はじめて子犬をお迎えする飼い主さんのお悩みで多いのが、どのフードを選んでいいのかわからない、下痢をしてしまったなどの、トラブルです。
インターネットで検索してもいろいろ情報がありすぎてわからない…と、お悩みの皆さんに、おススメのフードの種類やあげかた、トラブル対策をご紹介します。

子犬のごはんのあげかた

一般的に子犬と言われる時期は、乳離れが始まる離乳期から、12ヶ月齢まであたりです。その中でも、飼い主さんがお迎えする時期は、2~6ヶ月齢が多いでしょう。今回はそんな2~6ヶ月齢の子犬にスポットをあてて、見ていきたいと思います。

どんなものをあげるの?

フードには大きくわけて、ドライフード、ウェットフードの2種類があります。

  • ドライフード

ドライフードは、ウェットフードと比べて消費期限が長く、保存料・添加物が少ないものもあり、値段もお手頃であるなどの理由から、メインフードとして利用しやすいでしょう。
ウェットフードにくらべて嗜好性が低いといわれることもありますが、ほとんどの犬は、気にせず食べるので問題ありません。

どのメーカーでも子犬用、成犬用、シニア用など年代別フードが販売されています。必要な栄養素、カロリーなどが年齢別で違うため、必ず年齢にあった物を選びましょう。また、総合栄養食の表示があるものを選んでください。

  • ウェットフード

ウェットフードは、ドライフードよりも喜んで食べてくれる子が多いものの、水分を多く含むため、消費期限が短いのが難点です。また、流動食のように柔らかいため、歯科学の観点からもメインフードにすることはあまりお勧めしません。ドライフードと組み合わせてあげているという方は多くいます。

手作り食をあげる飼い主さんもいますが、これは少し上級編です。犬に適切な栄養バランスを確保すること(特に成長期)は、簡単ではなく、初心者には市販のフードの購入をおすすめします。

1日2回? それとも3回? 子犬のごはんの与え方や回数

子犬とフード

離乳後6ヶ月齢までの子犬の食事回数は、基本的に1日に3回にしてあげると安心です。もちろん、飼い主さんの生活ペースに合わせ、1日2回でも問題のない子犬もいますが、子犬の時期は胃袋が小さく、一度にたくさん食べることができません。空腹による低血糖(エネルギー切れの状態)もおこりやすいため、体力や体格がしっかりするまでは、できるだけ1日3回の給餌をおすすめします。

また、ふやかしたフードを食べている場合は、3~4ヶ月を目安にドライフードに切り替えていくことが多いです。切り替えは、徐々に水分の量を減らしていきながら、1週間~10日ほどかけて行ってください。食いつきが悪くなったり、お腹の調子が悪くなってしまった場合は、一度ふやかしたフードに戻してあげると良いです。

フードの量は、基本的に体重から換算します。パッケージ裏には、体重ごとの適正量が記載されていますので、原則はその通りに与えることをお勧めします。ただし、成長期の子犬の体重は日々増えていきますので、こまめに体重測定をしてフードも増量してあげてください。また、それぞれの体質や運動量によっても必要な量が異なってきます。痩せている場合や、太りすぎているような気がする場合には、必ず獣医師に給餌量を相談しましょう。

※子犬の体重の測り方
 犬を抱っこした状態で一緒に体重計に乗り、その重さから自分の体重を引き算すると、犬の体重が計算できます。しかし、人用の体重計はグラム数が細かく出ないため、小型犬では誤差が大きく出てしまうこともあります。小さい子であれば、お菓子作りなどで使う「計量器」でも測ることができます。

toy poodle

フードをあげるお皿(エサ皿)は、衛生面から、プラスチック製よりも、陶器製やステンレス製のものがおすすめです。その子の鼻の長さや、顔の大きさにあわせて、食べやすいものを選んであげると良いでしょう。

エサ皿からフードを食べないために手から与えてしまう場合がありますが、これを習慣づけると成犬になっても手からしか食べなくなってしまうことがあるので注意が必要です。フードやおやつを隠せる知育玩具を使って、勉強しながら食事を楽しんでもらう方法もあります。

食欲がない、嘔吐下痢などのトラブルにはどう対応する?

フードを食べてくれない!なぜ?どうする?

子犬の時期は、とにかく十分な栄養の摂取が重要です。フードを食べてくれないときは、原因別に対処法を知っておきましょう。

迎えたばかりの子犬は、急な環境の変化でストレスを感じ、食欲が低下することがあります。基本的には数日で慣れてくれることが多いですが、食欲不振に陥っている時は、安心できるようにペットショップで使っていた毛布、トイレ、給水器、エサ皿などを準備してあげると良いでしょう。
家にお迎えした日は、特に緊張しています。かわいがりたい気持ちはぐっと我慢して、子犬が安心できるようにそっとしておくのも大事です。

子犬のうちは、食欲が少し下がるだけで急激に体力を失い、低血糖などの症状を起こすことがあります。家にお迎えしてしばらくは、その子の普段の行動がわからないだけに、様子がおかしいなと思ったらすぐに獣医師に相談しましょう。
また、ごはんをたくさん食べるのに体重がなかなか増えないといった場合にも注意が必要です。先天性疾患や、寄生虫の感染など、治療が必要な場合も多いため、なるべく早く獣医師に相談してください。

おすすめのフードアレンジ

病気などが原因である場合を除き、フードを食べてくれない時には、少しだけアレンジを加えてあげましょう。おススメのフードアレンジは、フードをお湯でふやかしてあげることです。ふやかす事によって、香りがたち、食欲が刺激されます。また、やわらかくなることで食べやすくなり、おなかにも優しくなります(風邪のときにお粥を食べるのと同じことですね)。やけどしない程度に冷ましてからあげるようにしてください。

また、粉ミルクや缶詰を混ぜる方法もあります。嗜好性は高くなりますが、これまで与えたことのないものは下痢をする可能性もあるため、少量から試すなどの注意が必要です。カロリー計算が不要なひとつまみ~ふりかけ感覚で与えましょう。ふやかしたフードとあわせるのも効果的です。

下痢や嘔吐をしてしまったら?

体調不良や、急なフードの変更、食べ過ぎが原因で、下痢や嘔吐をしてしまう場合もあります。こうした消化器症状は、脱水やミネラルバランスの崩れを起こしやすくなるため、十分に注意して下さい。また、お腹が空きすぎて吐いてしまうこともあります。

長く続く場合には、寄生虫やその他の感染症、食物アレルギー等の原因が、隠れているかもしれません。子犬は体が小さく未熟なため、下痢によって体力も免疫力も落ちやすくなっています。すぐに獣医師に相談しましょう。

まとめ

ブルドッグのパピー

子犬のフードを選ぶ際には、材料や、信用できる販売元である事はもちろん、その子にあったフードを見つけることが最も大切です。
もしもフード選びに悩んだ時には、実際に何種類か試すことから始めてみてはいかがでしょうか。体づくりの基礎となり、愛犬との暮らしに欠かすことのできないフード選び。愛犬と一緒に楽しみながら最適なフードを探してみてください。

監修獣医師

今成瑞希

今成瑞希

2019年麻布大学獣医学部を卒業後、神奈川の動物病院にて勤務、2023年アニコム損害保険株式会社に入社。 保険を通して、ご契約者のお悩みに寄り添えることにやりがいを感じ、どうぶつさんと飼い主様が幸せに暮らすための手助けができる獣医師を目指している。