ツメダニというダニをご存知でしょうか?

うさぎが背中をかゆがっていたり、フケや脱毛が認められたりしたら、ウサギツメダニの寄生が原因の可能性があります。

ツメダニ症は、うさぎの外部寄生虫症の中では最も一般的で、ストレスや免疫力の低下が発症のきっかけとなることがあります。

今回は、うさぎのツメダニ症についてお話ししたいと思います。

うさぎのツメダニ症ってどんな病気?原因は?

うさぎのツメダニ症は、ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitovorax)の寄生によって起こる病気のことをいいます。

ウサギツメダニは、うさぎの皮膚の表面にある角質層に寄生して卵を産み、孵化し、成長します。ライフサイクルは35日程度で、生涯をうさぎの皮膚の上で過ごします。

成虫の大きさは0.3~0.5mmで、大きなかぎ爪を持っているのが特徴です。

ウサギツメダニが寄生しているうさぎと接触することで感染します。

うさぎのツメダニ症はどんな症状が出る?

健康なうさぎでは、あまり症状が見られません。

正常にグルーミングできないうさぎや免疫力が低下しているうさぎでは、ツメダニが増殖することで症状が認められます。また、少数の寄生でも、アレルギー反応を起こして症状が出ることがあります。

頭や首の後ろ、背中を中心に、皮膚の赤み、フケ、薄毛や脱毛が見られます。

また、激しいかゆみを伴い、後足でしきりに引っ掻くことで傷やかさぶたがみられることもあります。

寄生している数が多いと、毛の間を動くツメダニを見つけることができるかもしれません。

症状が認められる部位にセロテープを押し当てて顕微鏡で観察し、ツメダニやツメダニの卵を確認することで診断しますが、少数寄生の場合、見つけられないこともあります。かゆみやフケの症状があるときには、見つけられなくても試験的に治療します。

うさぎのツメダニ症に関連する病気はある?

うさぎの歯の画像

正常にグルーミングができないうさぎでは発症しやすいです。

うさぎは、歯が伸びすぎることでかみ合わせが悪くなる不正咬合がよく起こりますが、それによって口が痛くなりグルーミングできなくなることがあります。

また、骨や筋肉、神経の病気や、太りすぎによって、体をうまく曲げられず背中に口が届かない場合にも発症しやすくなります。

その他に、若齢や高齢、強いストレスなどで免疫力が低下しているうさぎでは、ツメダニが増殖しやすくなります。

また、ツメダニ症は、人やその他の動物にも感染する人獣共通感染症で、感染するとかゆみを伴う赤いブツブツとした皮膚病がみられることがあります。

うさぎのツメダニ症はどんな治療をするの?

駆虫薬を使用します。背中に垂らすスポット剤が一般的ですが、その他に内服や注射による治療方法もあります。

卵には効果がないため、日にちをあけて何度か駆虫をする必要があります。

ツメダニ症が発症している場合、ほかの病気が隠れていることがあるため、全身の診察を行い、異常が見つかればそちらの治療も行います。

うさぎのツメダニ症の予防法は?

毛ずくろいするうさぎ

感染が疑われるうさぎとの接触は避けましょう。人がツメダニを運ぶ可能性があるため、うさぎを触った後には手洗いをすることも大切です。

また、環境や温度の変化はうさぎにとってストレスになり、発症のきっかけになることがあります。急な環境変化は避け、適切な温度管理を行うようにしましょう。

ツメダニは環境中で数日間生きることができるため、こまめに掃除し、風通しを良くして環境を清潔に保つことも重要です。

また、太りすぎはグルーミングの妨げになるため、肥満にならないよう気を付けましょう。歯が伸びすぎることで起こる口の痛みを防ぐため、繊維質の豊富な牧草をあげ、動物病院で定期的に歯のチェックを受けるようにしましょう。

日常的なブラッシングも、グルーミングの助けになるため効果的です。皮膚の状態を観察しながら行うと、皮膚病の早期発見にもつながります。

まとめ

うさぎのツメダニ症は、寄生していても健康なうさぎであれば軽い症状か、ほとんど症状が見られません。ただ、さまざまなきっかけで症状が悪化すると、強いかゆみを伴い、皮膚をひどく傷つけてしまうことも。かゆみはうさぎにとって非常にストレスとなります。定期的に皮膚をチェックして、気になることがあれば動物病院で相談するようにしましょう。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。