じっと見つめる猫の画像

ただそこにいるだけで愛おしいわが子。甘えているのかな?と思ったら、次の瞬間にはどこかにいってしまう気ままな素振りは猫の魅力のひとつと言えるでしょう。

もし、そんな猫の心の機微や気持ちを知ることができたら…? 飼い主さんにとってはこの上ない喜びになるはず!

今回は「尻尾(しっぽ)」、「鳴き声」、「仕草」、「行動」の4つから、猫の気持ちを知る方法をご紹介します。

【関連記事】
しっぽで分ける猫の種類や、しっぽの動きでわかる猫の気持ち
猫の鳴き声。種類別の猫の感情としつけなど

「尻尾(しっぽ)」からわかる猫の気持ち

尻尾は、「尾椎(しっぽ)」という小さな骨が連なってできており、しなやかで多様な動きを可能にしています。その役割は、身体のバランスを取ることはもちろん、猫同士のコミュニケーションにも役立っているのです。

飼い主さんもこの表現豊かな猫の尻尾から、感情を読み取るチャレンジをしてみませんか?

尾椎(しっぽ)が垂直に立っている

猫のしっぽが垂直に立っている状態の猫

ピンっと立った猫の尻尾は、「うれしさ」をめいっぱい表現している合図。家に帰ったときにこの状態で出迎えてくれたら「おかえりー! 早く遊んで!!」と解釈してよいでしょう。

もともとは子猫が母猫に近づくときに存在をアピールするために行う仕草ですが、大人になってからは敵意がないこと、友好的なキモチを相手に伝えるために行うと言われています。

飼い主さんに対して行われる場合は、甘えているサイン。撫でたり、遊んであげるときっと喜んでくれますよ!

尾椎(しっぽ)を足の間に巻き込む

猫が尻尾をくるりと後ろ足の間に巻き込んでいるのは「怖い」と感じているサインです。まるでカメのようにカラダを小さくして防御のスタイルを取っていると考えられます。

おうちに迎えてすぐの猫がこうした仕草をしている場合は、周囲の変化が原因かもしれません。その中でも、特に「何に怯えているか」注意してみましょう。たとえば、掃除機や洗濯機から発せられる大きな音は、猫にとって「未知の恐怖」と言えるもの。そうしたものから遠ざけるよう配慮し、余計なストレスをかけずに過ごせるようにしてあげたいですね。

尾椎(しっぽ)を速く動かす

「ブンブン!」という音が聞こえてきそうなくらい猫が尻尾を速く動かしている時は、機嫌がよくなかったり、何か「戦う相手」を見つけてしまったところかもしれません。こういうときは無理に触ったり抱っこしたりせず、そっとしておくことが得策です。そう、犬では喜びの合図として知られていますが、猫では逆なのです。興味深いですね。

尾椎(しっぽ)を小さく速く動かす

「ピクピクッ」と小さく速く尻尾が動いているときの猫の感情はとくに複雑です。状況によりますが、何か考え事をしていたり、不安を感じていたり緊張しているケースが考えられます。

少なくとも、「尻尾を速く動かす」ときと同じくリラックス状態ではないので、無理に構ったりせず、落ち着くまで自由にしてあげた方がよさそうです。
こちらもぜひ参考にしてみてください。

【関連記事】
しっぽでわかる猫の気持ち

「鳴き声」から分かる猫の気持ち

猫が鳴いている状態の画像

猫の鳴き声といえば「ニャン」や「にゃあ」といったものが思い浮かびますが、一緒に暮らしているとさまざまな種類(イントネーション、長さ、音の高低)が使い分けられていることに気がつきます。

そんな「鳴き声」から、猫の気持ちを読み取ってみましょう。

ゴロゴログルグルと喉を鳴らす

のどの奥から聞こえてくる「ゴロゴロ、ぐるぐる」は、鳴き声とは言えないかもしれませんが、これも重要な合図です。一般的に、猫がリラックスしていたり、甘えている時のサインだと言われています。なぜゴロゴロ喉を鳴らすのかについては諸説ありますが、子猫が母猫に「お乳をちゃんと飲んでいるよ」と伝えるための音という説もあるのだとか。

もしあなたが撫でているときにこの音が聞こえてきたら、飼い主さんに身を委ねて安心している、と言えそうです。とっても嬉しいですね。

ニャー、ニャオと鳴く

小さなお子さんが猫のことを「ニャーニャー」と呼ぶのは、まさにこの鳴き声からきているのでしょう。猫の鳴き声といえばコレ、というものですね。

これは、挨拶のようなもので、何かアクションを起こす前触れでもあります。

ウー、シャーと鳴く

牙をむき出しにして「シャー!」と鳴く様子を見れば……間違いなくご機嫌でないことは理解できます。

怒りを感じた時や警戒している時に発せられるこの声。猫は興奮状態になっているので、無理になだめたりせず、落ち着くまで見守ってあげるようにしましょう。

たとえば、新しく猫を迎えたときにこの声が聞こえるようであれば、先住猫とケンカをしないように、注意して見守ってあげてください。

【関連記事】
猫の鳴き声。種類別の猫の感情としつけなど

「仕草」から分かる猫の気持ち

猫の仕草から気持ちを理解するためのイメージ画像

私たちにとっては愛らしい仕草ですが、そこには猫たちの感情がたっぷり詰まっています。となれば、そこからも感情を読み解くチャレンジをしてみたいですね。いくつか代表的なものをご紹介しましょう。

耳を横に寝かせている

猫の耳はとても優秀。人間には聞こえないような音(高音)もキャッチできると言われています。そんな耳が、ぺたっと寝ているときは、最上級のリラックス状態。気持ち良いと感じていたり、くつろいでいたりすると、脱力してたれ耳のようになってしまいます。

