犬と暮らすなら、毎日欠かせないお散歩。愛犬にとって、楽しみな時間のひとつである子も多いはず! そんなお散歩ですが、簡単なようで実はいろいろな悩みを抱えている飼い主さんも多いです。今回は、お散歩の必要性や、適切な回数・時間のほか、気をつけたいマナーなどを解説します。これからお散歩デビューする方に向けても詳しくわかりやすく解説しています!知識をつけて、お散歩をより充実したものにしましょう。

犬のお散歩の必要性

お散歩中に飼い主さんを見上げるジャックラッセルテリア

日々のお散歩が犬にとって欠かせないことは、犬と暮らしたことがない人でも知っている事実です。お散歩には排泄や運動以外にもたくさんの目的とメリットがあることをご存じでしょうか。たとえば、ひとくちに運動と言っても、これが与える良い影響はたくさんあります。問題行動が減ったり、食欲をコントロールできるようになるなど、しつけだけでは難しい悩みが解決されるきっかけになることもあるほどです。

さらに、精神面でのストレス軽減効果もお散歩から得られる大きなメリットです。ただ歩いているだけのように見えても、お散歩中は室内にいるときより頭を使う場面が多いため、何かに夢中になったあとの達成感と似た感覚を覚えます。また、ほかの犬や家族以外の人と触れ合う機会を持つことで、社会性が育まれます。

犬のお散歩デビューはいつ?

お散歩デビューする子犬

子犬のお散歩は、一般的には最後のワクチンを打ってから2週間ほど経った頃が理想的と言われています。遅くても、13週齢頃からを指す若齢期という段階に入る前には、初めてのお散歩へ行きましょう。

お散歩デビューの前に社会化を

全てのワクチン接種が終わる前はまだ免疫力に心配があるので地面を歩かせてのお散歩は控えましょう。正式なお散歩デビューの前に、キャリーバッグに入れたり、抱っこでお散歩をして外の刺激に慣れさせておくのがおすすめです。
恐怖心や警戒心が強く現れる前に、外の世界に少し慣れて社会化しておくことで、お散歩デビューがよりスムーズになったり、今後の”犬生”も変わってくるはずです。

ある程度大きくなってしまうと、社会性を身につけるのに時間と労力がかかるようになります。犬にとっても飼い主にとっても大きなストレスになるので、子犬のうちから慣れさせていきましょう!くれぐれも事故などないように、様子を見ながら慎重に少しずつ行いましょう。

お散歩で気をつけたいこと

最初は短い時間・距離から始めましょう。コースは交通量や騒音が少ない場所を選んで、少しずつ慣らしましょう。一日の中でも落ち着いた時間帯に、子犬が安心してお散歩を楽しめるようにしましょう。

散歩中は拾い食いなどに気をつけてください。犬の視線は地面に近く、特に子犬のうちは、なんにでも興味を示します。目を離さないようにしましょう。

首輪とリードを準備しよう!

首輪とリードは、飼い主さんと愛犬をつなぐ大切なもの。素材やデザインなども本当にさまざまです。毎日使うものなので、愛犬に合ったお気に入りのを選んであげたいですよね。

■首輪・リードの選び方
首周りのサイズをメジャーやひもなどを使って測りましょう。首輪はすこしゆったりめで、指が2本程度入るくらいの余裕を持たせましょう。リードは十分強度のあるもので、伸縮しないタイプが初めてのお散歩には適しています。愛犬のサイズや被毛の特徴に合わせて、選びましょう。

■首輪とハーネス、どっちを選べばいい?

ハーネスをつけた柴犬

まずはハーネスではなく首輪をおすすめします。ハーネスは首を絞めないので、愛犬の体への負担が少ないなどのメリットもありますが、リードを使った指示が伝わりにくいといったデメリットもあります。ハーネスは、お散歩が上手にできるようになってからでも遅くありません。

■慣らし方
リードも首輪も、家の中でつけて少しずつ慣れさせましょう。嫌がる場合はつける時間を短い時間から徐々に延ばし、つけた状態で褒めるなどの工夫をしてみてください。「つけるとよいことがある」と認識すると、スムーズに着用させられます。どうしても嫌がる場合は、軽いひもやバンダナで練習してみる方法もあります。

お散歩のときの持ち物は?

