
秋になると、スーパーにたくさん並ぶ果物、梨。みずみずしくておいしいですよね。飼い主が梨を食べているときに犬が欲しそうにしているとついあげたくなりますが、食べても大丈夫なのか気になるところです。今回は、梨を犬にあげるときの注意点や梨の成分について解説します。
梨は食べても大丈夫?
市販されている熟した梨には、犬にとって毒性のある成分は含まれていないため、基本的に与えても大丈夫です。ただし、アレルギー症状が出る可能性があるため初めて与える際は注意しましょう。また、一度にたくさん与えると下痢などの消化器症状を起こす場合があります。
若い梨でも大丈夫?
未熟な梨には、アミグダリンという成分が含まれます。アミグダリンは、体内で青酸を作り出す天然の有毒物質で、多く摂取すると嘔吐、めまいなどの症状が現れます。そのため、若い梨は食べさせないようにしましょう。
どれくらいの量なら大丈夫?
おやつの量の目安は1日の摂取カロリーの10%以内ですが、梨は食物繊維やソルビトールを多く含んでいるため、たくさんあげると下痢をする可能性があります。また、満腹になり主食を食べられず、栄養バランスが崩れてしまう可能性があります。そのため、一口分や食事のトッピングとして少量のみ与えましょう。
与える際の注意点は?

①皮や種は除いてから与える
皮は農薬が少量付着している可能性があるため、むいてあげましょう。また、種には前述の通り有害な成分であるアミグダリンが含まれているため、取り除いてから与えましょう。
②アレルギー症状に気を付ける
梨に対してアレルギー反応を起こし、皮膚症状(皮膚のかゆみ、赤みなど)や消化器症状(下痢、嘔吐など)が出る可能性があるため、初めて与える際は少量にして、症状が出ないかよく確認しましょう。まれに、呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシーショックが起こる可能性もあるため、注意が必要です。
人ではシラカバ花粉に対してアレルギーがあると、バラ科の食べ物(りんご、梨、サクランボ、桃など)に対してもアレルギーを併発する可能性があると言われています。犬でもシラカバ花粉にアレルギー症状がある場合は要注意です。
③小さく切って与える
梨は固い果物であるため、大きい塊を丸呑みするとのどに詰まってしまう危険性があります。特に小型犬は気管が細いので、詰まらせると大変危険です。
与える際は細かく刻むか、すりつぶしてあげましょう。加熱すると柔らかくなるためより安全です。
梨の栄養素について
梨は水分量が多い果物で、100gあたり88gが水分です。また、100gあたりのエネルギー量は43kcalと 低カロリーです。
その他には、食物繊維やカリウム、ソルビトール、アスパラギン酸などを含みます。
①食物繊維
梨は食物繊維を豊富に含みます。水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含んでいるので、便秘や腸内環境の改善、血糖値の急激な上昇の抑制などに役立ちます。
ただし、摂取しすぎると下痢を起こすため注意が必要です。
②カリウム
余分なナトリウムを体外に排泄する働きがあります。
③ソルビトール
糖の一種で、果物の中では特に梨に多く含まれる成分です。便通を整える働きがあり、砂糖などに比べ腸で吸収されにくく、低カロリーです。ただし、たくさん摂取すると下痢になるため気を付けましょう。
④アスパラギン酸
アミノ酸の一種で、疲労物質の乳酸をエネルギーに変換する手助けをする物質です。利尿作用もあります。
まとめ

梨は、熟していればあげても大丈夫ですが、主食の栄養バランスを崩すことのないよう、少量のみ与えましょう。アレルギーや、あげすぎによる下痢には注意が必要です。
また、梨は固い果物なので、のどに詰まらせないように、必ず小さくしてあげるようにしてくださいね。
