トイレで用を足す猫

大切な愛猫が病気になってしまったら、飼い主としては生きた心地がしないもの。そして、気になるのが診療費。いざというときのために、あらかじめ知っておきたいですよね。そこで、ここでは比較的、猫に起こりやすい症状について、どのくらい医療費がかかるものなのかを、解説します。

猫が下痢をする原因は?対策は?

いつもより便の水分量が増した状態になることを、一般的に下痢と言います。ひと言で下痢といっても、原因はいくつか考えられます。下痢の主な原因と対策について説明します。

猫の下痢の原因は?

猫が下痢をする原因として考えられるのは、主に次の5つです。

・感染…ウイルスなどの微生物に感染することによって生じる下痢
・食事…消化吸収不良や食物アレルギーによって引き起こされる下痢
・異物誤飲…薬や中毒物質など、異物を飲んでしまって起こる下痢
・病気…感染症以外の病気では、内臓疾患が原因の下痢
・ストレス…引っ越しなどで生活環境が変わったり、長時間の移動といったストレスによる下痢

猫が下痢をしていたら、思い当たることがないか考えてみましょう。

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下痢になってしまったときの対策は?

では、猫が下痢をしてしまったらどうしたらいいのでしょうか。まずは、「猫の様子をよく観察する」ことです。

<チェックポイント>
・元気はあるか。
・食欲はあるか。なければいつもの何割くらいないか。
・嘔吐など、下痢以外の症状はないか。
・便の色、形、回数はどうか。
・便と一緒に出ているものはないか。

食欲がなくぐったりしている、下痢に血が混ざっている、黒っぽい色をしている、嘔吐もある、とにかく下痢が続く、といった場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。病院に行く際は、便を一緒に持っていくと診断の役に立つことがあります。

いつもよりちょっと軟らかいだけで、食欲も元気もある、という場合は、ごはんの与え方を変えてみるとよいかもしれません。消化しやすいようにフードをふやかしてあげたり、腸を休ませるために無理のない範囲で量を減らすなど、工夫をしてみましょう。急にフードの種類を変えると下痢をすることがあります。フードを変更する場合は、それまであげていたものに少しずつ混ぜていき、1~2週間かけて新しいフードの割合を増やしながら切り替えましょう。

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猫が下痢で治療を受けた場合の費用は?

では、下痢で治療を受けた場合、どのくらい費用がかかるものでしょうか。アニコム損保の猫の契約者の保険金請求状況から、平均的な治療費などを調査したところ、以下のような結果となりました。

・平均診療単価:8,606円
・年間平均通院回数:2.2回

年間で約19,000円ほどかかるということになります。

猫の鼻水がひどい…。原因は?対策は?

鼻を拭かれる猫の写真
猫も人間と同じように、鼻水が出ることがあります。ここでは、鼻水の原因と対策について説明します。

猫の鼻水の原因は?

鼻水の原因には、以下のようなことが考えられます。

・猫風邪…「猫風邪」は、猫ヘルペスウイルスが原因の「猫ウイルス性鼻気管炎」や猫カリシウイルスによる「猫カリシウイルス感染症」の総称です。これらにかかったときの症状のひとつとして鼻水が出ます。
・異物…花粉やほこり、煙など、異物が猫の鼻の粘膜を刺激することで鼻水が出ます。
・鼻炎…なんらかの原因によって鼻の粘膜に炎症が起こり、「鼻炎」を発症すると鼻水が出ます。
・クリプトコッカス症…真菌というカビの一種によって発症する感染症で、感染する場所によって症状が違います。呼吸器に感染すると鼻水やくしゃみといった症状が表れます。
・腫瘍…鼻や口の中などに腫瘍が発生した場合、鼻水やくしゃみを生じます。

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鼻水がひどいときの対策は?

猫が鼻水をたらしていたら、ティッシュなどでやさしく拭き取ってあげましょう。あまりに大量の鼻水が出ていたり、鼻を詰まらせていたら、病院に連れて行って診てもらうようにしましょう。上記のような病気が原因で、重症化するおそれもあります。また、鼻血を伴う場合は腫瘍などの重大な病気が原因になっていることも多く見られますので早めに病院で診てもらうようにしましょう。

猫がひどい鼻水で治療を受けた場合の費用は?

では、ひどい鼻水で治療を受けた場合、どのくらい費用がかかるものでしょうか。アニコム損保の猫の契約者の保険金請求状況から、平均的な治療費などを調査したところ、以下のような結果となりました。

・平均診療単価は5,585円
・年間平均通院回数は1.9回

年間で約1万円ほどかかるということになります。

猫のおしっこに血が…!血尿の原因は?対策は?

トイレを覗く二頭の猫
「猫のおしっこを見たら、血が混ざっていた!」などということが起きたら、飼い主としては心配でたまりません。血尿は何が原因となって出るのでしょうか。ここでは血尿の原因と対策について触れます。

血尿が出る原因は?

血尿が出る主な原因としては、以下のような病気が考えられます。

・尿石症…尿に含まれるリン、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が結晶化して、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で「結石」になり、さまざまな症状を引き起こす病気です。
・膀胱炎…膀胱に炎症が起きるとで、血尿や排尿時に痛みを伴う病気です。細菌などの感染のほか、ストレスでも膀胱炎が起こります。
・腫瘍…膀胱や腎臓に腫瘍ができるとその部分から出血して血尿になることがあります。

尿石症 <猫>|みんなのどうぶつ病気大百科
膀胱炎 <猫>|みんなのどうぶつ病気大百科
下部尿路症候群 <猫>|みんなのどうぶつ病気大百科

血尿が出てしまったときの対策は?

すぐに動物病院へ連れて行くようにしてください。その際、血尿の量や色などを獣医師に伝えられるよう、メモをとるなどしておくとよいでしょう。

猫が血尿で治療を受けた場合の費用は?

猫が血尿で治療を受けた場合、いくらくらいかかるのでしょうか。こちらもアニコム損保の猫の契約者の保険金請求状況から、平均的な治療費などを調査してみました。その結果、以下のような金額となりました。

・平均診療単価は8,721円
・年間平均通院回数は2.4回

年間で約2万円かかることになります。ただし、血尿の原因となっている病気によっては、さらに診療費がかかる場合があります。

まとめ

下痢、鼻水、血尿といった症状で治療を受けた場合の診療費を見てみました。それぞれ、年間でだいたい1万~2万円だということがわかりました。それほど大きな額ではないかもしれませんが、どんなに小さな症状であっても、猫にとっては辛いもの。健やかな毎日を過ごせるよう、日々、健康チェックをしてあげましょう。

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監修獣医師

別府雅彦

別府雅彦

北海道大学獣医学部を2009年に卒業。学生時代は野生動物学教室でクマのフェロモンに関する研究を行う。卒業後は神奈川県の地域中核病院に勤務。脊椎外科や整形外科を中心に、ワンちゃんとネコちゃんの医療に従事。アメリカ獣医内科学会など、学会での発表も行う。信念はどうぶつと飼い主さんが主人公の物語をお手伝いすること。信念を日本に、世界に広げるべく活動中。