
うさぎの陰部や肛門、鼻のまわりの皮膚がジュクジュクしてかさぶたが付いていたら、トレポネーマ症かもしれません。
うさぎのトレポネーマ症は、うさぎ梅毒(ばいどく)ともいわれる病気で、感染力が強いことや再発しやすいこと、皮膚症状のほかに不妊の症状があることから、多頭飼育の場合や繁殖させたい場合には特に注意が必要な病気です。
今回は、うさぎのトレポネーマ症についてお話ししたいと思います。
うさぎのトレポネーマ症ってどんな病気?原因は?
トレポネーマ菌(Treponema paraluiscuniculi)という細菌が感染することによって起こる病気です。人に感染することはありません。
すでに感染しているうさぎと交尾したり、毛づくろいをするときに直接触れたりした際に感染します。また、出産や授乳のときに母うさぎから子うさぎに感染することもあります。
非常に感染力が強いため、多頭飼育をしている場合には感染が疑われたらすぐに隔離する必要があります。
うさぎのトレポネーマ症はどんな症状が出る?

菌を持っていても無症状なうさぎもいます。ストレスにさらされることで発症することがあります。
発症すると、陰部や肛門、鼻先、目のまわり、鼻や口といった皮膚と粘膜の境界の部分などにに皮膚症状が認められます。
初期は赤みや腫れがみられ、進行すると水ぶくれやただれ、出血、かさぶたがみられるようになります。
鼻周囲に症状がある場合にはくしゃみや鼻水が、目のまわりに症状がある場合には涙が流れたりします。皮膚の症状がメインのため、元気がなくなるといった全身症状が見られることはまれです。
感染すると女の子のうさぎでは、流産や不妊など繁殖に影響が出ることがあります。
うさぎのトレポネーマ症に関連する病気はある?

うさぎのスナッフル(鼻性呼吸)は、くしゃみや鼻水が出たり、鼻がつまってズーズーと音が聞こえたりする症状のことを言います。
パスツレラ菌の感染症や不正咬合といった病気が原因のことが多いのですが、うさぎのトレポネーマ症も原因になることがあります。皮膚の症状が軽い場合には皮膚より先にくしゃみの症状に気付くケースがあり、他の病気と見分ける際に気を付ける必要があります。
トレポネーマ症の場合には陰部や肛門周囲の皮膚に症状が見られることが多いため、くしゃみの症状がある際には、うさぎの体をチェックするようにしましょう。
うさぎのトレポネーマ症はどんな診断や治療をするの?
皮膚の症状が特徴的なので、見た目で診断されることが多いですが、典型的な症状がなければ人の梅毒用抗体検査キットを使用することもあります。また、皮膚に糸状菌など他の感染症がないか皮膚検査をして確認します。
治療はクロラムフェニコールという抗生剤を用います。
短期間の使用だとすぐ再発することがあるため、皮膚症状が消失したあともしばらくは投与を続けます。 ただし、完治が難しいため、ストレスや免疫力の低下で再発する可能性があります。
治療費は?どれくらい通院が必要?
『みんなのどうぶつ病気大百科』によると、トレポネーマ症における1回あたりの治療費は4,374円程度、年間通院回数は1.5回程度です。
病気はいつわが子の身にふりかかるかわかりません。万が一、病気になってしまっても、納得のいく治療をしてあげるために、ペット保険への加入を検討してみるのもよいかもしれません。

うさぎのトレポネーマ症の予防法は?

感染の疑いがあるうさぎを他のうさぎと接触させないようにします。
また、一度感染を確認したうさぎは治療によって症状が改善しても菌を持っている可能性が高いため、繁殖させないようにしましょう。
高温多湿や寒冷、ストレスが発症のきっかけになることがあるため、適切な温度や湿度管理を心がけ、大きな音や環境変化などのストレスを加えないように注意しましょう。
排泄物はこまめに掃除し、部屋の空気の入れ替えもこまめに行って、環境を清潔に保つことも重要です。
まとめ
うさぎのトレポネーマ症は、感染力が強く、また完治が難しいため再発しやすい厄介な病気です。 特に多頭飼育の場合は、感染が広がらないように早期発見、治療することが大切になります。
普段から陰部や肛門の皮膚をチェックして、赤くなっている、ただれているなど気になる症状があれば早めに動物病院に相談するようにしましょう。