「ね〜こはこたつで丸くなる〜♪」と歌われるように、多くの猫は寒さが苦手なようです。そんなことを聞くと、「かわいいわが子に寒い思いをさせるなんてもってのほか! しっかりと寒さ対策しなくっちゃ!」と思わずにはいられませんね。
ここでは、猫が快適に家で過ごすための寒さ対策について、その方法や注意点などをご紹介します。
猫と寒さについて
寒い冬のある日、猫がくるりと丸まってのんびりと眠っている様子を見ると、ホッと心があたたまりますよね。それがあなたのひざの上だとしたら…、多少足がしびれたとしてもガマンできる、という飼い主さんは多いでしょう。
しかし、もしそれが「寒くて動くのもおっくうだにゃ〜」ということであれば話は別。寒さが原因でおなかを下したり、猫風邪にかかってしまう、なんてことになっては一大事です。そこで、ここではまず、猫にとっての「寒さ」について、紐解いていきたいと思います。
猫は寒さに弱い?
冒頭でご紹介した通り、多くの方が「猫は寒がりな生きもの」だと思っていることでしょう。確かにその通りで、その理由は猫たちの祖先が砂漠地帯で生活していたからだと言われています。
とくに、ベンガルやオシキャット、シャムといった原種に近い、あるいは自然発生とされる猫は寒さに弱い傾向があるようです。また、当然ながらスフィンクスのようなほとんど毛のない猫は被毛が十分でないため、寒さへの耐性が極めて少ないという特徴があります。
猫の種類で寒さへの耐性が違う?
一般的に猫は寒がりですが、たとえば、ペルシャやメイン・クーン、ノルウェージャン・フォレスト・キャットといったダブルコートでロングヘアの猫は、その被毛のおかげで、ある程度の寒さに対応できます。
また、野良猫の中には、「寒さに慣れてしまった」という猫もいるようです。もし、あなたが迎えた猫がもともと外で生活していた子だったなら、寒さへの耐性が備わっている可能性もあるでしょう。
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猫が寒がるサイン
飼い主であれば、一緒に暮らす猫が寒がっていたら、いち早く寒さ対策をしてあげたいもの。
では、どのように猫の「寒がるサイン」を受け取ってあげればいいのでしょうか? いくつか代表的な例をご紹介しましょう。
① とにかく身体を丸めている
② 毛布やフリース、クッションの中に潜り込んで出てこない
③ 怒ったり驚いているわけでもないのに、毛を立てて身体をふくらませている
④ 飼い主さんのそばなど、暖かい場所に寄っていく
⑤ 窓や扉などの近くに寄り付かなくなる
⑥ よく食べるのに水を飲まない
もし、上記のような仕草や行動を見つけたなら、それは寒がっているサインかもしれません。そんなときは室温をチェックしてみるといいでしょう。
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猫の暖房のおすすめアイテム
寒さが苦手な猫にとって、暖を取りやすい住環境を整えることは大切なことです。寒い時に避難できて、温まったら再び遊んだりゴロゴロしたり、と気ままに過ごせるようにしてあげるには、どんな方法があるでしょうか。 ここでは、猫にぴったりな暖房アイテムをご紹介します。
こたつ
何と言っても、猫とこたつのセットは外せません。しかし、人間が暖を取っているこたつでは、猫にとっては温度が高すぎて低温やけどを起こしたり、いつの間にか酸欠や脱水症状を引き起こしたりする可能性があります。
種類にもよりますが、猫にとってこたつ布団は決して軽くはないもの。「こたつに入っても、きちんと見守っていれば大丈夫」と思うかもしれませんが、もし中に入りっぱなしの状態が続くようであれば、抜け道を作ってあげたり、温度を低めに設定するなどの配慮を忘れないようにしたいものです。
また、「猫用のこたつ」も選択肢として考えられるでしょう。
ヒーターが直接身体にあたらないように配慮されていたり、コードにかじりついて感電することがないよう工夫されているものが多いので、安心できそうです。
