、きゅうり・レタスです。基本的には素茹でして、食べやすい大きさに細かく刻んで、少量(ひとつまみ程度)に留めましょう。
- アスパラガス・いんげん・キャベツ・ゴーヤ
生のままでは消化不良を起こします。
- 枝豆・さやえんどう・しいたけ
食物繊維が豊富なため、お腹が弱い猫には与えるのを控えてください。
また、塩茹でしたものは与えてはいけません。
- かぼちゃ
果肉の部分なら大丈夫。ただし、高カロリーなので与えすぎには注意です。茹でて種も取り除いて与えます。
- きゅうり
「カリウム」などが多少含まれていますが、ほぼ水分なので与えても大丈夫。
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- さつまいも
「でんぷん」が多く含まれるため、摂りすぎは肥満の原因に。
- そら豆
「カリウム」が豊富に含まれるため、腎臓病の猫には注意が必要です。
- とうもろこし
皮が硬くて消化されにくいです。
- トマト
ヘタを除いた身の部分、成熟したものであれば大丈夫。
- 菜の花・ブロッコリー
成分的には問題ありません。調味料で和えたものは決して与えないでください。
- にんじん
十分に火を通して、すり潰してからにしましょう。生で与えると下痢の原因になります。
- 白菜
消化がいいので、少量であれば問題ありません。
- ピーマン
皮が硬いので、素茹でしたものにしましょう。
- レタス
ほとんどが水分で「マグネシウム」なども少量のため、与えても大丈夫です。
果物

ぶどう | × |
いちじく | × |
パパイヤ | × |
マンゴー | × |
りんご | △ |
みかん | △ |
いちご | 〇 |
さくらんぼ | 〇 |
スイカ | 〇 |
梨 | 〇 |
パイナップル | 〇 |
バナナ | 〇 |
メロン | 〇 |
桃 | 〇 |
×:絶対にNGな食材
- ぶどう・レーズン
腎臓に何らかの障害をきたす可能性があります。猫へにとっては、有害であるため、絶対に与えてはいけません。
- いちじく
中毒を起こす「フラノクマリン」という成分が含まれています。口の中に炎症が起きたり、嘔吐することがあります。
- パパイヤ
「パパイン」という酵素がアレルギーを引き起こす可能性があります。
- マンゴー
皮部分に多く含まれる成分「カルドール」によってアレルギーを起こすことがあります。
△:与え方には注意!
りんご 糖分が高いので、与えすぎると肥満や糖尿病のリスクがあります。果肉が硬いので、のどに詰まる恐れがあります。細かく刻んであげてください。
- みかん
みかんの皮にはソラレンやリモネンという中毒成分が含まれていて、皮を食べると嘔吐、下痢などの症状が出ることがあります。果実や果汁は問題ないとされていますが、猫は柑橘系のにおいを嫌うことが多いので与えることはおすすめではありません。
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〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
- いちご
食物アレルギーにより消化不良を起こし、摂りすぎると下痢を起こすことがあります。
- さくらんぼ
種の中身に中毒成分が含まれています。丸ごと食べると腸を詰まらせる原因にもなりますので気を付けましょう。茎も取り除いてください。
- スイカ・メロン
「カリウム」が多く含まれるため、腎臓病の猫には注意が必要です。
- 梨
果肉が硬いので、のどに詰まる恐れがあります。細かく刻んであげてください。
- パイナップル
たんぱく質分解酵素の働きによって、舌がヒリヒリすることがあります。
- バナナ
カロリーが高いため、与えすぎは肥満の原因になります。
- 桃
果肉のみなら大丈夫です。ただし、種は中毒を起こす可能性があるので絶対に与えないでください。
魚介類・海藻
猫と言えばお魚! そんなイメージをお持ちの方も多いのでは? しかし、魚の中にも猫に与えると危険なものもあります。また、与えても大丈夫な魚であっても、与え方や分量を守る必要があります。
エビ(生) | × |
イカ(生) | × |
カニ(生) | × |
貝類(生) | × |
タコ(生) | × |
アジ | △ |
イワシ | △ |
サバ | △ |
サンマ | △ |
カツオ | △ |
わかめ | △ |
カンパチ | 〇 |
サケ | 〇 |
タイ | 〇 |
マグロ | 〇 |
×:絶対にNGな食材
- エビ(生)・イカ(生)・タコ(生)・カニ(生)
チアミナーゼというビタミンを分解する酵素を含んでいて、食べることでビタミンB1欠乏症になり、足の力が入らないといった症状から、重度の場合は意識障害なども起こすことがあるといわれています。どのくらいの量を食べたら中毒になるかはわかっていませんが、基本的には与えない方がよいでしょう。
また、一部の淡水魚、海水魚も少量のチアミナーゼを含んでいます。基本的には魚介類を生で与えることは避けましょう。チアミナーゼは加熱することで簡単に機能を失います。魚介類を与える場合は火を通してから少量を与えるようにしましょう。
- 貝類
あさり・ハマグリ・アワビなどの貝類は、チアミナーゼを多く含み中毒症状を起こすなど病気になる可能性があります。
またアワビやサザエなどはピロフェオホルバイドαという有毒成分を含んでいて、食べた後に日光に当たると皮膚炎を起こすなどの症状(光線過敏症)がみられます。「猫がアワビを食べると耳が落ちる」などの通説はここからきているものです。ピロフェオホルバイドαは加熱しても毒性がなくなりませんので生、加熱にかかわらず与えてはいけません。
△:与え方には注意!
