
犬の飼育経験者の多くが一度くらいはこの問題で悩んだことがあるかもしれません。私たちはこの「噛む」という行為をどの程度まで許容し、どうやってコントロールするべきなのでしょうか?
犬が「噛む」という行為をした場合、そこには必ず何らかの原因があると思っても過言ではありません。
犬が突然噛む理由は?

いつもは温和な犬でも、突如として噛みついてしまう可能性はゼロではありません。どんな理由から、犬には噛みついてしまうのでしょうか? いくつかのパターンから原因を考えてみたいと思います。
見知らぬ人への恐怖
「いつもは大人しいチワワが、知らない子どもが頭を撫でたら噛みついた」
その場合、どんなことが考えられるでしょうか?
チワワ君の家族は普段は、優しく撫でていたのかもしれません。そこに、突然知らない子どもがやってきて、しかも力の加減を知らずに急に撫でたとしたら 、ビックリしてしまい、自分の身を守るため反射的に噛もうとしてしまうかもしれません。チワワにしてみれば急に攻撃されたと感じてしまうかもしれないのです。
ストレス
過剰なストレスが溜まっている犬も、ちょっとしたことが引き金になって攻撃行動=噛むという行為につながる場合もあります。
番犬から家族の一員へと、犬と人の関係性が変わってきたとしても、犬が本能的に必要とすることは昔からそう変わりません。それは、「依存し依存される群れ社会で、適度な空間で適度な運動をしながらコミュニュケーションを取り合う」ということです。
群れが人間の家族に、巣が家に代わってもその根本は変わることがありません。
また、犬は非常に順応性の高い生き物なので、大抵の犬は人間の決めた家族ルールに良く適応し、楽しく生きていくことができる強者ですが、孤独を感じたり、閉じ込められたり運動が少なかったりするとストレスを感じることがあります。
日ごろから犬の状態を見て発散させてあげる工夫が必要です。
本能的なもの
本能的に噛んでしまった!という状況もあります。
寝ている犬に飼い主の足が触れたら、急に噛んできたという場合などがこれに当てはまります。急な接触に驚いた犬がそれを他者からの攻撃と思い反射的に防衛、攻撃行動として噛んでしまった時です。
また、未去勢の男の子同士の喧嘩などは、本能的な順位付けからの場合が多く、同様に上下関係の意識の強い個体が、人間の家族という「疑似群れ」中でトラブルを起こす場合もあります。
いずれにしても本能行動が原因の場合、根本的に治らない場合もあるため専門家などにアドバイスを仰ぐのも一つの方法です。
病気やケガなど
噛みつく原因が病気やケガの場合もあります。抱き上げたとき、どこか痛い場所に触ってしまったような場合、犬は反射的に噛んでしまうこともあります。
いつもと違う様子だったり、普段はおとなしい犬が噛んでくるようなら、どこかに不調があるのかもしれません。その場合、動物病院に行って獣医さんに相談してみましょう。
効果的なしつけ法

しつけによって、人や犬を噛んだり、モノを噛んだりすることをやめさせたり、軽減させたりすることができます。
犬の様子をしっかり観察して噛ませない
犬がどんな時に噛んでいるのか日ごろから観察しましょう。原因が特定できない場合、原因かもしれないということをやめたり、遠ざけたりして様子をみてみましょう。噛むこと自体が癖になる場合もあるので、噛ませる機会を与えない工夫が必要です。
噛み癖を治すしつけ方
もし、噛まれることがあっても人間は冷静に対処しましょう。特に子犬が、甘噛みしながじゃれてくる場合、人間が騒ぐと犬は遊んでくれると思い、ますます興奮して噛んでくるようになります。
基本的には、無視するか毅然とした声で怒るなどをしましょう。部屋から出て行ってしまうのも、効果的です。
遊ぶときは、おもちゃを使いそちらに興味が行くようにするのもよい方法です。
犬用の噛むおもちゃなどで発散
子犬にお留守番をさせた時など、家具など、噛んではいけないものを噛んでいたずらをしてしまうことがあります。モノを壊してみたらそれが思いのほか楽しくて、壊し癖となってしまうこともあります。
噛んでほしくないものは犬の周囲から取り除き、別のおもちゃなどを与えてあげると良いストレス解消にもなりますし、問題行動の回避にもつながります。
やってはいけないしつけ方
犬が何かを噛んだからといって、人が怒りの感情をあらわにして、力任せに犬をたたいたり叱ったりしてはいけません。
犬は基本的にボディランケージを得意とし、人の感情をよく読むため、私たちが怒りの感情を持てば、犬はそれに怯えさらなる攻撃に繋がってしまう可能性もあります。
やってよいこと、よくないことのルールを家族の中で統一し、もしやってはいけないことをした時には、必ず、共通したことばで落ち着いて叱ってあげましょう。
同じことをしているのに、叱られたり叱られなかったりするのは、犬が混乱するので、決めたルールを守ることが重要です。また、しつけは数日で効果が出てくるものではありません。犬と一緒に少しずつ成長していきましょう。
犬の噛む力はどれくらい?

犬の噛む力は大変強く、小型犬でも人間の4~5倍。大型犬に至っては、人間の10倍もの力があります。
その他の噛む行為

母犬が子犬をそっと噛んで、噛む強さを教えたり、仲間同士で皮膚を前歯で細かく噛んで毛ぐつろいしてあげることもあります。犬の噛むという行為は、一概にネガティブ要因だけではなくポジティブな意味での愛情表現や遊びとして使われることもあるので、私たちは犬がどんな気持ちで噛んでいるのかを総合的に見てあげる必要があります。
犬がしっぽを噛む理由
自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回る犬を見たことはありませんか?犬は逃げるものを追いかける遊びの行動の延長として自分のしっぽを追いかけることがあります。
ただし、ストレスを感じている犬がストレス解消として行っている場合、癖になってしっぽに噛みつき、傷をつけてしまう場合があるので注意が必要です。
また、しっぽやお尻に、かゆいところや痛いところなど違和感がある場合も、ぐるぐる回るしぐさをするので、注意しましょう。
犬が自分の手を噛む理由
手を噛んでいる場合は、指先や指の間や爪の根本・骨に傷や炎症がある場合があります。普段目の届きにくい場所なので、犬が自分の手を噛んでいたらよく見てあげましょう。
ストレスが原因で自分の手足をなめたり噛んだりする場合もあります。
おもちゃを与えたり散歩の時間を増やすなどの工夫をしてみましょう。
犬がビニールを噛む理由
ビニールを噛んでいたずらをする犬もいます。ビニールは風に舞って動いたり、カサカサと魅力的な音がして簡単に破けるので犬にとっては、魅力的なおもちゃにもなり得ます。 ただし、ビニールは食べてしまうと消化されず腸に詰まる原因にもなるので、噛んでいたら取り上げる必要があります。
人気の犬用噛むおもちゃ

犬によって好ききらいはありますが、ペットショップに行くと必ず見かけるのは「コング」です。
噛んでも壊れず、噛み心地が良く、投げた時にボールとは違う不規則な動きをするのが犬には魅力的なようです。
中におやつを隠すといった知的トイのような使い方もできます。長時間のお留守番のときなどにうまく利用するとよいでしょう。
さいごに
犬が噛む理由はさまざまです。ただ叱るのではなく、心穏やかに愛犬と向き合うことが、解決への第一歩となっていきます。笑顔で愛犬との暮らしを楽しみましょう。
