
「うさぎの目は赤い」というイメージを持つ人もいるかもしれません。確かに赤い目のうさぎもいますが、大半のうさぎの目は赤以外の色です。それなのに、なぜうさぎの目は赤いというイメージがあるのでしょうか。また、普段は赤くないうさぎの目が急に赤くなった場合の原因もあわせて解説します。
赤い目のうさぎがいる理由
目の色はひとみの虹彩(こうさい)という部分で決まります。虹彩のメラニン色素の量が多いと黒や茶色に、少ないとグレーやブルーになります。なかには虹彩に色素がないうさぎもいます。すると目の中の血管が透けて赤い目に見えるのです。赤といっても、実際にはワインのような深い赤からピンクがかった色まで、さまざまな見え方があります。
虹彩が透明になるのは生まれつきメラニン色素をもたない「アルビノ」のうさぎで、赤い目は全身が真っ白のうさぎによく見られます。全身が白くてもアルビノでないうさぎもいるので、体が白くても目が赤ではないこともあります。
では目が赤いうさぎはすべて全身が白いかというと、そうでもありません。ヒマラヤンという毛色に関わらず目が赤い品種もいます。ヒマラヤンのカラーは体が白く、耳、鼻、足、しっぽにブラックやブルー、ライラック、チョコレートといった色が入ります。ヒマラヤン以外の品種でも「ポインテッドホワイト」という目が赤く白い体に耳、鼻、足、しっぽに色が入ったカラーパターンがあります。
赤い目のうさぎは珍しい?

野生のうさぎの目は黒や茶色が普通です。ペットのうさぎも黒や茶色が多く見られます。目の色は品種によって異なり、同じ品種でもさまざまな色があることも、一色だけのこともあります。基本的には赤い目は珍しいことになりますが、中にはアルビノで固定されている品種もあります。日本ではその品種のうさぎが多く飼われていた時代がありました。
日本では明治初期に最初のうさぎの飼育ブームが起こります。始めは海外から導入されたうさぎが飼われていましたが、やがてニュージーランドという品種をもとに日本白色種という体が白で目が赤い品種が誕生し、全国に広がりました。
さらに、日本アンゴラという全身白色で目が赤いアンゴラうさぎが誕生。昭和初期には日本アンゴラも全国に広がり、アンゴラうさぎの飼育頭数が世界一になるほど増えました。どちらもおもに家畜として飼われていて、時代の流れとともに飼育数は減っていきますが、政府がうさぎ税を導入するほどうさぎ飼育がさかんになった時代もあります。
明治初期からうさぎ飼育が広がる中で、身近なうさぎがほとんど赤い目をしていたので、「うさぎ=目が赤い」というイメージができたと考えられます。
ふだん赤くないうさぎの目が赤くなる原因

もともと赤ではないうさぎの目が赤くなることもあります。目の周りや白目の部分が赤くなっていると、病気ではないかと心配になりますね。その原因はさまざまで特定できないこともありますが、おもに次のような目の病気やケガが考えられます。
・白目の部分が赤い
結膜炎や角膜炎、ぶどう膜炎によって白目が充血することがあります。その原因は細菌やウイルス感染のほか、刺激物や異物が目に入ること、歯の不正咬合の影響で涙嚢炎(るいのうえん)になること、逆まつげなどさまざまです。
また眼窩膿瘍(がんかのうよう)といって、歯根が伸び過ぎることで上の歯の根元から目の奥の部分に細菌が入って膿が溜まり、眼球が押されてとび出してくる病気でも白目の部分が赤くなります。
・目の周りが赤い
目の中や目の周りに刺激があると、気になって自分でこすってしまい、結果的に目の周りが赤くなることがあります。また、大量の目ヤニをそのままにしておくと、そこから目の周りの皮膚が炎症を起こすこともあります。さらに、まぶたの内側にある眼瞼(がんけん)結膜が炎症を起こすタイプの結膜炎でも目の周囲が赤くなります。
目が赤くなる原因はさまざまですが、軽い充血やひっかき傷でも、放置していると細菌感染が起こるなどして大きな負担をかけてしまう可能性があります。歯の病気が原因であれば、自然によくなることはありません。いずれにしても、悪化させてしまう前に早めに動物病院を受診するようにしてください。
うさぎの目を守るために
目をひっかいたことや不衛生な環境が原因で目の炎症が起こることがあります。ケージの中はいつも清潔にしましょう。特にトイレが汚れ過ぎていると、尿からのアンモニアで目が刺激を受けます。室内を散歩する際も、うさぎは家具の下や部屋の角などホコリがたまりやすい場所に行くことがあります。ホコリのような小さな異物も目のトラブルの元になるので、気をつけて掃除をしてください。
うさぎは歯の不調が目に影響することもあります。歯の伸び過ぎは目だけでなく全身に影響を与えることも。チモシーやかじり木で自然に歯を削りつつ、歯並びや食べ方、食欲で気になることがあれば早めに動物病院を受診しましょう。
