「猫が一心不乱に毛布をふみふみしている光景」に、見覚えがありますか? 一見なぞの行動にも思えますが、こんなけなげな姿を見ると、多くの方がホッと癒され、目を細めることでしょう。そんなしぐさをあなたの目の前で猫がしてくれたら? 想像するだけで胸が高鳴るものです。
しかし、当然ながら、猫は「かわいいと思われたいから」ふみふみしているわけではありません。実は、ふみふみ行動に理由があるようです。 それらのいくつかご紹介します。
猫がふみふみする理由
猫が、前足や後ろ足で毛布やクッション、ときには飼い主さんの足やおなかをふみふみすることを、英語では「ミルクトレッド(milk tread)」や「ニーディング(kneading)」と言います。
最高級にかわいいこのしぐさ。猫は次のような理由で行っていると考えられます。
お腹が空いたときのアピール
まず挙げられるのが「お腹が空いたよ」というアピールです。生まれたばかりの子猫は、母乳を飲むときに、乳腺を刺激してお乳がよく出るように両手でおっぱいを揉むような動きをします。そのため、「ふみふみすると、おなかが満たされる」と本能的に覚えているのでしょう。それを今のお母さんである飼い主さんに向けて行っている、というわけです。
「この子にとって今は私がお母さんなんだなぁ」と素直に喜びつつ、そそくさとごはんの準備をしてあげましょう。
甘えたいとき
もちろん、甘えたいときだって、ふみふみします。我が道を行くと言われる猫だって、甘えたい気持ちはあるものです。それは子猫のときはもちろん、大きくなっても変わりません。
猫が飼い主さんのことを心から信頼していて、「このひとは無条件に自分のことを受け入れてくれる存在だ」と思っているなら、子猫のころのあたたかい記憶を思い出しながら、ふみふみしたくなっても不思議ではない、というわけですね。
もし、ふみふみと一緒に「ゴロゴロ」と喉を鳴らすようであれば、その猫はまさに至福のひとときを味わっている最中。ぜひ、心ゆくまでふみふみさせてあげましょう。
眠たいとき
猫は、眠くなってもふみふみすることがあります。
ぼんやりとまどろみながら、子猫のころに戻って母猫に甘えていたときのしぐさを見せてくれるということは、安心しきっている証拠です。眠りにつくまで、そのふみふみを堪能させてあげましょう。
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猫がふみふみする場所
リラックスしていたり、安心しているとふみふみをしてくれる猫。ですが、したくなる場所やモノにはかなり強いこだわりがあるようです。その一例を挙げてみましょう。
布団や毛布
猫がふみふみしたくなるものの代表例に、毛布や布団、クッションが挙げられます。これは、柔らかさや適度な弾力、温かさが母猫のおなかを連想させるからでしょう。多少くたびれたり汚れてしまっても、お気に入りの品は取り上げずにおいてあげましょうね。
人の太ももやおなかの上
もうひとつの例として、人の太ももや、おなかの上などでも見られます。先程紹介した条件(柔らかさ・弾力・温かさ)が揃っているので、不思議はありません。
ただ、やはり好みがあるようで「お父さんにはしないけど、お母さんや子どもにはふみふみしてくれる」というケースも。
ちょっと寂しい気持ちになったり、「なんで!?」と嫉妬してしまいそうですが…そこはあきらめて、猫のお気に召すままにしてあげましょう。
また、ふみふみ好きな飼い主さんは、猫の爪のお手入れをまめにしておいたほうがよいです。猫の爪が長いと、ふみふみされるたびに、尖った爪の先端が、膝やおなかにチクチク刺さって痛いですよ。
何歳までふみふみするの?
ふみふみは何歳くらいまでするものなのでしょうか?
子猫に多く見られるこの行動ですが、大人になっても変わらずふみふみをする子もいます。その子の育った環境などが関係しているだけのため、大人の猫だろうと甘えたいときはそのまま甘えさせてあげてくださいね。
ふみふみしなくなる理由
愛らしいふみふみ行動ですが、そもそもしない子や、次第にしなくなっていく子もいます。
親離れができている
前述の通り、ふみふみは子猫だったころの記憶と密接に関係しています。そのため、これをしないということは、きちんと親離れができている、とも考えられます。自立した子なのだな、親離れができたんだな、と成長を喜びましょう。
対象物がない
猫は、ふみふみして、その柔らかさを堪能しているだけの場合もあります。こんなタイプの猫は、適度なふみふみアイテムが見つからなかった場合でも、決して妥協はしません。つまり、周囲にふみふみしたくなる対象物がないだけなのかもしれません。
逆に、猫のお眼鏡にかなう毛布などが見つかると、その日から突然ふみふみしてくれることもあるのです。もちろん「ふみふみして!」という飼い主さんの願いがかなうかどうかは猫次第ですが、試しに何かふみふみに適していると思われるグッズを用意してあげると、念願のふみふみを目の前で見られるかもしれません。(爪を立てても、中の綿やビーズが出てこないものをおすすめします。)
環境の変化
引っ越しや模様替えはもちろん、ちょっとした環境の変化にも猫は敏感に反応します。新しい環境に慣れるまで、少しナーバスになってしまうため、リラックスしているからこそ行われるふみふみであれば、突如しなくなってしまうケースもあります。落ち着いたらまた再びふみふみしてくれる場合もあるので、気長に様子を見守ってあげてくださいね。
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猫のふみふみに伴う行動
ここまで紹介してきた中で「あれ、ふみふみしているだけじゃないかも…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。そこで、ふみふみと一緒に行われやすい行動についてもご紹介したいと思います。
くねくねする
ふみふみしながらくねくね…なんとも微笑ましい光景です。基本的にはリラックスの境地で、全身で喜びや楽しさを表現しているのだと思って良いでしょう。
ただ、もしあなたのおうちの猫が男の子だった場合、性成熟を迎える生後6~10ヶ月ごろにふみふみしながら腰をくねくねさせていたとしたら、性行動の一環である場合も考えられます。
自然なことなので驚くことではありませんが、飼い主さんは、去勢手術を考え始めるきっかけになるかもしれません。
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よだれを出す
リラックスしていると唾液が分泌されやすくなると言われています。ふみふみしているときによだれが出てくるのは、リラックスしているからかもしれません。
布などをくわえて吸う
童心(子猫心)にかえって、ふみふみしながら、おっぱいを吸うように毛布や猫自身の前肢などに吸い付くことがあります。この行動自体に問題はありませんが、布にかじりついて、そのまま飲み込んでしまう子がいます。
もし「食べちゃったかもしれない」と気付いたら、かかりつけ医にすぐに相談するようにしてあげてくださいね。
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前肢をグーパーする
動画共有サイトなどでたびたび話題になる「グーパーする猫」のしぐさ。これもまた、猫好きならずとも夢中になるかわいさです。
ふみふみと同様に、リラックスした至福の時間を過ごしていることの現れであると考えられるので、目を細めて見守っていましょう。
まとめ
猫のふみふみは、彼らのいまの気持ちを読み解くヒントになり得ます。
かわいい、で終わらせるのではなく、少し注意して観察してみると、よりよい関係をつくることに役立つかもしれません。
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