
一口にダニといっても、その種類はさまざま。寄生していても無症状のダニもいれば、病原体を運ぶ危険なダニもいます。うさぎに寄生するダニの種類を知って、もしダニの寄生がわかっても慌てず適切に対処できるようになりましょう。
ダニってどんな生き物?
ダニはクモやサソリの仲間で、世界中に数万種類もいる虫です。フケや毛、ホコリを食べるダニもいれば、体液を吸うダニ、血液を吸うダニもいます。うさぎに健康被害があるダニの種類はごくわずかですが、どんなダニがいるのか知っておきましょう。
ここではうさぎの体に寄生するダニと、うさぎも刺されることがある血を吸うダニにわけて説明します。
うさぎ特有のダニ

うさぎの毛や皮膚に寄生することがあるのは、いずれも1㎜にも満たない小さなダニです。とても小さいため、飼い主が異変に気づくころにはすでに数が増えているか、ダニの影響で炎症が起こっています。悪化させる前に早めに動物病院を受診しましょう。
ウサギズツキダニ
うさぎには一般的なダニで、ほとんどのうさぎの体にすでについているといわれています。被毛に寄生し、皮膚に降りて体液を吸います。このダニがいてもうさぎは無症状であることがほとんどです。うさぎ自身が毛づくろいをすることで取り除かれるため、数が増えすぎることもありません。
加齢や肥満(体が曲げられず、上手に毛づくろいができない状態)、ケガなどでうまく毛づくろいができなくなると増殖し、毛をかきわけたときにダニの姿を確認できるようになります。その姿はコショウを振ったような小さな黒い粒が付着しているように見えます。基本的にうさぎには無害で、数が増えても皮膚炎が起こるとは限りませんが、気になるときは動物病院で相談しましょう。
ウサギツメダニ
口に大きなかぎ爪があるツメダニの仲間。うさぎの皮膚に寄生し、フケを食べたり体液を吸ったりします。感染しているうさぎに接触することで寄生します。 うさんぽなどで、他のうさぎと接触したあとには注意をしてあげましょう。
うさぎが健康であれば無症状ですが、毛づくろいが減ることや、ストレスや加齢などで免疫力が落ちるとツメダニ症になります。症状は皮膚の赤みやかゆみ、フケ、薄毛や脱毛。おもに頭や首の後ろ、背中に見られます。0.5㎜程度の小さなダニですが、数が多くなると肉眼で確認できることもあります。
このダニは犬や猫などほかのペットや人にも寄生します。人では手足にかゆみのある赤い発疹が出ます。うさぎにツメダニ症の症状があらわれたら、早めに動物病院を受診しましょう。発症の原因となるほかの病気が隠れていることもあります。
耳ダニ(ウサギキュウセンヒゼンダニ)
耳疥癬(耳ダニ症)の原因となるダニです。うさぎの耳の中に寄生し、耳垢や皮膚から流れ出る浸出液をエサにします。「疥癬(かいせん)ダニ」の仲間で、皮膚の下に穴を掘って産卵するのが特徴です。感染している他のうさぎとの接触でうつります。
耳ダニが寄生すると、耳にフケや発疹が見られるように。その後、浸出液(湿疹ができたところから出てきたジュクジュクした液体)がはがれた皮膚とともに固まり、茶色や黄褐色のかさぶたができます。このかさぶたの下でダニが増殖します。
症状が進むと耳垢が出て耳に激しいかゆみが起こり、耳を気にしたり後足でしきりに掻いたりする様子が見られます。うさぎ自身が耳をひっかくことで外耳炎も起こります。耳の汚れが気になったら早めに動物病院を受診してください。
うさぎも刺されることがあるダニ

次の吸血性のダニはさまざまな動物を刺すので、うさぎが刺されることもあります。刺されると皮膚炎を起こすほか、一度にたくさん刺されると貧血になることもあります。またこれらのダニは人の感染症を運ぶこともあります。屋外の自然が多い場所に連れていくときや、家で吸血性のダニが見つかった場合は充分注意してください。
マダニ
人が刺されると「重症熱性血小板減少症候群」を起こす可能性があり、命に関わることもあるので注意が必要なダニです。山奥にいるイメージがあるかもしれませんが、民家の裏庭や都心の公園、河川敷にいることもあります。こうした場所を散歩していてうさぎが草むらに入ると、マダニに刺されることがあります。
散歩をしたあとは、帰ってから刺されていないか全身をチェックしましょう。うさぎは草むらに顔を入れた際に顔を刺されてしまうことが多いです。大きさは5㎜前後で、吸血すると腹部が膨らみ数倍になるので肉眼で確認できます。血豆のようにも見えます。
うさぎの体にマダニを見つけたらすぐ取り除きたくなると思いますが、無理に取ると皮膚の中にマダニの口の一部が残ってしまいます。動物病院で取ってもらうようにしましょう。マダニの吸血時間は数日におよび、吸血が終わるまで離れることは滅多にありません。しばらく同じ箇所についているので落ち着いて受診してください。
イエダニ
ネズミに寄生するダニですが、宿主から離れて人やほかの動物を刺すことがあります。ネズミが出る環境ではイエダニにも気をつけてください。毛をかきわけたとき、赤黒い1㎜程度の虫のようなものがついていたら、イエダニの可能性があります。動物病院を受診して駆虫薬で治療を受けましょう。また並行してネズミの侵入を防ぎ、うさぎのケージの中や、お部屋のカーペットなど、うさぎがいる生活環境をよく掃除しておきます。

ダニの被害を予防するためにできること
うさぎ特有のダニは、感染しているうさぎとの接触でうつります。不用意にほかのうさぎと接触させないようにしましょう。また新しいうさぎをお迎えする際は、できれば動物病院で健康チェックを受け、耳ダニがついていないかも確認してもらいましょう。
吸血性のダニは、飼育環境によっては駆除薬で予防した方が良いこともあります。動物病院で相談してみましょう。 また、ブラッシングやふれあいの際にうさぎの皮膚をよくチェックする習慣を作り、異常があったときにすぐに気づけるようにしておきたいですね。