うさぎが首をかしげるように傾けていたら、斜頚という症状を起こしている可能性があります。斜頸は、病気と思われがちですが、病名ではなく症状のことを指します。原因はさまざまで、斜頸になるとうまく食事が食べられなくなり命に関わることもあるため、早期の治療が必要になります。今回は、うさぎの斜頸について、その原因や症状、治療法や予防法をお話しします。

うさぎの斜頸ってどんな症状が出る?

繰り返しになりますが、斜頸は、病気の名前ではなく、首が片側に傾いている症状をいいます。

うさぎの斜頸は、寄生虫や細菌感染などさまざまな原因によって平衡感覚を司る部分が侵されることで症状が現れます。主に、中枢性(脳の中枢機能が侵されて起こる)と末梢性(脳以外の神経が侵されて起こる)に分類されます。体の平衡感覚を司っている部分が侵されることにより、さまざまな症状が現れるようになってきます。

軽度であれば首がわずかに傾いているだけですが、重度になると首が90°以上傾くこともあります。

体の平衡性を失うことによって、まっすぐ歩けず同じ方向にぐるぐると回り続ける旋回運動や、立てずに横に転がり続けるローリングという症状が出ることもあります。それによって、ケージなどで体を傷つけることがあるため注意が必要です。

また、眼が水平方向や垂直方向に揺れる眼振という症状も見られる場合があります。

これらの症状によって上手に水分や食事をとることができないと、脱水や胃腸の動きの低下が起きます。それによって腎臓や肝臓、腸などさまざまな臓器がダメージを受けると、最悪の場合、命に関わることもあります。

うさぎの斜頸の原因となる病気はある?

中枢性の斜頸を生じる病気のひとつに、エンセファリトゾーン(:Encephalitozoon cuniculi)という寄生虫が脳に寄生することで発症する感染症があります。もともと40%以上のうさぎはエンセファリトゾーンに潜在的に感染しているといわれています。(感染率については諸説有ります)エンセファリトゾーンに感染したうさぎが妊娠すると、胎盤を通してお腹の胎児に感染したりすることも。また多頭飼育の場合は腎腎臓で寄生虫が増殖し、胞子が尿中へ排泄されるため、トイレで感染することもあります。

エンセファリトゾーン感染の場合、けいれんやブドウ膜炎、白内障などの症状も出ることがあります。

末梢性の斜頸は、パスツレラ菌などに起因した細菌性の中耳炎や内耳炎により起こることが多いとされています。パスツレラ症がある場合、くしゃみや鼻水などの症状が一緒に出ることがあります。

また、頭や首の損傷や、脳の腫瘍などによって発症することもあります。

うさぎの斜頸はどんな治療をするの?

斜頸を起こしている原因にあわせて治療を行います。細菌感染が原因であれば、抗生剤を投与します。

エンセファリトゾーン症の治療としては、長期的に駆虫薬の投与を行います。短期的にステロイドを投与することもあります。原因がどちらか特定できない症例では、同時に両方の治療を行うこともあります。

食欲の低下が認められる場合には、食事の補助や強制給餌をしてあげましょう。また、胃腸を動かす薬や食欲増進剤を投薬します。水が飲めない場合には、点滴をします。

ローリングによって体や眼を傷つけることがあるため、クッションやタオルで保護してあげましょう。

完治まで長期間かかったり、すぐに再発したりすることも多くみられ、生涯治療が必要になることもあります。また、他の症状が落ち着いても首の傾きが残ってしまうこともあります。

うさぎの斜頸の予防法は?

ケージの中で座るうさぎの画像

エンセファリトゾーン症やパスツレラ感染症は、感染していても健康であれば症状が出ない「不顕性感染」のことが多く、加齢やストレス、免疫力の低下が引き金となり発症します。

高温多湿や寒冷、急な温度の変化などは発症のきっかけになることがあるため、適切な温度や湿度管理を心がけ、エアコンなどの風が直接あたらないようにしましょう。また、大きな音がする場所や、他の動物の鳴き声などがするなどもうさぎにとってストレスになります。

あわせて、排泄物はこまめに掃除し、多頭の場合は一頭ずつにケージを分けて尿が口に入らない飼育環境にし、清潔に保つようにしましょう。

感染している可能性のあるうさぎと他のうさぎを接触させないようにすることも大切です。

外耳炎から中耳炎や内耳炎に波及して発症することがあるため、耳をかゆがる、耳垢が出る、首を振るなどの症状があれば早めに治療しましょう。

まとめ

うさぎの斜頸は、それだけでは命に関わりません。しかしながら、斜頸に伴って起こる食欲低下や脱水によってさまざまな臓器に影響が出ると命に関わることもあるため、注意が必要です。少しでもおかしいなと感じたら早めに病院に相談しましょう。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。