犬の多頭飼い、犬好きなら憧れたことがある方も多いのでは? 「多頭飼い」と聞いて、楽しそうと感じる方もいれば、大変そうと感じる方もいると思います。1頭から2頭に増えれば、もちろん手がかかることは確かです。でも、それは単純に2倍になる訳ではないのです。1頭目のしつけができていれば、2頭目のしつけはかなり楽になるといったメリットもありますし、何より喜びや幸せは倍増どころか3倍にも4倍にも増えます。今回は、犬3頭を多頭飼いしているエピソードとともに、多頭飼いの魅力や実際のところをご紹介します。

多頭飼いを始めたきっかけは?

多頭飼いを始めるきっかけはどんなものがあるのでしょうか。いくつか例を挙げてみます。

  • 先住犬に寂しい思いをさせないため
  • 多頭飼いに憧れていた
  • 縁(保護犬やペットショップなどの出会いなど)があり、もう1頭迎えることになった
  • 先住犬の兄弟犬、母犬などと暮らしたいと思った
  • 好きな犬種がある

多頭飼いならではの3つの魅力

シェルティ3頭連れてお散歩している様子

多頭飼いの魅力はどんなところにあるのでしょうか。ご家族によって、さまざまな魅力を感じていると思いますが、私が感じている多頭飼いならではの3つの魅力をご紹介します。

ただ並んでいるだけでかわいい

そこにただ並んでいるだけでかわいくて、最高に癒されます。おすわりする姿、お散歩で歩く姿、ただそこに立っているだけの姿でも愛犬たちが並んでいることで幸せな気持ちは倍増どころか3倍にも4倍にも増えます。

2頭目以降のしつけが楽!

1頭目のしつけができていれば、2頭目以降のしつけは格段と楽になります。犬は群れで暮らす本能があるので、2頭目以降は1頭目にならっていくところがあるからです。

お留守番は少しだけ気が楽に

飼い主にとって、気がかりのひとつであるお留守番の時間。愛犬と離れる時間はさみしいですし、家にひとりきりでさみしい思いをさせてしまっているのではないか?と心配になる飼い主さんも多いはず。そんなお留守番も、ひとりきりではない、と思うと少しだけ心が楽になるのは多頭飼いならではです。

多頭飼いの実際のところ

ここまでは、魅力をお伝えしましたが、もちろんいい事ばかりではありません。犬を飼うって幸せだけど、大変なこともあります。1頭でも大変なのだから、2頭、3頭といたら実際のところどうなのでしょうか。

トイレ事情

トイレは混み合うときがあります。頭数にあった広めのトイレや、頭数分のトイレを用意しておいてあげることをおすすめします。

ごはん事情

犬たちの年齢の違いや、アレルギーの有無によっては、頭数分のフードの種類を用意する必要もあります。

やきもち事情

その子の性格によっては、やきもちを焼いてしまうこともあるかもしれません。それぞれに平等に愛情を注いであげることが大切です。

金銭事情

頭数に応じて、2頭なら2倍、3頭なら3倍と金銭面の負担は増えていきます。想定外の費用、病気やケガなどの高額な医療費の負担がかかる可能性があることをしっかり念頭に置く必要があります。2頭同時に高額な医療費がかかる可能性もゼロではないことを考え、しっかりとペット用の貯蓄をしておいたり、ペット保険に加入しておくなどの備えが必要です。

多頭飼いをするなら気を付けたいこと

多頭飼いをしたいと思ったら、必ず考えておきたいことをいくつかご紹介します。

相性は本当に大丈夫?

多頭飼いで必ず気を付けたいのが犬同士の相性です。飼ってみなければわからない部分ではありますが、以下のポイントは抑えたいです。

  • 同じ犬種同士など、極端に大きさが異ならないこと
  • 年齢が離れすぎていないこと(※ただ、シニアの子が若い子を迎えて元気になった、というようなケースもあります。)

その他にも性別の組み合わせなども考えてあげられるとよさそうです。ペットを迎える前に、動物病院の先生などに相談してから考えましょう。

自分の子の性格をしっかり見極めること

何よりも先住犬の性格をしっかり理解してあげることが大切なのではないでしょうか。甘えん坊な子や、繊細な子はひとりっ子生活を希望しているかもしれません。お友達と走ったり、遊ぶのが大好きなタイプの子であれば、多頭飼い生活を楽しんでくれるかもしれません。

わが子の性格、迎えたい子との相性をしっかり見極めた上で多頭飼いを始めたいですね。

おうちのこと、時間とお金を費やす覚悟

住環境はクリアしているかも大事なポイントです。また、1頭以上に犬にかける時間とお金が増えることに覚悟が必要です。

多頭飼いのエピソード、くろまめ一家の場合

シェルティのくろまめ一家の写真
▲正面左から、シンディ、くろまめ、メロディ

シェルティ3頭を多頭飼いしているくろまめ一家のエピソードをお伝えします。

くろまめのお母さん、シンディを迎えることに

先住犬、くろまめをブリーダーさんから迎えてすぐの頃(くろまめ当時4ヶ月)、くろまめのお母さん(当時8歳)が繁殖を引退することを聞きました。くろまめを迎えるときに、お母さん犬に心惹かれていた私たち家族は、「お母さんも迎えたい!!」そう思いました。