骨には十分に注意してください。
- アジ・イワシ・サバ・サンマ
アジ・イワシ・サバ・サンマなどの青魚は、「アニサキス」という幼虫が寄生しやすく、害を及ぼす恐れが。また、「不飽和脂肪酸」が多く含まれるため、黄色脂肪症になる恐れがあります。
どうしても与えたい場合は、茹でてほぐしたものを、ひとつまみ程度の少量に留めてください。
- カツオ
青魚同様、「不飽和脂肪酸」が多く含まれるため、黄色脂肪症になる恐れがあります。与える場合は、刺身の半切れ程度を月に1回程度の頻度にしましょう。
- わかめ
「カルシウム」などのミネラルが含まれるため、櫃尿器系の病気にかかったことがある猫には与えないでください。与える場合、必ず塩抜きしてください。
〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
新鮮なものであれば与えても大丈夫です。与える場合はいずれも刺身で半切れ程度にしましょう。また、味付けをしていないものを選び、ネギやニンニクなどの薬味には注意していください。
- カンパチ・サケ
たんぱく質が豊富です。
- タイ
脂肪分が少なくヘルシーです。
- マグロ
トロは脂肪分が多いので、避けてください。
肉類
猫は元来、肉食動物です。お肉を与える場合の注意点を解説します。
牛肉 | 〇 |
鶏肉(ささみ) | 〇 |
豚肉 | 〇 |
〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
必ず、茹でてから与えるようにしましょう。生で与えると、下痢などを起こしてしまうかもしれません。
特に、豚肉は、トキソプラズマという原虫感染症を引き起こす危険もあります。
また、牛肉や豚肉の脂身は避けるようにしましょう。
炭水化物
炭水化物については以下の通りです。
そば | △ |
パン | △ |
米 | 〇 |
そうめん | 〇 |
餅 | 〇 |
△:与え方には注意!
- そば
アレルギーを引き起こすことがあるので、食べさせた後は注意して様子を見ましょう。アレルギーがなければ少量与えても大丈夫です。
- パン
必要以上に炭水化物が含まれるため、与えすぎると糖尿病になる恐れがあります。
〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
- 米
米は生米のままだと、消化不良を起こし下痢や嘔吐を引き起こす可能性も。与えるなら、炊いた状態で小さじ1杯程度に留めましょう。
- そうめん
麺は少量の油や多くの塩分を含むため、茹でた後に水洗いしたものであれば大丈夫です。与えるなら、1本分(20cm)だけ、2㎝程度に切ってからにしましょう。
- 餅
のどに張り付いて窒息する危険があるため、与えるなら焼いたり茹でたりしたものを米粒程度に小さくするようにしましょう。
乳製品

牛乳(人用) | △ |
チーズ(カッテージチーズ) | △ |
生クリーム | △ |
コーヒー用ミルク | 〇 |
ヨーグルト | 〇 |
△:与え方には注意!
- 牛乳(人用)・生クリーム
人用の牛乳には乳糖という成分が含まれていて、猫の中にはこの乳糖を分解する酵素が少ないために下痢をしやすい子がいます。猫にミルクを与える場合は乳糖が含まれない猫用ミルクを与えるようにして、人用の牛乳やコーヒーミルク、生クリームを与えないようにしましょう。
- チーズ(カッテージチーズ)
チーズは塩分が多いため、与えるなら塩分が少なく、消化にいいたんぱく質が含まれるカッテージチーズにしましょう。
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〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
- コーヒー用ミルク
植物性のものであればひとなめ程度は大丈夫。ただし、乳糖不耐症の猫には控えるようにしましょう。
- ヨーグルト
与えすぎは下痢などの原因に。意外と脂肪分も含まれるため、太り気味の猫には控えましょう。
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加工食品
キシリトール(甘味料) | × |
ピーナッツ | × |
チョコレート・ココア | × |
あんこ | △ |
かつおぶし | △ |
かにかま | △ |
ツナ | △ |
豆腐 | △ |
にぼし | △ |
のり | △ |
ハム | △ |
ゼリー(ゼラチン) | 〇 |
×:絶対にNGな食材
- キシリトール(甘味料)
低血糖になり、意識の低下やけいれん、肝障害を起こす可能性があります。最悪の場合は、死に至ることもあります。
- ピーナッツ
殻付きのままだと窒息してしまいます。豆だけでも、噛み砕けずに消化不良となる可能性もあります。また、油脂を多く含むため、下痢や嘔吐を引き起こす可能性もあります。
- チョコレート・ココア
「テオブロミン」という成分により嘔吐や下痢、興奮等の中毒症状を起こす可能性があります。最悪の場合は、死に至ることもあります。
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△:与え方には注意!
