うさぎは繁殖力が高いことで知られています。そのため発情期ならではの行動に悩まされる飼い主さんも少なくありません。穏やかな性格だったうさぎが急に気が荒くなったり、縄張り意識が高くなったり、マウンティング(ぬいぐるみや、毛布、スリッパや飼い主に対して腰をカクカクと動かす行動のこと)を始めたりしたら、それは発情期かもしれません。うさぎの発情期に見られる行動と対策を知って、うまく付き合っていきましょう。
そもそも、発情期ってなに?
発情期とは、一般に交尾ができる状態になった動物が、交尾を求める行動をする時期のこと。学術的には、繁殖周期の中でメスがオスを受け入れる期間のことを指します。多くの哺乳類は一年の中で繁殖の季節(繁殖期)が決まっていて、その間に発情期が訪れます。うさぎも野生では繁殖の季節は春と決まっていますが、飼育下のうさぎは一年中繁殖が可能となっていて、年中発情期が訪れます。
季節によって多少異なりますが、メスのうさぎはおよそ15~16日の許容期と1~2日間ほどの休止期を繰り返しているそうです。うさぎには生理はなく、交尾の刺激で排卵をします。一方、オスには発情の周期はなく、条件がそろうと発情するようになっています。
うさぎの発情期はいつからくる?
発情期が訪れるのは、性成熟を終えてから。性成熟は生殖活動ができる体になることで、具体的にはオスは交尾と射精が、メスは排卵が可能になることです。うさぎはオスが生後6~10ヶ月、メスが生後4~8ヶ月ごろに性成熟を迎えます。早い子では3ヶ月半ごろに性成熟することも。小型な種ほど早い傾向があり、ネザーランドドワーフのような小型種は4~6ヶ月ごろ、フレミッシュジャイアントのような大型種では8ヶ月ごろになります。
性成熟をすると繁殖が可能になりますが、性成熟後も体の成長は続いています。繁殖に適した体になるのは、体重の増加が止まるまで充分に成長してからです。
発情期の行動はどんな感じ?
発情期のうさぎはどのような行動をとるのか、オス、メスそれぞれに代表的なものを紹介します。
オス
うさぎの行動には個体差があり、マウンティングはしないけれどスプレーはよくするなど偏りがあります。同じオスでも頻繁に発情行動をとる子もいれば、目立った発情行動がほとんどない子もいて、本当に様々です。
- 腰を振る「マウンティング」
通称「カクカク」と呼ばれる、メスの背中に乗って腰を振る行為。メスに対してだけでなく、自分より弱いと思ったオスや、飼い主さんの腕や足、ぬいぐるみにすることもあります。
- おしっこを飛ばす「スプレー」
おしっこを飛ばして縄張りを主張するスプレー行為を行います。ケージの中だけでなく、部屋の中のものや飼い主さんに対して飛ばすこともあり、飼い主さんを悩ませる行動です。例えば新しいケージになったときや、部屋に自分のにおいがついていないものに出会ったときなどに、おしっこをかけることがあります。
- 足を踏み鳴らす「スタンピング」
通称「足ダン」と呼ばれる足を踏み鳴らす行動が多くなり、イライラしているように見受けられます。ですが、足ダンは怒っているとき以外にも、まわりに「危ないよ!」と危険を知らせるために行う場合もあります。中には、ごはんが待ちきれなかったり、ごはんの味がいつもと違うことで足ダンをするうさぎもいます。
- 臭腺から出る分泌液で「マーキング」
肛門の脇の臭腺から分泌物を出すことで、排泄物が独特の臭いを発します。顎の臭腺の分泌物をこすりつけてマーキングをすることも。うさんぽをするエリアは、自分のなわばりそのもの。家具やカーペットなどあらゆるものにマーキングをします。
- そのほか
いつも以上に飼い主さんに甘えてくっついてくる、慣れていたのに激しく抱っこを拒否する、縄張り意識が高くなりケージに手を入れると威嚇するといった様子が見られることもあります。発情期にうさぎの性格や行動に異変があるのは、おかしなことではありません。うさぎの様子を観察して、できるだけストレスにならないような過ごし方をさせてあげましょう。
メス
メスのうさぎでも、オスと同じようにマウンティングやスプレー、スタンピング、マーキングをすることがあります。またメス特有の現象として偽妊娠があります。
- 気性が荒くなる
気が強くなり、飼い主さんの言うことを聞かなかったり抱っこを嫌がったりするなど、わがままな態度が多くなります。
- 縄張りを主張する
飼い主さんが掃除のためにケージに手を入れると威嚇するなど、巣を守ろうとするかのように縄張りを主張します。そのために、足ダンをしたり「ブッ」と怒ったような鳴き声を出すことがあります。
- 偽妊娠
実際は妊娠していないのに、体に妊娠した場合と同じ変化が起こり、巣づくりを始めます。
発情期中のうさぎに対して気を付けるべきことは?
