他の猫のしっぽに手をかける子猫

猫もおならをするということを、知っていましたか? 猫も人と同様、おならをします。

猫のおならの基礎知識

ところで、なぜおならが出るのでしょうか。また、なにか病気との関係はあるのでしょうか。おならの基礎知識についてご説明します。

猫はおならをするの?

猫も人間同様、おならをします。食べた物が腸内細菌によって発酵する際に、ガスが発生します。そのガスのほとんどは腸管に吸収されますが、吸収されなかったものがおならとして排出されるのです。当然ですが、当たり前の生理現象です。

猫のおならの音は?

猫がおならをするとき、音が出ないことが多く、あまり気づくことはないかもしれません。聞こえても、「プスッ」など、ガスが抜けたような音が聞こえる程度です。
猫とふたりきりで過ごしているときに、急にただならぬニオイが漂ってきたら、猫がシレッとおならをしたのかもしれません。

猫のおならのニオイは?

何と比べたのか定かではありませんが、とても臭いと言われています。猫は基本的に肉食で、魚や肉を食べるどうぶつであることも関係しているかもしれません。肉類を食べたときには、消化器官で分解するときに、ニオイのもととなる、硫化水素、アンモニア、インドール、スカトールなどの物質が大腸で発生しやすくなり(とくにインドールは非常に臭いといわれる)、おならも臭くなるのです。

猫がおならをするポーズは?

伸びをするように、四つん這いになって踏ん張る格好をしておならをすることがあるようです。ただ、あまり決まったポーズはなく、座ったままシレッとした顔でするときもあれば、寝ながらするときもあります。人とおなじですね。

猫のおならに関係する病気や原因

猫のおならのイメージ画像

生理現象とはいえ、その量や頻度が異常であれば、何らかの消化管トラブルにより、おなかの中で過剰発酵していたり、大量のガスが滞留する原因が隠れている場合もあります。いつもより臭かったり、おならの頻度が多かったり、お腹が張っているなど、普段と違うところがある場合は、意識的に観察し、獣医師に相談しましょう。

腸閉塞(イレウス)

放置すると死に至ることもある重篤な病気です。原因はさまざまですが、誤飲による異物や、腫瘍、腸ねん転などにより、消化管の運動が止まり「腸閉塞(イレウス)」を起こすことがあります。当然、腸の内容物やガスも滞留するため、外見でわかるほどお腹が張ったり、激しい嘔吐を起こします。腸閉塞を起こしている原因を特定し、治療しないと、腸が破裂して死に至ることもあります。

慢性下痢

腸炎等の原因により、慢性的な下痢を起こしている場合、おならも顕著に出ることがあります。また、おならや下痢だけでなく、嘔吐を起こすこともあります。

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膵外分泌不全症

膵臓(すいぞう)は、消化酵素を分泌して、食べ物の消化吸収を助ける働きをしていますが、この分泌がうまくいかない状態になる病気を言います。その結果、消化不良や細菌の過剰増殖を引きおこすため、体重減少や下痢などの症状とともに、おならが見られることがあります。

ストレス

精神的なストレスによって腸の状態が悪化することもあります。こちらもおならだけでなく、軟便や下痢、嘔吐を併発することが多いようです。日頃から一緒に遊んだり、ブラッシングをしてあげたりするなどして、ストレスを感じさせないようにしてあげましょう。

猫のおならは改善できる?

もちろん、おなら自体は生理的に起きるものですので、問題はありません。ただ、おならの異常(頻度など)は、何かの病気のサインです。おなら自体が病気というより、あくまで「何らかの原因によって、腸の動きや細菌の活動などが影響を受け、結果的におならが出ている」という解釈になります。ですので、根本的な改善方法は、そもそもの原因に対して、適切に対処することが重要です。

おならの回数や臭いに注意しよう

最後に、猫のおならで注意したいポイントについてまとめてみました。

おならを頻繁にしていたり、普段はしないような異常な臭いがする場合は、腸の働きや状態に異常がある可能性があります。ほかにも、1日に何回もおならをしたり、他の消化器症状(下痢・嘔吐・腹痛など)をともなっているようであれば、早めに獣医師に相談してみてください。

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監修獣医師

小寺由希子

小寺由希子

2008年、鹿児島大学獣医学科卒業。卒業後は、大学病院にて内科系レジデントとなり内科全般および消化器内科について経験を積み、大阪府内動物病院にて犬猫中心に診療を行っていました。現在は、予防医療の実現をめざし飼育知識の普及活動および診療を行っている。小さな頃から猫と共に過ごし、現在も2頭の猫と暮らす。その生活はネコ中心。環境を処方することで猫の病気を減らし、猫ライフをより幸せにすることを目標に日々活動中。