
うさぎといえば、長い耳。大切なうさぎの耳の健康を守るために、飼い主はどんなことをすればいいのでしょうか。耳掃除が必要な場合や家庭でのケア方法、うさぎの耳のチェックポイントを紹介します。
うさぎに耳掃除は必要?
健康なうさぎであれば、特に耳掃除や耳のまわりのケアをする必要はありません。飼い主が手伝わなくても自分で耳をきれいにできるからです。
耳掃除が必要になるのは、たれ耳で耳垢がたまりやすい子や、高齢や肥満、病気、障害のためにうまく耳掃除ができない場合。とくに体を自由に動かすことができず、自力で耳掃除ができないときは定期的なケアが必要です。今はする必要がない子でも、加齢によって必要なときがくるかもしれないことは覚えておいてくださいね。
うさぎの耳掃除はどうする?
家庭でのケアは、水や専用のイヤークリーナーで湿らせたコットンで耳孔(じこう:耳の穴のこと)のまわりをやさしく拭くことに留めましょう。耳かきや綿棒を使って耳垢をとろうとすると、かえって押し込んでしまったり、うさぎが暴れて耳の中を傷つけてしまったりする可能性があります。耳に傷ができると、そこから細菌に感染して外耳炎になる可能性も。うさぎのためにやったことで病気にしてしまっては本末転倒です。耳垢を取り除く耳掃除は、動物病院や専門店でお願いしましょう。
たれ耳のうさぎの場合

ホーランドロップなどたれ耳のうさぎでも、自分で耳をきれいにできていれば、とくに耳掃除をお手伝いする必要はありません。ただ、たち耳のうさぎと比べて湿気がたまりやすいうえ、耳の様子が見えにくくなっています。日頃から耳を持ちあげて、耳の裏が汚れていないか、耳垢がたまっていないか、赤くなっていないか、チェックしましょう。何か気になることがあれば、まずは動物病院へ。
耳の病気がないことが確認できて、それでも耳垢や汚れがたまりやすいようであれば、上記の方法で定期的にケアをしてあげましょう。耳の裏も汚れるようであれば、イヤークリーナーなどを浸したコットンで拭き取ってください。
体が不自由なうさぎの場合
高齢や障害などの理由から自分で耳掃除ができないうさぎは、定期的に耳掃除をお手伝いする必要があります。頻度は月に1度くらいが目安。必要があればもっと頻繁なペースで行います。やはり動物病院や専門店でお願いすることがベストですが、耳垢がたまるペースやうさぎの体調によっては家庭で耳掃除をした方が良い場合もあるでしょう。まずは獣医師に相談してみましょう。家庭で耳垢をとる場合は、外から見える範囲までに留めます。深いところまで掃除しようとするのはやめましょう。上述したように、水や専用のクリーナーでやさしく拭いてください。
うさぎの耳にはたくさんの血管が通っています。強く挟んだり、飼い主の爪で傷をつけたりしないよう充分に注意してください。また、耳掃除中にうさぎが暴れてしまうことで傷つく恐れもあります。そのため、うさぎをしっかり保定する必要がありますが、むやみに行うことは、骨のもろいうさぎにとって骨折などのリスクを伴います。基本的には動物病院や専門店でお願いをし、獣医師から許可されない限りは、家庭での耳掃除は控えましょう。
家庭で耳をお手入れする場合、うさぎのストレスにならないよう、まず耳を触ることや抱っこによく慣れてもらいましょう。嫌がる場合は片耳ずつにする、少しでもできたらおやつをあげてよく褒めるなどして、決して無理をしないでください。耳の中に流し込むタイプの洗浄液も販売されていますが、安易な使用は危険です。飼い主の独断で使用することはやめましょう。
イヤークリーナーの注意点は?

犬や猫などほかのどうぶつに使えるイヤークリーナーであっても、うさぎのデリケートな耳に使うには注意が必要なことがあります。
うさぎだとかぶれてしまったり、アレルギー反応がでてしまうケースも知られています。
犬用には豊富な種類のケア用品がありますが、うさぎに安心して使えるものを選ぶことが大切です。
できるだけうさぎ専用の製品を選んだり、動物病院や専門店などで紹介してもらうとよいでしょう。
また、耳ダニが寄生しているときは、耳洗浄をしない方がいいことがあります。大きなかさぶた状の汚れが耳の穴の中にぎっしりつまっていたり、かゆみが強かったりするときは耳ダニも疑われるため、お手入れをせず、そのまま受診しましょう。
鼓膜が破れている可能性がある場合も、洗浄液が耳の中に入るのを避けたほうが良い状況となります。
首を傾げたりまっすぐ歩けなかったりなど、鼓膜の奥の深刻なトラブルが疑われる様子がある場合も、自宅でのお手入れは避けて、すぐの通院がおすすめです。
うさぎの耳のチェックポイント
うさぎの耳の病気として、外耳炎、中耳炎、内耳炎などがあります。耳の穴の入り口から鼓膜までが外耳、鼓膜の奥が中耳、さらに奥を内耳といいます。
外耳炎が進行すると、中耳炎、内耳炎と炎症が奥へ進んで行き、平衡感覚を司る三半規管に影響が出て斜頸(しゃけい)や眼振につながることも。
こうした症状が現れると食べることも立っているのも難しくなることがあります。耳の病気は早く気づいて進行する前に治療することが大切です。うさぎが健康でとくに耳掃除の必要がなさそうでも、日頃から耳の状態をチェックすることを習慣づけましょう。
チェック方法としては、耳を直接見て中が汚れていないか・赤くなっていないか・においがしないか確認します。また耳を何度もかいて頭を振るなど、耳を気にする様子がないかも見ておきましょう。急に耳が汚れてきたときや耳を頻繁に気にしているときは、病気の可能性があるので早めに獣医師に診てもらいましょう。家庭では耳の奥までチェックすることは難しいので、健康診断も定期的に受けてください。
耳掃除以外にできること
爪が伸び過ぎていると、お手入れのために耳に足を入れてかいたとき、傷ができてそこから外耳炎になる可能性があります。爪は伸び過ぎる前に定期的に切りましょう。
歯が伸び過ぎて歯根膿瘍になると中耳炎や内耳炎の原因になります。普段からチモシーなどの牧草をしっかり与え、歯が十分に削れる食生活を心がけましょう。食べ方に異常があるときも早めに受診をしましょう。
また不衛生な環境では細菌が増えやすいので、飼育環境を清潔に保ちうさぎがストレスなく過ごせるようにしましょう。
まとめ
うさぎの耳掃除は基本的に飼い主がする必要はありません。耳垢が気になる場合は動物病院や専門店などで耳掃除をお願いしましょう。
うさぎの耳はとても繊細です。異常がないかチェックすることは大切ですが、必要以上に触ったり、イヤークリーナーや綿棒を耳の穴の中に入れたりすることはやめましょう。
急に耳垢が増えたときは、耳の病気が考えられます。単なる汚れと判断せず、早めの受診を心がけてください。