だらーっとした気持ちでいる猫の様子を見ると、こちらもゆったりとした心地になりそうですね。

威嚇する

全身の毛を逆立て背中を丸め、「ひとまわり大きくなった」ように見せるのは、全力で威嚇しているサイン。このとき、タヌキのようにしっぽが膨らんでいることも特徴のひとつです。鳴き声のところでご紹介した時と同じように、そっとしておくのが一番です。

体を小さくする

先程とは逆に、できるだけ身体を小さく見せようとうずくまったり、耳まで折り畳んで丸まったりしている場合は、怖がっていると読み解くのが正解です。きゅっと身体にチカラを入れている場合もあります(硬直して動かなくなることも…)。

怖がっている対象を遠ざけたり、見えないようにして落ち着けるようにしてあげるといいですね。

片足を上げて止まる

招き猫のように前足を片方だけ上げてフリーズする猫の姿を見かけることがあったら、それは「逃げるか、ネコパンチか…!?」と次の行動を測りかねている状態です。
そんな場面に居合わせたら、こちらも手に汗を握ってしまいそうですね。

「行動」から分かる猫の気持ち

眺めているだけでも癒されるものですが、その行動の意図が分かると、より猫の「いまの気持ち」を理解できることでしょう。ここでは、よく見られる行動を挙げてみたいと思います。

すりすり寄ってくる

猫が身体をすりすり寄せてきてくれた瞬間、飼い主さんは「甘えてくれているのかー」と目を細めることでしょう。もちろん、そうした意味もありますが、それと同時に、においをこすりつける、という行動でもあります。「こすりつけ行動」とも呼ばれるこの行為は、マーキングの一種。飼い主さんについた他のにおいを一生懸命消そうとしているのだと考えると、愛を感じますね。

なめてくる

猫になめられると、ちょっとザラッとした感触に気がつくでしょう。舌をよく見てみるとトゲのような突起があります。これは、水を飲むときやグルーミングをするときに役立つ猫の舌の特徴です。舌は、猫が生きていくうえで、とても重要な器官というわけですね。

そんな舌でなめてくるわけですから、ネガティブな気持ちであるとは考えられません。それどころか「グルーミングしてやるよ」と家族や仲間に接するような気持ちでいてくれているはず。愛情表現と考えて、おだやかに接してあげましょう。

集団で行動する

猫といえば単独行動をする動物というイメージが強いものですが、たとえば野良猫の会議のように集まる場合もあります。

お家で数匹の猫を飼う場合(多頭飼育といいます)は必然的に集団行動をしてもらうことになりますが、その場合でも微妙な距離感が保たれることが常です。パワーバランスによって、たとえば日当たりがいい場所や風が心地よい場所に特定の子がいる、など注意深く観察しましょう。

なお、環境省が、猫を多頭飼育する際の注意点をまとめています。もし「新しいネコちゃんを迎えたいな」と考えていらっしゃるなら、ぜひ参考に。

毛づくろいをする

毛づくろい(グルーミング)は、猫にとってとても大切な習慣。汚れを取り除くことで身体をキレイに保つようにしているというわけです。

しかし、それだけではなく、不安な気持ちになったとき、リラックスするために毛づくろいすることもあります。また、リラックスしているからこそグルーミングに勤しむこともあるそうな。その時々に応じてグルーミングをしている気持ちを読み取ってあげるといいですね。

愛するペットと末永く健やかに暮らしたい

いろいろな仕草で気持ちを表してくれる愛猫。できるだけ元気で、一緒にいてほしい…。それが家族の一番の願いではないでしょうか。ただ、どんなに強く願っていても、いつ何が起きるかは誰にもわかりません。万が一、何かがあったとき、守ってくれるお守りのようなものがあったら安心ですよね。それが「保険」です。「もしも」を防ぎ、「もしも」に備える「予防型ペット保険」をご存じですか。愛するわが子のために、検討してみてはいかがでしょうか。詳しくはこちらをご覧ください。

猫ちゃんの保険ならアニコム損保におまかせ

まとめ

これまで「かわいい」という存在だけだった猫を、大切な家族として迎え入れたからには、その行動や仕草など一挙手一投足から気持ちを読み取りたいと思うことでしょう。

ここで紹介した情報は、代表的な例ですが、猫にだって個性があるもの。シチュエーションによっても示している気持ちは変わってくるはずです。

ぜひ、飼い主さんはネコちゃんの気持ちを汲み取ってあげられるように、あたたかく見守りながら深い絆を結んでいってくださいね。

【関連記事】
しっぽで分ける猫の種類や、しっぽの動きでわかる猫の気持ち
猫の鳴き声。種類別の猫の感情としつけなど
【関連リンク】
環境省「もっと飼いたい?~猫の複数頭飼育~」

【どうぶつの病気に関するデータを公開】

みんなのどうぶつ病気大百科
アニコム損保が保有する世界最大規模の診療データをもとに、品種別・年齢別・性別のかかりやすい病気や、診療費の目安、平均通院回数などの統計データを調べることができるサイトです。犬・猫だけでなく、鳥・うさぎ・フェレットのデータも公開しています(※)。

(※)鳥・うさぎ・フェレットは年齢別・性別のみ検索可能

監修獣医師

小川篤志

小川篤志

日本獣医生命科学大学を卒業し、2008年獣医師免許を取得。救急医療を専門に経験を積み、救急病院長などを歴任。2013年アニコムホールディングス株式会社に入社。獣医師や飼い主向けのセミナー講演、メディア取材などの実績多数。2020年より首輪型の猫見守りデバイス「Catlog(キャトログ)」(https://rabo.cat/catlog)を開発するRABO社に所属し、猫専門で活躍中。