毛球症とは?

毛球症とは、うさぎが口から摂取した毛が、胃や腸などの消化管内で毛玉となり溜まってしまう状態をいいます。うさぎの胃腸の活動が、なんらかの原因によって低下してしまう胃腸うっ滞が、毛球症の根本的な原因といわれています。

うさぎは猫のように毛玉を吐き出せないため、一度作られてしまった毛球は消化管を通って体の外へ出ていくしかありません。胃腸の動きが低下している状態では、この毛球は移動しにくく、あとから流れてきた毛や食物残渣(しょくもつざんさ)がさらに絡まって大きくなり、体へさまざまな影響が出てきます。

※食物残渣…消化されなかった餌や牧草の残りのこと

毛球症の原因は?

消化管に毛玉が溜まる原因として、以下のような原因があげられます。

・なんらかの原因で胃腸の動きが悪くなっていて(胃腸うっ滞の状態のこと)、飲み込んだ毛の排出がうまくいかない。 (通常、うさぎの消化器運動が正常であれば、飲み込んだ毛はうんちと一緒に排出されていきます。)

・水分摂取が少なく、胃の内容物の流動性が低くなっている。

・喚毛期で抜け毛が多くなることや、退屈やストレスなどで毛づくろいを過度に行い、口から抜け毛を多く飲み込んでしまう。

・ライオンラビットなど長毛種の長くて柔らかな毛は、短くまっすぐな毛と比べると消化管の中で絡みあいやすく、飲み込んだ毛が塊になってしまい胃から排出されにくいため。

・絨毯やタオル、毛布などの異物をかじって食べてしまい、毛玉の一部になってしまう。

毛球症になるとどうなる?

消化管の動きの悪さに加えて、毛玉がうんちの通り道を邪魔してしまうので、食欲不振や元気消失、糞便の量の減少がみられるようになります。健康なうさぎは、1日中牧草やチモシーを食べているため胃が空っぽになることはないといわれるほど、正常な胃腸は常に働き続けています。1日でもうんちが出ていない、またはうんちの大きさや色がいつもと違う場合には動物病院へ連れていきましょう。

毛球症(胃腸うっ滞)の治療は?

触診されるうさぎの画像

毛球症の状態が軽度な場合は内科的治療を行います。毛球除去剤を舐めさせてうんちと一緒に排出させたり、タンパク分解酵素剤(もしくはタンパク分解酵素を含むパイナップルジュースなど)を投与し、毛玉をほどくことを試みたりします。内科的治療でも症状が改善されず、毛球が消化管の流れを邪魔している場合や、完全に閉塞してしまっている場合には、手術で毛球を除去する外科的治療を行うこともあります。これに加え、背景にある胃腸うっ滞を解消するために、消化管運動を助ける薬の投与、脱水を改善するための補液(点滴で水分を与える)、消化管内の状態を正常化させるための強制給餌(シリンジにペレットや栄養剤を液状にしたものをいれてうさぎに与えること)などが必要になる場合もあります。

毛球症(胃腸うっ滞)の予防は?

毛球症(胃腸うっ滞)を予防するには、まずは牧草などの繊維質を多めにあげること。これにより消化器の動きが活発になります。そして、水分を必要なだけ摂取できるようにしてあげることも大切で、適度に野菜をあげるのもおすすめです。また、運動をさせて消化管の動きを助けるとともに、ストレスが溜まらないようにしてあげましょう。

長毛のうさぎや換毛期中のうさぎであれば、こまめにブラッシングをし、毛づくろいの時に飲み込んでしまう毛の量を減らしてあげることも、毛玉の形成を防ぐことにつながります。

まとめ

毛球症(胃腸うっ滞)は、うさぎにとってとても身近な病気ですが、普段から、新鮮な牧草をたっぷり与えること、適度に運動をさせること、必要に応じてブラッシングを行うことで予防ができます。もし、食べる量や、うんちの量が減ったことに気づいた場合はすぐに動物病院へ連れていくようにしましょう。

監修獣医師

別府雅彦

別府雅彦

北海道大学獣医学部を2009年に卒業。学生時代は野生動物学教室でクマのフェロモンに関する研究を行う。卒業後は神奈川県の地域中核病院に勤務。脊椎外科や整形外科を中心に、ワンちゃんとネコちゃんの医療に従事。アメリカ獣医内科学会など、学会での発表も行う。信念はどうぶつと飼い主さんが主人公の物語をお手伝いすること。2020年アニコムホールディングス株式会社に入社。信念を日本に、世界に広げるべく活動中。