男の子のうさぎを迎えたときに、去勢をするかどうか悩む飼い主さんは多いのではないでしょうか。

去勢にはさまざまな利点がありますが、手術にはリスクもあるため、よく理解して決断する必要があります。

今回はうさぎの去勢について、メリットやデメリット、適した時期や手術方法について解説します。

そもそも“去勢”とは

“去勢”とは、男の子の精巣(睾丸)を手術によって摘出することをいいます。

それにより、生殖が不可能になり、また精巣から出ているホルモンの影響を受けなくなります。

うさぎに去勢は必要?

うさぎのあかちゃん

うさぎに去勢をすることは、不要な出産を防ぐ、問題行動を軽減させる、病気の予防になるといったさまざまなメリットがあるため、獣医学的にはすすめられています。

しかし、去勢には全身麻酔のリスクや去勢後に太りやすくなるといったデメリットもあります。

メリットとデメリットをよく理解し、うさぎの健康状態や生活環境、性格なども含めて決断するといいでしょう。

去勢をした際のメリット

  • 繁殖の予防

うさぎは繁殖力が旺盛です。基本的に一年中繁殖することが可能で、交尾も数秒~1、2分と短いため、男の子と女の子を一緒にすると、目を離したすきにすぐに妊娠してしまう可能性があります。

そういった望まない出産を防ぐことができます。

  • 問題行動の軽減

去勢していない男の子は、縄張り意識が非常に高いことから、おしっこをあちこちにマーキングすること(スプレー行動)で縄張りを主張したり、飼い主さんに対して攻撃的になったりします。

また、男の子同士は勢力争いからケンカが絶えず、大ケガにつながることもあります。

そういった問題行動が軽減され、行動が穏やかになる可能性が高くなります。

  • 病気の予防

女の子ほど生殖器の病気の発生率は高くありませんが、精巣炎や精巣腫瘍といった病気の予防になります。

去勢をした際のデメリット

  • 麻酔や手術のリスク

どのような手術でも、リスクは0ではありません。去勢手術もそのひとつで、全身麻酔のリスクがあります。

また、手術の後に食欲が低下してしまうこともあるため、その場合には食事の補助をしてあげる必要があります。

  • 肥満のリスク

繁殖につかうエネルギー要求量が減少するため、手術前と同じ食事量だと太りやすくなります。体重を定期的に測定し、太るようであれば食事量や食事内容を調整する必要があります。

うさぎの去勢は何歳からできる?

うさぎの精巣はもともとお腹のなかに左右2つあり、生後3ヶ月ごろから陰嚢(いんのう)という袋の中に降りてきます。まれに精巣がお腹の中や鼠経(そけい)部にとどまってしまうことがあるため、精巣が2つ陰嚢(いんのう)にあるかをしっかり確認する必要があります。

手術に適した時期は、生後6~12ヶ月です。早すぎると精巣が陰嚢に降りていない可能性や、尿道の成長が悪くなることでのちのち尿道閉塞になるリスクがあります。

手術のタイミングが高齢になるほど内臓が弱ってきて麻酔のリスクが高くなります。

うさぎの去勢はどうやって行う?

動物病院にいるうさぎ

手術の前に、身体検査や血液検査を行い、手術を受けられる体調かどうかを判断します。

血液検査で異常がある場合には、肝機能や腎機能に問題があるケースが多いため、手術ができない場合があります。

問題が見つからなければ、去勢手術を行います。注射やガスの麻酔薬を用いて全身麻酔をかけ、陰嚢周囲の毛をそり、消毒をします。皮膚を切開し、精巣を引っ張り出して、血管と精管(精子の通り道)を糸で結んで摘出します。皮膚の切開部を縫い合わせて終了です。

もし停留精巣(生後3ヶ月経過していても、精巣が陰嚢内に降りてきていない状態)だった場合には、開腹手術を行います。

うさぎは環境の変化に弱いため、手術した日に退院することが多いですが、うさぎの様子によっては数日入院するケースもあります。

手術後は、食欲が低下して胃腸のうっ滞を起こしてしまうことがあるため、必要であれば食事の補助をしてあげましょう。

うさぎの去勢をしない場合に気を付けたい病気は?

  • 精巣炎

精巣に細菌が感染することで起こる病気です。

体の別の場所で感染した細菌が血流によって精巣に運ばれるか、精巣自体が傷つくことによって精巣に細菌が感染、増殖します。そうすると炎症を起こし、腫れや痛みが認められるようになります。

  • 精巣腫瘍

精巣がガンになってしまう病気です。特に停留精巣では、精巣腫瘍になる可能性が高くなります。

精巣炎と同様に精巣が腫れ、左右で精巣の大きさに差があるなどの症状が出ますが、痛みや発熱、食欲や元気の低下は認められないことが多いです。

見た目だけでは判断が難しいこともあるため、その場合には去勢を行い、精巣を詳しく検査することで診断します。

うさぎの去勢をする前に知っておきたいこと

うさぎの去勢手術は、犬や猫に比べてできる病院が限られています。

近年は獣医療が発展しているため、より安全な麻酔薬などが使用されていますが、手術には一定のリスクがあります。

うさぎの手術に慣れている病院を探して、先生とよく相談することをお勧めします。

まとめ

うさぎの去勢はメリットとデメリットがあり、うさぎの健康状態や生活環境、性格などによっても必要性は変わってきます。

去勢には適した時期があるため、男の子のうさぎを迎えたら早めに病院で相談するようにしましょう。

去勢しなかった場合には、望まない繁殖や問題行動、精巣の病気などを起こす可能性があるため、日常的に気を付ける必要があります。 特別な事情がない場合には、去勢手術を行うことをおすすめします。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。