ペット用のヒーター
私たち人間であれば、「ヒーターの近くにずっと陣取っていると、最悪の場合には低温やけどをしてしまうこともある」ということが分かります。しかし、猫の場合はそうはいかないもの。人間が使うヒーターは猫にとっては少し危険なものであると考えておきましょう。
もっとも、ペット用ヒーターならば、安心して使えそうです。猫が丸まって眠ってもしっかりと身体が収まるようなまん丸なものや、ねこ鍋型なども販売されているので、飼い主さんにとっては「どれを選ぶか迷ってしまう!」ということになりそうです。
ただ、においや形状などによっては猫のお気に召さない、ということもままあるようです。
冷暖房のエアコン
もし、お留守番をお願いすることが多い場合は、猫が暖房器具の「オン/オフ」スイッチに触れられないようにし、コード類をかじったりしないよう十分に注意しなければなりません。
エアコンを使う場合は、リモコンでいたずらしないようきちんとしまっておきましょう。
日が落ちてグッと気温が下がる頃に、20度前後の温度になるようタイマーセットしておくと、温まりすぎる心配もなく寒さ対策ができそうです。
暖房と合わせて行いたいこと
猫のために寒さ対策を行ったとしても、それが健康によくない影響を与えてしまったり、猫からすると「あまり嬉しくない」ことだったら本末転倒ですね。
暖房器具などを活用するだけではない、冬だからこそ行いたい猫のお手入れについてもご紹介したいと思います。
ブラッシングをする
寒い季節には、血行を促進させるためにもブラッシングはまめに行いたいもの。
猫は寒さを和らげるために毛を逆立てて、空気をたっぷり入れて暖を取るので、そのためにもブラッシングは効果的です。
しかし、乾燥によってブラッシング中に毛があちこちに舞い散ったり、ピリッと静電気が起こってしまって猫がブラッシング嫌いになることも…。
静電気防止には、ブラッシングスプレーを利用するのもよいでしょう。お部屋の湿度調整も忘れずに行いましょうね。
湯たんぽを使う
電気を使う暖房器具と違い、飼い主さんが見守ってあげられない場合でも活用しやすいのが「湯たんぽ」でしょう。最近はいろいろなデザインの湯たんぽがあるので、使っている方も多いかもしれません。
猫に対して使用する場合は、その製品の注意点をよく読んで守ることはもちろん、実際に湯たんぽ本体を触ってみて「ぬるい」程度かどうかを確認するといいでしょう。
温かいところでまんじりともせずにいる猫が低温やけどを起こしたりしないよう、注意してあげてくださいね。
もし「やや熱い」と感じたら、バスタオルなどでくるんでおくといいでしょう。湯たんぽ自体の保温効果も期待できますよ。
窓や床から離れたところに寝床を作る
人間が「寒くない」と感じていても猫が寒がっているようなら、寝床を含めたお気に入りスペースを、窓や床など冷気が溜まりやすいところから離してあげるといいでしょう。
ただ、猫によってはお気に入りの場所に少しでも変化が起こると、ストレスを感じたり、イライラしたりすることもあるようです。そんなときは、お気に入りのにおいが付いた毛布や飼い主さんが着なくなったセーターなどを敷き詰めて、安心できる環境を作ってあげましょう。
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猫の暖房で気をつけること
冬の寒さ対策を行う上で、注意したいポイントがあります。
ここでは、飼い主さんに気をつけていただきたい点を挙げてみます。
温度変化に気をつける
人間でも、急激な温度変化によって引き起こされる「ヒートショック」への注意喚起はたびたび行われています。たとえば「お風呂場と脱衣所の温度差は身体への負担となる」ということはよく知られています。
このことは、実は猫にも当てはまります。
温度差が激しいことで血圧の急な変化が引き起こされ、心臓に大きな負担がかかる、というわけです。とくに、遺伝的に心臓の疾病が多いとされる猫種や、シニアや子猫と一緒に暮らす場合は、家の中の温度差について、よく注意しておきましょう。
