こちらを見つめる茶トラ

猫に多い病気である「慢性口内炎」。口腔内の全域にわたって強い炎症や潰瘍が生じる重度なものから、口の中の限局した一部分のみに炎症が生じる軽度なものまで、さまざまな程度が存在しますが、猫にとって苦痛以外のなにものでもありません。

慢性的に口内炎を発症してしまう猫もいます。近年では、慢性口内炎を改善させる可能性を秘めた選択肢として、動物の幹細胞を用いた「再生医療(細胞治療)」が注目されています。

本記事では、「慢性口内炎」に対して再生医療(細胞治療)を実施した結果、改善の兆候がみられた症例をご紹介します。
※投与の効果については、現在の症状や個体、投与方法などによって大きく異なります。

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猫の口内炎の主な原因は3つ

猫の口内炎の多くは、特定のウイルスや細菌などへの感染や、これら口腔内細菌に対する過剰な免疫反応などが関連していると言われています。また、免疫状態が低下することで発症することもあります。

①感染症による口内炎

上部気道ウイルス(猫カリシウイルスや、猫ウイルス性鼻気管炎ウイルス)の感染症によって引き起こされます。

②免疫低下による口内炎

FeLV、FIV感染、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、腎不全などにより、体を守るための「免疫」が抑えられ、二次的に口内炎を発症することがあります。

③歯周病による口内炎

歯の周囲にたまった歯垢や歯石の中の細菌により、歯根など歯のまわりが炎症を起こす病気「歯周病」。重度の歯周病、歯肉炎になることで、口内炎も引き起こされることがあります。

慢性口内炎(10歳/混血猫)での再生医療の実例

■Before・After 再生医療(細胞治療)実施前後の様子
・よだれの症状

猫のよだれのあるなし

再生医療(細胞治療)実施前(左)は口からよだれが大量に出ていたが、実施後(右)はよだれが止まっている。

・全身(背面)

術前術後の猫の全身の様子

再生医療(細胞治療)実施後(右)は実施前(左)を比べて、胸周りがふっくらしているように見える。

・全身(側面)

術前術後の猫の身体の側面の様子

再生医療(細胞治療)実施前(上)は遠慮がちに食べているように見えるが、実施後(下)は口を大きく開けて食べている。

・口腔内の腫れ

再生医療(細胞治療)実施前(左)は口の奥が赤く腫れあがっていたのが、実施後(右)は腫れが治まり赤みがひいている。

・食べ方の様子

再生医療(細胞治療)実施前はウェットフードでも食べにくそうにしているが、実施後はドライフードを勢いよく食べている。

再生医療(細胞治療)実施前

再生医療(細胞治療)実施後

~岩本望ちゃんの飼い主さまのお声~
治療前は緑の膿混じりのよだれがネックレスのように垂れ下がり常に出ていました。

治療後はよだれの量が減り、膿の色も匂いも軽減しています。
口内炎とは別ですが、いつも左目から出ていた血混じりの涙も今は止まっています。

大好きなお刺身を催促したり、覇気が出ました。
ドライフードも治療前に比べるとよく食べるようになりました。

慢性口内炎(3歳/メイン・クーン)での再生医療の実例

■Before・After 再生医療(細胞治療)実施前後の様子

 再生医療(細胞治療)実施前(左)は両頬の奥が赤く腫れていたが、実施後(右)左奥の頬の内側の赤みが引いてきている。

再生医療を受けられる病院はこちら

再生医療は、全国どこの動物病院でもできるという訳ではありませんが、以下の病院で受けていただくことができます。

■アニコムどうぶつ病院グループ病院(一部)
アニコム先進医療研究所株式会社が運営する動物病院の一部では、再生医療の適切な普及・拡大を目的とする「動物再生医療技術研究組合」に加入しているため、再生医療を受けることが可能です。

アニコムどうぶつ病院グループ一覧はこちら
※アニコム先進医療研究所株式会社のHPに移動します。注射器のマークがある動物病院で再生医療が受けられます。

■動物再生医療技術研究組合の加入病院
「動物再生医療技術研究組合」に加入している他の動物病院でも再生医療を受けることが可能です。

動物再生医療技術研究組合参加病院一覧はこちら
※アニコム損保が加入している再生医療の研究を行う組合(動物再生医療技術研究組合)のHPに移動します。

なおアニコム損保では、飼い主さまに代わり、かかりつけの動物病院へご連絡することも行っています。ご希望の場合は以下のアニコム損保あんしんサービスセンターへご連絡ください。

【あんしんサービスセンター】
► 0800-888-8256
受付時間: 平日 9:30~17:30 / 土日・祝日 9:30 ~15:30
※サービス向上のため、通話内容を録音させていただきます。【WEBでお問い合わせ】
お問い合わせはこちら※1,2

【再生医療対応の病院をさがす】
全国の実施可能病院一覧※1

※1 動物再生医療技術研究組合のHPに移動します。
※2 お問い合わせへの回答は動物再生医療技術研究組合から行います。

「動物再生医療技術研究組合」で行われる再生医療を受けた方に協力金をお支払い

アニコム損保では、「動物再生医療技術研究組合」において対象となる臨床研究を受けた方に、「再生医療協力金」をお支払いすることになりました。

協力金の概要や申請方法については、以下をご確認ください。

再生医療協力金詳細バナー

監修獣医師

河本光祐

河本光祐

岩手大学農学部獣医学科卒業後、岐阜大学大学院 連合獣医学研究科にて博士号を取得。2011年 アニコム損害保険株式会社に入社、保険金支払や経営企画、 獣医師としての臨床業務など幅広く従事。現在はアニコム先進医療研究所の代表取締役社長を務める他、再生医療の研究を行う動物再生医療技術研究組合の理事長も兼任する。 愛猫は病院保護猫のカキタロウ、ツブスケ。