- あんこ
粒あんは消化に悪いので与えるならこしあんにしましょう。砂糖が多く含まれているので肥満に注意。また、甘さを引き立てるための塩も入っているので、腎臓病の原因にもなります。
- かつおぶし・のり
ミネラルが豊富なので尿石症の原因に。泌尿器系の病気がある猫には与えないでください。
- かにかま
塩分が多いため、泌尿器系の病気がある猫には与えないでください。
- ツナ
塩分や脂分が多いため、内臓に負担をかけてしまいます。
- 豆腐
豆腐を作るニガリに含まれる「マグネシウム」により、尿石症の原因になります。
- にぼし
与えるなら塩抜きしたものにしましょう。それでも塩分が含まれるため、頻繁に与えると尿石症の原因になります。
- ハム
塩分が多く含まれるため、どうしても与えたい場合は塩分控えめのものを選ぶようにしましょう。
〇:健康な猫であれば大丈夫! 与え方には気を付けて
- ゼリー(ゼラチン)
砂糖不使用のゼリーであれば大丈夫。食べやすく潰して与えるようにしましょう。
飲み物

緑茶 | × |
コーヒー・紅茶 | × |
酒(アルコール) | × |
ミネラルウォーター | △ |
麦茶 | △ |
×:絶対にNGな食材
- 緑茶・コーヒー・紅茶
カフェインを含む飲み物、緑茶・コーヒー・紅茶を口にすると、中毒によって興奮などの神経症状を起こしたり、心臓に異常をきたしたりする恐れがあります。
- 酒(アルコール)
脳や体の細胞が破壊され、命にかかわる事態になることもあるので与えないようにしてください。
△:与え方には注意!
- ミネラルウォーター
軟水を適量であれば大丈夫。硬水は「カルシウム」などのミネラルが多く含まれるため、泌尿器系の病気がある猫には与えないでください。
- 麦茶
大麦に含まれるミネラルが尿石症の原因になります。尿石症になったことがある猫には与えないでください。
猫にNGな食べ物を食べてしまった場合の対処法は?
NGな食べ物を与えるつもりがなくても、一瞬のすきに、猫が口にしてしまうこともあるかもしれません。万が一、口にしてしまったときは、何をどのくらい食べてしまったのかを冷静に確認しましょう。誤食してしまったものや量によって対処法が異なるので、すぐに動物病院に確認をして、連れていくようにしましょう。
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誤食をしないために今日からできる対策をご紹介
人間の食べ物に執着心が強い猫もいます。そんな猫でも危険な食べ物を口にすることがないよう今日からできる対策方法をご紹介します。
対策方法
・キッチンやテーブルに食材を出しっぱなしにしない
食材などは猫の手の届くところに出しっぱなしにしてはいけません。猫の手が届かない冷蔵庫や棚にすぐにしまうようにしましょう。
・生ゴミはすぐにフタ付きのゴミ箱に
料理後にでた生ゴミは、猫が開けられないフタ付きのゴミ箱へすぐに捨てましょう。
・人の食事前に猫にフードを与える
空腹が満たされていれば人間の食べ物を欲しがらなくなるかもしれません。
・食事中は猫を別の部屋に移動させる
食事が終わるまでは別の部屋に移動させておくのもいいでしょう。食事の前後におもちゃで遊ぶなどのご褒美も忘れずに。
最後に
愛するわが子に美味しいものを食べさせてあげたい、一緒に美味しいものを食べたいと思う気持ちもわかりますが、人間と猫は違う生き物です。当然、身体の構造や必要となる栄養素も異なります。人間の食べ物を与えることは基本的には推奨できませんが、与える場合は正しい知識を持って慎重に与えるようにしましょう。また、危険な食べ物を誤って与えてしまうことのないように日ごろから気を付けてあげてくださいね。
病気になる前に…
病気は、いつわが子の身にふりかかるかわかりません。万が一、病気になってしまっても、納得のいく治療をしてあげるために、ペット保険への加入を検討してみるのもよいかもしれません。

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