発情期のうさぎはとてもデリケートになっています。次のことに気を付けて見守りましょう。
- メスの背中やお尻を撫でない
発情期のメスは、背中を押されると腰をあげ、オスを許容する姿勢をとることがあります。飼い主さんが背中を撫でることでお尻をあげることも。そんなときに背中やお尻を撫でると、偽妊娠を誘発してしまいます。偽妊娠は通常18日ほど続いて終わりますが、うさぎの体には負担がかかっています。メスのお尻は撫でないようにしましょう。
- 人にマウンティングさせない
マウンティングは弱い立場の相手に行うことがあるので、飼い主さんへのマウンティングを許していると、うさぎは自分の方が優位だと思い込み、関係性が壊れてしまう可能性があります。またマウンティングによって興奮したうさぎが噛みついてケガをする危険も。飼い主さんの足や腕にマウンティングを始めたらやめさせて、その場を離れて無視をします。しつこく追ってきても、ほかの遊びに誘って気をそらせましょう。
- ケージの掃除は控えめに
発情期のうさぎは自分の縄張りに敏感になっています。うさぎのためとはいえ、頻繁な掃除はかえってストレスに。最低限の掃除だけにして、素早く済ませるようにしましょう。へやんぽ中や食事中など、うさぎがほかのことに集中している間に掃除を行うのもいいでしょう。
- 去勢・避妊手術がまだの場合は異性のうさぎに会わせない
うさぎは交尾時間が数秒から1~2分と短く、交尾の刺激で排卵をするため、交尾をしたらほぼ100%妊娠するといわれています。繁殖能力があるオスとメスを一緒にして目を離すと、ほんの少しの間でも妊娠する可能性があります。繁殖を考えていない場合は、去勢・避妊手術をしていないうさぎを異性と会わせないようにしましょう。
あまりに発情期中の行動がひどい場合には…
発情期中の行動があまりに頻繁で困っているときは、一度動物病院で相談してみましょう。発情期の行動と症状が似ている病気もありますし、去勢・避妊手術で軽くなることもあります。
オスの場合
スプレー行為に困っている場合、一度おしっこを飛ばした場所に臭いが残っていると、また同じ場所でしてしまいます。してほしくない場所におしっこを飛ばしたら、すぐに掃除をして消臭を。また縄張りを主張するための行動なので、サークルを使ってへやんぽの範囲を狭くするなどして、縄張りを主張する必要性を減らしてみましょう。
オスは発情を起こす刺激があることで発情期中の行動をとります。ほかにもうさぎを飼っている場合は、別の部屋に移動して目に入らないようにしましょう。ぬいぐるみもなるべく見せないようにして、刺激を減らす工夫をしてください。
以上のことに気を付けてもひどい場合は、去勢手術をするという選択もあります。手術は全身麻酔で行うためリスクもあります。年齢を重ねると落ち着くこともあるので、よく検討しましょう。
メスの場合
巣づくりのために自分の毛をむしりすぎると、毛が薄くなってしまいますし、毛を飲み込むことで毛球症を起こすことも心配です。毛を抜いて集め始めたら、すぐに片づけて、ほかの遊びなどで気をそらしてみましょう。
メスの場合、避妊をしないでいると、3~4歳で子宮の病気にかかりやすくなり、7~8歳でほとんどが子宮の病気になるといわれています。繁殖を考えていない場合は2歳までの避妊手術が推奨されています。特に発情行動に困っていない場合でも、できれば避妊手術を受けておきましょう。
発情期中のうさぎが気を付けるべき病気は?
メスはホルモンの影響による子宮腺癌、子宮水腫、子宮内膜炎、嚢胞性乳腺腫などに注意が必要です。これらの病気はふだんのケアで予防することや、家庭での健康チェックで早期発見することは難しいものです。目に見えて症状があらわれたときには、病気はかなり進行しています。繁殖の予定がない場合には避妊手術を受けることが予防となります。手術を受けない場合は、動物病院で定期的に健康診断を受けましょう。
まとめ
飼育下のうさぎはほぼ一年中発情期です。発情期に見られる行動の中には、スプレー行為やマウンティングなど飼い主さんを困らせる問題行動も。うさぎと暮らす上である程度は仕方がないことと割り切って、それぞれに正しい対処をしていきましょう。あまりにひどくて困っている場合は動物病院などで相談して、解決策を探してみてください。
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