
春の訪れを告げるお祭り、イースター。日本では行事として定着していませんが、春になるとイースターバニーにちなんで一斉にうさぎグッズが販売されます。うさぎ好きにはうれしいイベントですが、そもそもなぜ、イースター=うさぎなのでしょうか?もうひとつの欠かせないアイテム、イースターエッグとの関係とあわせて紹介します。
イースターってどんなお祭り?

イースター(復活祭)はキリストが死から復活した奇跡を祝う行事。キリストが起こした奇跡の中でも、自身の復活は一番の奇跡であるため、キリスト教では最も重要なお祭りとされています。キリスト教圏の国では、会社や学校が休みになるイースター休暇がある場合も。当日は教会に足を運び、その後家族や友人で集まって食事をするのが慣例となっています。その食事のメニューや装飾、あわせて行うイベントなどは国や宗派によって異なり、さまざまな祝い方があります。
イースターの日は「春分の日のあと、最初の満月を迎えた次の日曜日」と決められているため、毎年変動します。この日曜日だけ復活を祝うのではなく、ここから7週間がイースターシーズンとなり、その期間の間お祝いが続きます。
うさぎはどんな風に登場する?
イースターで登場するうさぎはイースターバニー、たまごはイースターエッグと呼ばれます。
イースターエッグは、たまごの殻をカラフルにペイントしたもの。飾るだけでなく、子どもたちが隠されたイースターエッグを探して集め、拾った数を競う「エッグハント」に使われます。大きめのスプーンやお玉にのせて落とさずに走るエッグレースや、割れないように転がして遊ぶエッグロールに使用されることも。
一方、イースターバニーは子供たちにイースターエッグを運ぶキャラクター。お菓子やおもちゃのプレゼントを持って来ることもあります。例えばアメリカでは、子どもたちはイースター前にバスケットを用意し、前日に玄関先に置いておきます。すると夜の間にイースターバニーがやってきて、イースターエッグと一緒にお菓子やおもちゃを入れてくれるのだそうです。まるでサンタクロースですね。
子どもたちのエッグハントのために大人はイースターエッグを隠しますが、それをイースターバニーが運んできたと伝える国もあります。 子どもたちが喜ぶ存在であることから、イースターバニーは幸せを運ぶうさぎといえるでしょう。
なぜうさぎがモチーフに?

では、なぜうさぎがイースターエッグを運ぶといわれるようになったのでしょうか。一般的には、繁殖力が強いうさぎはキリスト教においても「生命力」や「繁栄」の象徴なので、生命誕生の象徴であるたまごと並んで復活祭のモチーフになったといわれています。ですが聖書の中にその記載はなく、ずっと昔からイースターと関わっていたわけではありません。復活祭でイースターバニーが現れたのは16世紀ごろのドイツと考えられています。その後ドイツで定着してから諸外国へ広まったそうです。その起源は諸説あり、正確なことはわかっていません。
ゲルマン神話の女神に由来する説
もっともよく言われているのは、ゲルマン神話の女神エオストレが関係しているという説です。エオストレは春と夜明けの女神。イーストレとも呼ばれ、イースターの語源ともいわれています。ヨーロッパでキリスト教が広がったとき、もともと春分の日にエオストレを祝う習わしがあった地域にも伝わり、この祝賀会と復活祭が融合して今の形になったのではないか、と考えられています。そしてエオストレが多産の象徴であるノウサギを従えていたことが、イースターバニーの起源ではないかといわれています。
裁判官役のうさぎがたまごを配るようになった説
イースターバニーはルター派の復活祭で裁判官のような役割をしていました。イースターシーズンのはじめに子どもたちが良い行いをしていたか、悪い行いだったかを判定していたそうです。そして良い行いをした子どもにはイースターエッグやお菓子、おもちゃを配ったことから、やがてすべての子どもに配るようになったのではないかといわれています。
うさぎの形のチョコレート販売が決定打?

イースターバニーが誕生したドイツでも、現代までイースターエッグを運ぶのはうさぎだけでなく、コウノトリやツル、キツネとさまざまなどうぶつがいました。それが戦後にチョコレートメーカーがうさぎの形のチョコレートを販売するようになってから、一気にうさぎのイメージが定着したともいわれています。
ドイツの一部の地域では今も、キツネや雄鶏が運んでくるとされています。ほかにも、うさぎ以外のどうぶつがイースターエッグを運ぶとされている国もあります。例えばオーストラリアではうさぎのように長い耳が特徴の有袋類、ビルビーが。またスイスではカッコウがその役目を担う場合があるそうです。
まとめ

イースターバニーの起源は諸説あり正確なことはわかっていません。はっきりしたことはわかりませんが、うさぎは世界中で縁起がいいモチーフということです。
日本ではまだなじみがあるイベントではありませんが、テーマパークでうさぎが登場する限定イベントが開かれたり、イースターにちなんだうさぎのグッズやお菓子が販売されたりするようになりました。いずれ、子どもたちがバスケットを用意してサンタクロースと同じようにイースターバニーを待つようになるかもしれません。どんな形で定着していくかはわかりませんが、うさぎをモチーフに盛り上がる貴重なイベントとして、今後も楽しんでいきたいですね。