でも、共働き夫婦の私たちに犬2頭も飼う時間と余裕はあるのか、すごくすごく悩みました。何度も話し合いをして、お金の計算をして、現実的なことをたくさん考えた上で、2頭を最期まで守る!と心に誓い、お母さん犬のシンディを迎えることにしました。

シンディとくろまめの写真
▲シンディを迎えたころ

ブリーダーさんが言ってくださった「この子の残りの人生はペットとして過ごしてもらいたい」という言葉が今でも心に深く残っていて、始まったばかりのペット人生を思い切り楽しませて、甘えさせてあげようと心に誓いました。

2頭の生活は想像以上に楽しい!

シェルティのくろまめとシンディ
▲ドッグランでニコニコ笑顔のシンディとくろまめ

2頭の生活は想像以上に楽しいものでした。親子ということもあり相性はバッチリだったので、お互いに慣れて過ごしてくれたことや犬同士で教えあう姿に何度も感動しました。

例えば、パピーのくろまめがトイレシーツで遊んでしまっても、シンディが止めてくれました。他にも、「おいで」の合図でためらうくろまめをシンディが鼻先で押して「おいで」を誘導してくれたこともありました。靴下に興奮してしまうくろまめを叱って止めてくれたのもシンディでした。シンディには何度も、「ありがとう!」と感動したことを覚えています。シンディの優しさと賢さはしっかりくろまめに引き継がれ、くろまめもシンディ譲りの素敵な優しい成犬に育ちました。

2頭の生活にすっかり慣れたころ、3頭目を迎えることに

2頭での生活が1年くらいたったころ、3頭目を迎えることになりました。シンディの娘であり、くろまめのお姉さんでもあるメロディ(当時6歳)でした。メロディも出産をがんばった子で、繁殖を引退することから新しいおうちを探している子でした。

2頭目から3頭目のときは、1頭目から2頭目のときよりもすんなり決めることができました。多頭飼いにも慣れたし、同じ家系なので相性も問題なさそう。何よりシンディとくろまめの血筋にすっかり惚れ込んでしまっていたことが理由です。

メロディ
▲甘えん坊な女の子、メロディ

メロディはお外が苦手で、散歩もほとんどしたことがない子でした。わが家にきて、6歳にしてお散歩デビュー! 苦手だったお外もシンディ、くろまめが一緒だからか、すぐに慣れてくれて、すっかりお散歩やお出かけが大好きな子に育ちました。多頭飼いの良さでもある2頭目以降のしつけやお世話が楽、というのを感じました。

心がけていること

■1対1で向き合う時間を大切に

ひとりひとりと向き合う時間をあえて持つように心がけています。たまにはひとりっ子気分を味わわせてあげたい、という想いからあえてひとりずつお散歩に行くことも多いです。

みんなでいるときとはまた違った表情を見せてくれたり、気づきや発見もあるので、そんな1対1の時間を大切にしています。

くろまめ
▲ひとりっ子タイムでご機嫌なくろまめ

■家族との協力は必要不可欠

犬3頭を守るためにも、家族で協力しあうことは必要不可欠です。1頭のとき以上に、家族で助け合ってみんなを守るようにしています。

多頭飼いで悩んだことは?

わが家の子たちも、みんな本当はひとりっ子を希望していたのかもしれない、と考えてしまうこともありました。本当のところは、みんなに聞くことができないのでわかりません。でも、平等に愛情をたっぷり注いで、ひとりっ子の時間を設けたり、この家族でよかったと思ってもらえるように、みんなとの時間を大切に過ごしています。

にぎやかでときに大変! でも、幸せな3頭生活

くろまめ一家のお散歩
▲みんなでおそろいのTシャツを着てお散歩♪

犬を3頭も連れていると、「大変ねぇ~!」と驚かれることもしばしばあります。たしかに、大変なこともあったかもしれません。例えば、2頭そろって不調になり、通院のタイミングが重なれば治療費は2頭分でそれなりの金額になってしまいます。金銭面以外でも、トイレ掃除などのお世話面も負担は少し増えました。

でも、大変なこと以上に喜びがとても大きいです。ただみんなが並んでいるだけで、私たちまで笑顔になってしまいます。みんなのうれしそうな顔が生きがいとなって、心から幸せを感じています。

幸せな「多頭飼い」ライフを♪

「多頭飼い」はご想像の通り、それなりに大変です。でも、それ以上の幸せが待っていることも事実です。おうちでの時間、お散歩、お出かけなどあらゆる時間の幸せが倍増どころか3倍にも4倍にも増えます。もちろん、お金と時間など飼い主としての覚悟は必要です。また、優先すべきは先住犬です。ご自身の愛犬の性格・年齢などをしっかり考慮し、迎えたい子との相性を見極めた上で、多頭飼い生活が始められるといいですよね。

ライター

犬百科編集部

犬百科編集部

犬の飼い主歴10年以上の編集者が集い、毎日、犬の「あるある話」に花を咲かせ、情報交換している。編集部員の面々は、犬との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。