チーズを見つめる子猫

料理やおつまみに大活躍のチーズ。よく食べるという方も多いと思います。そんなときに猫がかわいく「食べたいにゃ~」とおねだりしてくると、あげたいな、という気持ちになるかもしれません。

でも本当にあげても大丈夫なのでしょうか? そこで今回は、猫とチーズの付き合い方についてご紹介したいと思います。

そもそも猫にチーズをあげてもいいのか

ワインのおともにしたいカマンベールチーズやクリームチーズ。
ビールやハイボールのおつまみにピッタリなチーズ入りかまぼこや、鱈のチーズサンドといったチーズのおつまみ類。

どれもおいしそうですよね。おねだりする猫の気持ちは十分、わかります。
しかし、これら人間が食べるチーズは、猫にとっては脂肪分や塩分が高いため、あたえてはいけません。

ただ、猫用に調整された「猫用チーズ」なる商品もあります。こうしたものであれば、一定程度注意しながらあげても良いかもしれません。

猫のために作られたチーズ

人間が食べるチーズを、猫向けに改良して作られたのが「猫のために作られたチーズ」です。これなら人間のものより身体への負担が少ないと考えられます。

しかし、油断は禁物! 先述の通り、食べ慣れていないものを食べることで体調を崩してしまう可能性はあります。また、身体の大きさや年齢、体調や体質によっては、猫用だったとしても受け付けない場合もあります。

毒ではありませんので、過剰に怖がる必要はありませんが、猫用であったとしても、あなたの猫にも大丈夫かどうか注意して与えるようにしましょう。

猫にチーズをあげたときに考えられる病気のリスク

猫とチーズが一緒にうつっている画像

猫用であっても、与えすぎは禁物です。
与えすぎることで考えられるリスクは、次のようなものが挙げられます。

肥満

チーズはカロリーが高いので、まず真っ先に考えられるリスクとして「肥満」があります。肥満の原因は、おおよそ栄養のとり過ぎによるもの。これは、人間でも同じことです。

猫にチーズを与える場合の多くは「おやつ」としてでしょう。もし、1日に必要なフードを与えたうえでのおやつだとしたら、それはそのまま余分なエネルギーとなってしまいます。つまり、カロリーオーバーになるというわけです。

「愛猫は運動量も多いし、少しくらい食べさせても影響は少ないと思うのよね」という声も聞こえてきそうですが、油断は禁物です。

おやつを与えるなら、通常のフードから摂るエネルギーと、おやつで摂取するエネルギーを総計して100%(=1日に必要なエネルギー)になるよう管理してあげてください。おやつは10%以内くらいのエネルギーに留めておきましょう。また、定期的に体重を測るようにして、増加傾向が見られたら早めに対策を行うようにしたいですね。
なお、チーズを食べた分食事を減らすと、本来食事からとるべき栄養素が不足します。チーズ以外のおやつについても言えることですが、チーズをあげすぎたために食事を減らす、ということは、愛猫の健康のためにも避けたいところです。

【関連記事】
猫の体重はどれくらいが標準?何キロからが肥満?

下痢

チーズを食べることで下痢になってしまう要因は、大きく分けて3パターンあります。

    1. 食べ慣れていないものを食べたことで、お腹にストレスがかかり、下痢になってしまうことがあります。「食べたがる」と「食べ慣れている」は当然ながら違うこと。チーズも初めて食べる場合、下痢を起こす可能性が少なからずあります。また、その子にとってどうしても「合わない」ということもあり得ます。
    2. チーズに限らず、脂肪分の高い食べ物は、普通のものより消化するのも大変です。脂肪分の高いチーズを食べてしまうと、消化が追い付かず、下痢になってしまうことも。
    3. 3. チーズの原料、牛乳には、「ラクトース」という糖分が含まれます。これを分解できる酵素があれば問題ないのですが、大人の猫は、分解酵素がありません。糖分は水分を保持する特性があるので、分解できないラクトースが水を引き込み、下痢をする可能性があります。猫用チーズであれば考慮されていることが多いとは思いますが、成分の確認はお忘れなく。

【関連記事】
猫の下痢は何で起こる? 飼い主が知っておきたい原因と対策

尿路結石(尿石症)とチーズの本当のところ

ミネラル成分の過剰摂取や、尿のpHの関係などにより、ミネラル成分が膀胱炎などの尿路疾患を起こしてしまう可能性があります。

チーズと結石のできやすさに関連があるかは、今現在、証明されてはいませんが、結石以外の事もありますし、やはり与えすぎは避けたほうがよいでしょう。
今までに尿路結石になったことがある子は、かかりつけの獣医師と相談のうえで、チーズをあげるか検討しましょう。
なお、療法食を食べていたり、心臓病、腎臓病、糖尿病などの持病があったりする愛猫には、負担になる可能性があるため、チーズをあげるべきではありません。どうしてもという場合には、必ず獣医師と相談しましょう。

猫にチーズをあげる場合の注意点

  • チーズをあげるときは、猫用のチーズをあげる。
  • 与えても大丈夫かどうかは、猫 それぞれによって違う。
  • 飼い主として、猫の健やかな成長にふさわしいかどうか判断する必要がある。

では、実際に与える際には、どんなことに気をつけるべきでしょうか? いくつか例を挙げてみたいと思います。

【関連リンク】
尿石症 <猫>|どうぶつ病気大百科

分量に気をつける

先に述べた通り、はじめて与える食品はチーズに限らず少量を与えて様子を見ることが大切です。

種類に気をつける

猫用チーズと同じように犬用チーズも販売されています。与える際にはまず種類の違いを確認するようにしましょう。

無理に与えない

飼い主さんなら誰でも、猫に「おいしいごはんをあげたい」と思うものでしょう。しかし、もしその食品を猫が嫌がったり見向きもしないようなら、その意向を尊重してあげるようにしましょう。

まとめ

「猫はチーズが好き」という話を聞くと「うちの猫にもチーズをあげたら喜んでくれるかも!?」と考える方は多いかもしれません。

しかし、猫は当然ながら一頭一頭違う存在です。ほかの子が大丈夫でも、あなたの猫がそうでないのだとしたら、そちらを基準として考えましょう。

また、与えてみて異変があったら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
とくに、アレルギー体質であったり、以前「食べ慣れないもの」を食べたときに変わった様子が見られたのであれば、早めの通院が求められます。

猫の健康は飼い主であるあなたが支えてあげるもの。そのことを大前提にしましょうね。

【関連リンク】
家族を肥満から守ろう!(1)|どうぶつ病気大百科
尿石症|どうぶつ病気大百科

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監修獣医師

三宅史

三宅史

酪農学園大学卒。札幌市内の動物病院でホームドクターとして勤務する傍ら、母校に眼科研究生として通い、眼科専門診療を学ぶ。東京都内の大学病院での勤務を経て、2023年にアニコム損害保険株式会社入社。 子どもの頃からどうぶつが大好きで、いぬやねこ、セキセイインコやかめと暮らした日々が宝物。写真は、実家で共に育った先代猫。「犬派?猫派?」と聞かれると、両方好き過ぎて、決められずに困ってしまう。