ミルクを飲む子猫

子猫のミルクの量や回数、なにを準備すればいいの?

子猫には必ず子猫用のミルクとして販売されているものを与えます。人の赤ちゃん用のミルクや牛乳は、子猫に必要な栄養が充分含まれていないだけでなく、下痢をすることがあるので避けてください。「キャットミルク」として売られているものはほとんどが子猫用ですが、中にはシニア用があったり、猫用牛乳が売られていたりするので間違えないようにしましょう。

子猫用のミルクには、粉ミルクと液体ミルクの2種類があります。粉ミルクはその都度、量を計ってお湯で溶かす手間が必要ですが、液体ミルクはそのままあげることができます。逆に、液体ミルクは便利ですが高価で、一度開封した分は保存できないので余ったミルクを捨ててしまうことになります。日常的にから与える分には、粉ミルクが使いやすいです。
災害時や忙しい時の備えとして、液体ミルクも常備しておくのもおすすめですよ。

ミルクの作り方

ここでは、粉ミルクの作り方をご紹介します。ミルクやお湯の量は、購入したミルクの作り方の説明を確認して準備してください。作る前には手をきれいに洗いましょう。また、子猫の週齢が低いうちは、哺乳瓶を煮沸消毒(鍋に哺乳瓶が浸かるほどのお湯を沸かし5分煮沸する)してからミルクを用意するのが安全です。

  • ミルクを作る時に準備するもの
    ・子猫用哺乳瓶
    ・子猫用ミルク
    ・計量スプーン(ミルクに添付されているもの)
    ・お湯(溶かす用)
    ・お湯(哺乳瓶の煮沸消毒用)
  • 作り方の手順
    1 ミルク用のお湯を一度煮沸させ、温度を60〜70℃くらいまで冷ます。
    2 哺乳瓶の目盛りを参考にお湯を入れる。
    3 計量スプーンで必要な量のミルクを計って哺乳瓶に入れる。
    4 哺乳瓶にフタをして、よく振って混ぜる。
    5 約40℃まで冷まし、フタを吸口に交換して与える。

商品によって手順が変わることもありますが、共通しているポイントは3つ。
ひとつめは、量を正確に計ること。子猫の好みで微調整するのはかまいませんが、基本的にお湯もミルクも正確な量を計って入れましょう。

ふたつめはお湯の温度。必ず沸騰させてから、60〜70℃まで冷ましたお湯で作りましょう。お湯が熱すぎるとミルクの栄養が壊れてしまい、低すぎると脂肪分が溶けにくくなります。火傷に注意して調乳し、約40℃(人肌より少し温かいくらい)まで冷ましてからあげてください。

最後に、ミルクは雑菌が繁殖しやすいため、作り置きは絶対にしないこと。必ずその都度新しく作ったものを与えます。授乳の後には、すぐに哺乳瓶と吸口をきれいに洗いましょう。

ミルクをあげるときに準備するもの

ミルクをあげる時は、子猫用の哺乳瓶と吸口(乳首)のほかに、こぼれたミルクや口の周りについたミルクを拭くタオルが必要です。また、毎日の授乳時間と飲んだ量を記録しておくための表やペンも用意しておきましょう。

1日にあげる量や回数は?

生後日数 1日に与える回数
生後間もない子猫 ごく少量を頻繁に与える
生後1~10日 8~12回(2~3時間おきに与える)
生後21日以降 4~6回

子猫に必要なミルクの量は、子猫の成長段階や体重などによって変わります。基本的に、ミルクの説明書に記載された量を参考にすればOKですが、栄養はたくさんとれる方が良いです。子猫が欲しがったら、飲みたいだけ与えてもかまいません。
※飲みすぎると吐くこともあるので、様子をみながらにしてください。

生後間もない頃は、ごく少量を頻繁に授乳しますが、徐々に1回で飲める量が増えて、1日の授乳回数が少なくなっていきます。生後1〜10日の子猫では、1日に8〜12回、つまり2〜3時間おきに授乳をし、夜間もミルクをあげる必要があります。生後21日以降になると、回数は半分の4〜6回に。離乳食を口にする頃には、夜間授乳の必要もなくなります。

子猫にミルクをあげるときにはどんなことに気を付けるの?

ミルクを飲む子猫

ミルクの準備が整ったら、いよいよ授乳です。でもその前に、気を付けることを確認しておきましょう。

ミルクをあげるときの子猫の体勢

子猫を腹ばい(うつ伏せ)の姿勢にして、頭を少し上に向けてミルクをあげます。哺乳瓶は斜め上から子猫の口に入れます。角度は45度くらいが理想。人の赤ちゃんのように仰向けの姿勢にするのはやめましょう。ミルクが気管に入ってしまう可能性があり危険です。

どの粉ミルクを買えばいい? たくさんあってわからない!

基本的には、どの製品も子猫の栄養バランスを考えたものになっているはずですが、あまりに安いものや、パッケージや製造元が信頼できなさそうな製品は避けた方がよさそうです。それでもわからないときは、動物病院で販売していることもありますので、相談してみてください。

子猫にミルクはいつまであげればいいの?