最低限必要なものに、
・水(飲む用・おしっこの後処理用)
・ゴミ袋
があります。外でうんちをしない子でも、必ず持って行ってください。
おやつなどのご褒美も持っていくとよいでしょう。

犬のお散歩時間はどのくらい必要?

お散歩の時間は、犬種や犬の骨格、体の特徴や年齢により異なります。

サイズや年齢別にみるお散歩時間の目安

・成犬の場合

一般的には大型犬ほど必要な時間が長くなります。

  • 大型犬の場合:1回30分を1日2回
  • 中型犬の場合:1回20分を1日2回
  • 小型犬の場合:1回15分を1日2回
が目安です。しかし、小型犬であっても体力がある犬種は標準よりも多くの時間が必要だったり、大型犬でも季節によっては長時間お散歩させないほうがいい場合もあります。

・シニア、子犬の場合

また、若い頃は1日2回お散歩していても、シニアになれば1回にしたほうがいい場合などもあります。体調をみながら定期的に獣医さんと相談してみてください。子犬の場合も体の負担になったりしないよう、適切な時間と距離・場所を選びましょう。

お散歩のマナー

子犬と飼い主

排泄物の処理

当然のマナーとして、排泄物の処理は必ず行いましょう。うんちを拾うのはもちろん、おしっこのあとには水をかけて、匂いを残さないようにしましょう。

周囲への気配りを忘れずに

街中には動物アレルギーを持っている方をはじめとするさまざまな事情を持つ人がいます。愛犬がフレンドリーな性格で他人やほかの犬に近づいて行くときは、相手に一言声をかけましょう。相手のためにも、愛犬のためにも予期せぬトラブルを事前に避けましょう。

雨の日のお散歩は?

お散歩中にしか排泄をしないなどで、雨でも必ずお散歩に行く飼い主さんも少なくありません。雨でもお散歩に行くことは、犬にとっては大きな問題ではありません。ただし、雨で身体が濡れるのを嫌がる子もいるので、愛犬に合わせて判断をしましょう。

身体が濡れるのが心配な場合は、レインコートを着せて行ってもよいでしょう。梅雨のように連日雨が続くとお散歩に行けなくなってしまうので、レインコートに慣れさせておくといいかもしれません。

雨の日にお散歩をすると、当然手足が濡れてしまったり、お腹が泥で汚れたりします。家に帰ったらしっかり全身を拭いて乾かし、ブラッシングをするようにしましょう。目だけではなく手も使って、汚れや異物がついていないか確認してください。

暑い日・寒い日の散歩は?

暑い日の散歩は特に時間帯に気を付けましょう。日中を避け、早朝や夜のできるだけ涼しい時間帯に行いましょう。熱中症を予防するため、こまめに水分補給を行ったり、保冷剤などの冷感グッズを携帯するのがおすすめです。また、高温のアスファルトなどにより肉球をやけどすることもあるため、歩く場所にも十分に注意しましょう。

犬は寒さに強いと言われますが、個体差があり寒さに弱い犬種もあるため、寒い日の散歩に工夫が必要な場合があります。特にシングルコートの犬種は寒さに弱い傾向があります。暖かい服を着せるなど、防寒対策を行いましょう。また、雪が降っている場合などは、道の凍結で滑ってケガをしないよう、注意しましょう。

アニコムの「熱中症週間予報」

アニコムでは毎夏、「犬の熱中症週間予報」を配信しています。夏の散歩の計画に、ぜひご活用ください。

犬の熱中症週間予報

愛犬と歩く時間を大切に

お散歩中うれしそうなシェルティ

お散歩中は家の中では見られない犬の表情が見られたり、新たな発見があったりと、飼い主にとっても刺激的な時間です。貴重なコミュニケーションの時間でもあり、愛犬の心身の健康のために大切な役割を果たしています。毎日のことなので、少し大変だと感じることもあるかもしれませんが、愛犬と歩く時間を大切に過ごしてください。

監修獣医師

長根あかり

長根あかり

大学で動物行動学やアニマルセラピーを学ぶ。保護犬を家族に迎えたこと、野良猫の保護をした経験から、「保護犬・猫について」や「正しい飼い方」の情報発信の必要性を感じ、大学卒業後はペットメディアで勤務。その後はフリーライターとして執筆活動しながら保護シェルターで働き現状を知る。 現在は、動物ライターとしての執筆活動のほか、ドッグトレーナーとして飼い主さんとワンちゃんの暮らしが良くなるように、アドバイスやトレーニングを行っている。