愛犬が突然震えて、明らかに様子がおかしい!こんなとき、どうしますか? けいれんは意識を失うほどの症状から、手足の一部だけが震える症状まで、さまざまな状態を指します。あれ、けいれんなのかな?と思ったときに、落ち着いて対応ができるよう、けいれんとはどんなものなのか、知っておくと安心です。

犬のけいれんとは

けいれんは、脳が体を動かすために送る電気的な指令が、一時的にコントロール不能になって、めちゃくちゃな指令が出ている状態です。そのため、体は混乱して震え、意識がなくなることもあります。失禁したり、よだれが大量にでたり、歯をくいしばったり、あるいは倒れて足をバタバタさせる動作が出ることもあります。これらをすべてひっくるめて、「発作」という表現もします。

けいれんの多くには、症状に段階があります。前段階として、けいれんが起こる数分~数時間前から、妙にうろうろしたり物陰に隠れたりして、不安そうにしたりします。けいれんが起こった後には、体の動きがおぼつかなかったり、まるでボケてしまったかのようにぼんやりとしたりする後段階が、数時間~ときには数日起こります。

原因は? 考えられる病気は?

ふせするチワワ

けいれんは頭に由来するタイプと、頭以外に由来するタイプの、大きく二つに分かれます。

考えられる病気をいくつかご紹介します。

てんかん

「てんかん」は、犬のけいれんでもっとも多い原因です。6ヶ月~3歳ほどの、若い年齢で最初のけいれんが起こります。多くは特発性で、内臓にも、頭の中にも、明らかな原因がなくけいれんが起こることが特徴です。生涯に一度だけけいれんが起こり、一回の受診後、長く経過観察になる犬もいれば、初めてのけいれんの後に何回も繰り返す犬もいます。けいれんが頻繁になる場合は、抗てんかん薬の服用による、けいれんのコントロールが必要になります。

慢性腎不全

本来、腎臓で処理されて排泄される尿素窒素が、体に溜まりすぎると、代謝異常を原因としたけいれんが起こります。この状態を避けるために、尿素窒素の数値が上昇し始めたら、排泄を助けるための補液治療などが勧められます。腎不全によるけいれんは、腎不全がかなり進行して体が限界を迎えているしるしなので、けいれんの症状が見られてから数週間ほどで亡くなってしまうこともあり得ます。

中毒

殺虫剤に含まれる有機リン酸塩・カルバミン酸塩や、鉛、自動車の不凍液に含まれるエチレングリコール、カタツムリの駆除に使われる成分のメトアルデヒドなどは、誤って摂取するとけいれんを引き起こします。これらの物質を口にしたことが明らかな場合は、直ちに動物病院を受診しましょう。

水頭症

多くは生まれつきの、頭蓋骨内部の異常が原因の病気です。マルチーズ、チワワ、ヨークシャー・テリア、パグなどの犬種に多いです。水頭症の犬は、子犬のときから頭が大きく、ときに目が外側を向いている(斜視)こともあります。また日頃からぼんやりとしていたり、気分が沈んでいたりふさぎこんでいるなどの鬱々とした状態のことが多いです。診断はCTやMRIで行われ、けいれんなど神経症状がある場合は、生涯に渡るステロイド剤や抗てんかん薬の服用が必要になります。

脳の炎症や腫瘍

若い犬で、水頭症など生まれ持った異常がなくけいれんが起こる場合は、脳の炎症が疑われます。また、高齢の犬で、内臓の病気がないのに、突然けいれんが起こる場合は、脳内の腫瘍が疑われます。脳内の腫瘍は、けいれんが起こる前に、ぼんやりするなどの「急に老けた」ような状態が見られることもあります。

このほか、パグにおこりやすいパグ脳炎(髄膜脳炎/ずいまくのうえん)など、決まった犬種で起こりやすい病気を原因としたけいれんもあります。

けいれんの対処法

なでられるボストンテリア

愛犬が突然けいれんしたとき、まず、愛犬にむやみに触らないでください。特に顔周りには触らないように注意してください。愛犬に意識があってもなくても、けいれんは犬本人の意思でコントロールできるものではありません。そのため、飼い主さんが咬まれてケガをしたりと、思わぬ事故が起こることがあります。

室内なら、犬が家具などにぶつからないように物をどかして場所を確保しましょう。散歩中など屋外で起こったら、体のおしりの方を支えながら、しばらく立ち止まっても安全な場所になんとか移動しましょう。

けいれんは20分以上続くと神経障害が起こり、命に関わります。以前にもけいれんが起こったことがあり、座薬の抗けいれん薬が手元にある場合は、迷わず使いましょう。その際、ビニール手袋をするなどして素手で座薬に触れないように注意しましょう。

いずれの場合も、けいれんが治まったら、なるべく早くかかりつけの動物病院を受診しましょう。

病院に連れていくべき症状は?

獣医に抱っこされるジャックラッセルテリア

どんな原因でも早めに動物病院に連れていくようにしましょう。手足の一部の震えなど症状が軽くても、けいれんの可能性がある場合は、なるべく早く受診をしましょう。

けいれんが初めてであれば、原因を調べてもらいましょう。また、てんかんや慢性腎不全など、原因がすでにわかっている場合でも、けいれんが起きた際は受診をしましょう。けいれんが起きているということは、薬の効き具合や腎不全の進行具合など、愛犬の体になんらかの異変がでている可能性があるからです。なお、中毒が原因の場合は、たとえ夜中であろうと夜間の動物病院に連れていき、直ちに受診するようにしましょう。

予防方法は?

てんかんや腫瘍・水頭症などが原因で、抗てんかん薬を処方されている場合は、決められた量・回数の薬を、切らさないように飲みましょう。基本的には薬でけいれんが抑えられるため、薬の効能が切れてしまうと、反動で大きなけいれんが起こる可能性が高くなり、命にも関わります。

まとめ

けいれんは、さまざまな原因により、頭から体への指令がめちゃくちゃになっている状態です。生涯に一度で終わることもあれば、何度も繰り返すこともあります。

体に対する負担は大きい病気なので、けいれんの大小に関わらず、起こった場合は必ずかかりつけの動物病院を受診しましょう。また、服薬が必要な場合は、決められた量と回数を切らさず飲ませることが、けいれんを再発させないコツになります。

監修獣医師

箱崎加奈子

箱崎加奈子

アニマルクリニックまりも病院長。ピリカメディカルグループ企画開発部執行役員。(一社)女性獣医師ネットワーク代表理事。 18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。 ペットとその家族のサポートをしたい、的確なアドバイスをしたいという思いから、トリマーとして働きながら獣医師、ドッグトレーナーに。病気の予防、未病ケアに力を入れ、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護師、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。