子猫の成長は、本当に早いものです。生後3週間ほどで、乳歯が生えてきます。乳歯が生え始めたら、少しずつ離乳食に変えていきましょう。

ミルクを卒業するタイミング

子猫は、生後3週間を過ぎると、ミルク以外のものも食べるようになります。生後3~4週齢頃に離乳食をスタートし、徐々に離乳食の量を増やしてミルクを減らし、しっかり食べられるようになったらミルクを卒業します。離乳食を与え始めてから卒乳までの目安は7-10日ほど。遅くても生後2ヶ月ごろには完了しましょう。ミルクは栄養満点の分、いつまでも続けていると肥満の原因になってしまいます。

ミルクからフードに切り替えるときのコツ

ミルクから離乳食へ移行する時、急に食事内容を変えてしまうと、下痢をする可能性があります。食欲のある子猫でも、離乳食の量は必ず少しずつ増やしていくようにします。

始めて間もないうちは、離乳食にミルクをかけると、慣れた匂いや味がするので食べやすくなります。粉のまま混ぜることもあります。それでも食べ始めない時は、ミルクの中に離乳食を混ぜてお皿に入れて与え、食べたら少しずつ離乳食の割合を増やしてみてください。子猫が離乳食に興味を持たない時は、少量を指につけて子猫の口の中に入れ、離乳食の味を教えてあげましょう。
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子猫がミルクを飲まないときこそしっかりチェック

下を出した子猫とミルク

日々ぐんぐんと成長していく子猫は、ミルクを一生懸命飲むものです。それでいて繊細な面もあり、ちょっとしたことでミルクを飲まなくなってしまうケースも。考えられる原因をチェックし、必要な時は動物病院を受診しましょう。

ミルクを飲まないときは?

子猫はお腹に排泄物が溜まっていると、空腹にならずミルクを飲まないことがあります。生後3週くらいまでは自分で排泄をすることが苦手です。ミルクをあげる前に肛門を刺激して排泄をサポートしましょう。

また、体温が低いときも、ミルクを飲みにくくなります。子猫のうちは、自分で体温を維持することがしづらいため、本来は母猫の体や他の子猫とくっついて体温を保ちます。ですので、子猫が1匹の時は、毛布やタオルを巻いて保温してあげましょう。湯たんぽやペット用のヒーターを使うのもいいでしょう。授乳も暖かい場所で行いましょう。低温やけどには注意してください。

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ミルクや哺乳瓶に原因があることも。ミルクの温度は38℃〜40℃(ひと肌より少し暖かいくらい)にして授乳してください。温度が低すぎても高すぎても飲まないことがあります。小さな子猫は哺乳瓶の吸口が大きすぎて口に入らない、うまく吸い付くことができない場合もあります。哺乳瓶が合わないようであれば、スポイトを使って数滴ずつ舌に垂らす方法を試してみましょう。それでも飲まない時は、ミルクの味が気に入らないという可能性も。ミルクのメーカーやブランドを変えると飲むことがあります。

これらの方法を試しても飲まない状態が続くような時は、獣医師に相談を。小さな子猫は数時間でもミルクを飲まないでいるだけで、低血糖になってしまい危険です。十分注意してください。

もしミルクを吐き出してしまったら?

子猫がミルクを吐き出してしまうことも、よく起こります。小さな子猫はミルクを飲むこともまだ上手ではありません。正しい姿勢で少しずつあげるようにします。哺乳瓶を押してしまうと、ミルクが一気に口に入って吐き出す原因になるので要注意。また、哺乳瓶の吸口の穴が大きすぎても、一度に口に入るミルクの量が多くなってむせてしまうことが。穴が大きすぎる場合は、吸口を新しいものに交換しましょう。

哺乳瓶の吸口が口の奥まで入りすぎても、その刺激で吐くことがあります。吸口は授乳窩(じゅにゅうか)と呼ばれる上顎のくぼんだところに入れるようにしましょう。これらを確認しても吐き出してしまう場合は、動物病院で相談を。

まとめ

あげるのは短い期間でも、子猫にとって唯一の栄養源である大切なミルク。衛生面や調乳方法、あげ方の注意点に気をつけて、たくさん飲んで大きく育ってもらいましょう。子猫のお世話は大変ですが、ミルクを飲む姿は、この時期だけのとっておきの愛らしい姿。あとあと素敵な思い出になるはずです。

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監修獣医師

小寺由希子

小寺由希子

2008年、鹿児島大学獣医学科卒業。卒業後は、大学病院にて内科系レジデントとなり内科全般および消化器内科について経験を積み、大阪府内動物病院にて犬猫中心に診療を行っていました。現在は、予防医療の実現をめざし飼育知識の普及活動および診療を行っている。小さな頃から猫と共に過ごし、現在も2頭の猫と暮らす。その生活はネコ中心。環境を処方することで猫の病気を減らし、猫ライフをより幸せにすることを目標に日々活動中。