
ペットの体に寄生する虫といえば、ノミやダニ。うさぎではノミの被害はあまり聞かないものですが、うさぎの体につくこともあるのでしょうか。感染経路や症状、対処法とあわせて説明します。
うさぎにノミがつくことはある?
答えは、「うさぎにもノミがつくことがある!」です。
ノミは猫や犬だけでなく、うさぎにも寄生します。日本で見られるのはネコノミやイヌノミ。イヌノミは少なくなってるので、ペットのノミ被害はネコノミによるものがほとんどです。
屋外を散歩させたときに体に跳び移るほか、感染した猫や犬などから移ることもあります。家でほかのペットを飼っていなくても、家族がペットのいる場所や草むらに行った際にノミを運んでうさぎに感染することも。ずっと室内で過ごしているうさぎにも感染する可能性があるのです。
ノミってどんな虫?

ノミは吸血をする昆虫の仲間。世界中に生息したくさんの種類がいます。体長わずか1~3㎜ほどの小さな虫ですが、驚異的なジャンプ力で知られています。30㎝ほどの高さまで飛び上がりますが、これは体長のおよそ100倍。宿主になる動物を見つけると、このジャンプ力を活かして体に跳びつき寄生します。
成虫のメスは体に飛び移って吸血したあと1~2日で産卵します。その後1~2ケ月で死んでしまいますが、寄生したまま吸血と産卵を繰り返すため、一度寄生されると卵、幼虫、サナギ、成虫とさまざまなステージのノミが存在することになります。
吸血するのは成虫のみで、幼虫は寄生した動物のフケや食べこぼしをエサに成長します。成虫は動物の体についていますが、卵や幼虫、サナギは床に落ちて室内で成長することもあります。そして成虫になると、再び動物の体に跳び移ります。体の成虫を取り除いても完全に駆除したことにはならず、また卵や幼虫が成虫になって寄生するため、駆除には時間と根気が必要です。
ノミは繁殖しやすい温度、湿度などの条件がそろうと爆発的に数を増やしていきます。成虫の数が多くなると宿主の動物が貧血になることも。ネコノミは人を刺すこともあり、刺されると強いかゆみが生じます。掻きむしることで化膿してしまうこともあります。
さらに猫ひっかき病や瓜実条虫症(うりざねじょうちゅう)といった、動物と人との間でうつる感染症(人獣共通感染症)を媒介する可能性も。うさぎの体にノミを発見したら、すぐに対処が必要です。
うさぎにノミがついていたらどうなる?
ノミに刺された箇所は強いかゆみが生じます。かゆみからうさぎが自分で体を噛んでしまい、毛を抜いてしまうことや皮膚を傷つけてしまうことも。ノミは肉眼でも見えますが、小さな虫なのでうさぎの被毛の奥に隠れていると見つけにくいものです。
ノミが体に寄生していると、毛をかきわけたところにノミのフンが落ちて、こしょうがかかったような複数の黒い粒が見られます。この黒い粒をとって、水に浸したティッシュに置くと、ノミのフンであれば赤い色が広がります。赤くなるのはノミが吸った血液の赤血球によるものです。
うさぎにノミがついていたらどうすればいい?

体からノミを完全に取り除くためには、根気強い治療が必要です。まずは動物病院を受診してノミの駆虫薬を処方してもらいます。うさぎ専用の駆虫薬はないので、犬猫用を使用することになります。その中にはうさぎに使用できない製品もあります。使用すると命に関わることもあるので、自己判断で入手した薬を使うのではなく、動物病院でよく説明を受けてから処方してもらうことが大切です。
犬猫用の「ノミとりシャンプー」もありますが、うさぎは水に濡れることが苦手なのでおすすめできません。仮に使って一時的にノミが離れても、また跳び移ってくることがあるため根本的な解決にはなりません。
駆虫薬での治療を基本としながら、並行してブラッシングでうさぎの体を清潔にすること、ケージや部屋を掃除して落ちた卵や幼虫も取り除くことを続けていきます。
うさぎのノミ予防はどうすればいい?
屋外に連れて出るときは、うさぎに使える防虫スプレーをするなどして、人もうさぎも防虫対策をしましょう。屋外から帰ったら、うさぎの身体の汚れをよく拭いて、ブラッシングをして清潔にしてあげましょう。その際に、ノミがついていないか、全身をチェックします。また、屋外から帰った後はしばらく体調や様子に変化がないか注意して見てあげましょう。

まとめ
うさぎにつくノミについて説明しました。ペットのノミの駆除、予防を目的とした商品は多々ありますが、いずれも犬や猫が対象です。うさぎに適していない場合がほとんどですので、動物病院で相談するようにしましょう。ノミは冬でも室内で繁殖するため、一年中見られる虫です。季節に関わらず、日頃からお手入れや触れ合いのタイミングで毛をかきわけてチェックしてあげてくださいね。そしてノミの寄生が心配なときは、早めに動物病院を受診してください。