出したいのになかなか出ない、お腹が張る…など、つらい症状を伴う便秘。身に覚えがある、という方も多いのではないかと思いますが、実は猫も便秘になることがあります。では、猫の便秘とはいったいどういう状態なのでしょうか。原因や解決方法など、「猫の便秘」について解説します。
どれくらい出ないと「便秘」?
どれくらい便が出ていなければ「便秘」といえるのでしょう? 目安として2~3日とよくいわれますが、これだけで便秘と断定するのは難しいものです。
数日空いたとしても定期的に出ている場合は、その子の体質かもしれません。逆に1日出ないだけでも、通常のサイクルと違う場合やしぶり(排便しようとしてもなかなか出ない様子)は、何らかの異常が隠れている場合もあります。
便秘時の猫にみられる症状

便秘とは「排便回数の減少」や「排便困難」を指しますが、排便の間隔が空いたとしても、何かしら排せつができていたり、愛猫に特段変わった様子もなく元気であれば、一時的なサイクルの乱れかもしれません。通常時の排便量やサイクルと比較して異常がないかを判断しましょう。
また、「しぶり」といわれる、一生懸命排便しようとしながらもなかなか出ない状態は、猫にとってつらい症状です。このような場合は、なるべく早めにかかりつけの獣医師に相談してみてください。
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猫の便秘の原因

排便がうまくできなくなり、便が滞留した状態を「便秘」といいますが、さらに便が異常にたまり大腸がふくらんだ状態を「巨大結腸症」といいます。猫では中年齢(3~8歳程度)の男の子で多く見られるといわれています。
フードが原因で便が硬くなりすぎたり、水分不足であったり、ストレスや病気が原因の場合もあります。
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水分不足
猫は元来、飲水量が少ない生き物ですが、体質によっては便が硬くなり、排せつ時に痛みを伴うことで排便しづらくなる悪循環が起こることがあります。後述しますが、便秘気味の場合は、少しでも飲水量を増やせるよう、ぬるま湯やウェットフードをあげるなどして、工夫するとよいでしょう。
ストレス
猫は環境変化の影響を受けやすい生き物です。たとえば、引越しやペットホテルに預けるなど、環境変化からくるストレスが原因で、排せつがスムーズにいかなくなる場合もあります。
食生活の変化
人と同じように、何を食べるかにより、便の状態は変わります。フードを切り替えた、複数のフードをいろいろと与えている、ということであれば、それが原因で便が硬くなりすぎているといった可能性もあります。
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運動不足
運動不足で、排泄時に必要な筋力が弱まっていたり、腸の動きが鈍ったりすることがあります。一緒に遊んで体を動かすよう促してあげることで、お腹の動きも活発になるかもしれません。
病気
便秘や巨大結腸症の原因には、腸そのものの動きが悪い場合(機能的閉塞)と、腸が物理的に狭くなるなどして排便しづらくなる場合(機械的閉塞)があります。前者の機能的な問題では、神経疾患や外傷(交通事故など)による神経障害などが原因にあげられます。
後者の機械的な問題では、骨盤骨折によって折れた骨盤が大腸を圧迫している場合や、誤飲したおもちゃなどが邪魔している場合、腫瘍ができているといった場合も考えられます。
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飲み薬の影響
薬というものは、病気に効果がある一方で、副作用が出る場合もあるのが事実です。抗生物質や抗がん剤、血圧降下剤などの一部では、一時的に排せつサイクルが乱れたり、排便しにくくなることがあります。心当たりがあるときは、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
遺伝
たとえば、骨格や腸の長さなど、身体的特徴から排便サイクルに影響が出ることも考えられます。尾のない猫として知られるマンクスは、尾骨の先天的異常の影響で腸に障害が起き、便秘になりやすいといわれています。
猫の便秘の予防・対処法

出したいのに出ない、お腹が張るなど、便秘の症状は、私たち人間でもつらいところ。また、本来は排泄すべき老廃物が体内に残っていることは、やはり健康のためによいとはいえません。便秘にさせないために、日々のケアで予防対策しましょう。
水分を多く与える
いつでも水が飲めるよう、新鮮な水を用意してあげてください。ふつうのボウルに入れてもあまり水を飲まないようであれば、次のような工夫をするのはいかがでしょう。流水を好む子には、蛇口や給水器から直接あげてみる。ぬるま湯が好きな子には、ひと肌程度のお湯をあげてみるのも良いかもしれません。
それでもあまり水を飲まない場合は、ウェットフードやスープタイプのトッピングを与えるなど、食事の水分量を増やすのも有効です。
食事内容を見直す
人の便秘と同じく、繊維質の多い食事が便秘解消に効果的な場合があります。高繊維質のフードも販売されていますので、そちらを食べさせてみるのも効果があるかもしれません。
しかし、便秘のタイプによっては、高繊維食を与えない方が良い場合もあります。このようなフードをあげる前に、しっかりとかかりつけ医に相談しましょう。
適度に運動させる猫は平面の運動よりも、昇降の運動を好みます。キャットタワーを使ってみたり、家具の配置を工夫したりすることで、立体的な運動ができるような環境づくりをしてあげるのがおすすめです。特に冬はコタツやお布団でぬくぬく過ごすだけになりがちなので、飼い主さんから誘って一緒に遊んであげましょう。
定期的にブラッシングする
グルーミングで飲み込んでしまった毛が排出できず、腸で滞留してしまうことがあります(毛球症)。消化管内の毛玉を流れやすくしてくれるおやつのような製品もありますが、こまめにブラッシングをしてあげるなどの毛球ケアも行いましょう。
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こんな時は病院へ
先に書いた通り、「何日排便がなければ便秘」という明確な答えはありません。ただ、通常は定期的に排便があるのに、突然排便の間隔が空くようになったり、排泄したい様子はあるものの、まったく出ずに苦しんでいる、極端に量が少ない、お腹が膨らんでいる(便やガスがたまっている)、食欲が落ちている、吐くなど、いつもと違う様子が伴う場合は、動物病院で診察を受けてください。
猫の便秘解消をサポート! おすすめのサプリメントは?
サプリメントはあくまで健康サポートが目的なので、日々の予防対策の一環として考えたほうがいいでしょう。整腸剤として広く知られるビオフェルミン®(ビオフェルミン製薬株式会社)をはじめとした乳酸菌製剤が猫の整腸作用を期待して処方されることもあるようですが、その効果は便秘の原因によっても異なります。決して自己判断で与えず、使用したい場合は、まず獣医師と相談しましょう。
オリーブオイルは、小腸や大腸で吸収されにくく、便を柔らかくしたり、潤滑油の働きをして排便をスムーズにしてくれるなど、便秘の解消に有効である場合があります。乳酸菌製剤と同様、使用の際は自己判断せず、かかりつけの先生に相談してみてください。
まとめ
便秘は人でも起こりがちなのでつい軽く考えてしまうかもしれませんが、いつもと違う様子が見られるなど気になることがあれば、早めに受診してチェックしてもらうことがおすすめです。愛猫の健康に気を配り、異常に早く気づけるよう紹介した症状や予防・対処法を参考にしていただければと思います。

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