うさぎを飼って室内やお散歩で元気に走り回る姿を見ると、もっとのびのび遊ばせてあげたいと思うこともあるでしょう。うさぎが遊べる場所といえば、ラビットラン。近年、全国で増えつつあります。ラビットランを楽しく安全に利用するために、その利用方法や注意点を紹介します。

ラビットランのメリット

ラビットランは、ドッグランのようにうさぎが自由に走り回って遊ぶ専用のスペース。うさぎランと呼ばれることもあります。利用は有料になりますが、うさぎの安全に配慮して足をケガしないよう人工芝が敷いてあったり、食べても大丈夫な草が植えられていたりします。うさぎが喜ぶトンネルなど、楽しく遊べる設備があることも。貸し切りができたり、男の子と女の子のスペースがわけられていたりと、うさぎの特性に合わせたシステムもうれしいところです。犬などうさぎが怖がるペットが入ってこないこともあり、公園や公共の場所と比較して安心して遊ぶことができることが魅力です。うさぎの専門店に併設されていることもあり、うさぎを飼う人が集まるので情報収集にもつながります。

ラビットランに行く前に

メリットを見るとすぐにでも行きたくなるかもしれませんが、安全に楽しむために飼い主が注意しなければいけないこともあります。お出かけ前に次のことを確認しておきましょう。

・大人になってから利用する

子うさぎは感染症やストレスに弱いので、小さいうちは利用を控えます。少なくとも生後半年を過ぎて体が充分成長してから計画しましょう。

・行くのは外出に充分慣れてから

うさぎを連れて行く前に、外出することによく慣れてもらいましょう。最初は家の中のうさぎが普段立ち入らない部屋からスタートし、家の前、近所と少しずつ距離と時間を伸ばしていきます。同時にキャリーに入ることやハーネスをつけることにも慣れてもらいましょう。ラビットランまでの交通手段に慣らしておくことも忘れずに。

練習の時点で外出が苦手な様子があれば、決して無理はさせないようにしてください。うさぎにとって、外出や外での運動は必須ではありません。楽しめる子もいますが、そうでなければ無理に一緒に外出する必要はありません。おうちで楽しめる遊びや環境づくりを優先してください。

・施設の情報をよく確認する

ラビットランの大半は予約が必要です。事前にホームページで確認して予約をし、利用規約にも目を通しておきましょう。雨天でも利用できるか、未去勢、未避妊でも利用できるかなど、わからないこと、不安なことがあれば事前に確認をしておきます。

・うさぎの体調もチェック

食欲がない、下痢をしている、皮膚に異常があるなど、体調に不調があれば利用は見合わせてください。

・気候も確認を

暑すぎる日、寒すぎる日、1日の中で寒暖差が大きいことが予想される日は、ラビットランはもちろん、うさぎとの外出は控えましょう。

ラビットランを利用するときは

ラビットランに行った際は次のことに気をつけましょう。

・男の子と女の子は一緒にしない

うさぎは未去勢の男の子と未避妊の女の子を一緒にすると、妊娠してしまう可能性が高いです。施設側で性別によって遊ぶ場所が分けられていることが多いので、ルールを守りましょう。去勢・避妊済みであれば同じスペースで遊べる場合もあります。

・ほかのうさぎに近づけない

去勢や避妊が終わっていても、性別が同じでも、うさぎ同士でケンカになることがあります。かわいいうさぎが一緒に並んでいるシーンは飼い主にとってはテンションがあがるものですが、実はうさぎにはケンカをしやすい一面が。時にはケガを負うほどひどいケンカに発展することもあります。初対面でいきなりケンカになることはなくても、慣れてきてから始まることも。仲良くしているように見えても急にケンカが始まることもあるので、ほかのうさぎとは距離をとるのがよいでしょう。

また、菌を持っているうさぎがいた場合、接触感染のリスクもあります。

・うさぎから目を離さない

ほかの場所と比較して安心して遊べるとはいえ、うさぎに何かあった場合は飼い主の自己責任となります。落ちているものを誤食したり、ほかのうさぎとケンカをしたりといったことがないよう、よく見ていることが大切です。屋外の解放的な場所ではカラスやトビなど鳥の襲来にも注意してください。飼い主がそばにいる方がうさぎも安心して楽しめます。遠くから見守るだけではなく、うさぎから離れすぎないようにしましょう。

・無理に楽しませようとしない

広々としたラビットランに来ても、当のうさぎはその場で固まってしまうこともあれば、すみでじっとしていることもあります。そんなとき、無理に走らせようとしたり、移動させたりすることはやめましょう。初めは緊張していても、慣れたら楽しめるかもしれません。そもそも、うさぎは隅っこにいることが大好きです。最初から理想的な反応が見られなくても、うさぎのペースとやりたいことを尊重して見守りましょう。

・うさぎを驚かす行動に注意

うさぎは慣れない場所で緊張しています。そんなうさぎたちを飼い主の行動でさらに怖がらせることがないよう注意しましょう。傘やパラソルを突然開くことや、急に立ち上がること、大きな声・音を出すことは、うさぎを驚かせる可能性があります。大きな音、急な行動には気をつけて利用してください。

・飼い主も、ほかのうさぎに近づかない

飼い主に、よそのうさぎのにおいが移った状態で家(本来のなわばり)に戻ったとき、うさぎのストレスとなる場合があります。

また、近づかれた側のうさぎも、知らないヒトに関わられることがストレスになります。可愛くて近づきたい気持ちはわかりますが、ぐっと抑えて距離を取りましょう。

まとめ

うさぎのための遊び場、ラビットラン。うさぎも飼い主も楽しく快適に利用できるように、ルールを守って過ごしたいですね。うさぎによって向き不向きもあるので、外出が苦手なうさぎには無理をさせないようにしましょう。また走ることや遊ぶことを促さずに、うさぎのペースに合わせて楽しんでもらうようにしましょう。慣れるまで時間がかかることもありますが、うさぎが自ら楽しめるようになれば、お気に入りのお出かけ先となり、一緒に外出を楽しめるようになるでしょう。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。