SNSなどで人間より大きな犬の写真を見たことはありませんか?合成かと疑ってしまうほど大きな犬の正体はアラスカン・マラミュートかもしれません。日本で見かけることは少ないレアな犬種、アラスカン・マラミュートについて、その性格や特徴、歴史やシベリアン・ハスキーとの違いなどを解説します。

アラスカン・マラミュートってどんな犬?

大きな体にがっしりとした体格、さらにモフモフの毛でボリューム感あふれるアラスカン・マラミュート。オオカミに似た姿で、犬の原始的な姿が大きく変わることなく残された風格のある犬です。

アラスカン・マラミュートは日本で会える?

日本にもアラスカン・マラミュートのブリーダーや飼っている人はいますが、その数は多くありません。特にブリーダーは限定的で、ペットショップで子犬に出会える可能性はほとんどありません。こうした現状から日本では珍しい犬種といえます。

シベリアン・ハスキーとの違いは?

アラスカン・マラミュートは見た目がシベリアン・ハスキーによく似ています。実際、どちらも北極圏のそり犬で遺伝的にも近い犬種とされていますが、決定的な違いもあります。

ひとつは体のサイズ。シベリアン・ハスキーよりアラスカン・マラミュートの方が大きく、見比べると一回り大きく見えるほどです。さらに、同じそり犬でも役割が異なります。シベリアン・ハスキーはそりを引くスピードを重視して交配が進められましたが、アラスカン・マラミュートは重いそりを引くために飼われてきた犬です。重い荷物を載せたそりを長距離引くため、スピードよりも力と持久力が求められました。また、ハスキーはしっぽが垂れているのに対して、アラスカン・マラミュートはくるんと巻いたしっぽになっているなど、容姿にも違いがあります。

歴史

アラスカン・マラミュートは北極圏でそりを引く犬として古くから存在していました。

犬種の名前は、アラスカ北西部に暮らすイヌイットのマーレミウト族に由来しています。アラスカン・マラミュートはマーレミウトの人々が飼い続けてきた犬で、重い荷物をそりで長距離にわたって運ぶだけでなく、狩猟に同行してホッキョクグマを警戒したり、アザラシを見つけることを手伝ったりして活躍していました。

18世紀にアラスカでゴールドラッシュが起こると、娯楽として重いそりを引くレースが人気を集めるようになりました。するとレースに勝つためにほかの犬との交配が進み、純粋種が激減。愛好家によって残っていた純粋種が発見されたのは1920年代のことでした。その後、保護活動が進められて数が回復。1935年にはアメリカンケネルクラブ(AKC)に犬種として登録されました。

性格

アラスカン・マラミュートはりりしく威厳のある見た目ですが、穏やかで優しい心の持ち主です。飼い主や家族に愛情深く忠実で、協調性があり知らない人に対してもフレンドリーに接してくれます。しかし、知らない犬は警戒することがあり、小鳥やネズミのような小動物は狩りの対象として見てしまうことがあります。ほかのどうぶつに接する場合は注意が必要です。

人間の子どもには優しく、子どもたちに騒がれることも嫌がりません。ただ体格が大きいので、気持ちは優しくても小さな子どもは押し倒されたりして、ケガをしてしまうことが考えられます。子どもと触れ合わせるときは、必ず目を離さないようにしましょう。穏やかな性格の一方で、自立心が強く頑固な一面もあります。

しつけのポイント

大きくて力が強い犬なので、しつけがきちんとできていなければ散歩もままなりません。まずは、やって良いこと、悪いことなどルールをきちんと教え、信頼関係をしっかり築きましょう。しつけで分からないことがあれば、早めに専門家に相談しましょう。

子犬のうちから社会化を促すことも大切です。犬の社会化とは、一緒に生まれた兄弟や老若男女さまざまな人、ほかの犬やどうぶつ、いろいろな環境に触れさせ、慣れさせることです。こうすることで、周囲と適切な関係を築ける犬に成長します。一般に子犬の社会化期は 生後3週目から12~14週頃といわれ、この時期を逃すと、スムーズに周囲に馴染むことが難しくなっていきます。子犬のうちから公園や他の犬、人がいる場所など、さまざまな環境に連れ出したり、家にお客を迎えたりして、たくさんの人、どうぶつ、環境に触れる経験をさせましょう。

