うさぎの眼から涙や目やにがたくさん出ていたり、目の縁が赤くなったりしていたら、結膜炎を起こしているかもしれません。

うさぎの結膜炎はさまざまな原因で起こり、皮膚炎や角膜潰瘍など他の病気につながることもあるため注意が必要です。

今回は、うさぎの結膜炎について、原因や症状、治療法や予防法をお話しします。

うさぎの結膜炎ってどんな病気?

「結膜」とは、まぶたの裏側と眼球の表面から黒目の周囲までを覆っている粘膜のことをさします。

まぶたの裏側を「眼瞼(がんけん)結膜」、白目の表面を覆っている部分を「眼球結膜」といいます。

このいずれかの「結膜」が炎症を起こしている状態のことを「結膜炎」といいます。うさぎの結膜炎はさまざまな原因で発症します。

うさぎの結膜炎はどんな症状が出る?

触診されるうさぎの画像

うさぎの結膜炎では、結膜の充血や腫れ、目やに(感染性では白~黄色いドロッとした目やに、刺激性では透明で水っぽい目やに)、涙目(目にウルっとした涙が見える状態)、流涙(すでに涙が流れている状態)、羞明(目をまぶしそうにすること)などの症状が見られます。

ひどい場合には、目やにや結膜の腫れによって上下のまぶたがくっついてしまい、目が開けられなくなります。

涙が流れることにより、眼の周りや頬の皮膚が濡れた状態が続くと、皮膚炎を起こしてジュクジュクしたり脱毛を起こしたりすることもあります。

また、結膜炎があると眼に違和感を覚えて前足でひっかいてしまい、角膜(黒目の部分を覆っている粘膜)を傷つけることで潰瘍性角膜炎を発症することもあります。

うさぎの結膜炎の原因は?

細菌やウイルスの感染

うさぎの結膜炎の原因で多いもののひとつに、パスツレラ菌の感染があります。その他に、黄色ブドウ球菌、トレポネーマ(うさぎ梅毒)、ポックスウイルスなどの感染が原因になることもあります。

刺激物

ケージ内で空気の通りが悪く、排泄物の処理が滞っている環境ではアンモニアの濃度が高くなります。アンモニアは結膜を刺激し、炎症を起こす原因となります。

また、トイレ用のウッドチップ(針葉樹)からの揮発性物質や消毒剤なども、刺激物となって結膜炎の原因となることがあります。

異物

ウッドチップや牧草、砂ぼこりなどの異物が眼に入ることで結膜炎を起こします。通常、おうちで過ごしている分には、目に異物が入ることはほとんどありませんが、「うさんぽ」(お外をお散歩すること)などをした後には、うさぎの目に異常がないかチェックしてあげましょう。

うさぎの結膜炎に関連する病気はある?

うさぎのスナッフルは、主にパスツレラ菌がうさぎの鼻で増殖することで起こるくしゃみや鼻水などの呼吸器症状のことをさしますが、増殖した菌が鼻と眼をつなぐ鼻涙管という管を経由して眼に波及すると、結膜炎がみられることがあります。

また、かみ合わせが悪くなる不正咬合によって歯の根元が伸びすぎると、鼻涙管閉塞を起こして細菌が増殖しやすくなります。そうすると涙を溜めている涙嚢という部分が炎症を起し(涙嚢炎)、二次的に結膜炎を発症します。

まぶたの異常(内反や外反など)や逆さまつげも結膜炎の原因となります。

うさぎの結膜炎はどんな治療をするの?

細菌感染が疑われる場合には、どんな菌が増えているか、どの抗生剤が効くかを調べ、それに沿った抗生剤を点眼、内服します。痛みを伴う場合には鎮痛剤を使用します。

必要であれば異物の除去、眼や鼻涙管の洗浄、皮膚炎の治療も行います。

呼吸器や歯、眼の病気がないかを確認し、異常が見つかればそちらも同時に治療します。

うさぎの結膜炎の予防法は?

たれ耳のうさぎ

こまめにトイレの掃除をして排泄物を溜めないようにし、風通しをよくしましょう。刺激の強い消毒剤は使用しないようにします。

また、細かいくずの多い牧草やウッドチップは使用を避けましょう。

歯の伸びすぎから結膜炎になるケースは多いため、牧草や、硬いごはんなどの適切な食事をあげること、定期的に歯のチェックをすることも結膜炎予防につながります。

結膜炎から皮膚炎を併発しないように、涙で皮膚がぬれていたらこまめに拭いてあげるようにしましょう。

まとめ

結膜炎を起こすと、眼が痛そうでとても心配になりますよね。そうならないよう、安全で清潔な環境を作ってあげましょう。また、目やにや涙が流れていないか日常的に確認することが、早期発見につながります。

歯科疾患や呼吸器疾患から結膜炎を併発することもあるため、気になることがあれば早めに動物病院を受診するようにしましょう。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。