とくに温度差が生じやすいのは、日が傾きだして気温がグッと下がるときや、飼い主さんが寝静まって室内の温度が下がるタイミングなどと言われています。
いずれも、猫だけのお留守番とそのタイミングが重なってしまいそうなときは、猫が自分で温かい場所に移動できるようにしておきましょう。
そして、湯たんぽやフリース、着古したセーターなどを寝床に置いておいてあげるなど、工夫してあげましょうね。
低温やけどを起こす可能性も!こたつや電気毛布は要注意。
人と同じく、暖房機器に長く触れていると、低温やけどを起こします。低温やけどは、比較的低い温度(40-50℃)の長時間にわたって接触することで起き、やけどしていることに気づきにくいことから、広範囲にわたってやけどを起こし、重症化することもあります。
猫は、電気毛布や加熱ヒーター(こたつを含む)で眠る姿がよく見られますが、こうした場所での睡眠は、長時間になりやすく、かつ近距離で熱源に接触しやすいため、低温やけどには特に注意が必要です。電気毛布の上にタオルケットを置くなどして、接触面の温度を下げる工夫や、人がいないときはこたつの電源を切っておくなど、十分注意してください。
低温やけどは、飼い主さんが注意することで防げます。しっかり見てあげてくださいね。
脱水症状にも気をつけよう。ぬるま湯にすると、飲みやすくなる
「暖かくしないと!」と思うあまり、お部屋の温度を高いままにしていたり、ずっとこたつの中に居させたままにしていたりすると、低温やけどだけでなく、脱水症状を引き起こすことがあります。
もともと猫はあまり水を飲まない生きものなので、気づきにくいかもしれませんが、意識して水を飲ませるようにしましょう。冬場は、水をぬるま湯にしてあげることも飲水の促進につながります。いつでも水が飲める環境を整えておくだけでなく、普段のフードをウェットのものに変えてみるといった工夫も考えられます。
猫が涼める場所、暖房からの逃げ場を作る
部屋全体を暖かくしたいときや、ワンルームのお部屋では、逃げ場を作るのはなかなか難しいかもしれませんが、空気が通る場所を確保しておくといいでしょう。
猫は、自分が快適な場所を探すことが上手なので、「暑いにゃ」と感じたら、空気の通り道や涼しい場所で気分転換をしてくれるはずです。
火事のリスクに気をつける
家の猫や犬が原因となって火災が起きてしまうケースはたびたび報告されています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、「平成24年度から平成28年度の製品事故情報のうち、ペット及び小動物や害虫による事故※4は78件(ペットの事故26件、小動物や害虫の事故52件)となっており、そのうち約72%、56件が火災に至っています」とあります。(2017年8月24日付け プレスリリースより)
※4ペット及び小動物や害虫の関与が確認されたものだけでなく、状況証拠から関与が疑われるものも含む。
紹介されている事例では、留守番中の猫がガスコンロのスイッチに触れて点火させてしまったり、電化製品におしっこをしてしまいショートさせたなどが挙げられています。
もし留守番してもらう必要がある場合は、そうした危険を想定したうえで、ガスの元栓を閉めたり、電気製品のプラグを抜いたり、電源コードをかじらないように隠しておく(または補強しておく)などの対策をして、万が一の事故を回避するように徹底しましょう。
まとめ
一般的に猫は寒がりですが、猫種や被毛の長短のほか、筋肉質かどうか、運動量の多少、ライフステージ、そしてなにより猫それぞれの個性によって快適に過ごせる温度はまったく異なるものです。
迎えてすぐの頃はもちろん、日々の変化を見守りながら、猫の好みの環境を保ってあげられるようにしたいですね。
寒い冬の日にも、あなたと猫が暖かく、リラックスした時間を過ごせますように。
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