一生懸命しつけても、運動量が足りなければストレスが問題行動につながることがあります。アラスカン・マラミュートは運動量が多く、たくさん活動することが必要な犬です。年齢や健康状態にあわせて適切に運動させましょう。

サイズ

アラスカン・マラミュートは大型犬に分類されます。ジャパンケネルクラブ(JKC)による標準的な大きさは次の通りです。

  • 男の子:体高63.5cm 体重38㎏
  • 女の子:体高58.5cm 体重34㎏

上記はあくまで品種として標準的な大きさで、実際は個体によって幅があり、45㎏を超える子も珍しくないといいます。また、より重い荷物を引けるように交配された「ジャイアント・アラスカン・マラミュート」はさらに大きく、60㎏も超えることも。ここまでくると超大型犬となり、ただ大きいだけでなく必要な運動量も多いため、世界的に見ても一般的なペットではありません。

被毛について

カラーは大きく分けるとブラック系とブラウン系、単色のホワイトがあります。ブラック系はライトグレーからブラック、ブラウン系はセーブルからレッドとさまざまなカラーがあります。ブラック系、ブラウン系に関わらず下腹とマスク(顔の口周り)、四肢はホワイトです。

毛は2重構造のダブルコート。アンダーコート(下毛)は防水のために皮脂でコーティングされています。

被毛、皮膚の清潔さを保つためにも、ブラッシングは毎日行いましょう。特に換毛期は大量の毛が抜けるため、入念にブラッシングを行う必要があります。

寿命

アニコム「家庭どうぶつ白書2021」によると、犬全体の平均寿命が14.1歳であるのに対し、アラスカン・マラミュートのような大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。しかし、ここ数年でフードも色々なものが出ていますし、医療も進んでいるので、寿命はあくまでも目安とし、飼育環境や運動などに気を使ってあげるといいですよね。

気をつけたい病気

大型犬に多い胃拡張胃捻転に注意しましょう。あらかじめどんな症状が出るのか知っておき、疑わしい症状が見られたら速やかに動物病院を受診してください。

胃拡張(胃拡張胃捻転) <犬> | みんなのどうぶつ病気大百科 (anicom-sompo.co.jp)

皮膚疾患も起こりやすいので、ブラッシングの際によく観察を。そのほか股関節形成不全や白内障などに気をつけましょう。

また寒い地域出身で密度の高い毛に覆われているので、熱中症対策も欠かせません。犬が過ごす場所にクーラーを設置するなど、環境を整えてお迎えしましょう。

アラスカン・マラミュートを家族の一員として迎える方法

アラスカン・マラミュートをぜひ家族の一員に!と思ったら、どこで出会えばいいのでしょうか。主に考えられる方法は3つあります。

ペットショップで探す

ペットショップなら、フードやトイレなど、犬との暮らしに必要なものを一緒に揃えられるため、迎えたその日からきちんと住環境を整えてあげることができそうです。とはいえ、アラスカン・マラミュートをペットショップで見かけることは多くないので、事前に取り扱いがあるか確認してから行くとよいでしょう。

また、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんからお迎えする最大の特徴は、迎えると決めた子の特徴やクセ、これまでの成長の様子や環境などをブリーダーさんに直接聞いたり、質問できたりすることです。また、親猫や兄弟・姉妹たちの姿を見る機会も得られる可能性があるので「将来どんな風に成長していくのか」を想像しやすいこともメリットです。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

※アニコムグループの(株)シムネットが運営する『みんなのブリーダー』へ移動します。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でアラスカン・マラミュートと出会える機会もあるかもしれません。

まとめ

魅力的で珍しい大型犬、アラスカン・マラミュートは、多くの運動量が必要な大型犬で、相応しい飼育環境が用意でき、犬のことをよくわかっている人でなければ飼育が難しい犬種です。それでもこの犬についてよく理解して迎え入れることができれば、深い愛情をもってそばにいてくれる、すばらしい家族の一員となるでしょう。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。